DockerがPaaSプラットホームのdotCloudをcloudControlに売ってコンテナビジネスに専念

オープンソースのアプリケーションコンテナ技術Dockerの開発とメンテナンスを行っているDocker, Incが、同社のPaaSビジネスdotCloudをベルリンのcloudControlに売却したことを発表した。これによりDockerは、本業のコンテナソフトウェアに、より集中できることになる。

DockerのCEO Ben Golubは本誌TechCrunchに、これからは同社のビジネスのDockerの部分に集中したい、と語った。“これまでの18か月でDockerのユーザ数は急増した。今ではそれは、わが社が全力を上げてそれに集中しなければならないほどのレベルだ。そこでdotCloudには、もっと顧客のためになる新居を見つけてあげることになった”。

Golubによると、一定の厳しい条件を満たす買い手を探すのに苦労をした。まずそれは、すでに市場で高く評価されているPaaSベンダであること。そしてdotCloudプラットホームのメンテナンスを継続できる力量があること。つまり、dotCloudの500あまりの既存の顧客をぶんどることが、ねらいではないこと。

dotCloudのWebサイトでデベロッパサポートマネージャAndrew Rothfusが、“dotCloud PaaSプラットホームが、合衆国に進出しようとしているドイツのPaaSプロバイダcloudControl GmbHの合衆国の子会社に買収されたことを発表できることは、欣快至極である”、と述べている。

そのブログ記事はさらに、dotCloudの名前の存続と、顧客の事業の継続性(現状維持)を約束している。そしてそのために、新しい親会社とのスムーズな統合化のために、あらゆる努力を惜しまない、と。

Golubはこう付言する: “cloudControlはヨーロッパでは大手であり、合衆国進出もねらっているぐらいだから、能力は高い”。

Dockerは今とても人気の高いコンテナ技術であり、デベロッパたちの想像力をとりこにしている。本誌TechCrunchの6月の記事は、Dockerについて次のように述べている:

“Docker 1.0はGoogleが開発した新しいコンテナ技術の実装系の一つで、アプリケーションを、これまでのように変更を加えたり、開発サイクルの新しいステージに入るたびに、まったく新たな再インストールや再構成を必要とせず、安全に配布できる”。

dotCloudはもともと同社のミッションの一部ではないので、今回の売却は好機であった。またベルリンのcloudControlにとっても、意義のある買収だった。どちらもPaaSを主力とする企業であり、どちらも顧客のアプリケーションをクラウドに展開〜管理〜スケールすることが技術の中心だ。両社はいわば“似た者夫婦”であり、dotCloudはcloudControlに、既存の顧客によるインスタントな成長を与え、また合衆国市場におけるインスタントな足場も与える。

そもそも会社がDocker, Inc.に名前を変えてから以降、dotCloudには不安定感があった。そして今回の買収によりdotCloudの顧客企業はむしろ、このプラットホームのPaaSとしての長期的な存続に関して、より安心感を持てるようになった、と言える。

Golubによると、今Dockerの社員は50名で、うち4名がdotCloudを担当していた。彼らは今後もDockerの社員として、所有権の移行期90日間はdotCloudのサポートにあたり、その後はDocker本体の仕事に移行する。

Golubは買収の価額等を公表しなかったが、目的はお金ではなく、あくまでも、dotCloudの顧客たちに良き新居を見つけてあげることにあった、と言っている。“それはおもしろい取り引きだったけど、主な狙いは顧客たちに良い家を見つけてあげて、われわれが安心してDockerに専念できるようにすることだった”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))