ソーシャル基金サービス「Gojo」を現在開発中のBrainCatは11月2日、リード投資家を務めたメルカリ、GMO Venture Partners、セレス、CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏、 医師の提橋由幾氏を引受先とした第三者割当増資を実施し、シード資金として総額5500万円を調達したと発表した。
企業に勤めるTechCrunch Japan読者のなかには、企業内の共済会や互助会に加入している方もいるかもしれない。会社内での互助会では一般に、社員が給料天引きなどで会費を出し合い、その資金をもとに加入者全体への福利厚生を充実させることが目的とされている。
BrainCatが現在開発中のGojoは、特定の組織に属する人だけに限らず、共通の目的や問題をもった不特定多数の人々を対象にした互助会を簡単に設立するためのサービスだ。Gojoを利用することで、たとえば、育児に取り組む主婦を集めた互助会を作成したり、フリーランスが集まる互助会を設立し、独自の所得補償制度を作るというようなことが可能になるという。
また、この互助会の仕組みを使えば、従来のネガティブイベントに備えるという保険的な意味合いのものだけでなく、クラウドファンディングのような仕組みにも構築できるとBrainCatは考えているようだ。
たとえば、起業を目指す若者を対象にした互助会を設立するなんてことも可能かもしれない。メンバーの内の誰かが実際にプロダクトを送り出すフェーズになったとき、それまでに集めた会費をローンチ費用に充てるような仕組みをつくれば、これまでの一方通行の支援とは少し違う、相互支援型の新しいクラウドファンディングができあがる。
ただ、Gojoは保険にも似た仕組みをもつので、この事業を行うにあたり特別な認可などが必要なのかどうかが気になるところだ。BrainCat広報担当者によれば、会員が1000名以下の共済会(互助会)は、根拠法をもたない”任意共済”と呼ばれていて、「Gojoでは、一つの互助会の定員を1000名以下に制限することで、特別な認可などは必要ないという見解だ」としている。
BrainCatは2018年3月までにGojoのβ版をリリースする予定だという。
メルカリとの協働は?
冒頭でもお伝えしたように、今回のラウンドではメルカリがリード投資家を務めている。2017年7月に「メルカリファンド」を立ち上げ、同年9月にはC2Cアプリの「ポケットマルシェ」に1.8億円を出資、そしてつい先日の10月31日には“みん食”コミュニティサービスの「KitchHike」への出資も明らかになるなど、今年はメルカリのスタートアップ投資が加速している。メルカリファンドのWebページもちょうど本日からオープンしたところだ。
BrainCatはメルカリとの協働案について具体的には語らなかったが、C2Cアプリのメルカリと互助会サービスのGojoは相性がいいようにも思う。可能性として、Gojoの枠組みを利用してメルカリユーザー間のコミュニケーションを活発化させたり、もっと言えば、ユーザー同士が設立した互助会でユーザー間でのトラブル保障を行ったりすることも可能なのかもしれない。