Greenstopが大麻自動販売機をカリフォルニアの大麻販売薬局に設置

大麻(カナビス)は、カリフォルニアの一部のディスペンサリー(大麻販売薬局)の自動販売機で買えるようになった。カリフォルニアを拠点とするGreenstop(グリーンストップ)が開発したこのセルフサービス式売店は、現地の規制に準拠しつつ、同時に4人までが利用できる。この販売機の登場は、まさに最高のタイミングだった。

新型コロナウイルス禍において、カナビスはカリフォルニアには欠かせないビジネスと考えられており、このシステムは、利用者と販売員の双方の安全を保つソリューションをディスペンサリーにもたらした。しかも、私のような内向的な人間は、Budtender(バテンダー、カナビスの相談販売員)と話をしたくないときでも、ただ行って買って帰って来られる。購入は数秒で済むと、Greenstopの幹部はTechCrunchに話した。

Greenstopはこれを「スマート・ディスペンサリー」と呼び、この自動販売機をスーパーのセルフ会計レジのようなものと位置づけている。この場合、店員、つまりバテンダーは、客の身分証を確認し、必要ならば相談に応じた後に販売機のアクセスを許可するという販売の監視を行うことになる。この監視役の店員を配置するればディスペンサリーは規制をクリアして、販売機を導入して運用できるようになる。

Greenstopは2015年、Timothy Island(ティモシー・アイランド)氏とJames Edwards(ジェームズ・エドワーズ)氏が創業し、自己資金で運営してきた。2018年にはプロトタイプを発表している。2020年9月現在、製品をローンチした同社は、10人の従業員を擁し、まずはロサンゼルスで、次にカリフォルニア全土、ゆくゆくは全米に事業を拡大する資金として500万ドル(約5億3000万円)の調達を目指している。

スマート・ディスペンサリーは、ローンチ時点で2カ所に設置された。カリフォルニア州マリーナ・デル・レイのMarina Caregivers(マリーナ・ケアギバーズ)と、カリフォルニア州エンシノのThe Healing Touch(ザ・ヒーリング・タッチ)だ。1台で同時に4人に対応できるため、小さなディスペンサリーなら1台導入するだけで、新たにバテンダーを雇わなくても販売能力を高めることができる。

画像クレジット:Greenstop

当初、Greenstopのマシンは、速度のことだけを考えて開発されていた。ビールの6本パックを買うときのように、店に入って大麻を買って出てくるまでの時間をできるだけ短くすることに注力していた。しかし、共同CEOのティモシー・アイランド氏は、開発途中で別の利点を発見したとTechCrunchに話している。

「セルフサービスでは、買うときに自分が運転席に座っている感覚になれるのです」とアイランド氏。

Greenstopのマシンには完全にインタラクティブなディスプレイが備えられていて、ディスペンサリーは、リッチメディアを用いてすべてのメニューを更新できる。客はゆっくり時間をかけて、カナビスの系統や品種に関する説明を読むことができる。ディスペンサリーで人と話さずにこの種の情報を得るのは、これまでは不可能だった。

もうひとつは、販売機なので人の体に触れることなく買い物ができるという点だ。同社は、新型コロナが流行している間は、臨時のアクリル遮蔽板を設置して、ソーシャルディスタンスの確保に務めている。

共同CEOのアイランド氏とエドワーズ氏は、将来的にモバイルアプリを立ち上げ、モバイル機器で情報を調べたり、注文ができるようにしたいと考えている。

現在、Greenstopは、ディスペンサリーとの共同ブランドでマシンを展開している。双方のブランドを表に出すことで、客には合法的な購入であるという安心感を与え、同時にGreenstopの知名度を高めることができる。

まずはロサンゼルスで力をつけ、その後、周辺地域に拡大させてゆく考えだ。いずれは、カリフォルニアと米国全土のディスペンサリーに導入されることを期待している。2人の共同CEOは、同社はディスペンサリーを経営しているわけではなく、販売用製品のメーカーであるため、他州に素早く移動できるのだと説明していた。

共同CEOのエドワーズ氏は、同社の製品は新型コロナウイルス禍の影響で注目度が高まっていると話す。「全国的にバテンダーと話をしなければカナビスが買えないことになっているので、多くの人がバテンダーと話さずに買えることを願っているのです」

彼は正しい。一部のディスペンサーでは、そのために長い行列ができてしまう。ソーシャルディスタンスが求められる中では、空間は大変に貴重だ。

新型コロナウイルスは、Greenstopに他にはない好機をもたらした。人々が感染蔓延に見舞われる中で、カナビスの人気は急上昇している。ソーシャルディスタンスは社会的な義務になりつつある。2020年のこの最悪の事態を少しだけ和らげようと、Greenstopの製品は作られ、次の展開を待ち構えている。

TechCrunch Disrupt 2018より

【Japan編集部注】大麻は米国ではカリフォルニア州など一部の州、カナダ、オランダなどでは全土大麻取締法で規制z禁されているが、日本では大麻取締法で規制されており、所持することは違法となる。
画像クレジット:Greenstop

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(翻訳:金井哲夫)

大麻のオンライン販売急増で、大麻薬局と顧客を結ぶDutchieが絶好調

左からロス・リプソン氏とロス氏の兄弟で共同創業者かつ最高製品責任者のZach Lipson(ザック・リプソン)氏。

Dutchie(ダッチー)は、オレゴン州ベンド拠点の設立約3年のソフトウェア会社で、消費者と大麻薬局を結びつけることに焦点を当てている。大麻薬局は同社に月額料金を払ってウェブサイトの作成、維持、注文処理などのサービスを受ける。このほど同社はシリーズBラウンドで3500万ドル(約36億8000万円)を調達した。Thrive Capital、Starbucks(スターバックス)の創業者であるHoward Schultz(ハワード・シュルツ)氏の両新規投資家の他、既存の投資家であるKevin Durant(ケビン・デュラント)氏のThirty Ive Venturesおよび大麻に特化したファンドのCasa Verde Capital が参加した。

Dutchieは初めての資金調達ラウンドを2019年9月に完了し、1500万ドル(約15億8000万円)を集めてから間もないことから、大麻業界は他の業界と比べて新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックへの対応に成功していることをうかがわせる。

米国時間8月17日に本誌は、Dutchieの共同創業者でCEOのRoss Lipson(ロス・リプソン)氏と話す機会があり、最近の会社の状況を聞いた。

TC:最近Dutchieは非接触支払いを追加しましたね。

RL:その通り。パンデミック以降、ほぼ全部の薬局が路上受け渡しモデルに移行しました。顧客がチェックアウト時に路上受取りを選べるようにした他、到着時刻と車の見つけ方を店に伝える方法も追加しています。

TC:1年前に30以上の州が大麻の医療利用あるいはマリファナの娯楽利用を合法化しました。それで何かが変わりましたか?

RL:現在32の地域で1300以上の大麻薬局と仕事をしています。1年前はわずか9地域でした。全米50州のうち47州で何らかの形で合法大麻が許可されており、2020年にはニュージャージーやアリゾナなどの主要市場で完全合法化される可能性があります。

TC:関連付けて説明してもらえますか? 米国にはどれだけ大麻薬局がありますか?

RL:Dutchieは全世界の合法大麻の10%を取り扱っており、25%以上の薬局にサービスを提供している。1日に7万5000件以上の注文があります。

TC:前回聞いたときは社員は36人とのことですが、今は何人ですか?

RL:現在社員は102人で、2021年末までに2倍にするのが目標です。

TC:薬局の路上受け渡しモデルへの転換以外に、パンデミックがビジネスに与えた影響は何かありますか?

RL:事実上すべての州が大麻薬局を生活に不可欠な事業であると認識しています(新型コロナウイルス感染拡大後)。ただし多く薬局が州法に従わなくてはならず、実店舗を閉鎖しオンライン注文が唯一の選択肢として残っています。Dutchieの売上に占めるオンラインの割合は約30%から100%になり、売上は1カ月で600%成長しました。

結局、売上はパンデミック中に700%増加しました。システムが6倍の負荷に耐えられるよう、急いで対応しなければなりませんでした。

TC:こうした数字は、一部地域で封鎖が解除されることで変わると思いますか?

RL:大麻薬局はオンライン販売を続ける用意があり、eコマースは今後も提供されます。なぜなら顧客がそれを望んでいるからです。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:Dutchie 大麻

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook