AuroraTekはCESで物理の法則に反する技術を売ろうとしていた

 

CESの取材のためにラスベガスのThe Sandsホテルの、スタートアップだらけのEureka Parkを歩きまわっていると、ひとつのブースがぼくと、同僚のDarrell Etheringtonの前に立ちふさがった。テーブルの上に数台の電動スクーターがあり、その背後のパネルには“惑星地球上のもっとも進歩したテクノロジ!”(The MOST Advanced Technology on Planet Earth!)と書かれている。

ぼくたち二人は、その(たぶん)素敵な電動スクーターに関心を向けるためのギャグだと思ったから、そのブースの主(あるじ)、AuroraTekの社長でCEOのWilliam Alekに話を聞いた。上のビデオにはぼく自身も写っているから、そのときの会話の全貌が分かる。

AuroraTekは実際に電動スクーターを作っているのだが、Alekの話では、そのブースの本当のスターは、ものすごく特別な変圧器(トランス)で、入力よりも大きい電力を出力するのだ。

“カン、カン、カン、カン、カン、…”、ぼくの頭の中の、いかさま検出器が鐘を連打した。それは、熱力学の第一法則に反している。小学校の初等物理で教わると思うが、エネルギーは作ることも破壊することもできない。

ライブでビデオを撮っているのだから、Alekの話はAlekに有利に解釈してやるべきだ。そこで、彼に説明を求めた。彼は、量子トンネル効果がなんたらかんたらという、ニセ科学のような大風呂敷を広げ始めたが、その効果をふつうの分かりやすい英語で説明できなかった。AuroraTekのホームページの方が、まだましだ: “私たちはこれを、負から正へのエネルギー変換(NEGATIVE-to-POSITIVE Energy transformation)によるフリーエネルギー、または過統一(overunity)技術と呼んでいる。なぜならばそれは、“無から有を生む”を実現しているように見えるからだ”。

AuroraTekのブースのパネル

ぼくの場合、スタートアップのアイデアがだめだと思ったら、黙って立ち去ることにしている。それについて、いろいろ否定的な記事を書くのは簡単だけど、世界にはぼくとは違う頭や心やニーズを抱えた人がたくさんいる。一部の人たちにとっては、それは、価値あるアイデアかもしれない。でもガマの油(いんちき薬)のようなテクノロジを売ることは? それは、我慢できないけどね。

ぼくの中の別のぼくは、Alekがプロ級のトロルだったらおもしろいな、と思っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


NvidiaがMaxwell GPU搭載のTegra X1を発表

今日(米国時間1/4)ラスベガスで行われた記者会見でNvidiaが、大成功したモバイルプロセッサK1のアップデートを発表した。そのX1と呼ばれる新機種は、64ビットのARMベースのプロセッサと、同社のMaxwellアーキテクチャによるグラフィクスチップが組み合わされている。K1はNvidiaのKeplerという古いGPU技術を使っていた。X1は256コアのMaxwll GPUと8コアの64bビットCPUの組み合わせだ。それは、同社によると、初めてのテラフロップ(teraflop)級のモバイルプロセッサだ。

前バージョンのTegra K1は、Nvidiaによると、強力なモバイルCPUと、同じく極めて強力なGPUを組み合わせた初のモバイルプロセッサだった。K1にKeplerを搭載するのにNvidiaは2年を要している。

NvidiaがX1の原型となるK1を披露したのも、ちょうど1年前のCESだった。その後K1はさまざまな製品に利用され、その中にはAcerやHPのChromebookもあった。Nvidia自身のShieldタブレットとGoogleのNexus 9も、このチップを使っている。

ShieldやNexus 9のKeplerチップはすでに、最新のゲーム専用機に近い性能に達していて、X1は同社によると、さらにその2倍以上の性能を達成しているそうだ。新しい技術も、いくつか導入されている。同社は今日の発表の席で、“Maxwellは疑問の余地なく、弊社がこれまで作ってきたGPUの中で最強だ”、と述べた。しかもX1は、前世代機に比べてエネルギー効率も良い。

〔関連記事: X1をK1およびApple A8Xと比較する(未訳)〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))