Facebookが神経信号検出型アームバンドを開発するスタートアップを買収

Facebookはニューヨークに本拠を置くスタートアップ、CTRL-labsを買収した。着用者の腕の動きと、神経を流れる電気信号をデジタル入力信号に変換するアームバンドを開発している会社だ。同社の広報担当者がTechCrunchに明かした。

Crunchbaseによると、CTRL-labsは、これまでに6700万ドルを調達している。同社に投資しているのは、GV、Lux Capital、AmazonのAlexa Fund、Spark Capital、Founders Fundなど。Facebookは、このスタートアップにいくらつぎ込んだのかを明らかにしなかったが、TechCrunchとして情報を探っているところだ。

アップデート:Bloomberg(ブルームバーグ)は、この取引の金額を5億ドル(約537億円)から10億ドル(約1073億円)の間と推定した。この件に近い情報筋からTechCrunchが得た情報も同じだった。

この買収はまだ完了していないが、CTRL-labsはFacebook Reality Labs(リアリティ・ラボ)に組み込まれることになる。CTRL-labsの共同創立者でCEOのThomas Reardon(トーマス・リアドン)氏は、マイクロソフトでInternet Explorer開発チームを立ち上げたことでも名高い、老練の技術者だが、リアドン氏自身もFacebookに移籍する。また、CTRL-labsの従業員も、同社に移籍するオプションを与えられているようだ。

Facebookは、頭の中で考えるだけでテキスト入力などが可能となる、非侵襲的な脳入力デバイスの開発について、これまでいろいろ語ってきた。これまでのところ、そのプロジェクトの進捗の大部分は、同社が資金を提供した大学における研究成果、という形をとっているものと思われる。今回の買収によって同社は、いつの日か実際に製品化できるような技術の開発に注力できるようになったものと思われる。

「デバイスやテクノロジーとやり取りできる、より自然で直感的な方法があることが分かっています。それを開発しようとしているのです」と、Facebook AR/VR担当副社長であるAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏は、今回の買収を発表した記事に書いている。「そのために、CTRL-labsを買収することにしました。彼らは、私たちのFacebook Reality Labsチームに加わります。そして、この種のテクノロジーを大規模に開発し、できるだけ早く、消費者向けの製品として実現できることを望んでいます」。

CTRL-labsの技術は、テキスト入力に特化したものではない。むしろ、筋肉の動き、特に手首から先の手の動きに注力している。同社の技術の進歩は、いろいろなタイプのセンサーを組み合わせて、装着者の手の位置を正確に特定するためのデベロッパーキットとして、最近結実したところだ。そのデバイスは手首に装着するもので、カメラや手袋を使って手の動きをトラッキングする機能の代替手段をデベロッパーに提供する。同社は以前、このキットの明確なユースケースの1つとして、ARやVR分野での入力機能を挙げていた。すでにCTRL-labsのキットを使用しているデベロッパーにとって、この買収が何を意味するのか、Facebookはまだ詳細を明らかにしていない。

今回の買収により、FacebookはNorth(元のThalmic Labs)のアームバンドに関する特許も取得したことになる。CTRL-labsは、今年の初め、すでに使われなくなったMyoアームバンドに関してNorthが持つ特許を、非公開の額で買い取っていた。

CTRL-labsの買収によって、さらに多くの知的財産や技術者がFacebookの傘下に入ることになる。この拡張現実の分野では、Microsoft(マイクロソフト)やApple(アップル)など、多くの競合他社も製品開発にしのぎを削っている。これまでOculusが、Facebookの仮想現実製品として開発してきたQuestやRift Sなど、多くの技術との間に重複が見られる。しかしCTRL-Labsの技術は、あまりかさばらず、ほとんど目立たず、より確実な入力デバイスを開発するのに役立つはずだ。

「Leap MotionやKinectなど、カメラを利用した技術に勝る根本的なメリットがいくつかあります。私たちは、脳から手に向かう信号を、直接体から検出しているからです」と、CTRL-labsの研究開発責任者、Adam Berenzweig(アダム・ベレンズウィック)氏は、昨年末のインタビューでTechCrunchに語っている。「(カメラを使った手法のような)閉塞や視野に関わる問題はありません。両手がどこにあっても構いません。手袋や宇宙服を着けていても大丈夫なのです」。

Facebookは、今週後半にOculus Connect 6デベロッパー会議を開催する。そこでは、同社のAR/VRに関する取り組みについて、最新情報が発表されるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アームバンドMYOのジェスチャーコントロール技術を人体信号入力のCTRL-labsが買収

スマートグラスにピボットする前にThalmic Labs(今ではNorth)は、同社のジェスチャーコントロール用アームバンドであるMyoを未来のユーザー入力デバイスにするために頑張っていた。そして今度は、別のスタートアップがバトンを拾い、その製品に関連するパテントと顧客データを買い取った。

そのIP(知財)を買ったCTRL-labsは、神経科学者をたくさん集めたニューヨークのスタートアップで、手首に着ける入力デバイスで体の電気信号をコンピューターの入力にする方法を研究開発している。同社は昨年、Vulcan CapitalやGVなどからのシリーズAで2800万ドルを調達している。

12月にCTRL-labsは、Myoに目的は似ているがセンサー能力の高い同社のデバイスのための、開発キットをローンチした

体の電気信号から入力を取り出すことは、Thalmic Labsも狙っていたことだが、CTRL-labsによると、今回パテントを買い上げたのはそのアームバンドのジェスチャーコントロールの部分の技術が欲しかったからだ。それが、腕を振る動きなどを入力のメカニズムに翻訳する。その技術を今後の開発キットに統合すれば、もっと複雑な読み方が可能になり、デベロッパーもよりいろんなことができるようになる。

この買収でNorthの一時代が終わる。CrunchBaseによれば同社は2億ドル近くを調達したが、昨年、MyoアームバンドからスマートグラスのFocalsへとピボットした。その後Northはスマートグラスに専心していたから、Myoバンドの知財売却はむしろ肩の荷が下りた気持ちだろう。今後同社は、定価599ドル(処方レンズなら799ドル)からのスマートグラスの販売に力を入れていくと思われる。

これに関しCTRL-labsの役員であるJosh Duyan氏は、2社に投資しているSpark Capitalが仲人になって今回の縁ができたと述べている。彼は、買収の価額は明かさなかった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa