決済サービス開発のFinixがシリーズBに約32億円を追加調達、他社の決済処理インフラ立ち上げを支援

決済関連サービスを他社に提供するスタートアップであるFinixは、シリーズBの資金調達ラウンドをLightspeed Venture PartnersAmerican Express Venturesが主導する3000万ドル(約32億円)の投資で延長したと発表した。

このフィンテック系スタートアップはこれで9600万ドル(約10億2200万円)以上のベンチャーキャピタルからの資金調達が完了した。CEO兼共同創業者のRichie Serna(リッチー・セルナ)氏によると、そのうち9000万ドル(約9億6000万円)は昨年だけで調達したという。

FinixはTechCrunchのインタビューで、収益、収益成長、新規評価額、現在の収益性、顧客数などの開示を拒否した。セルナ氏はFinixの取引量が2019年第2四半期から2020年第2四半期にかけて4倍以上に増加したことを顧客の成長のための成果だと喜んで発表したが、データの変化については詳細を明らかにしなかった。

Finixは、他のスタートアップ企業が自社で決済処理インフラシステムを立ち上げるのを支援している。処理手数料やトランザクション手数料を徴収するStripeのような企業が提供するサービスを自社の支払いサービス取り込んでいる企業も多い。Finixも同様で、企業がStripeのようなサービスや決済インフラを社内に導入できるように支援している。これにより、サードパーティの決済プロバイダーが取引から切り離していた小口決済を、Finixが請求するコストを差し引いて企業が手に入れられるという考えだ。

Finixのサービスは企業内のインフラとして機能するものだが、Stripeのような企業はプラグアンドプレイシステムにも似ている。Finixの顧客の内訳を知ることは興味深く、その情報があれば現在のビジネスがどれだけ健全であるかを知ることができるだろう。同社は、顧客にソフトウェア料金を請求し、支払い処理数に応じて変動制料金で請求することで収益を上げている。取引量ごとに収益を上げているわけではないが、もちろん取引量の多い顧客からは利益を得ている。

Finixがターゲットしていた顧客は「年間5000万ドル(約53億3000万円)の取引量のある企業」だった。セルナ氏は、現在の焦点が変わったかどうかについてはコメントを控えた。同社は最近、新しい引受モデル「Finix Flex」を立ち上げた。これは、古いシステムを利用している企業が決済プロバイダー間の切り替えコストを削減できるよう支援することを目的としている。

「私たちは基本的に、企業の高度成長や安定成長の観点から、どのような段階にある企業のための決済プロバイダーになりたいと考えています」とセルナ氏は述べている。新たに調達した資金は、2021年半ばまでにFinixのチームを85人に倍増させるために使われる予定だ。

フィンテックの世界は、現在も進行中の新型コロナウイルスの感染蔓延の影響を少なからず受けた(未訳記事)。Squareのように小規模な個人商店の資金調達を支援している新興企業は、人々が自宅にとどまり、一部の企業が閉鎖されたため、セクターごとに取引量が減少した可能性がある。

Finixはその反対側に位置しており、オンライン通販やアプリでの支払いを可能にしている。このようなeコマースの空前のブーム(未訳記事)が、Finixのようなビジネスが成長している理由かもしれない。別のデータポイントとしてセルナ氏は、その総顧客数は毎月成長していると述べている。

セルナ氏は、2019年第2四半期から2020年第2四半期までのFinixの取引量倍率が4.5倍であることに改めて注目し「新型コロナウイルスの感染蔓延は同社のビジネスに『多くの課題』を突きつけていない」と語る。

今のところFinixの延長ラウンド(未訳記事)は、強さと生き残りの物語であるようだ。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)