アマゾンなどの「プラットフォーム経済」上で成立するスタートアップを支援するCrossbeamが26億円調達

数多くのベンチャー投資家は次なるAmazon(アマゾン)やShopify(ショッピファイ)に資金援助したいと考えるだろうが、Crossbeam(クロスビーム)はそれらのプラットフォーム上で成立するスタートアップを支援する新しい企業だ。つい最近、初めての資金調達を2500万ドル(約26億円)でクローズした。

これまでも、SellerX(セラーエックス)、Perch(パーチ)、Heroes(ヒーローズ)など、Amazonで事業を行う業者を買収し拡大させる潤沢な資金を持つスタートアップを紹介してきたが、CrossbeamのゼネラルパートナーであるAli Hamed(アリ・ハメド)氏も同様に、大きな好機を示す場所としてAmazonを指名する。Amazonでのサードパーティーの売上げが2019年には2000億ドル(約20兆8000億円)に達したことを挙げ、ハメド氏はこう話した。「このスペースでの勝者は100社にのぼるでしょう」。

さらに彼は、同社はAmazonだけに特化しているわけではないと語る。Thumbtack(サムタック)、Spotify(スポティファイ)、 Shopify(ショッピファイ)も、Crossbeamが投資対象とする「プラットフォーム経済」だという。2020年の秋に発行されたMedium(メディアム)の記事で、彼は詳しく説明している。

「Facebook(フェイスブック)の株を持つより、私たちはInstagram(インスタグラム)のアカウントを持ちたいと考えます。Amazonの株を持つより、サードパーティーの小売業者をたくさん所有したいと考えます。さらにGoogle(グーグル)の株を持つより、YouTube(ユーチューブ)のライブラリーを持ちたいと考えます。

なぜか?そうした株の魅力を高めている追い風は、そのプラットフォーム上で商売をしている業者にも及んでいるからです。しかし、資本市場はまだそのスペースに本格的に乗り出していません。従来型のファンドは、そうしたプラットフォームの構成要素に資金提供するようには作られていないからです。一番の問題は、それらプラットフォーム上の経済エコシステムの多くは、成熟したばかりなので、それぞれの資産を評価するための既存のモデルがないことです」

ハメド氏と、ゼネラルパートナーのSavneet Singh(サブニート・シン)氏は、ともにCoVenture(コベンチャー)のパートナーでもある。この企業は、もともとは技術的なサービスを提供する代償にエクイティを得ていたが、今ではスタートアップへの資金貸付に重点を置いている。CrossbeamはCo Venture、Moelis Asset Management(モエリス・アセット・マネージメント)、Fenway Summer(フェンウェイ・サマー)とのジョイントベンチャーだと彼は説明している。ビジネスが軌道に乗ったときに、CrossbeamはCoVentureから追加資金の貸付を受けている。

1つのプラットフォーム上に事業を構築するスタートアップのリスクについて尋ねると、ハメド氏は、1つのプラットフォームでオーディエンスを固め、後に多様なプラットフォームに展開するほうが理に適っていることもあるが、それはプラットフォームによる、と話す。鍵となるのは「そのプラットフォームが自分に代わって儲けを生んでくれるか」だと彼は主張する。

「他のプラットフォームに手を広げてみると、稼ぎを助けてくれるところと、そうでないところとがあります」とハメド氏は電子メールで述べた。「YouTubeは助けてくれます。私たちに代わって広告で稼ぎ、その一部を私たちに分けてくれるからです。Instagramは違います(特別なケースを除いてInstagramは広告収入を分けてくれません)。【略】そのため各プラットフォームの『ありがたさ』は、それぞれなのです」。

最初のファンドをクローズする前にも、Crossbeamはすでにデジタルメディアの企業Wave.tv(ウェーブ・ティービー)、訴訟のための融資企業Litty(リッティー)、オンデマンドの訴状送付スタートアップProof(プルーフ)、サードパーティーのAmazon小売り業者を買収する企業Acquco(アクコ)の6社に投資を行っている。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:eコマースCrossbeam資金調達

画像クレジット:jayk7 / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)