トヨタ自動車は世界中でロボティクス、新素材、人工知能、自動運転車、代替エネルギーの開発を続けてきたが、さらに野心的なプロジェクトを明らかにした。富士山麓に170万平方メートルにもおよぶ新テクノロジーの実証都市を建設するという。このスマートシティーの住民は、自動運転シャトルやロボットを含むトヨタが開発している最新のテクノロジーを利用して暮らすことになる。
ラスベガスにおけるCES 2020の開幕を控えて1月6日の月曜に開催されたプレスイベントに登壇した豊田章男社長は「都市の建設は2021年に開始される」と述べた。設計はデンマークの世界的建築家、Bjarke Ingels(ビャルケ・インゲルス)氏が率いるBIG(Bjnarke Ingels Group)だ。インゲルス・グループはニューヨークの2 ワールドトレードセンター(工事中断中)やデンマークのレゴハウス、Googleのマウンテンビューとロンドン本社などの著名なビルの設計を手がけている。
トヨタの幹部によれば、この実験都市は豊田章男社長が情熱を傾けているプロジェクトだというが、それはプレスイベントの壇上からも伝わってきた。
豊田社長は「これは私の『フィールド・オブ・ドリームズ』だ。『それを造れば人は来る』」と有名な映画に託して希望を語った。
「科学的に制御された現実に人が暮らす環境で、オートノミーやMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、ロボティクス、スマートホーム、人工知能など人々をつなげる最新テクノロジーを研究者やエンジニアが自由に開発し、テストできるところを想像して欲しい」と豊田社長は力説した。
つながる都市(Woven City)と呼ばれるこのスマートシティーは、窒素利用の燃料電池をエネルギー源とするという。
この都市の住居はインハウスのロボティクス、高度なセンサーを備えたAIデバイスが装備されて生活を助ける。住居の各種ニーズに応えるだけでなく、健康チェック機能も持つという。
この町ではカムリもプリウスも運転する必要がない。メインストリートの走行を許されるのはゼロ・エミッションの完全自動走行車だけだという。人や物資の輸送にはトヨタが開発中のe-Paletteが利用される。
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