デジタルデザインプラットフォームCanvaがより良いデータストーリーテリングを目指し英Flourishを買収

Canva(キャンバ)はオーストラリア時間2月2日、ロンドンに拠点を置くデータビジュアライゼーションのスタートアップFlourishの買収を完了したと発表した。買収の金銭的条件は公表されていない。

今回の買収は、ビジュアルコミュニケーション企業であるCanvaの月間アクティブユーザー数(MAU)が7500万人を超え、過去12カ月間で3000万人以上増加した中でのことだ。

Duncan Clark(ダンカン・クラーク)氏とRobin Houston(ロビン・ヒューストン)氏が2016年に設立したFlourishは、BBC、Sky(スカイ)、Deloitte(デロイト)、Moody’s(ムーディーズ)などの企業が、データポイントを消化しやすいチャート、グラフ、ビジュアルに変えることができるよう、データビジュアライゼーションツールを提供している。Crunchbaseによると、80万人以上の顧客をCanvaの傘下に引き入れることになる同社は、これまでベンチャーキャピタルで約100万ドル(約1億1500万円)を調達している。

Canvaの共同創業者兼COOであるCliff Obrecht(クリフ・オブレヒト)氏はTechCrunchに対し、Flourishの44名の従業員全員がCanvaに加わることになると述べている。

シドニーを拠点とするCanvaは2013年に設立され、これまでに5億7000万ドル(約656億8000万円)以上のベンチャーキャピタル資金を調達してきた。最近では、2021年9月に2億ドル(約230億5000万円)のベンチャーラウンドを実施し、その際の同社の評価額は400億ドル(約4兆6105億円)とされた。今回の買収は、ベンチャーラウンドでの資金調達の一部ではない。オブレヒト氏によると、Flourishとの交渉は資金調達の前から始まっていたとのこと。

同社の共同創業者兼CEOであるMelanie Perkins(メラニー・パーキンス)氏は2021年9月のTechCrunch Disrupt 2021で、同社の買収戦略についてこう語った。「世の中には、いくつかの異なるタイプの企業があるような気がします。喜びをもたらすことに本当に集中している人たちと、ヒエラルキーや構造、そういったものを重視する人たちです。純粋に価値を提供することに集中している人は、実に重要です」。

来月中には製品が統合され、あらゆるデータソースを接続して、リッチで魅力的なビジュアルに変換する新機能が追加される。これには、スプレッドシートからテンプレートを選んでダイナミックチャートを作成できるようにしてほしいというような、顧客からの要望も含まれているとオブレヒト氏は述べている。

Flourishの買収は、KaleidoやSmartmockupsなど、2021年に行われた他の2社の買収に続くものだ。Canvaのキャッシュフローはプラスだが、オブレヒト氏は直近の増資について「人材、製品、M&Aを通じて成長するための『軍資金』を持つことは重要です」と語った。

「我々は、Canvaの中核となるデータストーリーテリングというビジネスコミュニケーションの重要な部分を担う企業を買収しています」と彼は続けた。「Canvaはこの点を最重要視し、データストーリーテリングを民主化するFlourishの買収を加速させ、当社のビジュアルストーリーテリングと組み合わせることで、真の相乗効果を得ることができました」。

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画像クレジット:Canva

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

デジタルデザインのCanvaが静止画・動画から背景を消すKaleidoを買収

動画と画像から背景をドラッグ&ドロップで簡単に消してしまうサービスであるKaleidoが、今急成長中のデジタルデザインプラットフォームのCanvaに買収された。買収額などの詳細は明かされていないが1億ドル(約106億円)前後と推測されている。

これは正しいタイミングで正しい場所にいたという好例だろう。オーストリアの首都ウィーンに本拠を置くKaleidoは、2019年に画像からすばやく簡単に背景を除去する無料ツールremove.bgを発表した(日本語版サイト)。このツールは、邪魔な背景を取り除きたいがPhotoshopを開いて面倒な作業はしたくないという人々に圧倒的な人気を得た。

続いて2020年末にKaleidoはUnscreenを披露した。簡単にいえばUnscreenは動画向けのremove.bgだ。このツールのコンセプトはremove.bgと同じだったが、実現にははるかに複雑なエンジニアリングが必要だった。高性能、単機能のこれらの製品はやがてAdobeのような大きなフレームワークの一部となることが明白だったが、オーストラリアのデザインプラットフォームCanvaがライバルを打ち負かしたようだ。

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テーブルに積まれた本の背景が取り除かれるデモ(画像クレジット:Unscreen)

Canvaはこの買収と同時にプロダクトのモックアップを簡単に生成するSmartmockupsを発表した。Canvaがプロダクトの拡張に意欲的であることを示している。

Kaleidoの共同ファウンダーでCEOのBenjamin Groessing(ベンヤミン・グレシンク)氏はプレスリリースでこう述べている。

Kaleidoはスタート当初から一貫して投資家を介さず、自力で事業を拡大してきました。会社は我々2人のファウンダーとすばらしいエンジニアリングチームによって運営されてきました。スタート当初から黒字であったため、今回の買収は会社が存続するために必要不可欠なものではありません。単に多くの側面で理に適っていると考えたからです。

ドイツのメディアDie PresseDer Brutkastenの報道によれば、関係者はこの買収はオーストリアで最大の現金化だったRuntastic(2億2000万ユーロ、約283億7000万円)に次ぐものと見ているという。また買収額は1億ドル弱と見ている。

買収を祝うカレイドのチーム。メンバー1人ひとりの写真から切り抜いてデジタル的に合成された写真(画像クレジット:Kaleido)

正確な金額がいくらだったかは別として、チームは大いにハッピーなようだ。集合写真はKaleido自身のプロダクトを使ってデジタルで合成されている。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:滑川海彦@Facebook