レシート買取アプリ「ONE」運営が資金調達と社名変更発表、月3980円で映画館など行き放題の新サービスも

レシート買取サービス「ONE」を運営するワンファイナンシャルは12月11日、2020年1月より社名をWED(ウェッド)へ変更することを明らかにした。

合わせて同社では社名変更に先がけて既存投資家および新規投資家を引受先とした第三者割当増資を実施したことも発表。山内氏の話では新たにスパイラルベンチャーズ、千葉道場ファンド、キャナルベンチャーズが株主として加わったそうで、具体的な金額は非公開となるものの数億円規模の調達とみられる。

調達した資金は人材採用の強化やプロダクトの機能拡充などに用いる計画だ。ONEについては10月にAndroid版をリリース。MAUも数十万人規模で拡大中とのことで、UIUX改善のほか1日あたり買取上限数の引き上げ、クライアントと連携した各種のキャンペーンを実施なども予定している。

代表取締役の山内奏人氏によると資金調達や新プロダクトの立ち上げなど「ギアが変わるタイミング」を迎えている中で、新たな社名で再スタートをきることを決めたとのこと。新社名のWEDは結合の意味をもつ英単語「wed」からきていて、デザインとテクノロジーを統合して新たな体験を作るという同社のカルチャーを反映した。

「WeddingのWedでもあり、『デザインとテクノロジー』を結合して新たな体験を作り、『体験とビジネス』を結合して事業を作っていくことを目指して参ります。また、『wed』は、Wednesdayの意味も持ちます。Wednesdayの由来である北欧神話のオーディンは知に対して非常に貪欲な神であり、知恵を身に付け魔術を会得するにあたって、自らの片目をその代償として失っています。語源では『狂気(oðr)の主』とも言われています。彼のように知恵に対して、誰よりも貪欲に、狂気とも言えるレベルで身につけていきたいという意味も込めています」(プレスリリースより引用)

先日からはONEに次ぐ新たな試みとして、月額3980円で日本全国のほぼ全ての映画館/水族館/美術館/博物館に行き放題となる「PREMY」を招待制のベータ版としてスタートした。このサービスは映画の半券や水族館などのチケットをスマホで撮影して送ることで、チケット代金が振り込まれるというもの。今のところはONE上でチケット画像の買取を行なっている(PREMYユーザーのみが使える1機能のような形で提供)。

このスキームを用いることで映画館や水族館を1つずつ開拓することなく、いきなり幅広い施設で利用できるのがユニークなポイント。施設側も通常通りの方法でチケットを販売して収入を得られるので新しいルールを覚える必要もない。いわゆる「定額制の映画館サブスク」などと一見近しいようにも思えるが、細かい部分でいくつか違いがある。

山内氏の話では「今後のプロダクトの方向性としては『写真を取る』ということを通して(ユーザーの生活における)あたりまえを超えられるような体験を提供していきたい」とのこと。現在テスト運用中のPREMYもユーザーの動向を見ながらアップデートを行なっていく方針だ。

ここまでがワンファイナンシャル(来年1月からはWED)としての事業になるが、これに加えて今後新しい金融サービスを提供する事業会社の新設を計画している。

新会社はベリトランス共同創業者として日本・香港双方で上場企業を経営した経験を持ち、2019年9月まではSBI Ripple Asiaの代表を務めていた沖田貴史氏が代表取締役に就任する予定。プロダクトとしてはコンシューマー向けの金融サービスを検討しているそうで、最終的にはチャレンジャーバンクのような位置付けのプロダクトを目指したいという。

なお沖田氏はWEDにおいても取締役として経営参加し、山内氏らと共に事業の拡大に取り組む。

レシート買取アプリ「ONE」のAndroid版登場、アンケート機能などが追加

どんなレシートも1枚10円に変わる——。2018年6月にiOS版がリリースされた「ONE」はそのわかりやすさとキャッチーさから、約12時間で10万枚ものレシートが売られる(買い取られる)など大きな注目を集めた。

あれから1年と4ヶ月。ONEのAndroid版が本日10月15日に公開された。

一時はサービスを停止していた時期もあったが、現在のONEは当初の仕組みにいくつかのアップデートを加えた形で運営されている。まず最大のウリとなっていた「どんなレシートでも1枚ごとに買い取る」機能に関しては、1日あたりの上限が5枚に設定(リリース時は10枚)。買取金額も一律10円ではなく、1枚あたり1円〜10円の間で変動する設計に変わった。

「画像がお金にかわるサービス」という打ち出し方をしているように、レシート以外の画像にも買取の対象が広がっている。たとえば今だと海外航空券を撮影した画像は10〜100円で、引越しの見積書やバイクの自賠責保険証券であれば最大400円で買取ってもらうことが可能だ。

iOS版のイメージ画像

画像の買取だけでなく「アンケート」や「封筒」といった機能も追加された。

アンケートは10問程度の質問に回答することで最大100円程度のお金を得ることができるというもの。封筒はワンファイナンシャルCEOの山内奏人氏いわく「DMをアップデートしたようなもの」で、ユーザーのデータに基づき、企業からお金とともに広告が送られてくる(なお封筒機能は現時点ではiOS版のみ利用可能、表示されるキャンペーンに関してもiOS版とAndroid版では一部違いがあるとのこと)。

またONEで手にしたお金についても銀行口座に出金するだけでなく、コンビニやコーヒー店などで使用可能なチケットに交換することもできるようになっている。

山内氏によるとサービス再開後は「きちんと継続的にデータを買い取り続けるということに注力してきた」とのこと。同サービスのビジネスモデルは顧客企業にデータを提供するモデルが中心でのため(一部広告案件のタイプが含まれる)、ユーザーの使い勝手とマネタイズの双方に大きく関わる「画像の判別や認識エンジンの強化」にも力をいれて取り組んできたという。

「今後は買い取る画像の幅を増やすことなどを通じて(ツイートを買い取っていたりスクリーンショットを買い取る事例もあります)ユーザーのみなさんに日常的に使ってもらえるサービスを目指していきます。ゆくゆくはここで培った画像解析だったり、データの加工の仕方やそれらとの向き合い方などのノウハウや技術を、あらゆるサービスに昇華していけたらと考えています」(山内氏)

なおONEの現状については「インストール数もMAUも数十万人」とのことだ。

レシート買取アプリ「ONE」で湧いた6月(2018年6月ランキング)

2018年にアクセス数の多かった記事を月別に紹介していく年末企画。6月を振り返ってみると、高校生CEOが考案したレシートを10円で買い取ってくれるアプリ「ONE」の記事にアクセスが集中し、上位5位のうち、1位と3位、4位にランクイン。

「ONE」は、レシートに記載されている決済データを使ったマネタイズを考えていたが、衝撃のサービスだったこともあり、サービス開始の6月12日の約半日で買取レシート数10万件突破してしまい、買取を一時ストップする事態となった。運営元のワンファイナンシャルでCEOを務める山内奏人氏に確認したところ、6月12日19時30分時点でユーザー数は約4万5000人にまで増え、買取レシート数も約16万件になっていたそうだ。本人確認の通知も約1万件ほど届いているとのことで、10人以上の体制で対応をしたものの、作業に追いついていない状況とのことだった。

その後、ワンファイナンシャルは事業方針を変更。広告モデルに転換することを発表し、6月18日にクルマの即時買い取りサービス「DMM AUTO」と連携し、ガソリンスタンドのレシートの買取を始めることを明らかにした。9月に入り、ガソリンスタンド以外のレシートの買取サービスを復活させたほか、12月にはマクドナルドと連携。マクドナルド店頭にて200円以上をQUICPayで支払って当該レシートをONEで撮影して送信すると、即時に10~50円で買い取るサービスを実施していた(12月28日で終了)。

1位 レシートが1枚10円にかわるアプリ「ONE」公開
2位 Googleがタブレットから撤退
3位 「ONE」が約半日で買取レシート数10万件突破も買取を一時ストップ
4位 「ONE」がDMM AUTOと連携、ガソスタのレシートを最大100円で買取へ
5位 Twitterの暴挙に怒りの声続々

レシート1枚10円で買う「ONE」、約半日で買取レシート数10万件突破も買取を一時ストップ

どんなレシートでも1枚10円にかわるアプリ「ONE」。本日6月12日の6時にローンチしたばかりの同アプリには、運営元のワンファイナンシャルが想像していた以上の反響があったようだ。

同社はローンチから12時間25分でONEのユーザー数が3万人に、同じく12時間35分で買取レシート数が10万件に達したことを明かした。なおこのユーザー数というのは、アプリをダウンロード後に電話番号認証をした人の数を指すという。

ワンファイナンシャルCEOの山内奏人氏に確認したところ、19時30分時点でユーザー数は約4万5000人にまで増え、買取レシート数も約16万件になっているそう。本人確認の通知も約1万件ほど届いているとのことで(ONEでは出金するまでに本人確認が必要)、現在10人以上の体制で対応をしているも追いついていない状況。

公式Twitterでは「本人確認完了まで最長で1ヶ月ほど掛かる見込み」としている。

山内氏の話ではリリース前は「月に1万件程度」を想定していたそうだが、実際は約半日でその10倍を超えた計算になる。

【6月12日21時30分追記】ONEではレシートの買取を一時的にストップすることを発表。運営に確認したところ現時点では「再開時期は未定」とのことで、アプリのダウンロードや登録自体はできる。

レシートが1枚10円にかわるアプリ「ONE」公開、17歳起業家が新たに目指すのは“次世代の金券ショップ”

突然だがTechCrunch読者のみなさんは買い物をした際に渡されるレシートをどうしているだろうか?

面倒くさがりな僕はたいてい「レシートはけっこうです」と言ってもらうことすらしないのだけど、家計簿に記録するために丁寧に保管している人もいれば、なんとなく財布の中に溜め込んでしまう人、すぐに捨ててしまう人などそれぞれだろう。

そんなレシートは多くの人にとって日々の買い物(支出)の記録以上の価値はないかもしれないけれど、もしかしたら他の誰かからすればお金を払ってでも買う価値のあるものなのかもしれない。

前置きが長くなってしまったけど、ワンファイナンシャルが6月12日に公開した「ONE」はまさにそのような世界観のサービス。どんなレシートでも1枚10円に変わってしまうというものだ。

レシートが1枚10円になるカラクリ

「きっかけはスイスの友人から現地の小銭をもらったこと」——ワンファイナンシャルCEOの山内奏人氏によると、この出来事がONEのひとつのテーマでもある“価値の非対称性”に着目する契機になったという。

「日本にいる自分にとってはスイスの小銭もただの金属の塊と変わらない。その時に自分にとっては価値がないけれど、他の誰かには価値があるものが面白いなと思った。普段多くの人が日常的に使っているもので同じような例はないか考えた時に浮かんだのが、レシートだった」(山内氏)

先にいってしまうと、ONEはユーザーから「レシートという形をした決済データ」を買い取り、そのデータを手に入れたい企業に販売していく構造になっている。

近年パーソナライズという言葉が頻繁に使われるようになったように、大まかな統計データではなく個人個人の消費傾向を把握し、個々に最適な提案をすることが求められる時代だ。だからこそ「どんな人がどのタイミングで、どのような商品を買っているのか。その商品と一緒に買っているものは何か。といった購買データに価値がある」と山内氏は話す。

ONEの機能はシンプルで、ユーザーはアプリからレシートの写真を撮影するだけ。買い物の金額や購入した商品数などの違いはなく、どんなレシートも1枚10円に変わる(アプリ内のウォレットに10円が振り込まれる)。

ユーザー1人あたりが1日に撮影できるレシートは10枚まで。アプリ内に貯まったお金は300円から出金でき、メガバンクを始め国内ほぼ全ての民間金融機関に対応しているという。利用料等はかからないが、出金時の手数料200円についてはユーザーの負担となる。

出金時には本人確認が必要になるため、ONEの運営側から見ればこのタイミングで大まかな属性データが取得できる。これを送られてきたレシートのデータと合わせて、決済データが欲しい企業へ提供していく仕組みだ。

レシートからは金銭感覚や消費傾向がわかるため、マネタイズの方法としては取得したデータを純粋に企業へ売っていくというのがひとつ。そしてもうひとつ、特定のユーザーにクーポンを配信することで送客をするモデルも考えているという。

目指すのは次世代の金券ショップ

ワンファイナンシャルについては、同社が1億円の資金調達を発表した2017年10月に一度紹介している。当時16歳ながらすでに複数のサービス立ち上げを経験していた山内氏は、スマホ1台あれば数分でカード決済を導入できるアプリONE PAYを手がけていた。

その後ONEPAYMENTへと名前を変えサービスを伸ばしていたが、それに伴い不正利用も増加。2018年4月には不正利用リスクが原因でStripe社から出金APIの利用を止められ、サービスを停止せざるをえない状況に陥った。

一時は再開したものの不正利用のリスクは消えない。山内氏が「多くのユーザーに使ってもらっていたので申し訳ない気持ちはあったが、そのままの形で続けるのは難しかった」と話すように、最終的にはサービスの継続を断念。ユーザーへサービスの終了を通知していた(6月29日に決済機能を停止し、7月31日に出金を含むすべてのサービスを停止)。

ONEPAYMENTはクローズすることになったが、決済データを活用したビジネスへの関心や、新しい金融の仕組みを作りたいという気持ちは変わらなかったという山内氏。上述の通りスイスの小銭がひとつのけっかけとなって、新しいサービスを立ち上げるに至った。

ONEについてはどのような使われ方をされるのか予想できない部分もあるというが、将来的には「次世代の金券ショップのようなものを作っていきたい」という構想を持っているようだ。

「多くの人にとってレシートはものすごく身近なものでもあるので、まずは第一弾としてレシートから。いずれはたとえばギフト券など、もっと多くのものを扱えるようにしたい。データがたまっていけば、与信スコアのような形でレシートの買い取り価格を変えたり、レンディングなど別の展開も考えられる。ここを中心に新しい金融の仕組みを作れるように、サービスを作りこんでいきたい」(山内氏)