レシート買取アプリ「ONE」で湧いた6月(2018年6月ランキング)

2018年にアクセス数の多かった記事を月別に紹介していく年末企画。6月を振り返ってみると、高校生CEOが考案したレシートを10円で買い取ってくれるアプリ「ONE」の記事にアクセスが集中し、上位5位のうち、1位と3位、4位にランクイン。

「ONE」は、レシートに記載されている決済データを使ったマネタイズを考えていたが、衝撃のサービスだったこともあり、サービス開始の6月12日の約半日で買取レシート数10万件突破してしまい、買取を一時ストップする事態となった。運営元のワンファイナンシャルでCEOを務める山内奏人氏に確認したところ、6月12日19時30分時点でユーザー数は約4万5000人にまで増え、買取レシート数も約16万件になっていたそうだ。本人確認の通知も約1万件ほど届いているとのことで、10人以上の体制で対応をしたものの、作業に追いついていない状況とのことだった。

その後、ワンファイナンシャルは事業方針を変更。広告モデルに転換することを発表し、6月18日にクルマの即時買い取りサービス「DMM AUTO」と連携し、ガソリンスタンドのレシートの買取を始めることを明らかにした。9月に入り、ガソリンスタンド以外のレシートの買取サービスを復活させたほか、12月にはマクドナルドと連携。マクドナルド店頭にて200円以上をQUICPayで支払って当該レシートをONEで撮影して送信すると、即時に10~50円で買い取るサービスを実施していた(12月28日で終了)。

1位 レシートが1枚10円にかわるアプリ「ONE」公開
2位 Googleがタブレットから撤退
3位 「ONE」が約半日で買取レシート数10万件突破も買取を一時ストップ
4位 「ONE」がDMM AUTOと連携、ガソスタのレシートを最大100円で買取へ
5位 Twitterの暴挙に怒りの声続々

DMM.comがクルマの即時買い取りサービス開始、3枚の写真ですぐに現金化

仮想通貨から競走馬のシェアまで、幅広い領域で事業を展開するDMM.comグループ。次に彼らが手がけるのは、クルマの即時買い取りサービスだ。DMM.comは6月5日、クルマの写真を撮るだけで簡単にクルマの査定と売却ができる「DMM AUTO」のサービスを開始した。

DMM AUTOでクルマを売るときに必要なのは、スマホ、車検証、クルマの3つだけだ。ユーザーがクルマ本体、メーターパネル、車検証の写真をスマホで撮り、クルマのカラーや事故歴などの簡単な質問に答えると、即座にクルマの査定額が表示される。TechCrunch Japan読者のみなさんには、DMM AUTOは「CASHメルカリNOWのクルマ版」と説明すると分かりやすいだろうか(ちなみに、DMMが買収したCASHのチームはDMM AUTOに関わっておらず、AUTOの開発が始まったのも買収前のことだという)。

ユーザーが提示された買取価格に納得すれば、すぐに交渉成立だ。最短で3日後にクルマを引き渡したあと、銀行口座にお金が振り込まれる。査定するのはAIなので24時間365日好きなときにクルマを売却できる。

一度提示されたクルマの査定価格は7日後までは変化せず、査定価格が有効な間はいつでもその価格で売却することが可能だ。だから、まずは手軽に査定してみて、ざっくりと自分のクルマの価値を調べてみたり、他の業者と比較するなんて使い方もできそうだ。

DMM AUTO事業部マーケティング部長の出村光世氏は、「これまでのクルマの買い取り業界は『1円でも高く買い取る』というのが訴求ポイントだった。しかし、クルマを売ろうとして業者を回ると休日が潰れてしまうなど、クルマを売却するまでの手間が大きすぎる。DMM AUTOは、その手間を無くし、かつユーザーが納得する価格で買い取るというサービスだ」と同サービスについて説明する。

即時買い取りサービスというとよく耳にする疑問に「(故意に傷を隠すなど)悪い人がいたらどうするの」というものがある。DMM AUTOについても同様だろう。その点について同社は、土地や店舗を持たないからこそ実現可能な運営コストの低さ、そして買い取り価格に含まれた“バッファ”でカバーできると考えている。また、車検証にプリントされたQRコードにはその車両についての細かなデータが含まれているので、他の製品と比べると比較的リスクが低いとも考えられるだろう。

でも、DMM AUTOに関して言えば、浮かぶ疑問はそれだけではない。出村氏が上で述べた「納得できる価格」は何を根拠にしているのか。例えばメルカリNOWの場合、同グループにはフリマアプリの「メルカリ」を通して集められた価格データがあった。だからこそ、ユーザーも買い取り価格に納得できるとも考えられる。しかし、DMMはクルマの相場データを社内に持ち合わせていない。

その点についてDMM AUTO事業責任者の西小倉里香氏は、「具体的なデータの入手の仕方は非開示だが、年間600万台とも言われる中古車売買の価格データを独自に集計し、最適価格を計算している。ただ、本当に納得できる価格を実現するために、初年度は価格データベースをつくることに注力すべきだと考えている」と話す。

異業種への参入だからこそ、信頼獲得や価格決定アルゴリズムの強化は超えるべきハードルであることは確かだが、実際にクルマを売却したことがある身からすれば、このイノベーションは非常にありがたい限りだ。

僕の場合は、クルマを売るために週末を2日とも潰すという苦い経験をした。そういった経験がある人の中には、たった3枚の写真を撮るだけなら「とりあえず査定してみよう」という人も多いはずだし、それだけでもアルゴリズムの精度向上にはつながる。また、個人的には、CASHが世に広めた即時買い取りサービスが単価の高いクルマにも通用するのかどうかにも注目したいところだ。

「クルマをライフスタイルに合わせて気軽に買い換えられる、そんな世界を目指したいと思っています」(出村氏)

写真左より、マーケティング部長の出村光世氏、事業責任者の西小倉里香氏、開発リーダーの有馬啓晃氏