ソフトバンクとゴールドマン、インドの小規模小売店プラットフォームElasticRunにユニコーン出資

ソフトバンクが世界第2位のインターネット市場における商業的な賭けをさらに強化する中、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)は、ElasticRun(イラスティックラン)の3億ドル(約345億2000万円)の最新ラウンドをリードした。

ElasticRunがインド時間2月7日に規制当局へ提出した書類によると、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)と既存投資家であるProsus Venturesも、プネーに本社を置く同社のシリーズEラウンドに参加した。今回のラウンドで、ElasticRunの評価額は15億ドル(約1727億円)となった。

TechCrunchは1月初め、ソフトバンクとゴールドマン・サックスがElasticRunを支援する交渉を行っていると報じていた。

ElasticRunは、インドの数百の市町村にある数十万の小規模小売店が、トップブランドの在庫や運転資金を確保できるよう支援している。ElasticRunは、eコマース企業やその他の大手ブランドとの協業をサポートすることにより、これらの近隣店舗の収益向上を支える。EC企業やブランド側は、これまで参入が難しかった巨大な市場へのアクセスを得ることができる。

今回のラウンドにより、ElasticRunの累計調達額は4億3000万ドル(約495億円)以上となり、これまでのすべての資金調達を合わせた額よりも多くの資金が同社にもたらされた。

ElasticRunはクラウドソーシングにより、近隣店舗(キラナとして知られているパパママストア)にサービスを届けるパートナーの物流ネットワークを構築してきた。ElasticRunと協力してこのネットワークを利用している大手企業には、Amazon(アマゾン)、Tata Consumer Products(タタ・コンシューマー・プロダクツ)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、PepsiCo(ペプシコ)、インド最大の小売チェーンであるReliance Retailなどがある。

このスタートアップは、ソフトバンクがインドのコマース市場で行ってきた一連の賭けの中で最も新しいものだ。ソフトバンクはこれまでにも、Flipkart(Flipkart)やソーシャルコマースのスタートアップであるMeeshoなどを支援している。

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

インドの小規模小売店の運転資金や在庫を支えるElasticRunが約80億円調達

インドの小規模小売12万5000店超が運転資金やトップブランドからの在庫を確保したり、売り上げを伸ばすためのeコマース会社と協業をサポートするスタートアップElasticRunが、現地時間4月28日、世界2番目のインターネットマーケットである同国でさらにリーチを伸ばすために新たに資金調達したと発表した。

インド・プネー拠点のElasticRun(イラスティックラン)は、既存投資家のAvataar VenturesとProsus Venturesが共同でリードしたシリーズDラウンドで7500万ドル(約80億円)を調達したと明らかにした。同じく既存投資家のKalaari Capitalも本ラウンドに参加し、創業4年になるElasticRunがこれまでに調達した資金は累計1億3050万ドル(約140億円)になった。インドの大都市や小都市、町、村に点在し、eコマース大手やスーパーチェーン小売業者と競合するのは難しいことがわかっている何百万もの小規模小売店は、同国における新しい取り組みの中心にある。

多くのeコマース企業、実在店舗チェーン、フィンテックスタートアップが巨大な未開拓の機会に目を向け、こうした家族経営の小規模店と先を争って協業しようとしている。

2019年の会議で事業について話すElasticRunの共同創業者でCEOのSandeep Deshmukh(サンディープ・デシムク)氏

ElasticRunは、在庫確保のために1カ月に数日は大きな街に足を運ばなければならないというのが典型的な小売店経営者が、信頼でき、そして手頃な価格の商品を大手ブランドから直接入手するのをサポートしている(リーチを大きく広げられるため大手ブランドはこのサポートを気に入っている)。

こうした小売店のオーナーはまた、商売が低調なときは特に何もせずに何時間も過ごす。ElasticRunはこの労働力を顧客への配達に有効利用するためにAmazonやFlipkartなどを含む最大のeコマース会社と提携することで、この空き時間問題も解決している(eコマース会社はこの取り組みに価値を見出している。というのも、小規模店はインドでは大きな存在であり、顧客にすばやくアクセスでき、往々にして独自の在庫を持っているからだ)。

Prosus Venturesのインド投資責任者Ashutosh Sharma(アシュトシュ・シャルマ)氏は、ElasticRunが可変容量でクラウドソースの配達モデルを構築したとTechCrunchに語った。このモデルは、配達するのに給料を支払う人の数を固定している他のプレイヤーとElasticRunが異なる点だ。ElasticRunがレールを敷き、数多くの新たな機会が出てきたとシャルマ氏は話した。

そうした機会の1つが、運転資本を小規模小売店に提供することだ。小売店の経営者は多くの場合、貯蓄がなく、在庫を補充する資金を確保するために既存の在庫を売る必要がある。ElasticRunは近年、こうした小売業者にクレジットを提供するために銀行やノンバンク金融会社と提携を結んできた。

ElasticRunは現在インドのほぼ全州の300超の都市で事業を展開している。12万5000店超と協業し、今後18〜24カ月で100万店へと拡大する計画だ、と共同創業者で最高テクノロジー責任者のShitiz Bansal(シティズ・バンサル)氏はTechCrunchとのインタビューで述べた。

ElasticRunの現在のランレートは約3億5000万ドル(約380億円)で、この数字は今後12カ月で10億ドル(約1090億円)に成長する見込みだとバンサル氏は話した。

共同創業者で最高執行責任者のSaurabh Nigam(サウラブ・ニガム)氏は、新たな資金調達で過去5年にわたる同社の成長の「有形便益」に初期の従業員がアクセスできるようにした、と述べた。

カテゴリー:その他
タグ:ElasticRunインド資金調達eコマース小売

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi