Zoom特化のオンライン授業を提供するClassがソフトバンクがリードしたラウンドで約115億円調達

Zoomだけを統合しているバーチャルクラスルームのClass(クラス)は米国時間7月28日、ソフトバンクのVision Fund IIがリードしたラウンドで1億500万ドル(約115億円)を調達したと発表した。今回を含め、創業10カ月のClassはこれまでに明らかになっているラウンドで計1億4600万ドル(約160億円)を調達し、この額は創業者Michael Chasen(マイケル・チェイスン)氏の以前の会社で現在上場しているBlackboardが調達した額を上回っている。

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まだ初期段階であるにもかかわらず、Classは急速にユニコーンステータスに近づいていて、現在のポストマネーの評価額が8億400万ドル(約884億円)であることを同社は認めた。同社の他の投資家にはGSV Venturesと、プレシードラウンドをリードしたEmergence Capital、それからReach Capital、Owl Ventures、Insight Partners、Learn Capitalなど米国の有数のEdTechファンドが含まれる。

以前Class for Zoomという名称だったClassは、ビデオ会議エクスペリエンスを支えるのに管理とインストラクションのツールを活用している。立ち上げ以来、同社はビデオ会議大手のZoomだけを統合している。Zoomはパンデミックの最初の数カ月でお馴染みのサービスになり、同期通信分野を代表する存在であり続けている。Classは2020年登場した一連のZoom代替・改良版サービスの1つであり、これまでに250以上の顧客を獲得した。

7月28日のソフトバンクによる太鼓判の発表は、Classの2つの意図を意味する。1つは同社がグローバル展開を真剣にとらえていること。もう1つは、筆者が思うに同社がZoomの買収ターゲットになろうと考えていないことを示している。

EdTechのグローバリゼーション

ソフトバンクは部門の「勝者」とみなした企業の支援を好み、そうした企業の国際展開をサポートするために何百万ドル(何億円)という資金を注ぐ。7月初めに同社は以前Clearbancという社名だった資本提供スタートアップのClearcoが欧州、カナダ、米国以外に事業を拡大できるよう数百万ドルを投資した。ソフトバンクは自然と国際展開が求められる独自のスタートアップを探し、そして資金を提供すると筆者は想像する。

Classについても同じだ。チェイスン氏は自社プロダクトに対する世界の需要が、シードラウンド発表以来、いかに大きくなってきたか説明した。一般展開する前に欧州、中東、日本の学校が同社に連絡を取ってきた。ClassのサービスがMac、Windows、iOS、Android、Chromebookで提供されているいま、チェイスン氏はウェイトリストに登録して待っている人へのサービス提供に注力している

Classの国際展開は、英国やアイルランド、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、南米、APAC(アジア太平洋地域)といったターゲット地域でのローカルチームの立ち上げにつながる。同社の従業員は現在200人だが、今後世界中で新たに100人増やす予定だ。

チェイスン氏は資金の65%が同社の国際展開に注がれ、残りは製品開発にあてられると考えている。懸念されるのは、同社のプラットフォームが高度な授業向けに提供しているのと同じエクスペリエンスを中度の授業にも提供していることだ。同社が今後のプロダクトに特異性、おそらく幼稚園〜12年生向けのゲーミフィケーションや高等教育向けの試験監督を加える必要があることをチェイスン氏は認識している。

「V1は、あなたがオンラインで教えるのに必要最小限のものを提供します」とチェイスン氏はテストやグレードトラッカーなどの機能に言及しながら述べた。「現在当社はどのマーケットでも機能するプロダクトを必要としていて、将来マーケットに合わせて強化します」。

これまでのところ、ユーザーはそうしたサービスにお金を払っている。2021年の四半期の売上高は前年同期の約4倍に成長した。

大型の資金調達と輝かしい評価額には麻痺効果があるが、Classの直近の資金調達は最終的にはZoomによる買収のために自らを高めているのではという疑念を払拭することができるかもしれない。

TechCrunchが最初にチェイスン氏と話したとき、ZoomはClassが提供したいと考えている深い専門性のようなものよりもスケールに注力している、と同氏は述べた。

それでもClassはZoomの初期投資家と共謀し、複数のマーケットにおけるZoom再販者として事業を展開していた。これは、将来の仮定において統合が極端におかしいものにならないことをうかがわせる。しかし今後Classが自らを独立した会社とみなすことは明らかだ。統合よりも大きなものになるという野心を持たなければ、スタートアップは経験豊富な投資家から9桁の資金を調達したりはしない。

今後Classは、学校や、授業フレンドリーなZoom環境を求める機関にとって頼りになるオプションとして自らのブランドを確立するのに調達した資金の一部を使う。Classの人材採用ページによると、同社が積極的に求めているのはマーケティングの人材だ。マーケティングチームで6人を募集していて、ここには国際マーケティングマネジャーやコンテンツマーケティングマネジャーが含まれる。

Classと最も競合するのは、2021年5月にシリーズAラウンドで3300万ドル(約36億円)を調達したEngageliだ。同社の共同創業者でCOOのJamie Farrell(ジェイミー・ファレル)氏は2021年2月に別のEdTech企業に移り、Engageliはオンラインではさほど積極的に人材採用をしていないようだ。詳細はまだ裏付けに乏しいが、Classが資金を調達し、グローバルの従業員数が増えつつあるいま、Engageliは処理能力やマーケティングという点で激しい競争に直面するかもしれない。

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFLのスター、トム・ブレイディらも投資するZoom対応のオンライン学習スタートアップ「Class」

Zoomと統合してリモート教育をもっと洗練させるEdTechスタートアップのClassが、新たに1225万ドル(約13億2500万円)を調達した。このラウンドではSalesforce VenturesとSound Ventures、そしてアメフトのスーパースターで2021年のスーパーボウルでMVPを獲得したTom Brady(トム・ブレイディ)氏が投資した。

Classの創業者でCEOのMichael Chasen(マイケル・チェイスン)氏は、SalesforceのCEOであるMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏がClassに投資を持ちかけてきたと語る。Classが起業した1カ月後の2020年10月に、Salesforce VenturesはEdTech企業やクラウドエンタープライズ企業を支援する1億ドル(約108億円)のインパクトファンドを立ち上げた。

トム・ブレイディ氏がEdTechの世界に参入していることについてチェイスン氏は、ブレイディ氏は過去にもテック業界に投資をしており「3児の父として教育を通じて人々を支援することに情熱を持っている」と述べた。

チェイスン氏は「トム・ブレイディも私も子どもが3人いて、どの親もそうだと思いますが、我々も教えたり学んだりするためのツールをZoomに追加する必要があると感じています」と補足した。

Classは1年未満で5800万ドル(約62億7000万円)を調達した。2020年9月のシードラウンドでは1600万ドル(約17億3000万円)、2021年2月のシリーズAでは3000万ドル(約32億4300万円)を調達している。今回の資金調達はシリーズAより小規模だが、これは必要に迫られてというよりは戦略的に投資家を呼び込む意図が大きかったと見られる。

調達した資金はClassを世界中のK-12や高等教育機関に展開するために使われる。ClassのソフトウェアはMac版が数カ月前に公開され、Windows、iPhone、Android、Chromebook版は今後数週間以内にベータ版を提供する予定だとチェイスン氏は述べた。提供される製品が増えれば、Classの採用に興味を示している約7500校をさらに増やすのに有利に働くだろう。

Classにとって、そしてeラーニングのソリューションを教育機関に販売するスタートアップにとっての高いハードルは、コロナ禍収束以降の実用性だ。教育機関の慣習として形式主義によりソフトウェアの採用に時間がかかるが、チェイスン氏によればClassの顧客はK-12も高等教育機関も積極的に同社のツールに予算を取っているという。Classの価格は児童・生徒・学生数に応じて年間1万ドル〜6万5000ドル(約108万円〜700万円)だ。

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チェイスン氏は2021年2月に「予算の問題にぶつかったことは一度もありません。高等教育機関はすでにオンライン学習への第一歩を踏み出して次に歩を進めようとしていますが、K-12は第一歩を踏み出しつつあるところです」と述べていた。Classの顧客は125校 / 社以上となっており、K-12と高等教育機関が半々で、顧客のうち10%は企業だ。

Zoomユニバーシティ、つまりZoomなどを使ったオンライン授業を変えようとしているスタートアップはClassだけではない。多くの企業が、せいぜいギャラリー表示でおしゃべりをしている程度の現在のビデオ会議ソリューションに疲れている学生と教員の市場に寄与しようとしている。トラクションを獲得している企業としては、Engageli、Top Hat、InSpaceの3社がある。

それぞれのスタートアップが独自の戦略と製品を有しているが、スタートアップの創業者たちはみんな、同じ質問に答えなくてはならない。コロナ禍の収束後、デジタル学習を単なる予備の手段ではなく、教育と理解のための望ましいあり方にすることができるだろうか?

この問いかけに対する追求は続いているが、Classはその答えがイエスであると信じる人々を採用するのに苦労していないことを示すニュースが発表されている。わずか9カ月で同社の従業員は2人から150人以上に増加した。

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Kaori Koyama)

Zoomアドオンのオンライン教育ソリューションを開発するClassが約31.7億円を調達

Blackboardの共同創業者であるMichael Chasen(マイケル・チェイスン)氏起業してからまだ1年に満たないClassは、柔軟にカスタマイズして生徒と教員が授業に利用できるZoomのアドオンを開発している。同社の初の製品となるClass for Zoomには管理ツールと指導用ツールがあり、ビデオ会議のエクスペリエンスを向上させる。

以前はClassEDUという名前だった同社は米国時間2月4日、3000万ドル(約31億7000万円)を調達し、調達金額の合計が4600万ドル(約48億6000万円)となったことを発表した。製品の公開前にこれほどの金額を調達したため、同社には製品を調整して改善する余裕があり検証もできる。Zoomにとって初めての小切手を書いたBill Tai(ビル・タイ)氏やEmergence Capitalなど、Zoomを早い時期に支援した多くの投資家がClassに投資している。

Classは調達した資金で現在60人の従業員を100人に増やす。また各国の需要に合うように製品を開発する。米国、ドバイ、日本、ヨーロッパの6000以上の教育機関がClassのウェイティングリストに名を連ねている。

教員はClass for Zoomの指導用ツールを使ってその場で課題やクイズ、テストを出し、リアルタイムで生徒たちに答えさせることができる。管理面では出席管理から生徒がアクティビティに参加した時間の把握まで、さまざまなツールがある。現在ClassEDUは有料のプライベートベータで、60校あまりが利用している。

画像クレジット:Class

現時点ではClassのソフトウェアはMacのみで動作するが、ベータ版は近々iPhone、Windows、Androidでも使えるようになる。今四半期末に公開の予定だ。

Classは完全にZoomプラットフォーム上で構築されているが、他のZoom用アプリのようなサードパーティ製品の統合ではなく独立した機能として動作する。Classはバックエンドのオーディオとビデオの機能には無料のZoom SDKを使い、フロントエンドのインターフェイスとエクスペリエンスは独自に開発している。他社に依存するアーリーステージのスタートアップはいずれもそうだが、プラットフォームのリスクには注意が必要だ。

一方で、リスクには価値がともなう。Zoomはなじみのある名前なので、Classを学校に販売する際のハードルは驚くほど下がるとチェイスン氏はいう。学校は2020年から使っているテクノロジーを置き換えることなく、Classを使うことで簡単により良いものにすることができると同氏は説明する。

チェイスン氏は「学校にはZoomの安定性とスケーラビリティがあり、その上に授業のツールを構築して大規模に展開していくつもりです」と述べる。同氏によれば12万5000校以上の学校がすでにZoomを使っており、十分大きいビジネスになる。Classは今のところTeamsやWebexとの統合は計画していない。

Udemyの新社長が数日前に述べた意見と同様に、ClassもEdTechの動向の変化が販売の違いに現れると見ている。

LMS(学習管理システム)の仕事に15年間携わってきたチェイスン氏は「Blackboardのセールスサイクルは6〜9カ月で、eラーニングとは何かを説明しなくてはなりませんでした。(Classでは)ピッチをする必要がありません。1カ月で商談がまとまります。セールスサイクルは製品を紹介している時間のみです」と語る。

Class、そしてeラーニングのソリューションを教育機関に販売するスタートアップにとっての高いハードルは、新型コロナ収束後の実用性だ。教育機関は昔から形式主義でソフトウェアの採用に時間がかかるが、チェイスン氏によればClassの顧客は高等教育でもK-12でも積極的に予算を取っているという。Classの価格は年間1万ドル〜6万5000ドル(約105万円〜680万円)で、クラスの人数により異なる。

チェイスン氏は「予算の問題にぶつかったことは一度もありません。高等教育機関はすでにオンライン学習への第一歩を踏み出して次に歩を進めようとしていますが、K-12は第一歩を踏み出しつつあるところです」と述べた。

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タグ:ClassZoom資金調達eラーニング

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Kaori Koyama)