米国時間5月26日午前、デラウェア州ウィルミントンに本社を置くスタートアップのDatacy(データシー)が2400万ドル(約26億4000万円)の資金調達を完了したことを発表した。新たな資金は消費者が手軽に使えるデータ収集・収益化サービスの構築に使われる。
この会社の存在は、実質的に上に書いたことが可能であるという論証だ。Datacyは、個人が自分のブラウザー閲覧データを収集、管理し、匿名化した上で他者のデータと集約し、最終的に販売するためのツールだ。エンドユーザーは最終売上の85%を得て、Datacyが15%を得る。
このモデルは財政支援を見つけることに成功した。新たな資金はTrend Forward Capital、Truesight Ventures、Redhawk VC、Female Founders Allianceなどが提供した。調達には転換社債が用いられ、950万ドル(約10億4000万円)の制限値が儲けられていたが、調達方式にそれ以外の条件がつけられていたかどうかはわかっていない。
ともあれ、Datacyのモデルは、テクノロジー世界がここ数年取り入れてきた比較的プライバシーを重視するスタンスと一致している。自分たちの活動やデータ、会社自身に対する消費者の関心を高めていると思われるものをチャンスに活かそうとしている会社はAppleだけではない。しかし、Datacyがやりたいのは、消費者プライバシーに関わる衝動を利益に結びつけることだ。
同社の共同ファウンダーであるParoma Indilo(パロマ・インディロ)氏は、この会社はCookieブロッカーではないという。彼女はTechCrunchに、もし誰かがデータをブロックしたければ、そのためのよくできたツールが市場にはすでに出まわっていると言った。Datacyがやりたいのは、コントロールプラットフォームという現在の形態から、ユーザーの同意の下にデータがシェアされ交換される手段へと進化させることだ。当然、収益化とともに。
それは、我々がよく知るようになったアドテックやデータ・ベンダー市場の地獄絵図よりも、よくできた未来構想だ。
現在同スタートアップが学習し、初期データを収集するためのライブベータユーザーがいる。サービスのビジネス面のスタートは、ユーザーが5万人以上になるまで保留すると会社はいう。インディロ氏は、個々のデータにはあまり価値はないが、集約することではるかに大きな価値になる、とTechCrunchに語った。
Datacyが5万ユーザーの節目に到達するのはそう遠くないかもしれない。現在1万人の基盤に、インディロ氏のいう口コミによる30%の月間伸び率が加われば、半年ほどで到達する可能性もある。
Datacyは、潜在能力の高いアーリーステージの有望株の1つだが、山盛りのリスクを抱えていることでも知られている。もし、彼らのモデルの経済性を証明するために必要な客を集められれば、ユーザー基盤への投資が成長を自己達成させるだろう。しかし、新規ユーザーの獲得スピードが落ちれば、モデルが機能するのに十分な規模を実現できないかもしれない。
つまりそれは、ベンチャーキャピタルの有効利用であるとも言える。数カ月後にDatacyをチェックして、目標の5万ユーザーにどれだけ近づいたかを見るつもりだ。そして、消費者は自分たちのデータを取り戻したがる、という彼らの賭けがどのように展開するかも。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Datacy、個人情報、資金調達
画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images
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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook )