捨てることも含めたコンテンツSEOに必要な戦略とその考え方


Content is king

という言葉そのものはSEOにおいて定着したが、正しい理解がなされているとは言い難いと思う。

「Content is King にまつわる誤解と真実という住太陽氏の記事にいかにこの言葉が誤解されているか?について詳しく書かれているが、私もほぼ同感である。

私なりにこの記事の内容を踏まえて、それ以外に色々思うところもあってこんな記事を書いてみる次第なのだ。

コンテンツには戦略がなくてはならない

これが私の言いたいことである。

戦略とは目的を達成するための、大枠での考え方だ。
戦争での勝利には戦略と戦術の2つのレベルがある。

個々の戦闘で勝つための方策を戦術という。

これに対して戦略とは戦争に勝つために、どのような方面に戦力を集中してどこを取りにいくか?
といった高い視点から考えることである。

戦術は現場指揮官が考え、戦略とは国家指導者レベルが考えるものだ。

コンテンツは戦略であるというのは、

1.コンテンツはビジネスの中でどのような位置づけであるのか?

を明確にし、

2.どのようなユーザーを集めたいのか?

を定めて、

3.集めたユーザーをどのようにコンバージョンにつなげるのか?

これを見定めて構築することを指している。
コンテンツを作ってもまったくコンバージョンが取れない、という失敗の多くはこの戦略がない。もしくは戦略が根本から間違っているのが原因だと私は考えている。

それでは1から順番に考察してみよう。

1.このコンテンツはビジネスの中でどのような位置づけであるのか?

ここがあいまいなサイトが多い。
根本が間違えると全て間違える。

売上を取りたいのか、企業や商品の知名度を高めたいのか、ユーザーからの信頼を得たいのか・・・

といった目的を定めることが最も重要である。目的は一つである必要はないが、明確に説明できる必要がある。

企業では何かを購入するときには稟議がたいてい必要なはずである。
稟議を通すには、決裁者が金を出すに値すると考える理由が要る。

コンテンツもそれと一緒だ。
コンテンツを作ることは、金を出すことと同義である。
もし、1つのコンテンツを作るために2時間かけるならば、少なくとも2時間分の時給分プラスアルファの金をかけるに足る理由が必要だ。

プラスアルファの額は大きい。
給与を払う以上の見返りがあるから、その人を雇っているのである。
給料分ピッタリしか稼いでいない人しかいなかったら会社は倒産する。

また、時給の他に家賃とか光熱費、諸経費といった様々な会社を運営するための経費も一人一人にかかっている。

時給が2000円の社員であれば、1時間の価値は4000円以上になろう。
2時間を要したならば8000円以上をコンテンツに投資したこととほぼ同義である。

これだけの金額を漫然とコンテンツ作成に投下するからWebサイトは失敗するのだ。

「日常業務が忙しくて、コンテンツ作成に手が回らない」

という言葉はよく聞かれるが当たり前だ。

日常業務とは給与以上の価値を会社にもたらすことがほぼ確実なビジネスである。

ところが、これに対して目的が明確でないコンテンツ作成は、ほぼ確実に赤字になるビジネスである。
日常業務を優先するのは合理的な判断だから、コンテンツ作成を行わないのである。

日常業務に優先する目的がない限り普通はコンテンツ作成は行われないし、行われるべきではないと私は考えている。
コンテンツ作成によるメリットは、効果が不明確であるがその投資に見合うリターンが見込めなければならない。

サイコロを振った時に、4以上が出れば1万円もらえるとする。
このサイコロを振るのに、4千円が必要であっても払ったほうが得である。
逆に6千円必要なら損である。

コンテンツを作って得られるかもしれない利益と、日常業務の重要度を上記のサイコロの例のように比較してやるべきなのか?を考えねばならない。

その結果、コンテンツを作るメリットが低いと判断したならば、いさぎよくやらないといった判断をすべきで、何でもかんでもコンテンツを作りさえすればいいってものではない。

※誤解しないために書いておくのだがコンテンツ作成は大きなメリットを、恒久的にサイトにもたらすものであることを最後に書き添えておく。

2.どのようなユーザーを集めたいのか?

サイトにユーザーを呼ぶだけでは目的を達成することは出来ない。
これは住氏の言うコンテンツとセリング(商品紹介)の関係から考えるとわかりやすい。
(セリングはコンテンツではないということ)

広告をどの雑誌に載せるか?

自動車の広告を載せるならば、自動車の雑誌に載せるとか、RV車であればアウトドアライフの雑誌に載せるといった考慮をするはずだ。

どの雑誌を選ぶかは死活的に広告効果に影響するので、誰でも厳しく厳しく吟味する。

かつ、雑誌の内容と広告で訴求する内容は連動しなくてはならない。

アウトドアライフの雑誌に自動車の広告を載せるならば、
「自動車のエンジン性能がこんなに優れている」といった切り口では駄目で、
「こんなに積める」「こんなに便利」「悪路を走れる」
といった訴求になってくるだろう。

ところが、自分でWebサイトでコンテンツを作る場合は雑誌の記事に相当する部分は自由裁量に任されているのに、広告とまったく連携していなかったり、訴求すべき内容とずれていることが多い。
被リンクを集める、バズを狙うといった明確な目的があればいい。それもなく、ずれがあったら無駄である。

3.集めたユーザーをどのようにコンバージョンにつなげるのか?

セリングのページにランディングしたユーザーは、コンバージョンにつながる可能性が高い。
しかし、コンテンツページにランディングしたユーザーは基本的には商品そのものに興味がない。

しかし、コンテンツに投資をする以上は、購入に結び付けなければならない。

2.のように個々のコンテンツに連動した訴求が必要である。
また、1回だけ見てもらうだけではなく、ソーシャルメディアやメルマガなどと組み合わせユーザーとの接触の質・量を高める。
リマーケティングなどと連携させLPと組み合わせてコンバージョンを取る。

といった様々な方策が考えられ、全て自由裁量に任されている。


非常にコンテンツ戦略は考えるべきことが多岐に渡り、簡単なものではないということが言いたかったのである。

最後に書いておきたいのだが、私はSEOにおいて必ずしも充実したコンテンツが必要だとは考えていない。
最低限、充実したセリングのページを作ることだけでもSEOは成り立つ。

充実したページを作ることによって、テキスト量が増えキーワードの掛け合わせが増える。
想定しないような2語、3語、4語・・・といったキーワードの組み合わせで検索結果に露出する可能性が増える。

そんなキーワードは競合がほとんどいない。
だから、コンテンツページを作るメリットが低いと考えたのであれば、セリングページだけを充実させる戦略はあり得るし、費用対効果を考えれば悪くない。

生半可にコンテンツに経営資源を投入するぐらいであれば、コンテンツSEOを捨てるって戦略もよい選択であろう。

Googleの考えるオリジナルコンテンツ・低品質コンテンツの定義とは


オリジナルのコンテンツを作っているのになぜ、

価値のない質の低いコンテンツ

この警告が来た理由は何なのか?

Google ウェブマスター向け公式ヘルプフォーラムにこんな質問があった。

コンテンツそのものは独自であって、他のサイトからコピーしたものではない。
それにもかかわらず何故Googleはこのようなペナルティを与えたのか?
という質問である。

このようなコンテンツに対してペナルティを課したことは、

  • オリジナルコンテンツとは何であるか?
  • 低品質なコンテンツとは何であるか?

という問いに対して、Googleはどう考えているのか?を端的に表現する、いわば非常に貴重なケーススタディだと思うのだ。

SEO界隈や、アフィリエイターの中で一般的にオリジナルコンテンツとは、他のサイトに同一の文章が存在しないコンテンツと解釈されていることが多い。

しかし、この解釈は間違いということなのだ。
この質問者は、ペナルティの原因はアフィリエイトタグを貼ったことだと思っていたらしいが、そんなことはまず関係ない。

関係ないと言い切るのは語弊があるので、一言この問題についての私の見解を述べておく。
私がもしGoogleのアルコリズムを作る側だったら、アフィリエイトタグがコンテンツ領域に貼られているサイトは、スパムSEOを行っている可能性が他よりは高いと考えるだろう。

企業の公式Webサイトなどと異なり、ブランドイメージを損うことをアフィリエイターは普通あまり気にしない。
また、最悪ペナルティを受けてもサイトを廃棄すればいいので、ペナルティを受ける危険性を承知でブラック、もしくはグレーなSEO施策を行う場合も多い。
アフィリエイトサイトだからということで、ただちにペナルティにすることは絶対にないがそのためやや厳しく判断する。

同じようにブラックな施策をした場合に、アフィリエイトタグが貼られているサイトはペナルティになって、そうでないサイトの場合はペナルティにならないということもあっても不思議ではないと思うのだ。

さて、横道にそれたので元に戻ろう。

今回のペナルティはアフィリエイトタグを貼ったことが原因ではない(少なくとも主要因ではない)。
結局のところ、Googleの言うようにコンテンツが低品質であったためだ。
このコンテンツは、全部オリジナルの文章でありリライトでもないのに低品質に分類される。
その理由は簡単だ。

役に立たないから

である。
GoogleMAPとストリートビューを見れば得ることができる以上の情報がない。
ほぼ何も書いていないに等しいのである。
このようなサイトばかりが施設の名称で検索して上位に表示されたら、ユーザーにとっては大変困ったことになる。
Googleはこのようなサイトを検索上位から排除せねばならないのだ。

さて、いささか乱暴であるのだがこの1例からどのような普遍的な原則を導くことができるのか?について考察してみたい。

1.検索キーワードについてのみ当てはまる文章を書く
2.よそのサイトから容易に得られない情報を書く
3.検索ニーズと合致しなければならない

この3つを満たすコンテンツを作るべきというのが結論だと私は考えている。

1.検索キーワードについてのみ当てはまる文章を書くことについて

タイトルだけを変えて、当該施設と同じビルに入っている別の施設や隣のビルの施設について記述していたとしても、このコンテンツがほぼそのままで成り立つ。
その施設だけに当てはまる情報ではないのである。

2.よそのサイトから容易に得られない情報を書くことについて

よそのサイトから容易に得られる情報は基本的に不要だ。
というかむしろ邪魔である。
1次情報を加工しただけの2次情報は検索結果のゴミを増やすだけで、検索ユーザーから見たら貴重な1次情報を埋もれさせる害しかない。

もし、作るのであればそこに何かオリジナルの考察や、調査、独自の視点が必要になる。
結局はそういったものは自分自身で創りだすものなので、1次情報であると言える。

1次情報がないページは検索ユーザーにとって害であると思って欲しいのである。

3.検索ニーズと合致しなければならないことについて

検索ユーザーが知りたいことがまったく書いていないページに価値はない。
例えば、「タラバガニ レシピ」と検索した時に、「タラバガニのレシピ」ってタイトルでヒットしたページを見たとしよう。

ページにはタラバガニのレシピをを作ったのに「カニ食べるの面倒」って言った自分の夫の話が延々と書いてあったとする。

これはいくらオリジナルであったとしても、検索ニーズにはまったく合致しない。


最後にまとめてみよう。
コンテンツはオリジナルであるだけで品質がいいわけではなく、その上で検索ニーズに合致し、よそにない情報を得ることができなければならない。
そのようなコンテンツが検索エンジンに評価され、そうでなければ、検索ユーザーの役に立たない低品質なコンテンツであるということなのだ。

人工的被リンクによる上位表示対策が確実に死ぬ理由


当ブログでは人工的リンクは、遅かれ早かれGoogleから見破られてしまうためお勧めできないと何度も書いてきている。
しかし、いまだにSEOといえば人工リンクであるという考え方も根強く残っている。

人工的リンクはこれだけのリンクを貼ったことによって、これだけ順位が上がったという因果関係が比較的明確であるのがその理由であろう。

「コンテンツSEOって実際は成果が出るかわからないし、空疎な建前に過ぎない」

という意見も多く聞かれる。
しかしながら、コンテンツSEOによる内部施策についても成果を計測することは可能であり、実際に成果を出すことは可能だ。

参考:コンテンツSEOの成果を定量的に評価する方法

被リンクのつきにくい分野においても、内部施策のみによって成果を出すことは可能だ。
だから人工的被リンクを使うべきではない。

最終的に人工的被リンクは死ぬ

からである。

何故死ぬと断言できるのか?
これが今回のテーマだ。

矛盾するようなのだが、Googleが人工的被リンクを完全に見分けられるようになる日は永遠に来ないはずである。
それでも人工的リンクは死ぬ。

リンクから得られる利益とリンクを作るためのコスト

この上のグラフは

  • 有効な人工的被リンクを作るために必要な平均コスト
  • 有効な1本のリンクから得られる平均利益

を時系列に沿ってグラフ化したものである。
リンクを作るためのコストが上がっていくと、赤い矢印に示した時点でコストが利益を上回ってしまうことを示している。
理論的にはコストをかければ人工的な被リンクであっても、有効なリンクを作れるし有効であり続ける。
しかし、コストが利益を上回った時点において人工的リンクはビジネスとして成立しなくなる。

つまりこの赤矢印のポイントが人工的被リンクが事実上死ぬ地点なのだ。

有効な被リンクを作るためのコストは日々上昇している。
これまでは以下のような被リンクでよかった。

  1. 様々な文章を選んで並べ替えただけのコンテンツを自動生成し
  2. 大量のアンカーリンクを埋め込み
  3. 上位表示させたいページに直接
  4. 上位表示させたい特定の文字列のアンカーテキストを貼る

ところが、

  1. 自動生成系のコンテンツは無効になりつつあり
  2. 大量のアンカーリンクの埋め込みは無効になり
  3. 上位表示させたいページに直接貼るのではなくクッションページを設ける必要が生じ
  4. アンカーテキストの偏りは危険になった

1~4は全て被リンクのコストの上昇につながっている。
特に重要なのが、1.である。

自動でクローリングし、アルコリズムで自動判定するGoogleに対して、人力で立ち向かわなければならないのだ。
だから人工リンクを作る側は様々な対抗策を講じている。

クラウドソーシングや日本語のできる東南アジア人を使って、手作りで記事を作るようにすることでコスト低減の努力を行っている。
普通に作ると1記事にかかっていたコストが500円だったものが、100円で作れば5分の1だ。

このような努力によってコストの低減をはかり、オレンジ色の線を低くするのである。

これによって完全な人工リンクを作れるか?
というとそれはそうでもない。

Googleのリンクグラフの解析能力は日々向上している。

深く解析すればするほど人工リンクは見破られる。
しかし、リンクグラフをより深く解析するためには、コンピューターの演算パワーが必要になる。
演算パワーの進歩はムーアの法則によれば、18ヶ月毎に2倍になると言われている。実際に、1970年代から今日に至るまでこのように進歩が続いている。
2022年頃になると頭打ちになりムーアの法則が成り立たなくなるという予測もあるが、少なくともその頃までは演算パワーの進歩が続くだろうし、それ以降も伸びは鈍化するかも知れないがまた伸びることは間違いない。
ひょっとしたら量子コンピュータの実用化といた技術的なブレイクスルーが起こって、飛躍的に処理能力が伸びる可能性もある。

もし、記事コストを努力や工夫によって5分の1にしたとしても、それは一時しのぎにすぎないのである。

演算パワーが18ヶ月おきに2倍になってしまったら、18ヶ月×3の月数の後には8倍の伸びとなっており、人間の努力や工夫では補えなくなる。

演算パワーによるリンクグラフの解析力が人工リンクを見破る全てではないが、リンクグラフの解析だけではなくその他技術も演算パワーによって進歩する。
演算パワーは指数関数的に増えるのに、人力でできることはたかだか知れている。
18ヶ月毎に倍々ゲームで増える演算パワーに最後まで人力で対抗し続けるのは無理だ。

コンピューター将棋が生まれた時、ほとんどのアマチェアに勝てなかった。
当時、コンピュータが将棋でプロを破ることは無理であるか、はるか遠い未来の出来事であると思われていたものだ。
しかし徐々に進歩して、現在トップレベルのプロ棋士を実力で破るところまでやってきた。
(ちなみに将棋はアマチェアとプロの実力差が非常に大きい競技として知られている。市の大会で優勝するぐらいの腕前でも、プロに1万回挑んでも1回も勝てないってレベルである)

コンピューターの将棋は徐々に世の中における順位を上げていき、人間を圧倒していった。
そして、ついにほぼ全ての人間を倒すに至ったのである。
これもひとえにコンピュータの演算パワーの進歩が最大の原因である。

人工リンクにおいてもこれと同じことが起こっている。

当初は雑な人工リンクすら見分けることが出来なかったため、多くの人工リンク販売業者の跋扈を許してきた。
しかし、現在ではそれよりもマシなリンクを作っても見破られるようになり、かなりの数の人工リンク販売業者は業態転換を余儀なくされている。

今でも人工リンクっぽくないリンクを販売する業者は残っているが、徐々に生き残りが難しくなってきている。
多くの人工リンク販売業者は倒されたのだ。

そうして近い将来完全にコストに見合わなくなって、人工リンクを行うありとあらゆる者は倒されるのである。

ブラックハットSEOは修羅の道を選択する困難な戦略である


ブラックハットSEOは苦しい戦略である。

大規模サイトを数多く手がけていることで有名なSEOコンサルタントの辻正浩氏は、

実験を続けてアルゴリズムを追いかけるのは修羅の道である

という内容を講演で述べていた。

参照:CSS Nite LP, Disk 29「SEO 2013」についてレポートしてみる(Part.4)

ブラックハットSEOというのはまさしく修羅の道である。
SEOが専門ではない人にとっては、この辻氏の発言からブラックハットSEOが修羅の道である命題を導く意味がわからないと思う。
だから今回はこの意味を述べてみたいと考えた次第である。

まず

修羅の道とは何か?

であるが、修羅道とは仏教の用語で、争い続ける苦しみが絶えない世界であると言われる。
修羅の道を往く(行く)と言えば、常に戦い続ける非常に苦しい道を選択することを指す。

アルゴリズムを追いかけることは、苦しい戦いを続けることを意味している。
では誰と戦うのか?

それはGoogleとである。


こうすれば検索順位が上がるという法則を
実験や観察から導いて
それを自サイトに適用する

これがアルコリズムを追うSEOだ。
誰でもできることではない。

この要因が検索順位に影響するであろうという仮説を立て、
膨大なURL、キーワードを日々追跡し、
仮説を検証し検索順位の推移からから法則を導く。

そこから法則が導けることもある。
しかし、これは生半可な戦いではない。
今日通用した法則が明日も通用するとは限らない。

Googleは年間に数百のアルコリズムの改変を行っているという。
それだけの変更が行われているのだ。
だから、多大な労力を費やして得た知識はいずれ役に立たなくなるのだ。

私の友人の話であるが、彼はSEO会社でアルコリズムを研究しており、得た知識をノートにまとめていたそうだ。
久しぶりに前にまとめたノートを見てみたら、その中に書かれていた手法のほとんどは現在役に立たなくなっていたという。

アルコリズムの変化とはそんなものであり、現在の知識で一時も安住することはできない。
常に新しい実験による仮説の検証、法則化が必要となる。
これが辻氏の言う修羅の道だ。

ブラックハットSEOとは、検索エンジンのアルゴリズムの欠陥を突いて上位表示させるSEOの手法を指す。
アルコリズムの欠陥を突くというのは、アルゴリズムの隙間を探し出してそれを利用することだ。

常に隙間は塞がれていく。
だから新しい隙間を見つけ出さねばならない。

また、欠陥を突くという行為に対してGoogleは冷酷である。
Googleは欠陥を突こうとするものに対して、ペナルティという罰を与える。
この罰は天の神が地上の者に下す雷(いかずち)に等しい破壊力を持っている。

一度ペナルティという雷を受けたWebサイトは、検索エンジンからのトラフィックを絶たれ事実上死ぬ。

ブラックハットSEOは神ともいえるGoogleからの怒りを受ける恐怖と背中合わせに、アルコリズムの隙間を突き続ける絶え間ない戦いなのである。
修羅の道そのものなのだ。
SEO業者、インハウスSEO、専業アフィリエイター・・・、この修羅の道には果てしない数の屍が転がっている。

いつ路上の屍と成り果てるかわからない。それが修羅の道。

では、

この道を往くのが嫌ならば、Googleに従わなければならないのか?
この道を放棄することは、Googleに敗北することなのか?

答えは否である

Googleに従う必要などない。
Googleなんか本当は無視してもいい。

Googleと戦おうとするから修羅の道を往かねばならないのである。
戦おうとするものは常に相手を考えなければならない。

戦うのではなく忘れてしまえばいいのだ。

Googleを一旦忘れて、どんなサイトがユーザーにとって良いサイトなのか?
それだけを考えて作ってみれば良い。

  • 誰もが納得するクオリティの品質の記事
  • わかりやすく明快なユーザーインターフェース
  • 論理的に正しいマークアップ

これを目指せばよい。
少しずつこれらの観点からサイトをブラッシュアップして行くのだ。
Googleのためではない、あなたのサイトの情報を必要とするユーザーのためである。

Googleっていうのは、特殊ではあるがユーザーであることには変わりない。
ユーザーのために作ればその過程においてGoogleから自然に評価されるのである。

Googleという特定の1ユーザーを欺いて評価されようと考えるからSEOは困難な道になる。
誰に対しても良いサイトを目指すことは、手間こそかかるが楽で平和な道である。

私は倫理的な意味においてブラックハットSEOを断罪するつもりはないのだが、それは困難な手法だからやめておくべきだと言いたいのである。

コンテンツSEOの成果を定量的に評価する方法


私のスタンスは繰り返しにはなるが、

ブラックハットSEOを倫理的な意味で非難するつもりはない。
実利を考えるならホワイトハットSEOを行うことをお勧めする。

というものである。
とはいえ、

「力なき正義は無能である」

という言葉もある。
ホワイトハットSEOが正義だと言うつもりはさらさらないが、私は倫理としてのホワイトハットSEOが嫌いで偽善以外の何ものでもないと思っている。

やるからには成果を出さねばならない。

私は近年コンテンツSEOを中核技術において、成果を出すためかなりの試行錯誤を行ってきた。
最初は成果が出るケースと成果が出ないケースがあり、どうして成果が出るのか?出ないのか?が今ひとつはっきりしなかった。
成功の再現性が今ひとつだったのであるが、昨今ではかなり安定して成果を出せるようになってきた。

ホワイトハットで実利を取ることは可能だ。
そして、ガイドラインに抵触しないためいきなり飛ぶといった不安要素がないため、ホワイトハットSEOをお勧めしたいわけだ。

こう書くと、成果が出ないケースもあるってことは、ホワイトハットにも独自のノウハウが必要なのではないか?
と思われそうだが、そんなものは実はいらない。
今までこのブログに書いてきたことばかりである。ただ愚直にやったら成果がでるということがわかったのである。

ただし、一点難しい点がある。
コンテンツを作るための経営的資源(資金、人員)は限られているため、優先順位をどこに置くかが非常に重要だ。
またもし仮にいくら経営的資源が無限にあったとしても、SEOから得られる利益を超えて資源を投下することはできない。常に経営的資源は有限である。

コンテンツSEOがうまくいかない理由は、

  • 資源の投下が足りない(これが一番多い)
  • 自サイトに集客すべきユーザーとコンテンツがずれている
  • 優先順位の付け方が間違っている(資源の投下量が充分すぎるほどであっても赤字になったり、利益がほとんど得られないこともある)

このいずれかが大きな理由であると私は考えている。この3つが適正であり、最低限のSEOの考慮がなされていれば成果は出る

さて、私は「成果」という言葉を使ったが、それではホワイトハットSEOにおける「成果」とは何であろうか?
ホワイトハットSEOについて様々に語られているにもかかわらず、ホワイトハットSEOの成果とは一体何かについて詳しく述べられているのあまり見たことがない。
なので、私はこう考えているということを書いておきたいのだ。ということでやっとここからが本題だ。

SEOの評価基準は2つある。

  1. ファインダビリティ
  2. コンバージョン

この2つであり、これはブラックハットSEOであろうが、ホワイトハットSEOであろうが全く一緒だ。
ファインダビリティとはSEOにおいては、検索エンジン経由でどれだけ自サイトが発見されやすくなっているか?という意味である。

特にブラックハットSEOにおいては検索順位ばかりがクローズアップされるが、ビッグキーワードにおける検索順位はファインダビリティに非常に大きく影響するから重要なのだ。月間検索回数100,000回のキーワードでの1位表示は、検索回数100回の1位表示に比べて単純計算で1,000倍の価値がある。

SEOの第一目的はファインダビリティを高めることである。
だから、自然検索経由でどれだけアクセスを増やすことができたのか?
を測れば成果を比較的容易に測定できる。

コンテンツSEOの成果であれば、新しく作成したコンテンツをランディングページとするアクセス数をAnalyticsで測るのは容易だ。
そのコンテンツが存在しなければ得られなかったアクセス数である。これは確実に成果と言っていい。

もう一つがコンバージョンである。
結局のところWebサイトに集客するのはコンバージョンを取るのが最終的な目的だろう。
であるならば、コンバージョンを測らなければならない。

同じく新しく作成したコンテンツをランディングページとするコンバージョンをAnalyticsで測ればよい。
ただし、コンテンツSEOの評価を直接コンバージョンのみで評価すると判断を誤る。
アシストコンバージョンを必ず含めなければならない。

ページの種類には2つがあり、

  • コンバージョンを取るページ
  • アクセスを取るページ(コンテンツ)

がある。
コンテンツSEOで集められるユーザーは、ほとんどがすぐにはコンバージョンにつながらない性質を持っている。
だから、直接のコンバージョン数で評価するとほとんど効果がないということになってしまう。
しかし、もっとコンバージョンに至るスパンを長くとって見てみると面白いことに気がつく。

初めてサイトに来訪したのはコンテンツSEOのために作ったページであったとしても、数十日後にコンバージョンしているというケースが多く見られるのだ。
ユーザーとの初めての接点を作ったのがコンテンツSEOであったということである。

アシストコンバージョンを得るのが、コンテンツSEOの最終的な目的と言っても言い過ぎではない。
直接のコンバージョンと、アシストコンバージョンを測定して初めてコンテンツSEOの真の成果を評価することができるのだ。

SEOする前に考えるべき3つのこと


新年早々初めてのブログのテーマは

SEOする前に考えるべきこと

である。

こんなことを書いているのも、私自身がSEOそのもの対して興味があまりなくなってきていたりするせいもあるかもしれない。
SEOって結局のところビジネスの目的を達成するための一手法にしか過ぎない。
ビジネスを高い地点から俯瞰して、目的に到達する方法を色々考えることの方が楽しいと思えるようになってきたからだろう。

大切なことはビジネスの目的を達成することで、その方法の選択は各自に委ねられている。

SEOは目的を達成するための重要な選択肢ではあるが唯一無二ではない。

手っ取り早くコンバージョンを取りたいならLP+リスティングがいいし、露出を増やしたいならSEOだけでなくいかにして口コミを巻き起こすか?に知恵を絞った方がいいかもしれない。
そもそも、SEO以前に集客できたとしてもコンバージョン絶対しないだろうってサイトもあり、集客以前にボトルネックを解消しなくてはならない。

私が最近見た事例では、テレビCMなどに大量に販促予算を使っているにも関わらず、問い合わせフォームの入力が難しすぎた会社がある。
問い合わせフォームを改善しただけで、数ヶ月分のコンバージョンをわずか1週間で稼いでしまったということもある。

まずはSEOに取り組む前に、自分のサイトは何のためにSEOをするのか?
今のサイトは集客してコンバージョンする見込みがあるのか?をよく考えるべきだろう。

さて、今回は私なりにSEO以前に考えるべきことをまとめてみた。
これらをサイトの企画の時点、リニューアルの時点、SEOを行う前に考えて欲しいのである。どちらかというと戦略寄りの話しである。

1.サイトでPRしたいことは誰にとってメリットがあるのか?

実はここが最も重要だ。
いくら露出しても、誰のためにもならないサービスも存在する。
サイトの企画そのものがどう考えても失敗ってケースが多い。

ネットでそれを買いたい、その情報を知りたい人がいるのか?

そんな対象者が存在しないというケースが多い。

私はかつて様々なネット系のサービスの立ち上げに参画したり、その手のベンチャー企業に対しての投資の適格性を判断したりしてきた。
最初はその手のサービスを見聞きすると、心がときめいたりしたものだが、そのうちだんだんうんざりするようになったものだ。

「これはニーズがある。だからやりたい。だから出資して下さい。」

いい加減聞き飽きたわ。って感じである。

「じゃああなたはそれを自分の財布から金を出して買いたいと思う?」

って聞くと、

「いや、私は思いませんが、これを買う人はいるはずです。」

最もその商品なりサービスを知っているはずの人すら買わないものを、見ず知らずの誰が買うものですか?
である。

自分の生活と無関係のBtoB系のサービスだったとしたら、そのサービスを利用する対象者に聞いてみて、

「それ、あったら今すぐ買うわ」

って誰か答えただろうか?
ネットでは面と向かって説明するよりもはるかにメッセージは伝わらない。
面と向かって説明しても買うっていう人がいないサービスに利用価値は全くないのだ。

これは全く新しいサービスだけに限らない。
今まで世の中に普通にある商品やサービスについてもあてはまる。

なんの特徴もないティッシュペーパーを、値段も普通だったら誰が買うか?
と、考えてみればわかる。
こんな例だったらすぐ判断できるのに、いざ自分が普段売っているものだったりすると、思い込みがあるせいで、

「ネットでも売れるに違いない」

と思いがちである。
自分だったら買うか?を考えたほうがよい。

2.自分のサイトでなくてはならない理由があるか?

ティッシュペーパーであってもとても値段が安いとか、使い終わった箱を集めると何か面白いものが作れるといった「何か」価値があれば、ネットで売る意味が出てくる。
そして重要なこと、サイト内に、

「何か」

がきちんとアピールできているか?
が重要なのだ。
これがアピールできていないサイトにはほとんど会社パンフレット以上の意味はない。

あれもできます、これもできます、あれ売ってます、これ売ってます・・・

って書いてあるだけのサイトから何かを買ったり、問い合わせをすることはまずない。
このサイトでなくてはならない理由、それがきちんとアピールできているか?

「アピールすることがない」

と思っている人も多いかもしれない。
ならば、あなたの会社で売っているものはネットの世界において競争力が全くないのである。

独自のサービスを付け加える、今まで誰も考えなかった、ネットの中では好まれる、

といった「何か」が必要である。
抽象論を書いていてもしかたがないので、一つだけ例を挙げておこうと思う。

釣り船の一俊丸はまれに見る成功例だろう。
専門職だと考えられてきた釣り船の船頭さんを、サービス業に転換して大成功した例だ。
釣り船といった昔からあり、かつネットとの親和性が低そうな業種であっても工夫次第ではやれるということだ。

一つ考重要なことがある。

思い切りである。
この釣り船の例だが、禁煙にするといった変革を行ったそうだ。
それによって今までの固定客は全く来なくなったらしい。
今までの成功事例を頭の中から消し去る勇気が必要である。できないのであれば、ネットで商売するのは無理かもしれない。

下請けの工場に対して、

「5%コストダウンしろ、しないと別の会社から買うぞ」

と命じると、それまで散々コストダウンを行ってきた工場だともうコストダウンの余地がなく、ギブアップせざるを得ないことがある。
これとは逆に、

「30%コストダウンしろ、しないと別の会社から買うぞ」

と命じられると、30%のコストダウンは今までのやり方の延長上では不可能なので、根本からやり方を最高せざるを得ない。
やり方を根本から見なおすことで達成できたりする。

こんな無茶な要求の善悪はともかく、このような発想の転換が必要なのである。

3.コンバージョンを阻害する要因はないか?

1.2.がきちんとできているサイトであれば、サイトに集客することができれば、多分コンバージョンが得られるであろう。
しかし、阻害要因があれば話は別である。

記事の冒頭で述べたように問い合わせフォームが駄目だったりというのは論外なのだが、そんなケースも多い。
しかし、そんな論外を除いて重要なことは個人情報を預けるにふさわしい信頼感を感じられるか?
そこが重要だ。

信頼感の欠如は重大な阻害要因である。

サイトの作りが素人っぽい場合であっても信頼感のある作りというものはある。

「そのサイトを運営している人が信用できると思えるか?」

である。
例えば旅館のご主人が一生懸命作ってますって感じのサイトであれば、デザインが素人臭くてもさほど問題にならない可能性が高い。
2.がきちんとアピールできていて、それを欲する人がサイトに来訪したのであればコンバージョンするであろう。

有名な会社以外は、運営者の人となりであったり、会社が確かに運営されていることを最低限示さねばならない。


ここに3つの考慮事項をまとめてみたが、この3つは最低限である。しかし、最低限すら満たしていないサイトが実に多い。
まずは、新年にこの観点から自サイトを見なおしてみるというのはいかがだろうか?

SEO担当者は誰に向かって仕事をしているのか


今日もSEOの技術とは全く関係がない話題である。

最近思うことがある。

悪だと言われまくっているSEO業者であっても、中で働いているSEO担当者は悪とは限らないということを言っておきたいのだ。
結局は誰を自分の主人だと考えて仕事をしているのか?
という問題である。

SEO業者に勤務している担当者には4つの主人が考えられる。

  1. 自分の担当するクライアント
  2. 検索エンジンそのもの
  3. 担当者自身
  4. SEO業者の経営者もしくは上司

今風の言葉で言うならば、
「誰得?」
っていう話だ。

1.自分の担当するクライアント

私は全てのビジネスマンは自分のクライアントの利益を再優先に考えるべきだと思う。

私が考える本来あるべき姿は1番目の自分の担当するクライアントだと思う。
これはクライアントの要望に無条件に従うだけではない。
クライアントの利益を再優先に考えるならば、クライアントよりも更に高い視点、広い視野から見る必要がある。
クライアントのためにならないことは、その理由を説明し、対案を提示して説得する義務を負うだろう。

「被リンクで手っ取り早く上げてくれ」

って言われたら、私がSEO業者の担当者ならクライアントの利益にかなわないことを説明する。
対案は常に持っておく必要がある。
内部改善?ロングテールSEO?PPC?
といった2の矢、3の矢を持って初めて説得力を持つだろう。

それらもコスト的、期間的に見合わないと判断した場合にのみ、出来る限りリスクを回避する方法で被リンクを貼るといった対応がベストだと私は考えている。
被リンクのリスクを出来る限り回避する方法はこちらを参照のこと

また実際のところ担当者はクライアントを第一に考えているかもしれないが、そうできないという事情も多々あったりする。
このあたりの事情は最後の4で書く。

2.検索エンジンそのもの

SEO業者の社内のR&D部門(Research&Development:研究開発)などに所属する人は、検索エンジンそのものだけを見ているといった場合もある。
しかしごく稀であり、大手のSEO業者であっても研究専門の人員を抱えていることはほぼない。

とは言え、検索エンジンだけをひたすら見ているといった担当者は存在してはいる。
こういう生き方っていうものは面白そうだと思うが、私自身はあまりSEOそのものにはそこまでの興味がない。
SEOってものはビジネスにおける一つのレイヤーにしか過ぎないっていうのが私の気持ちだ。

それで生きていけて、楽しいと感じるのであればそれはそれで自分の生き方であり、他人がとやかくいう筋合いではないだろう。
とは言え、SEOはビジネス全体からは言うに及ばず、Webの集客手法の一部にしか過ぎない。
生涯一つのスキルで食っていけるか?たいていの職業において微妙だが、SEOもその例外ではない。
SEOのスキルしかなかったらまったくつぶしがきかない。だから個人的な意見としてはSEOのみに執着することは避けたほうがいいと思う。

参考記事:SEOはいつ死ぬのか?

3.担当者自身

自分の美意識で仕事をする担当者である。
職人気質というか、自分の納得する仕事をすることが最も大切という価値観だ。
これはSEO業者に所属している場合でも、インハウスでSEOを担当している場合でも難しい。

会社は利潤を追求するために存在しているわけで、自分の美意識と利潤の折り合いをつけなければならない。
なので、このタイプの担当者はいずれ独立して価値観に共感してくれるクライアントの仕事だけを請け負うフリーのSEOエンジニアになるか、価値観を第一優先から外して普通のSEO担当者としてやっていくかのいずれかを選択せねばならない。

4.SEO業者の経営者もしくは上司

結局雇われている限り仕方がないっていう話だ。
私が一番書きたかったのはこの担当者のことである。

1~3を大切にしたいという価値観を持っていても、実際は会社員として雇われている限りはままならない。
誰から給料をもらっているか?
本来はクライアントからなのだが、しかし自分に給与を払ってくれるのは会社であり、人事権を持っているのは上役や経営者だ。

自分の良心と会社の命令をどこで折り合いをつけるか?という問題はサラリーマンにとって宿命的につきまとう。
どうやって折り合いをつけるか?なのだが、

  • 抱えている案件が少ないのであれば会社の命令に従いつつも、もっとクライアントに対し手厚くフォローする。
  • 自分で会社をコントロールする。

恐らくはこの2つしか選択肢はない。
そして、前者も後者も中小零細SEO業者しかとりえない選択肢だと思う。
特に評判が芳しくないのは大手SEO業者であり、そのような会社にいる限りはどちらも難しい。

大手だとクライアントに相対しているのはSEO担当者ではなくて営業担当者だし、組織全体を変えることも、組織のトップの考え方を変えようと試みることもほぼ無理だ。

そもそも、SEOというビジネスを大手がやろうとするならば、コンサルタントの手がかかるような営業形態はとりえない。

SEO業というビジネスモデルという記事で過去に書いたが、大手はどうしても人的コストの掛かるSEO施策は行い得ないのだ。

大手SEO業者に勤務している心あるSEO担当者は日々苦悩している。
その業者にいる限り出口のない顧客軽視のトンネルを彷徨う。

自分の力量と人脈に自信があれば独立してフリーのSEOエンジニアになるなり、大手Webサイトを運営する会社にインハウスSEO担当者として転職する道もある。

しかし、今まで怪しい被リンクの構築ばっかりやってきたのであれば、自分のスキルに自信も持てないだろう。
家族がいれば食わせなければならない。

とは言え、辞められないと信じこんで可能性を断つのは早計だ。

大体のサラリーマンは小さな杭でつながれた象のようなものだ。

象を最初に捕まえた時は、大きな木につないで逃げられないようにする。
これを繰り返すと、象はつながれている限り逃げられないものだと思うようになる。
小さな杭につながれているだけなのに逃げなくなるのだ。

自分をつないでいたのはこんなちっぽけな杭に過ぎなかったのか?

と気がつけば、逃げられる、あるいは逃げる準備をすることができる。

もし、自分の良心と現在の仕事の折り合いがつかないのであれば、自分は小さな杭につながれた象なのではないか?
と一度考えてみて欲しいのである。

競合サイトのSEOの状況を詳細に分析する方法(難解なのでコンサルタント・SEO担当者向け)


今回のテーマは競合サイトがどのようなキーワードで集客しているかを調査する手法である。
私はこうやっていますっていうだけではあるが、この手の情報が出回っているのを全く見たことはないので参考になる方もいらっしゃると思う。
わりと難解でかつ面倒、そしてGRCを持っていないとできないため、一般のWebマスターには無縁の内容である。
難解で面倒でもやってみたいと考え、かつGRCを持っている(あるいはこれから買ってもいいと思う)人のみが対象となる記事だ。
それ以外の人は時間の無駄なので、直帰することをお勧めする。

さて、

競合サイトのSEO分析で難しいのが
「どのようなキーワードで集客しているか」

である。

SEOというものは結局のところ、

キーワードを介してWebサイトに
ユーザーを集めるマーケティング活動のことである

従って、SEOの観点からサイトを分析するためにはどのようなキーワードから集客しているかを把握しなければならない。
しかし、自サイトであれば完全ではないもののWebマスターツールやAnalyticsから把握が可能だが、競合のWebサイトがどのようなキーワードから集客しているかを知ることは非常に難しい。
どのキーワードで集客しているかを分析しない限りは、SEOの観点からの分析としては不十分であり意味をなさない。

ビッグキーワードでの上位表示の技術の有無がこれまでであればSEOにおける競合分析であった。
既存のSEO系の分析ツールはだいたいそんな感じである。

しかし、SEOの主戦場はロングテールキーワードに移りつつあり、ビッグキーワードを含めた様々なキーワードでどれだけ集客できているか?
といったはるかに難しい分析が必要になってきている。
既存のツールではまず対応できない。

さて、前置きが長くなった。
その手法である。当然ながらあくまで完全なものではないが、ある程度は役に立つはずである。
当サイトを解析の例としてやってみることにしよう。

1.Yahoo!検索で100件表示で
  ページの一覧を取得する

site:minnano-seo.com

※あくまでもYahoo!検索で、100件表示でなければならない。
ページ送りをして全ての検索結果のページのURLを取得する。

  • 検索結果1ページ目(1位~100位)

    http://search.yahoo.co.jp/search?p=site%3Aminnano-seo.com&search.x=1&fr=top_ga1_sa&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&aq=&oq=

  • 検索結果2ページ目(101位~200位)

    http://search.yahoo.co.jp/search?p=site%3Aminnano-seo.com&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&pstart=1&fr=top_ga1_sa&b=101

  • 検索結果3ページ目(201位~300位)

    http://search.yahoo.co.jp/search?p=site%3Aminnano-seo.com&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&pstart=1&fr=top_ga1_sa&b=301

  • 検索結果4ページ目(301位~400位)

    http://search.yahoo.co.jp/search?p=site%3Aminnano-seo.com&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&pstart=1&fr=top_ga1_sa&b=401

といったように、検索結果の全ページのURLを取得してメモ帳などに貼り付けておく。
(最後の順位を表す数字の部分だけを変えても可)

2.取得したURLを
  キーワードプランナーにかける

キーワードプランナーでYahoo!検索のURLを解析した結果
※クリックすると拡大します

ダウンロードボタンを押し、CSVファイルを取得する。
この操作を1.で取得したURLを全て行う。

3.CSVファイルを全て足しあわせて
  一つのCSVファイルにする

出来上がったファイルがこれだ。
全部を1つのCSVにまとめたもの

4.重複キーワードを省く

重複キーワードの省き方は私だったらExcelを使って、

1)キーワードで並べ替える

2)ダブりチェック用の列を作り(ここではB列とする)、A列がキーワードだとしたら
B2にこんな関数を入れてやる。
=if(a2=a1,”ダブリ”,”OK”)
その後、これを下までコピーしてやる。
すると、ダブっているキーワードはダブリと表示されるので、これをオートフィルタをかけて削除する。
※その際に、再計算が自動になっていると1行消されるたびにワークシート全体再計算がかかってしまうため、いつまでたっても終わらないかも知れない。
なので念のため、再計算は手動にしておく。

5.ビッグキーワードを取り出す

Googleのキーワードプランナーは良いのだが、ビッグキーワードを見出しにくい欠点がある。
2語の複合キーワードを分割して1語を見出してやる必要がある。

A列がキーワードだとしたら
C列にこんな関数を入れてやる。
=LEFT(A2,SEARCH(” “,A2)-1)
D列には
=MID(A2,SEARCH(” “,A2)+1,99)

こうすることでスペースで区切られた前後のキーワードを分離することができる。
これで取り出したE列とF列をExcelに貼ってやり、4と同様にダブリを消す。

本当は3語のパターンもこれと同様に処理してやるのだが、今回は面倒なので省略する。

6.キーワードプランナーで取得できなかった
  複合キーワードを見出す

キーワードプランナーは万能ではない。
しかし、幾つかの操作を加えてやることで、隙間を埋める事が可能になる。
これはその操作である。

4.と5.で取得したキーワードをキーワードプランナーの、
「キーワードのリストを組み合わせて新しいキーワード候補を取得」
を行い、掛け合わせパターンを作る。

私は使い勝手がいいのでAdWords Editorを使って、キーワード候補を見出している。
キーワード候補
※クリックすると拡大します

サイトテーマと無関係のキーワードが多く見出されるが、これを目視で省いてもよいのだがその必要は基本的にはない。
例)「求人 転職」「無料 アプリ」「中国 ブログ」

7.CSVファイルを全て足しあわせて
  一つのCSVファイルにする

4.5.6.で取り出したキーワードを全て足し合わせる。
足し合わせるとこんな感じ

8.キーワードプランナーで全キーワードの検索数を取得する

これが実に面倒くさいことにキーワードプランナーでは検索数は一度に800キーワードまでしか取得させてくれない。
(まあ、リスティングで使うためのツールだから仕方ない・・・)
検索数を取得する処理
※クリックすると拡大します

この画面から必要な回数だけ処理を行い、何度もダウンロードして、CSVファイルを足し合わせる必要がある。

出来上がったファイルがこれだ。

検索数取得済

9.GRCに投入できるようにデータを整えGRCにかける

GRC投入データ

こんな感じに整えたら、GRCにかけてブン回してやる。

どんなビッグキーワードで上位表示しているのか?
どんなページがランクインしているのか?
想定外の集客がされているキーワードは何か?

といったことがかなり事細かにわかる。

完成したものはこちらである。

最後まで読んでいただくとほとんどがExcel上の作業であることがわかるだろう。
とは言えExcelである必要はなく、文字列の処理ができるプログラミング言語を使って処理しても全く構わない。
(実際はプログラミングで自動化したほうがいいと思う)

この手法の最重要ポイントは大量のキーワードデータを処理することにある。
データによるアプローチがこれからのSEOにとっては最重要であると私は考えているのである。


ウェブマスターツールやAnalyticsで得られるデータと照合してみるとわかるが、この方法はそれほど精度が高く出るわけではない。
実際にこの方法でも取りこぼす重要キーワードが数多くあるし、Yahoo!検索の結果は1000件までしか表示されないので、そういった制約もある。
またあまり大規模なサイトに対しては適応させるのは難しい。
※大規模なサイトに適用する場合は、クローラーを作ってtitle、meta keywords、meta description、hnを取得し形態素解析で単語を抜き出すといった処理が必要になってくる。

もっと精度を上げるなら、更にもうちょっと工夫と手間が必要になる。
特に手間は重要で、手間をかければどんどん精度は挙げられる。

しかし、基本的な考え方はこんな感じであり、他サイトを直接見る方法はないため、現状において非常に有力な手法であると考えている。

コンバージョン達成プロセスの阻害要因を確認する9つのポイント


タイトルは釣りっぽいが釣りではない。

今回はSEOよりも基本的で、かつ重要な話である。
基本的なことなのに、意外にできていないサイトがとても多いためにこのような記事を書いてみたのである。

Webサイトの目的を達成するには、

  1. Webサイトへ集客する
  2. 目的となるページヘ誘導する
  3. コンバージョンする

といったおおまかに3つのステップが必要になる。
その中の一つのステップでも問題があれば、目的を達成できない。

一連のステップは一本の鎖のようなものだ。
鎖は一番弱いところの強度しかない。

一箇所が弱いと、他がいくら丈夫でも意味がない。
Webサイトもこれと同じだ。
例えば、いくら集客力のあるサイトであったとしても、問い合わせフォームが正常に動作しなければ全くコンバージョンは上がらない。

では、前述のステップに沿ってチェックすべきポイントをまとめてみよう。

1.Webサイトへ集客する

Webサイトへの主な集客チャネルとは何だろう?

  1. SEO
  2. リスティング
  3. ソーシャルメディア

他にも様々あるが、重要なのは大体はこの3つである。順番にポイントを列挙しよう。

  1. SEO
    1-1:検索結果ページに正常に表示されるか?

    サイト名、ブランド名といったキーワードで表示されることを確認する。
    これらのキーワードで検索結果に表示されなくなってしまっていたら、検索エンジンからの集客はほぼゼロだ。
    スパムを行っていなくても、このようなことはたまに起こりうる。

    1-2:検索結果をクリックして正常に自サイトに来られるか?

    来られないケースで多いのは、ウイルスチェッカーに引っかかってしまったケース。
    自サイトをクリックしたにもかかわらず、全く別のサイトに飛んでしまうケースがある。
    昨今このようにWebサイトをクラッキングされてしまうケースが激増しており、一般のWebマスターにとって無関係な出来事とは言えなくなった。
    私も自分の管理下のサイトで何度も痛い目を見ている。

    1-3:ネガティブな事象が起こっていないか?

    上記の2つが大丈夫でも、集客力が著しく低下しているケースがある。
    っていうか、集客力が著しく低下しているケースの大半が上記の2つが大丈夫な場合である。

    重要なサイトであれば最低でも週に1日程度は確認したい。
    ウェブマスターツールによる確認が最も簡便である。「表示回数」の折れ線グラフを確認すれば、検索結果への露出の増減が一目でわかる。
    これが激減していれば、緊急に手を打たねばならないことがわかる。

    スパムを行った結果ペナルティを受けた結果、突然ガツンと下がることは珍しくないのだが、スパムでなくても何らかの事象により大きく下がることはあるので注意しなくてはならないのだ。

  2. リスティング
    広告が表示されているか?

    リスティング業者に運用を丸投げしている場合は特に注意しなくてはならない。
    特に問題なのが少ない予算の会社で、業者はまともな運用をしていない場合が多い。
    月間の予算が30万円ぐらいしかなければ、手数料が金額の20%だと6万円にしかならないので、だいたい1日程度しか手間を割くことができない。
    予算が10万円であれば、2万円にしかならないので3時間程度しか割けない。
    小予算の外注ではきっちりとした運用を期待するのは無理がある(それでもちゃんとやっている会社もあるようだが)。

    本当は小予算であれば自社で運用すべきなのだろうが、それができないならば最低限広告が表示されていることは日々確認すべきだ。

    予算切れだけではなく、その気はなくてもガイドラインに抵触したり、抵触したと誤解されて広告が止まってしまうことがある。

    リスティングのアカウントが開示されない場合は、Analyticsを使って確認しておくべきだろう。

  3. ソーシャルメディア
    ソーシャルメディア運用の目的は定まっているか?

    曖昧であれば、運用の目的を定めるまで運用を停止した方がいいかもしれない。

    無目的にソーシャルメディアは運用してはいけない。
    労力というものは非常に貴重な資源である。漫然とソーシャルメディアに時間をつぎ込むのは罪悪であるといってよい。

  4. 2.目的となるページヘ誘導する

    2-1 スマートフォン、タブレットで見た場合に適切に見られるか?

    WordPressを使っていると、スマートフォンやタブレットからのアクセスだと自動的にデザインが変わる設定になっていることがよくある。
    その場合の見え方については確認をしておかないと、場合によっては問い合わせフォームへの導線が著しくわかりにくい、あるいは存在しない場合すらある。

    2-2 目的となるページはそもそも存在するのか?

    ECサイトだとコンバージョンは購入ということになるが、リスティングなどで集客した場合に、在庫切れになっているなどで実質的にページが存在しないといったケースもある。
    重要なアイテムがずっと在庫切れ表示になっているといったケースも散見されるので、注意せねばならない。

    3.コンバージョンする

    3-1 問い合わせフォームは正しく動作するか?

    問い合わせフォームが正しく動作しなければ、いくら集客してもまったく意味がない。

    3-2 問い合わせフォームに不要な入力項目はないか?

    入力項目が多くなると、コンバージョンは減ることが知られている。
    できる限り入力項目は減らすべきだ。

    私の経験であるが、入力の必須項目の選択肢でどれを選んでよいかわからず(適切な選択肢がなかった)、やむを得ず離脱したことがある。

この程度のことは最小限の確認事項であり、必須なのだができていないケースが多々ある。
もし確認していないのであれば確認することをお勧めしたい。

SEOで有利なポジションを獲るWebライティングの急所


SEOで有利になる書き方とは何か?

これが本日のテーマだ。

title、h1といったタグにはこのページの最重要テーマとなるキーワードを含める。
共起語を文章中に盛り込むといったテクニックは、一般的なSEOのノウハウとして語られることである。

しかし、今回はこういったタグや共起語の埋め込みといったSEOのテクニカルな手法ではなく、文章技術としてのSEOのライティング技術について書いてみたいと思う。

SEOにおいて現在ではコンテンツが最重要視されてきている。
しかし、コンテンツはどうあるべきか?
について書かれている記事はあるものの、コンテンツを生み出す最も重要な材料であるライティングと、SEOの関係について書かれた記事はあまり見たことがない。

ライティングとHTMLのコーディングは別のモノである。
ライティング側の人にとってSEOを考慮すべきポイントは何か?について書いたものがあれば、有用であろうと思ったのでこんな記事を書いてみたわけだ。

しかし、SEOとライティングは関係ないという意見もある。

関係ないという意見は「正しい」

矛盾するではないか?
と思われそうなのだが、矛盾はしない。

人間が読んで、品質が高いと感じるライティングはSEOで有利なポジションを獲ることを可能とする。
つまりSEOがあろうとあるまいと、品質の高いライティングを心がければいいということなのである。
しかし、品質の高いライティングとは何なのか?

共起語といったSEOの知識で説明ができないライティングの良し悪しの観点について考えてみる。

最も重要なことは

具体性の高い文章

を書くことである。

できる限り、文章の指し示す内容が具体的になるようにする。
代名詞、一般的な用語ではなく、できる限り特定の事物を指し示す言葉を用いる。

必要に応じて詳しく描写・説明する。
目の前で行われているかのように描写・専門家のように詳細に説明することができれば、内容についてはGoogleにも伝わる可能性が高いだろう。

タラバガニのWikipediaの説明を例に挙げてみる。

  1. タラバガニは日本近海などに住む肉食の生き物。
  2. タラバガニは日本海などの北太平洋だけではなく世界中にいる。
    日本の太平洋のかなり深い海でとれたという記録もある。
    肉食で様々な小動物を食べ、天敵は人間やタコなどがいる。
  3. タラバガニは日本海、オホーツク海、ベーリング海を含む北太平洋と北極海のアラスカ沿岸、ガラパゴス諸島、チリ、アルゼンチン付近に分布する。
    日本の太平洋沿岸では、駿河湾や徳島県沖の水深約850- 約1,100mの海域での捕獲も記録されている。
    食性は肉食で多毛類、貝類など様々な小動物を捕食する。一方、天敵としては、人間以外にもオオカミウオやミズダコなどがいる。

下に行くに従って具体的である。
1番めはほんのちょっと知っている。
2番めはまあ詳しい人ってレベル。
3番目の文章はほぼWikipediaの記述であるが、専門家レベルの記述である。

3番目の文章が人間から見ると明らかに最も価値が有ることがわかる。

SEOにおいても同様である。
それは2つの意味がある。

  • 専門用語が頻出することによって、Googleは専門性の高い文章であると認識する可能性が高まる
    人間もそのような判断をしている。あまり耳慣れない言葉が並んでいる文章は、専門的な内容が書かれていると思いやすい。
    検索エンジンも同じである。日常ではあまり使わない語彙が高頻度で出現するため、特筆すべき内容が記載されている認識されるかもしれない。

    そして、専門用語についてタラバガニに関係ありそうか?なさそうかをGoogleは認識している。

    専門用語であっても全く関係ない分野(例:熱交換器、玉頭位取り、円周率、霧氷、Python、デスメタル、クラッシャブルゾーン、形態素、フリック入力 等など・・・・・・などって書きすぎだわ)はGoogleはタラバガニに関係ないものとして、これらが多く出現しても、タラバガニの検索順位のための加点をしない可能性がある。
    これも人間の判断と一緒である。例に出てくる用語は何に関係する用語か知っていれば、

    「タラバガニに全く関係ないことばっかり書いてるわ」

    と判断がつくので、いくら専門用語が頻出したとしても無関係なものと判断することができる。
    これはコンピュータにもできる手法なのだ。

  • 様々な検索キーワードでの検索結果へ露出が増える

    タラバガニ日本海オホーツク海ベーリング海を含む北太平洋北極海アラスカ沿岸ガラパゴス諸島チリアルゼンチン付近に分布する。
    日本太平洋沿岸では、駿河湾徳島県沖水深約850- 約1,100mの

    海域
    での捕獲も記録されている。
    食性肉食多毛類貝類など様々な小動物捕食する。一方、天敵としては、人間以外にもオオカミウオミズダコなどがいる。

赤く示した部分が、専門性の高いと思われる用語。
これらは評価に影響するだけではなく、検索キーワードになりうる。

例えば、「タラバガニ 植生」「日本海 オホーツク海 分布」「多毛類 捕食」「徳島県沖 海域 捕獲」といったキーワードで検索されることもあり得る。

検索キーワードは、キーワードプランナーなどで検索回数が多いキーワードを狙うだけではない。

この手のニッチなキーワードに対して広く網を張ることも重要なのだ。 
詳しく専門的に書く、言い換えれば普段使わない用語を盛り込むことは、ロングテールキーワードを狙う王道の手法であるといえる。
これについては、キーワードを意識しないロングテールSEO手法に詳しく書いたので、ご覧いただけたらと思う。

専門的に詳しく書けば書くほど、検索への露出が増える意味でも有利になるのである。


記事の専門性を高めることはSEOがあろうがあるまいがやるべきことである。
それゆえに、SEOとライティングは関係ないとも言われる。

しかし、ライティングの質を高めることは結果的にSEOで有利なポジションを獲ることにもつながるのだ。

SEO人のポジションとポジショントーク


今回の記事はまったくSEOに役に立たないので、ノウハウを読みたい方は離脱することをおすすめするのである。

さて、私はこのブログでは極力特定の立場から離れ、これが正しいのではないか、と思う意見をそのまま書いているつもりである。

そのような目で見ると多くのSEO人は自分の立場、つまりポジションを擁護、あるいは正当化するための発言を多くしていることに気がつく。
このような発言をポジショントークと言うのだが、ブラックハットであっても、ホワイトハットであってもこの呪縛から逃れる事が難しい。

ブラックハットの人の方がポジショントークからの発言が多いと思われがちだが、ホワイトハットも例外ではない。
ホワイトハットがブラックハットを批判することもポジショントークかも知れないのだ。

私は基本的にこう思っている。

SEO人であるならばブラックハットを
倫理的な観点において批判することはほぼナンセンスである

「罪なき者まづ石を擲て」

新約聖書の中の有名な言葉だ。
口語訳を引用してみよう。

「先生、この女は姦淫の場でつかまえられました。
モーセは律法の中で、こういう女を石で打ち殺せと命じましたが、あなたはどう思いますか」
彼らが問い続けるので、イエスは身を起して彼らに言われた、
「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」
これを聞くと、彼らは年寄から始めて、ひとりびとり出て行き、ついに、イエスだけになり、女は中にいたまま残された。

SEO人の中で、SEOスパムを行ったことがない人がどれだけいるだろうか?
ほとんどいないはずである。

※たまにはいるかもしれないがあまりいないと思う。ずっとホワイトハットでやってきたという方、気を悪くされたのであれば大変申し訳ございません。

スパムに手を染めたならスパムを断罪する資格はないはずだ。

と常々思うのだ。
SEO人であれば少なくともGRCぐらい使っているはずだ。
GRCのような自動化された検索を実行することはGoogleのガイドライン違反である。

石を投げる資格のある者がどれだけいるのだろうか?

と不思議に思う。
私がSEOを始めたばかりの頃のことを書いておこう。

その特定の分野で検索エンジンから集客したくて、他のWebサイトから情報を取ってくるのではなく自分で全て調べて、全部体験して記事を大量に書いた。
この時に書いた記事の質は圧倒的にナンバーワンであったと思っている。
実際に自分で体験して書いた記事はほとんどなく、そのような一次情報を大量に集積したサイトは存在しなかったのだ。

それでも全然上位表示しなかった。

その分野は検索上位がペラサイト(ほとんど中身の無い1ページしかないサイト)みたいなものが占めていて、

上位表示するためには人工リンクしかない。

と思ったのだ。

太平洋戦争直後、日本全土は深刻な食糧不足に見舞われた。
政府は食料が国民に行き渡るようにするため、食料統制法という法律を作り食料を配給制にする統制を行った。
しかし、配給は滞り正規の配給だけでは生きていくことはできなかった。
だから、ほとんどの国民は法で禁止された闇取引で食料を手に入れた。

そんな頃、東京地方裁判所の裁判官、山口良忠氏は法の番人が法を破るわけにはいかないとして、闇取引で食料を入手することをよしとせず餓死したのである。

これが美談だとされたのは、誰もが法を守っていなかったからだ。
SEOもこれと同じだと私は思う。

もし、Webサイトのキーワードでの上位表示が死活的に重要であり、ガイドライン違反を行うのが当たり前であれば、ガイドライン違反をするしかないのだ。

ガイドライン違反を行って、大きな収益をあげるWebサイトがある。
それを知りつつガイドライン違反をおかさないという運営を行うという考え方は美しいかもしれないが、Webサイトの収益に責任を負う者の態度としてはどうなのか?
という問題。

それでもあえてガイドライン違反を全くしてこなかったのか?

ということを問うべきなのではないか?

さて、前置きが長くなった。
やっと本題だ。

ホワイトハットとブラックハットのポジショントークである。

  • ホワイトハット
    基本的な主張はガイドラインを順守すべきというものだ。

    しかし、これはあくまで建前の可能性がある。

    ・清廉さというイメージを世間に与えたいから。
    ・SEOの実績、実力がないことを隠したいがブランディングはしたい。

    というポジショントークなのかもしれない。
    このポジショントークはあまり害はないのだが、後者の実績・実力のない人・会社のSEOノウハウは中身が空疎な可能性がある。

  • ブラックハット
    ガイドラインなんてものはしょせんはGoogleという一企業が定めたものであって、それを順守する義務などない。
    Googleにガイドライン違反がばれないように、うまく上位表示させるのがSEOだ。という考え方。

    大体はホワイトハットのポジショントークは空疎なだけで、読んで時間を損するぐらいしか実害がない。
    これに対してブラックハットのポジショントークは有害な可能性がある。

    ブラックハットは誰を騙そうとしているのか?

    それが問題なのだ。

    検索エンジンを騙して儲けようとしているのであればまだいい。
    人間をだまして儲けようとしていることがある可能性がある。

    そんなノウハウが無効であることを知りつつ、他人に高額で売りつけようとする輩が非常に多いのだ。
    それは情報商材であったり、腐った被リンクの販売であったりする。

さて、私はどっちなのだろうか?

ということを最後に述べておこうと思う。

私は基本的にはホワイトハットの立場に立つのだが、これを倫理的な観点において推奨するつもりはない。
重視するのは実利である。

ブラックハットの様々な手法はいつか滅びるから、自サイトが使っていた手法が滅びた時に修正をしなくてはならなくなる。
また、Googleが進化した現在ではそのリスクに見合う程、ブラックハットの手法から利益は得られない。

リスクとメリットを天秤にかけたら、ブラックハットは損だと思うし、今後ますますブラックハットは損になるはずだ。
だから絶対ホワイトハットがいい、って言いたいだけのである。

できる限りポジショントークから離れて、私なりの実利重視の中立的な視点から好き勝手にSEOを語っていきたいと思っている次第だ。
今後共よろしくお願いいたしますなのである。

SEOはWebサイトの企画と切り離して考えることはできない


SEOは一般的にはサイトが完成してから行われることが多い。
しかし、それではSEOを充分に行うことはできないのだ。

SEOはただ単に上位表示の技術ではない。
SEOはマーケティングである。

私は常々このブログでも書いているが、

情報を発信したいWebマスターとその情報を知りたいユーザーを
検索キーワードを通じて結びつけるマーケティング活動

これがSEOである(ちなみにリスティング広告も同じである)。

だから、SEOのためには、

1.ユーザーニーズを洞察する

これがまず必要であり、これが全ての基礎になる。

  • このサイトを見るべき人は誰か?
  • 何をアピールしたいのか?
  • いつ見てもらいたいのか?
  • どこで見てもらいたいのか?
  • なぜ見てもらいたいのか?
  • どのように見てもらいたいのか?

といった思考過程が必要である。

以前私は、「ロングテールSEOの基本 No.2」という記事の中で、キーワードは5W1Hで発想すべきということを書いた。

ユーザーはどのような顕在化した、あるいは潜在的ニーズを持っているか?
ニーズはどのようなキーワードとして投影されるか?

これを洞察するためには徹底したユーザー視点が必要であるのだ。
その過程はサイトの企画を考えることをほぼ等しい。

根源的な問いがSEOには必要であり、これなしにはSEOはありえないのだ。

その次のステップとしてユーザーのニーズを洞察した上で、

2.ユーザーの必要とする情報は何かを知る

ことが必要になる。
考えるべきことは、一つ一つの記事の内容ではない。
自サイトに来るべきユーザーの求めている情報の体系とは一体何であるか?
である。

このステップはSEOの技術的な意味においても非常に重要だ。

これまでの人為的外部施策を中心としたSEOであれば、外部のサイトからの被リンクによってビッグキーワードの順位をあげるのが主流だった。
しかし、この手法はリスクが高まったことにより時代遅れとなってきている。

どのような情報を集積して、如何に整理するかが最も重要になってきている。

現在は外部リンクなしでも充実したコンテンツがあれば、かなりのビッグキーワードであっても上位表示するようになってきた。
しかし、上位表示には一貫性のあるコンテンツの階層構造が必須である。

サイト構成が重要だ」の中で、内部施策によりビッグキーワードで上位表示させるための方法を書いた。
キーワードの抽象度が高まれば高まるほど、言い換えてみればビッグキーワードになるほど、様々な関連情報へアクセスできる、情報の起点のページが有利になりやすいことを書いた。別の表現で書くならば「目次ページ」が有利になりやすいということだ。

目次ページにどのようなコンテンツを並べるかは、サイトの企画に他ならないわけでどのようなサイトを作るべきか?
と不可分に結びついている。というか同義である。

3.ユーザーが求めているキーワードとその意味を知る

単にユーザーニーズからキーワードを導いても充分ではない。
キーワードには検索意図があり、その検索意図を満足させるコンテンツを作らなければならない。

検索キーワードに関するコンテンツであったとしても、検索意図に合致していなければ上位表示しにくい。

また、検索意図に合致していたとしても、検索意図を満たす内容でなければならない。
これには2つの意味がある。

1)検索意図を満足させないコンテンツは結局コンバージョンに結びつかない

いくらユーザーを誘引したとしても、検索意図を満足させることができなければ「戻るボタン」で検索結果に帰ってしまう。
検索ユーザーを騙す、あるいは不完全な知識しか提供しないコンテンツでの集客は、本来の目的を達成することができないということだ。

2)検索順位が上がらない

ユーザーを満足させることができないコンテンツでは検索順位が上がりにくい。
不思議なことなのだが、ロングテールSEOを実践していると気がつくことである。
Googleは共起語の出現頻度といったアルゴリズムを用いて、コンテンツの価値を測っている。
共起語チェッカーといったツールもあるが、Googleの検索APIなどをたたいて検索スニペットなどから、共起語っぽいものを拾っているだけである。

Googleが認識している真の共起語は我々には分かり得ない。
だから、共起語をコンテンツに盛りこもうなんて姑息な努力に意味はないと私は思っている。
あくまでユーザーのニーズに沿うための文章を作る過程において、共起語は自然に織り込まれるはずなのだ。それこそがGoogleの考える価値ある文章であろう。

順位をあげるために共起語を入れるのではなく、ユーザーのニーズが先にありその結果として共起語が文章内に存在するのが正しいのだ。

4.コンテンツを作るための戦略を立案する

全ての検索キーワードにおいて、完全にユーザーのニーズを満たすコンテンツを作ることが理想である。
しかし、現実問題としてそこから得られる利益との兼ね合いがある。
必然的にコンテンツの作成に投入できるコストには制限が生まれる。

ブランディングの兼ね合いでコストをかけてもよいコンテンツもあるし、SEO目的しかなければ得られるコンバージョン数や検索数に厳しく制約される場合もある。

そのコストの範囲でどのように最良のコンテンツを作るのか?
ここには戦略が必要だ。

社長が書く、その分野の専門の担当者が書く、その道の権威に依頼する、外注のライターに依頼する、CGMで集める・・・

様々な方法があるが、自サイトで取りうる運用体制を抜きに考えることはできない。
いくら理想を言っても絵に描いた餅では仕方がないのだ。

現実解と理想をいかに折り合いをつけ最適解を導くか?
ここまでサイトの企画段階において考えなければならない。


まとめてみよう。
SEOはサイトの企画・運営と不可分の関係にあり独立して存在するものではない。

被リンクではない現在のSEOでは、それだけ切り離して施策できるものではないということなのである。

くだらない質問はなぜくだらないのか


SEOには色々なくだらない質問がある。
  • 日本語ドメインは有利なんでしょうか?
  • 相互リンクは本当に効果がないのでしょうか?
  • 文字数を多くするよりページを多くしたほうがいいのでしょうか?
  • 無料ブログからの被リンクには本当に効果がないんでしょうか?
  • 更新頻度を上げるためにちょっとだけでも更新したほうがいいのでしょうか?

くだらないとまで言ってしまうと語弊があるのだが、実際に私はこの手の質問はくだらないというか、考えるに値しない質問だと思うわけだ。
本当のところは、この手の質問に対して答えることは可能である。
そして「今現在は」という留保をつければこれが正解という答えをだすこともできる。

しかし、それをわかった上で、これらの質問には意味がないと言いたいのだ。

なぜ意味がないのか?

これらの質問は、

検索エンジンの目指している本質から目をそむけているからだ

検索エンジンはユーザーが見て有用なページを上位表示させるように日々改善されている。

なので、SEOについての質問とはGoogleが考えるところの有用なページとはどのようなものなのか?
を考えることがまずは大原則である。

そして、そこから答えを導き出すことが未来にわたって通用するSEOである。

ところが上記の質問には、有用性という観点がまるっきり欠如している。

だから、今現在はGoogleはこう動くという答えをだすことはできるものの、それは今現在に過ぎず、いつまでも通用する原理原則ではない。

上記の質問について考えてみよう。
(現在というのは2013年9月時点を指している)

  • 日本語ドメインに関して
    上位表示を狙うキーワードで日本語ドメインを取得すると有利であることは確かだ。
    しかし、ドメイン名の本質はブランド名であり、自サイトをユーザーからどう思ってもらいたいか?
    という観点から考えられるべきものである。
    ドメイン名にキーワードを含むと、そのキーワードがそのサイトとして重要だとユーザーも思うだろう。
    結果として順位が上がる事があるわけであって、SEOがあるからドメイン名があると考えるのは主客転倒以外の何物でもない。
  • 相互リンクに関して
    相互リンクとはそもそも何か?
    自分が紹介したいページがあったのでリンクをした。別に相手からの見返りを求めていたわけではない。
    でも、リンクをした相手も自分のページを見に来てくれて、気に入ってくれたらリンクを返してくれたというのがそもそもだ。
    このような相互リンクであるならば、相互リンクであったとしてもリンクは見に行くべきページを紹介するという意味において大きな価値がある。

    私が初めてホームページを作ったのは1995年のことだ。
    お気に入りのページを見つけると中の相互リンクのページを見たりして、紹介されているページを読みに行ってWebの世界の楽しみを広げたものだ。
    この種の関連性において相互リンクは考えるべきことであって、SEOが先にあるわけではない。
    ましてや現在ではこれほど検索エンジンの性能が上がっているので、相互リンクの価値は著しく減じていると言えるだろう。

  • 文字数を多くするかページを多くするか
    確かにSEOを考えた場合にはtitleタグは決定的に重要なので、2種類以上のキーワードで上位表示させたい場合はページを分割するべきだ。
    しかし、文字数を多くするかページを多くするのか?と単純に言い切れる問題ではない。
    ページを分割すると個々のページの情報量が少なくなるため、titleタグが増やせるメリットはあるものの上位表示はしにくくなるだろう。

    SEOの技術論から言うとそういう結論だが、ユーザーの視点から考えたほうがよりわかりやすい。
    ユーザーから見て情報量が少ないページにはあまり価値がない。
    しかし、様々なテーマが一つのページ内に混在していると情報がどこにあるか探しにくくなる。

    だから、結局のところ答えとしては、テーマに沿ってページを作成し、かつ主題について必要十分な量を1ページに書けという結論になる。
    SEOの技術論として考えるよりも、ユーザー視点で考えたほうがより適切に解を導くことができるし応用が効くのだ。

  • 無料ブログからの被リンク
    無料ブログからの自作自演リンクには効果があることは確かだ。
    しかし、その前提として、その無料ブログに読むべき価値があり、かつリンクをクリックする意味があることが重要なのだ。
    それであれば、自作自演であろうがあるまいがそのリンクには価値がある。

    結局のところこれもユーザー目線で見た時に、その無料ブログからのリンクに意味があるかどうかにかかっている。
    もし、ゴミのようなページからリンクをしているのであれば、今、この瞬間は上位表示に貢献しているかもしれないが、いつそのリンクが無効化されたり、逆にマイナスの価値と判断されるようになるかはわからないのである。

  • 更新頻度を上げたほうがいいか
    検索エンジンは情報の鮮度が高いページを評価するという理屈に基づき、ページ内のごく一部を書き換えたり、毎日自動的にプログラムで更新日を書き換えたり・・・。
    といた施策をしている人もいる。
    しかし、こんなものこそまさに無意味としか言いようがない。

    更新する必要のないページは更新する必要がないし、古くなって実情に則さなくなったページは更新すれば良い。
    ただそれだけのことである。


具体論に踏み込んで今回は書いてみたので、今回の答えに至る考え方はヒントになると思う。
SEOで困ったことがあった場合は、ユーザーの視点で見てどう結論付ければよいのか?を上記のように是非考えていただきたい。

検索エンジンはユーザーの利便性のために作られているのだから、迷ったときはユーザーの利便性を考えれば自ずと答えが出ることが多いのである。

SEOにおいて品質の高い記事を作ることとコスト


2ヶ月ほど前になるが、海外集客・インバウンドマーケティングのサイトエンジンブログというブログの、「
SEOでいう質の高いコンテンツとは? 1ページあたりのコストを決めるための考え方」という面白い記事があった。

確かに品質の高い記事を作ることはSEOにとって重要であり、この記事に書かれていることはまったくもってその通りではある。
しかしながら、

1.記事の品質とSEOの関係

2.記事の品質 = コスト
と言えるのか?

この2つの点について色々思うところがあったため書いてみたいと思ったのが、本日のテーマである。

まず最初のポイントだ。

1.記事の品質とSEOの関係

についてまず述べてみよう。

ところで、そもそもSEOの目的とは何か?

「検索結果に自サイトのページを露出させることから集客し、知名度のアップやコンバージョンにつなげる」

ことが目的である。
これを分解すると、

  • 検索結果への露出
  • 知名度のアップ・またはコンバージョン

この2つに分けられる。

記事の品質とSEOの目的達成には大きな関連性がある。
まず、記事の品質によって検索結果にどれだけ露出するかが変化する。

Google社はコンテンツの評価基準を下記の6段階に定めている。

rating-scale・Googleのコンテンツ評価ガイドライン(英語)
詳しくは、Search Quality Rating Guidelines(英語)の6ページを参照のこと。

  1. Unratable(評価できない)
    評価ができない(ページを読み込むことができないなどの理由による)。
  2. Off-topic or Useless(無関係または役に立たない)
    このページはほとんど誰の役にも立たない
  3. Slightly Relevant(少し関連性がある)
    このページはほとんどのユーザにとってあまり役に立たないが、検索キーワードに少し関連はしている。一部のあるいは少数のユーザとっては役に立つ。
  4.  Relevant(妥当な)
    このページは多くのユーザーまたは一部のユーザにとって役に立つ。
  5. Useful(役立つ)
    このページは多くのユーザーにとって非常に役に立つ。
  6. Vital(不可欠)
    限られた場合のみにVitalという基準は使われる。
    (人・場所・会社・飲食店・製品・組織などを指し示す検索キーワードについての公式ページ。詳しくは12ページ参照のこと) 

実際にGoogleはこのようなガイドラインに従ってコンテンツを評価しようとしており、その企てはある程度うまくいっている。
同じような文字数でコンテンツを作っても、検索順位が上がるページは品質が高い有用なコンテンツを投入したケースが多いというのが私の実感だ。

アルゴリズムでコンテンツの品質・有用性が評価できるのか?
完全にはわからないだろうが、かなりわかる可能性が高いと私は思う。

数万とか数十万とかといった数多くのコンテンツを人間が分類・採点する。
次に採点とコンテンツをコンピュータに投入し解析することで、人間の採点する傾向となるべく近くなるような計算式を導くことは原理上可能だ。

Googleは小規模であっても、検索上位に表示させるべきではないか?というWebサイトを現在募集している。
Small website survey
これである。私はこの調査は前述の計算式の改善のために使うのではないか?と考えているのだが・・・。

といったわけで、まず検索エンジンに露出するためには記事の品質が重要であるということだ。

次に、知名度のアップやコンバージョンにも記事の品質が重要であるということを書く。

せっかく検索結果に露出したとしても、

  • 記事の内容が的はずれだったり
  • 誤字脱字があったり
  • 中に書かれている記述に誤りがあったり
  • 文章が拙劣であったり
  • 内容がありきたりであったり

したら、知名度のアップにもコンバージョンにもつながりにくくなる。
つまりSEOの目的を達成できないのだ。

つまりSEOの目的を達成するためには、記事の品質が重要な要素であるということなのだ。

次に

2.記事の品質 = コスト
と言えるのか?

について考察してみたい。
記事の品質とコストには大きな関連があるのだが、イコールではない。

コストをかければいい記事を作れることは間違いない。

しかし、全ての記事をプロのライターに依頼して書いてもらうということは、SEO目的においてはあまり現実的ではない。

記事の調達コストは、得られるリターンから逆算しなければならないからだ。
これは記事を外注する場合だけでなく、内製する場合でも同様だ。

もし、月間検索数500回のキーワードについて、1,000文字書いてもらった場合を想定しよう。
首尾よく上位表示されたり、想定外のキーワードの掛け合わせで月間100人集客できたとする。
そのうち、0.5%がコンバージョンしたら月間大体0.5人の引き合いが取れる。

しかし、これだけコストを掛けても上位表示されない場合もあるし、その他のキーワードでも集客が全くできない可能性もある。
というか集客できるかどうかはやってみないとわからない。

そのリスクを考えた上でどこまでコンテンツに対して投資できるか?

平均すると、1つのコンテンツについて、月に0.1人のコンバージョンだったとし、投資は1年で回収しなければならないものとする。
(計算が面倒なので、コンテンツをWebサイトに投入して順位が上がるまでのタイムラグについては考慮しない)

そうすると、1つのコンテンツにつき、年間1.2コンバージョンが見込めるという計算になろう。

1文字単価40円というプロのライターに執筆させると、4万円をかけて1.2コンバージョンである。

これで採算にのるのか?
なかなか難しいだろう。
リスティングに比べてもおそらくはかなり割高だ。

コンテンツを外注せずに、社内で内製した場合でも状況は変わらない。
給与の総支給額ベースで月給40万円の社員は、40万円分の仕事しかしていないわけではない。
給与の数倍の付加価値を生み出しているから、社員は社員として雇用されているのだ。

少なくとも3倍、つまり40万円の社員の1ヶ月の労働価値は120万円以上になろう。

1日に2記事つづ作成したとして、1ヶ月20稼働日だったら1ヶ月で40記事作成できる。
素人が1日に2000文字書くのはなかなか難しいから現実的にはこんなもんだろう。
1記事に要するコストは3万円にもなる。

外注のプロのライターに書かせるのとあまり変わらない数字だ。
社員を動員して、SEO目的で記事を書かせるということも現実的には得な選択肢とも言いがたいということだ。
(コンテンツを作る目的はSEOだけではなく、ブランディングといった意味合いもあるし、ソーシャル経由といった集客もある。そこまで考慮すると費用対効果は変わってくるが、今回はそこには踏み込まない)

ならばどうするか?

  • 文字単価を下げる
  • 社員のライティングスキルを高める

後者には限界があり、前者の方が改善できる伸びしろがはるかに大きい。

一つの方法としてクラウドソーシングの利用がある。
現在ランサーズといったクラウドソーシングが大流行だ。

クラウドソーシングではSEO目的のライティングの案件が目白押しだ。
1文字単価0.2円とかそんな案件が多い。

これだとさすがに1日に5000文字書いても、わずか1000円にしかならないのでさすがに低品質のコンテンツしか集まらない可能性が高い。

しかし、もうすこしばかり出せばかなり高い品質の記事を集めることは可能だ。
その際に必要なことは、ライターの良し悪しを見ぬく眼だ。

良いライターを選別して依頼することで、低価格でもかなり良質なコンテンツを集めることができる。

内職だと、時給に換算すると100円とかで働く人もいる。
それを思えば、ライティングはこれよりもずっと高価だし、一日中同じ作業を行っているのに比べてある程度楽しい部分もある。
安い金額でも優秀なライターが集められる土壌はあるのだ。

それともう一つ。

金額以外のインセンティブ、ゲーム性などによってコンテンツを集めるという方法もある。

これがむしろ決定版ではないか。
Wikipedia、Cookpad、食べログ、Yahoo!知恵袋、2ちゃんねるといった有名Webサイトは全くコンテンツそのものに費用をかけることなく、有用であったり、独自性のあるコンテンツを集めている。
また、nanapi・allaboutなどは無料ではないがブランディングにつながったり、心理的なインセンティブを与えることで大きな費用をかけずにコンテンツを集めることに成功している。

普通にコンテンツを作ってSEOしようとすると費用がかかるが、工夫次第で費用を低減することは可能だということである。

SEOとリスティングの思考の違い


SEOとリスティングはどちらも検索エンジンマーケティング(SEM)の販促手法である。
というかSEMといえばこの二つしかないと言っていい。

以前に「新版 リスティング広告 成功の法則【阿部 圭司著】 リスティングとSEOの本質は同じ」という記事を書いた。

リスティングもSEOも検索キーワードを媒介として、ユーザーと検索エンジンから集客するため根本的な思考は共通している。

  1. ユーザーのニーズを洞察し
  2. ニーズから検索キーワードを推測し
  3. 検索結果をクリックさせるためのキャッチコピーを考える

この一連の集客のための発想・思考は共通であるため、根本は同一と言える部分がある。
しかし、違う点は数多くある。

一般的にSEOとリスティングの違い、言い換えるとメリットデメリットは以下の通りだと言われている。

SEOとリスティングの比較

リスティングは即効性、確実性(費用さえ払えば確実に表示させられる)に非常に優れるが、費用がかかることが欠点だと言われる。
端的に言えばそういうことなのだが、これはニュアンスの違いのごく一部しか言い表していない。

どんな名作と呼ばれる小説であっても、あらすじを50文字で書いてしまったら味もそっけもなく、どうして感動したのかわからない。
それと一緒だ。

SEOとリスティングは決定的に違うものなのだ。

根本の思考は共通であるにもかかわらず実務においては全く違う。
両者を高いバランスでこなせる担当者はまずいないことからも明らかである。
私はSEOのプロ、リスティングのプロと話をすることがよくあるが、どちらもやるという人にあったことがない(インハウスにはいるかもしれないが)。

笑い話のような笑えない話だが、住太陽氏のSEOのセミナーの参加者の中に、SEOを無料のリスティングだと勘違いして聴講に来ていた人がいて非常に面喰っていたらしい。
これは極端な話であるが、非常に違うのである。

ではどう違うのか?

私はリスティングに詳しいわけではなく、本を読んで近年実践を始めたばかりなのだが、私の感じたことを書いてみたい。
ちなみに読んだことのある本は以下の2冊。いずれも良書なのでお勧め。気が向いたらアフィリエイトリンクなので買ってください。最近子育てにお金がかかるので助かります。

リスティングがSEOと違うと感じた点は以下の通りだ。

  1. 準備に手間がかかる
    通常はコンテンツを作ることイコールSEOとなるが、これは一朝一夕にはできないので、少しづつ作り上げていくといった感じになる。
    (サイト構築時に行うSEOは別。きちんと準備せねばならない)
    ところが、リスティングの場合は先を見通して、周到に準備する必要がある。
  2. 調査・工夫・推敲により精度を高め続けることが可能
    どこでやめるか、言い換えればどのあたりで妥協するか?がすごく難しい。
    ユーザーニーズの分析、競合分析、キーワードの洗い出し、広告文の作成・校正のいずれをとっても手間をかければいくらでも手間をかけられる。
    手間をかければアカウントの出来は良くなるが、手間をかけ続けているといつまでたってもアカウントの作成が終わらない。
  3. 常に軌道修正が必要
    SEOの場合は一旦方針を固めたら後はその方向に向かってひたすらやるだけだ。
    しかし、リスティングの場合は常に微調整が必要だ。時には微調整というレベルではなく大幅見直しも必要になる。
    これを絶え間なく毎日のように行う。
    SEOはサイト自体を育てるがサイトは成長が遅い。
    それに対して、リスティングのアカウントは手をかければかけるほど早く成長する。そうして改善しないと今この瞬間にも無駄な出費が続くので、可能な限り早く動かねばならない。
  4. 費用対効果が明確
    SEOは基本的には費用をかけるものではなくて手間をかけるものである。
    しかし、サイトの修正や再構築といったことが必要になる場合には費用も必要になる。しかし、費用対効果は不明瞭だ。
    その手間や費用をかけたから検索エンジンからの評価が上がって、コンバージョンが取れたという因果関係はなかなか証明しにくい。
    これに対して、リスティングは非常に明確である。
    運用側としては大きなメリットであるのだが、担当者としてはごまかしも言い訳もできないためプレッシャーが厳しい。
  5. リスティングはリスティングだけで完結しない
    前の費用対効果が明確にもかかわることなのだが、SEOもSEOだけでは完結しないのだが、SEOの場合はコンバージョンまでの責任を求められないことがほとんどだ。
    SEOはWebサイトに集客するまでの仕事と捉えられることが多いが、リスティングは結果が求められる。
    結果を出すためには、リスティングだけでは無理でサイト全体の導線を改善したり、デザインやキャッチコピーを魅力あるものに変えたり、LPを作成したり・・・。といった努力が必要になる。
    リスティングだけ頑張っても難しいのだ。
  6. リスティングには科学的思考が求められる
    SEOは文系的な集客手法だ。結局のところ、ユーザーにとって役立つコンテンツを作れば集客できるのがSEOだ。
    しかし、リスティングは常にCTR、CPC、CPAといった数字を見ながら、改善を続けていくという思考が必要になる。
    数字を把握するためには、常にGoogle Analyticsを見て、データを読み解く技術が必要。
    SEOの場合は、検索順位、検索クエリ数、検索エンジン経由の集客数といったウェブマスターツールで把握できるぐらいの情報があれば、日常の業務においてはだいたい事足りる。
    リスティングの場合は数字を見るだけではなく、分析して、そこから次にどのようなアクションを取らなければならないか?を自分で導き出さないといけない。
  7. リスティングは覚えることが多い
    操作や、用語など覚えなければならないことが非常に多い。SEOは専門用語なんかわからなくたってできることがほとんどだ。

といった違いがある。
一つ一つの違いがとても大きく、それゆえに両者をこなせる担当者がいないと私は考えている。

しかし、SEO担当者にとってリスティングを学ぶメリットは大きい。

  • キーワード選定の精度が大きく高まる。
  • SEOは成果が出るまでに時間がかかるため、まずはリスティングを先行させることで成果を早く得ることができる。
  • リスティングで広告文をテストすることで、CTRの高いtitle・descriptionを作ることができる。
  • リスティングでPDCAを回しCPAを改善する過程において、現サイトのボトルネックを潰すことができる。

といったわけで、SEO担当者もリスティングをやってみることを強くお勧めする次第でである。

もしも検索エンジンがなかったら


もしも検索エンジンがなかったら
どうやってWebサイトに人を集めるか?

これが今回のテーマである。
私が初めてホームページを作ったのは1997年のことである。
(余談だがこのサイトはYahoo!カテゴリの「文学」に登録されていた。閉鎖してしまったのは惜しいことをした。あの頃の自分にSEOって言葉を教えてやりたい・・・)

Yahoo!Japanの創業が1996年である。
検索エンジンはまさに誕生したばかりの段階で著しく未発達だった。
Webサイトはまったくバラバラに存在しており、必要な情報を探すのは困難だった。

せっかく作ったサイトに人を集めたくて、様々な努力をしたものである。
現在のように検索エンジンは発達しておらず、ソーシャルメディアも存在しない中で、どうやって人を集めたのか?

ここに今に通じる集客のヒントが隠れていると思うのだ。

当時のWebサイトではCGIといった仕組みもほとんどなく、掲示板すらまれであった。
だから、Webマスターへの連絡はメールが主な手段だった。

  1. ソーシャルメディアでの言及
  2. トラックバック
  3. ブログへのコメント
  4. メールもしくはメールフォームでの連絡

私の感覚では、Webマスターへの連絡手段としては、この順序で下に行くにしたがって重くなる感じだ。
言い換えれば

「いい加減にはできない」

という感じになる。
メールは重たい手段だ。
よほどの用件がなければ使わない。

当時はそれしかなかった。
その中においてメールを送るのは、よくよく考える必要があった。

自分のWebサイトをPRしたいというのが目的であった場合は、自分のPRだけをするわけには当然いかない。

  1. 自分が面白い・好き・趣味が合うと思うサイトを見つける
  2. 自分のサイトで紹介文を掲載しリンクを貼る
  3. 「自分のWebサイトで紹介させてもらいました」と書く
  4. 相手も自分のWebサイトに来訪して内容を読む
  5. 相手も気に入ってくれたら同じようにリンクしてくれる

こんなやり取りが当時一般的だったと思う。

非常に面倒だったのだ。
しかし、これには大きなメリットがあった。

メールのやり取りは、よいページをふるいわける素晴らしいフィルターの役割を果たしたのである。

しょうもない何の中身もないSEO目的みたいなページを作った場合には、リンクしてくれとお願いすることはできなかった。
また、それを顧みず図々しくリンクのお願いをしたとしても、リンクしてもらえる可能性はごく少なかったからである。
これはメールという重い連絡手段だったからこそ、フィルターは機能したと私は考えている。

実際に面白い・価値がある・共感するものにしかリンクはあまりされなかった。
個々のサイトの中にあるリンク集には確かな価値が存在したのである。

そして、非常に濃いWebマスター同士の交流を生み出した。
Webサイトを通じてお互いがお互いを理解しあう文化が生まれた。
今であればソーシャルメディアがこの役割を担っているのだが、Webサイトとメールしかなかったからだ。

相手にも読んでもらわねばならないため、誰もが面白い・役に立つコンテンツを作ろうと努力をした。
そして、ほかの人のコンテンツも読むように努めた。

検索エンジンによるコンテンツの選択が可能になる前のインターネットの文化はこんな感じだった。

今こそ元々の文化から学ぶべきだと思うのだ。

もし、ロボット型検索エンジンがなかったとしたらどうサイトを運営するか?
全文検索の存在によって我々が忘れてしまった原点がそこにある。

実は検索エンジンもこれを評価している。
検索エンジンがなかったとしても、ユーザーが訪問してくるであろうサイトはどれか?
を評価しているのだ。

そもそも、検索エンジンにとっては、

検索エンジン以外の諸条件しか評価の対象にし得ない

のである。
そして、検索エンジンそのものも「無」から生まれたわけではない。

検索エンジンが生まれるずっと以前からサイトは人間から評価されてきた。
人間が行うような価値の評価をもし機械が自動的に行うにはどうすればいいのか?

それを考え抜いた末に作り出したのが検索エンジンのアルゴリズムだ。

だから、検索エンジンがなかったとして、

  1. どんなコンテンツを作っているか?
  2. どんな品質のコンテンツを作っているか?
  3. どんなサイトからリンクされているか?
  4. どんなサイトにリンクしているか?
  5. どのようにリンクしているか?

を考えるべきなのだ。
検索エンジンがあるがゆえに、この考え方を忘れがちになってしまっているのだ。

検索エンジンは、検索エンジンがなかったとしても、評価されるサイトを評価するように作られている。

だから、いったんは検索エンジンの存在を忘れて、どうあるべきかを考えれば正しい答えを原則的には導けるはずなのである。

自分が有用・面白いと思うサイトの運営者を想定してこれが基準とする。
基準となる人を想定して、

  1. 興味ある・見てみたい思ってもらえるジャンル・内容
  2. 有用だ・面白いと思ってもらえる品質
  3. 基準となる人のサイトからリンクしてもらえているか
  4. 基準となるようなサイトにだけリンクしているか
  5. リンク先の紹介文に心がこもっているか

と考えれば、必然的にサイトのあり方はわかるはずだ。

言い換えてみると、自分が書きたいと思うジャンルにおいて素晴らしいと感じる、Webサイトのオーナーから紹介してもらえることを目標とすればよいのだ。
今でもこの原則は変わっていないと私は考えている。

パラダイムチェンジがあって、検索エンジンが使われなくなるという時代が来たとしても普遍的に通用する考え方である。

検索エンジンのアルゴリズムの変化というレベルではなく、検索エンジンそのもの自体にとらわれない不変の営為、それが真のSEOだと私は確信している。

Webサイトの利便性を高めるためにSEOの知識は必要である


SEOは特別なWebの技術であると一般には考えられている。

様々なWebに関連する職種の人と話をする機会がある。

Webデザイナー・コーダー・プログラマー・リスティング担当・ディレクターといった職種の人々だ。
これらの人々はすべてSEOの知識があっても不思議ではないし、むしろSEOを知っているべきである。
しかし、みんなSEOを知らないか、知っていると言いつつ時代遅れの知識だったり生半可な知識しかない。
(たまに詳しいなあって感心することがあるのは、アフィリエイターと、インハウスSEOの担当者)

一番残念だと感じるのは、

「今までさんざんSEOをやってきた。金ばっかり使って結果は出なかった。SEOなんか無駄だ。」

という考えを持っている人が多いことだ。
これほど間違った考え方はない。

どこが間違っているか?

全部である

この文脈で語られるSEOとは、SEO業者によるSEO施策のことである。
金ばかり使うということがその証拠だ。

  1. SEOをやってきた
    被リンクによる検索順位上昇施策はSEOではない。
    SEOは「検索エンジン最適化」であるが、被リンクによって検索順位を操作することは最適化のむしろ逆である。
  2. 金ばっかり使った
    本来SEOは金を使うものではなく手間をかけるものである。
  3. SEOは無駄だ
    SEOは正しく取り組めば必ず成果を出せるものだ。

真のSEOを知らずに、SEOを否定しているのが残念なのだ。

では真のSEOとは何か

検索エンジンとは何を目標として存在しているのか?
それを考えれば自ずと答えは出る。

「検索エンジンはユーザーの利用目的のために存在している」

つまり、ユーザーの利便性を高めるようにサイトを作ればいいのだ。
ユーザーが検索をするということは「何か」について

知りたいこと・欲しいもの

があるから行うのだ。
その「何か」があるページを見つけるために行うのだ。

検索エンジンはその「何か」の意図を理解して(アルゴリズムで行っている以上、限界はあるが)、できる限り適切なページを検索上位に表示させようとする。

だから、検索上位に表示させるためにすべきことは明らかである。

ユーザーの利便性の高いサイトを作ることである

そして、利便性について人間ではないGoogleが判断しているということに留意しなくてはならない。

人間とは違う方法で利便性を判断している。
だから、SEOはGoogleだけをだませばいいという発想も出てくるのだが、これもまた間違っている。

SEOの知識はGoogleの判断基準を知ることだといってよい。
Googleの判断基準は、ユーザーの利便性をどうとらえるべきか?という問題に対して明快な解答を与えてくれる。

Googleはこれまで多大な労力を費やして、いいサイトとは何かを客観的に評価するため(機械が評価するので)の指標を考え続けてきた。
これを知ることはSEOという閉じた技術ではなく、普遍的に良いWebサイトを作るために有益なのだ。

Googleはガイドラインとして「良質なサイトを作るためのアドバイス」を公開している。
いろいろなところで引用されているので今さらなのだが、これを引用してみよう。

  • あなたはこの記事に書かれている情報を信頼するか?
  • この記事は専門家またはトピックについて熟知している人物が書いたものか? それとも素人によるものか?
  • サイト内に同一または類似のトピックについて、キーワードがわずかに異なるだけの類似の記事や完全に重複する記事が存在しないか?
  • あなたはこのサイトにクレジット カード情報を安心して提供できるか?
  • この記事にスペルミス、文法ミス、事実に関する誤りはないか?
  • このサイトで取り扱われているトピックは、ユーザーの興味に基いて選択されたものか?それとも検索エンジンのランキング上位表示を目的として選択されたものか?
  • この記事は独自のコンテンツや情報、レポート、研究、分析などを提供しているか?
  • 同じ検索結果で表示される他のページと比較して、はっきりした価値を持っているか?
  • コンテンツはきちんと品質管理されているか?
  • この記事は物事の両面をとらえているか?
  • このサイトは、そのトピックに関して第一人者(オーソリティ)として認識されているか?
  • 中略

  • 健康についての検索に関し、あなたはこのサイトの情報を信頼できるか?
  • サイトの名前を聞いたときに、信頼できるソースだと認識できるか?
  • 記事が取り上げているトピックについて、しっかりと全体像がわかる説明がなされているか?
  • 記事が、あたりまえのことだけでなく、洞察に富んだ分析や興味深い情報を含んでいるか?
  • ブックマークしたり、友人と共有したり、友人にすすめたくなるようなページか?
  • 記事のメインコンテンツを邪魔するほど、過剰な量の広告がないか?
  • 記事が雑誌、百科事典、書籍で読めるようなクオリティか?
  • 記事が短い、内容が薄い、または役立つ具体的な内容がない、といったものではないか?
  • ページの細部まで十分な配慮と注意が払われているか?
  • このサイトのページを見たユーザーが不満を言うか?

Googleはこのような観点からWebサイトの良否を考えており、これをアルゴリズムで自動的に判断出来るように進化してきている。
この観点を知り、かつアルゴリズムを知ることでユーザーにとって良いサイトはどのようなものかを知るために有用だ。

SEOを知ることによって、これまで見落としてきたユーザーの利便性の観点を知ることができる。

例えば、

  • 共起語(あるキーワードについて語られるページについて、特徴的に出現するキーワード。例えば、タラバガニであれば「海産物」とか「甲殻類」といったキーワード)が含まれるページを作るべき。日常語で言い換えれば上位表示させたいキーワードについて、専門的に詳しく書けということになる。
  • 内容が重複するページは極力減らすべき。
  • 起点となるページから関連する情報にスムーズにアクセスできるようにする。
  • ユーザーが現在いる場所がわからなくなったりしないようにナビゲーションを適切に設定する。
  • ページのファーストビュー内の多くを広告が占めないように気を付ける。

といった、ユーザーに対する利便性のアドバイスとなるのがSEOの知識でもある。
ある意味、良いWebサイトを作るためののベストプラクティスともいうべきものだ。

だから、Webにかかわる職種の人はSEOを勉強すべきなのだ。

SEOは総力戦の時代だ


最近はSEOという技術領域を定義することが難しくなってきていると思う。

以前はSEOとは人工リンクの作成と若干の内部修正とほぼ同義だった。
特に重要だったのが安価に、大量に、見破られないリンクを作るノウハウ。
それがSEOだったと言っても言い過ぎではない。リンク作成という特定のスキルに特化した一種の職人芸だった。

しかし、この方法は過去のものになったといってよい。
以前であれば、強引なリンクビルディングによってビッグキーワードで無理やり上位表示させれば、他の要因が悪くてもコンバージョンは取れたのだ。

しかし、人工リンクによって検索順位を上げることが難しくなった現在、
自然検索から見込み客を集め、コンバージョン数を最大化させることがSEOの目的であるが、
検索エンジンのアルゴリズムの知識だけでは達成することが無理になったのである。

SEOのスキルセット/あるいはSEO業界へのお誘いという辻正浩氏のブログの記事の図を引用してみたい。


SEOのスキルセット
これを見ると実に必要だとされるスキルが多岐にわたっていることがわかる。

この図を見て、

いくらなんでもこれは多過ぎじゃない?

と思う人も多いだろう。
しかし、これは誇張でもなんでもない。

様々なスキルを持った上で、状況に応じて必要な手法を組み合わせて使い分けることが必要なのだ。
検索エンジンからのコンバージョンはどのようにしてなされるかを考えてみるとよくわかる。

検索エンジンからのコンバージョンを簡単にモデル化するとこうなる。

コンバージョン数 = 検索エンジンからの集客数 
            × コンバージョン率

検索エンジンからの集客数は更に分解が可能だ。

検索エンジンからの集客数 = 
      検索エンジンからのサイト全体の評価 × 
      検索結果への露出経路数 ×
      検索結果表示時のCTR(クリック率)

つまりSEOを成功させるためには、

  1. 検索エンジンからのサイト全体の評価
  2. 検索結果への露出経路数
  3. 検索結果表示時のCTR
  4. コンバージョン率

この4つをそれぞれ高めなければならない。
これらは足し算ではなく、掛け算の関係にあるため、どこか1か所でも低い箇所があると充分なコンバージョンを得ることができない。

一番大切なことは、最も低い箇所、つまりボトルネックを発見してこれをつぶすことなのだ。
ボトルネックになっている箇所を発見する知識と、ボトルネック箇所を改善する技術を持たなければならない。
だから、広範囲な知識と技術が必要になるのだ。

辻氏のSEOのスキルセットに準じて具体的に書いてみることにする。

  1. 検索エンジンからの自サイトの評価を高める
    ●バズマーケティング・ソーシャルメディア対応
     ナチュラルリンクを取るために最重要な仕掛けだ。
    ●テキストライティング・コンテンツ制作・映像
     そのそもリンクされるコンテンツを作ることが前提。
    ●その他マーケティング
     オフラインからの戦略も重要。
    ●IA・情報分類
     検索エンジンから評価されるためにIAへの配慮が非常に重要
    ●スマートフォンやタブレットといったデバイスの知識
     デバイス別の正規化などの知識がSEOには重要。
    ●HTML/CSS
     検索エンジンに高く評価されるサイトを作るため必要
  2. 検索結果に自サイトのページを露出させる
    ●『検索エンジン』の知識
     ここがいわゆる今までのSEOの知識とされている部分。
    ●キーワードマーケティング
     検索エンジンへの露出を増やすために必須。
  3. 検索結果表示時のCTR
    ●テキストライティング
     検索結果からのCTRに大きく影響する。
    ●リスティング広告
     SEOと補完関係にある。またSEOの予備調査などにも有効。
    ●セマンティックウェブ
     リッチスニペット表示やレシピ検索などの検索への対応。
  4. コンバージョン率
    ●UX・ユーザービリティ・Webデザイン
     PV・再訪率・コンバージョン率を伸ばすため必須。
    ●LPO
     コンバージョン率を伸ばす技術。

あとは、このプロセス内に入らないが全体にかかわる重要な技術がある。

●Webプログラミング
 HTMLのみならずプログラミングの知識はほぼ必須。
●セキュリティ
 クラッキングされると来訪者が激減する。
●サーバ
 レスポンスは検索順位に影響を及ぼす。
 また正規化やURL振り分けにも知識が必要。

そして重要なこと、

●アクセス解析・データマイニング
 全体のボトルネックを把握するための重要なスキル。
 辻氏はアクセス解析を最重要スキルだとしている。
 データマイニングは大規模サイトになると重要だ。
●営業
 最重要スキルかも知れない。
 Webサイトの成功のためには、社内外の人の協力が必須。
 それを取り付けるための技術だ。

※NLPだけはなんのことかわかりませんでした。
 自然言語処理(Natural Language Processing)の略でしょうか・・・
 それであれば『検索エンジン』の知識の一分野として包含されるものだと思われる。

これらのスキルを全て持っているのが理想であり、弱い分野はすなわちそのSEOコンサルタント、あるいはそのSEO業者の弱点となる。

しかし、実際のところ一人のSEOコンサルタントがスキルをすべて網羅するのは無理だ。
『検索エンジン』の知識は当然持っていなければならないのだが、その他の技術をいかに身に着けて、どれほど深く掘り下げることができるか?
そこがこれからのSEOコンサルタントの価値になってくるだろう。

SEOコンサルタントになる前の出自、あるいは他に得意な分野が重要になってくると思うのだ。

デザイナーであれば、
Webデザイン・HTML/CSS・UX・ユーザービリティ・アクセシビリティ・LPOについて深い洞察と技能を持ちそれを強みとする。

SEであれば、
Webプログラミング・セマンティックウェブ・セキュリティ・各デバイスの知識・アクセス解析・データマイニングを得意とする。

といったようにプラスアルファの強みを持つことが、これからのSEOコンサルタントとしての生きていくポジショニングだと思う。
その上でできる限り他の分野についても、自分ではできなくてもどんな解決策があるかだけは知っておく必要がある

コンサルタントはクライアントの課題を、できる限り最短距離で解決する知識が求められる。
そのためには自分の得意分野だけでなく、幅広く知識を得て、

「自分はできないけど、こういう解決策がありそれは○○さんに頼めばやってもらえる」

ということを知っている必要があろう。

これからのSEOは総力戦であり、局地的な強みだけでは勝利を得ることはできない。

自分の強みと弱みを知り、強みを最大限に生かすことがコンサルタントの個性で付加価値だ。
弱みについては外部から味方を得て、全局面において勝てるようにならなければならないと考えるわけである。

キーワードツールは万能ではない


今回のテーマは、

キーワードツールは万能ではない

ということについて語ってみたいと思う。
キーワードツールは

この二つがなんといっても最重要なツールである。
検索エンジンからの公式の数値が得られるのはこの二つだけあり、リスティング広告の運用といったお金がからむ部分もあり信ぴょう性は高い。
ウェブマスターツールの検索クエリと、キーワードツールの検索数を見比べると、数値が近いことが多くかなり信用できると私は考えている。

キーワードツールを使ってどのキーワードを狙うべきか考える人は多いだろう。

これは基本的には間違いではないが、万能ではない。

理由は大きく二つある。

1.書くべきキーワードはキーワードツールから直接発見できない

これが最も重要な理由だ。
例えば、当ブログはSEOに関するブログなのだがアクセスを稼いでいるキーワードは何かというと、

当ブログの集客上位キーワード

こんな感じである。
私は2つ重要なことが読み取れると思う。

  • 意外なキーワードでアクセスが取れるブログの書き方:170クリック/月
    ブログ 書き方:90クリック/月
    ブログ 書き方:70クリック/月
    面白いブログの書き方:60クリック/月

    といったようにこれらを合計すると390クリック/月を稼いでいる。
    この数字はだいたいこのブログ全体の1日分のアクセスに相当するが、それはこの記事のためだ。

    誰でもちょっと人気になれるブログの書き方8つの方法

    実は、SEO Imagination!を運営している伊藤氏から

    「”ブログ 書き方”ってキーワードはアクセス結構取れるんですよ」

    って聞いたのでそれなら書いてみようと思って書いたのがこの記事だ。
    実際にかなりアクセスが取れて驚いた次第である。

    「SEO」という枠組みで考えていたら、いくらキーワードツールをいじくり倒しても、こんなキーワードには絶対に出会わない。
    キーワードツールはアクセスが取れるキーワードを教えてくれる魔法のツールではないということだ。

  • 意外にアクセスが取れないキーワードがある
    ウェブマスターツール:250クリック/月
    は検索数と順位の割にはアクセスが取れていない。この理由は、

    「ウェブマスターツール」というキーワードで検索するユーザーのニーズは、
    「ウェブマスターツール」にログインしたいというニーズがほとんどだということだ。

    現在は5位に表示されているのだが、もし仮に2位まで上がったとしても、劇的に多くのアクセス増は期待できないと思う。

    キーワードツールでの検索数が多かったとしても、それを鵜呑みにするのではなくユーザーの検索意図を読み取る必要があるのだ。

2.検索数の多いキーワードを全てコンテンツ化することには無理が伴う

ロングテールSEOを実行するために、数百記事作ろうとする。
数百記事とはとても多いように感じられるかもしれないが、決してそんなことはない。

シフィカス氏は「アフィリエイト野郎」の中で、アフィリエイト収入のために作るサイトは1000ページ弱程度作っていると述べていた。

個人でも真面目にサイトを作るとその程度のボリュームになるのだ。

さて、これほど多くの記事を作るために、キーワードツールに表示されるキーワードをもとにしてタイトルをつけるとどうなるか?

類義語が数多くピックアップされたりして、非常に偏ったものになる。

例えば、タラバガニのレシピを扱うサイトを作ったとする。
その場合に、

「タラバガニ レシピ」
「たらば蟹 食べ方」
「タラバガニ 食べ方」
「タラバガニ ご馳走 レシピ」
「タラバがに 献立 ご馳走」
「レシピ タラバ 材料」 

といったような似たようなキーワードが多数ピックアップされる。
リスティングであれば、これらすべてのキーワードに網を張っておくのは当然やるべきことである。

しかし、SEOで同じことをやるのはかなり無理がある。
これらを工夫して、不自然ではないタイトルを作るように努力するのは悪くはないのだが、これらのキーワードがタイトルに入った記事が並んでいたら違和感があるだろう。

表記が揺れているし、ほとんど同じ意味なのに違うキーワードが並ぶのはかなりカッコ悪い。

このようにキーワードツールから導かれるキーワードだけを使って、コンテンツを企画するのはサイトのブランドイメージを著しくおとしめる原因になるのだ。

といったわけで、キーワードツールだけではキーワードの選定や、コンテンツ企画ができるわけではないということがお分かりいただけたかと思う。
では、キーワードの選定やコンテンツ企画はどうすればいいのか?

簡単にできる魔法のツールはない

これが結論だ。
そんなものがあったら誰もが苦労しないし、もしそんなものがあったとしても誰もが使えれば同じキーワードに多くの人が殺到するだろう。

結局は知恵を絞ってキーワードは探さねばならないのである。

SEOはいつ死ぬのか?


「SEOは死んだ」

と言われて久しい。
調べてみたところ、この表現が初めて日本語のWebサイトに登場したのはでは2008年らしい。
らしいというのは、Google検索の期間指定で調査しただけのデータだからだ。

最初にこの表現が使われたきっかけは、2007年にパーソナライズド検索が導入だったようだ。
順位が絶対のものでなくなったということから、こんな表現が使われたらしい。

興味があったので、このキーワードを含む

  • 日本語のWebページ
    “SEOは死んだ” -site:web-tan.forum.impressrd.jp
    “SEOは終わった” -”SEO japan “
  • 英語圏のWebページ
    “seo is dead”

と検索してみたのが下の表である。
※2013年に関しては6月8日現在まで
(Web担当者フォーラムとSEO Japanは関連記事として最近の記事のタイトルが、ページの下に表示されるため除外した)

「SEOは死んだ」「SEOは終わった」「seo is dead」の1999年から2013年までのページ数の推移

これを調べてみて実感したことが二つあった。

  • 日本はITのトレンドがアメリカに比べて数年遅れる、といった現象があるらしいがこんなところからも伺える。
    グローバル化と言われ続けているが、やっぱり日本は遅いようだ。
  • 英語圏ではSEO is Deadということが盛んに言われ始めたのは2008年であって、それからずっとずっとずーーーっと言われ続けていることがわかる。
    アルゴリズム変更があるたびに、

    「ああ、もうだめだぁ、SEOはもう終わりだぁ。」

    と騒ぐ人がいるってことだ。
    結局SEOは終わらなくて、そんな騒ぎが繰り返されながら今日に至っているわけである。

後者について思うことが今回のテーマだ。

渡辺隆弘氏は「Googleの検索ランキングアルゴリズムは本当にブラックボックスなのか」の中で、

「同じ歴史が繰り返されている」ことがよくわかるようになり、事細かなスパムフィルタリングやリンク評価の変化関係の話が「くだらない」と思えるようになるはずです

と書いているが、まさしくそんな感じだ。

私としてはアルゴリズム変更って結構どうでもよくって「ああ、またあったのね」って思うぐらいのことだ。

ご覧のとおりなかなかスパムはなくならないし・・・、ソーシャルメディアの隆盛があっても、SEOの重要性はほとんど揺らいでいないし・・・、
というわけでSEOはしばらく死なないように感じていた。

妻とこのことで話をしたことがあって、

「で、結局SEOって仕事って一生食っていけるの?」

と聞かれたのだ。
その時、ちょっと真剣に考えてみたのだ。

そうしたら答えに困ってしまって、

「まあ、当面は食えるんだろうけど、10年後、5年後とかはわからないね」

って答えたのである。

ほとんどの産業は生まれて、盛んになって、斜陽になって、やがて死ぬ。

昭和の初期の頃は石炭産業が隆盛を極めていた。
石炭は当時黒ダイヤなどとも呼ばれ、産業の基幹を支える決定的に重要な鉱物であった。
まさに花形産業だったのだ。
しかし、エネルギー革命によって石油にとってかわられ石炭産業は急速に衰退した。

SEOもこれと同じだと思うのである。
特にITは移り変わりの早い産業だ。
ある日突然とまでは言わないにしても、ごく短期間で今までメジャーであったサービスが廃れることがある。

モノであれば、今までの設備を廃棄してすぐに買い替えることはできないため、新しい技術に刷新されるまである程度時間を要する。
しかし、ITのサービスは切り替えコストがかからないので、ごく短期間に刷新が行われる。

SEOは検索エンジンというWebサービスが存在するから、存在するWebの販促手法である。
検索エンジンがなくなってしまう、あるいはキーワード検索という手法がなくなったらSEOは消滅してしまう。

ではそれはいつなのだろう?

その日は近いのではないか?というような気がしている。

どのようなサービスがSEOを消滅させるのだろうか。

私はこんなことを思っているのだ。

  1. amazon.comによる小売業の寡占化
    まあ、楽天でもいいのだが、特定のショッピングサイトが巨大化し他のECサイトを駆逐したらサイト内検索だけでよいことになる。
    これは夢物語でもなんでもない。
    amazon.comの利便性、価格は他の小売業を大きく圧倒している。

    家電量販店は価格競争力の強さで個人経営の電気店をぼぼ駆逐してしまった。

    安売りができる理由は仕入れの量による。
    amazon.comは急速に売上を伸ばしており、2012年の日本国内の売上は前年比18.6%増の78億ドルにも達している。

    家電量販店は現在amazon.comからの挑戦を受ける守勢の立場に回りつつある。

    「ショールーミング」という言葉がある。
    ネット通販で買うことを前提に、店には商品の実物を見るためだけに来店する現象だ。店は店ではなく、ショールームとなりつつある。

    amazonアプリには、商品のバーコードを読み込ませると、即座に同じ商品の価格を表示させる機能がある。これこそまさにショールーミングの最たるものだ。

    ショールーミングによってリアル店舗が消滅すると、ますますamazonは売上を増やし、さらに価格競争力を増す。
    一般の小売店舗が通販で生き残れる場所は著しく狭まる。

    日用品までインターネットで買う時代になってきている。
    小売店舗が消滅する日はあんがい早く来るかもしれない。
    5年後とかには一般の小売店がほとんどなくなり、ECのショップの販促手法としてのSEOは無意味になっている可能性もある。

  2. セマンティック技術の進化

    セマンティック技術とは、単に文字としてのキーワードではなく、意味に基づいて分類整理する技術のことだ。
    Googleは現在セマンティック検索を急速に推し進めている。
    ショッピングやレシピといった特定の分野では既に実用化されている。

    レシピ検索ではカロリー数とか、必要な材料などで絞り込むことができるし、
    ショッピングでは商品カテゴリ、メーカー、商品名、価格などで絞り込むことができる。

    様々な分野においてセマンティック技術が進展していくと、必要とする情報を、キーワードで検索して、ヒットした文章を読むという回りくどいことをしなくても済むようになる。
    マウスやタッチといったよりユーザーフレンドリーなインターフェースだけで、必要とする情報に直接たどり着けるようになる。

    現在は定型化できない情報であっても、様々な視点から分類整理が進む可能性がある。

    SFじみているのだが小説であれば、

    ストーリーを覆う雰囲気を色で例えたり、
    主人公と現在の自分のリアルに置かれている立場との距離を3次元的にグラフィカルに示したり、
    (現代のサラリーマンを主人公にした小説であれば非常に近く、江戸時代の下級武士であれば年代はやや遠く立場は近いとか、スペースオペラに出てくる英雄はとても遠いとか・・・)
    登場人物の抱く葛藤の種類を分析して、読者の感情とマッチングさせたり、
    などなど・・・

    こんなことは技術の進展があれば近い将来できそうな気がする。

  3. 文脈解析の進化

    Google音声検索といった技術は文脈解析技術によっている。
    答えを返すのは、答えが含まれているであろうページを返すのではなく答えそのものを返す。
    Google Glassの開発によってこの技術は重要度を大きく増した状況にある。
    Googleがこれに注力することで、一足飛びに進化するかも知れない。

この3つのうちいずれかが現実になったら、SEOは死ぬかも知れない。

過去の歴史を振り返ってみると、花形産業に従事している人はその産業が没落するなどとほとんど考えていなかった。
繊維工業しかり、石炭産業しかり、造船、鉄鋼・・・。

産業はすべからく没落するのだ。

SEOも没落する。
ブラックハットSEOだけではなく、ホワイトハットも含めて全てだ。
そうして、SEOは上記の産業とも異なり消滅してしまうはずだ。

その日はもうそこに来ているかも知れない。