テック業界への就職を支援するFlockjayがB2B SaaSへの移行で従業員の少なくとも半分を削減

解雇された人や求職者がテック業界に足を踏み入れるのを支援するブートキャンプのスタートアップ、Flockjayは、B2B SaaSプラットフォームへの大幅なシフトの一貫で、自社の従業員の半数を削減したことが、TechCrunchが同社に近い情報筋から得た情報でわかった。

今回のレイオフは、Flockjayの非技術職チーム全体に影響を与え、その中には、アドミッションアドバイザー、ビジネスオペレーションやビジネスデベロップメント、パートナーシップ、リクルーティング、マーケティングのスペシャリストなどが含まれている。レイオフされたのは30〜45人と推定され、全体ミーティングにおいて行われた。これはFlockjayのフルタイム社員の少なくとも半分に相当する。影響を受けた人たちの採用リストは、すでにLinkedInで広く公開されている。

「私たちは、ミッション重視の組織として、同社の卒業生が職に就くことだけでなく、彼らがその後昇進し、それぞれの会社の将来のリーダーになってくれることを強く望んでいる。当社は成長の過程で、卒業生や彼らが所属するチーム、そしてミッションを共有するすべての営業組織が公平に活動できるよう、柔軟性のあるサポートを構築することに早い段階で力を注ぐことの重要性を学んだ」と、CEOのShaan Hathiramani(シャーン・ハティラマニ)氏は、TechCrunchに寄せた声明の中で述べている。「そのためには、自社プラットフォームの構築に注力する一方で、授業クラスをより限定的に運営するという、困難ではあるが必要な決断をしなくてはいけなかった。特に我々のチームがいかに才能に溢れていて、いかに結束の固いチームであるかを考慮すると、この決断が実際に人間的な影響をともなってしまうことを理解している」。と述べている。

本スタートアップ企業は、2019年にY Combinatorを巣立つことになったが、彼らのゴールはシンプルだ。それは、人々がテック業界でのキャリアを切り開くための突破口としての役割を果たすということだった。Flockjayの中核となるサービスは、10週間の営業訓練ブートキャンプで、卒業生をテック企業の営業職に就かせることができ、学生の約80%が卒業後6カ月以内に仕事を見つけていると、同社は1月に発表した。このコースの卒業生は、Flockjay Tech Fellowsと呼ばれ、卒業後すぐの職では平均年収が7万5000ドル(約825万円)となっている。

TechCrunchが入手した文書によると、この中核となるサービスは今後も継続するが、当面その規模は限定的なものになるという。それは、多様な人材にとって大きな代償となるだろう。Flockjayは以前のインタビューで、学生のおよそ40%が4年制大学の学位を取得していないこと、学生の半数が女性または非バイナリーであること、学生の半数が黒人またはヒスパニックであることを認めた。

ハティラマニ氏のコメントにもあるように、同社は営業チームで競争力のある人材になるためのトレーニングを何年もかけて学生に行ってきたため、インフラや人材の観点からテック企業が今何を必要としているかについて重要な洞察力を持っていると考えられる。営業オペレーションと効率化に特化したB2B SaaSツールは、Flockjayに今までより予測可能な収益をもたらし、労働集約型の仕事を減らすことができると考えられる。

今回の解雇は、パンデミックによって活性化したEdtech業界全体の流れが変わるきっかけになるかもしれない。多くの学習者がオンラインに移行したのは事実だが、Flockjayのような非公認型のトレーニングプログラムがどのような目的で利用されているのかについては疑問が残ると、ある投資家は述べている。市場には多くの選択肢があるため、ユーザーはどのサービスを利用するかを選択することができる。そして、それらのサービスは確かに、プログラムの有効性を証明し、セーフティネットを提供する、人目を引く大学とのパートナーシップを備えたものかもしれない。

Flockjayの今回の苦労は、高度に精査された所得分配契約(ISA)にもスポットライトを当てた。この契約モデルは基本的に、学生がブートキャンプに参加するための前払い費用を払わずに済み、最終的に将来稼ぐ収入の一定の割合を通して授業料を返済することができるというものだ。ISAは、教育を受ける機会を増やす役割を果たしているが、雇用後にこれらの契約を満たすことに関しては、責任の所在をめぐって議論を呼びかねない。テック系ブートキャンプで有名なLambda SchoolもISAを利用している。同社は2021年初め、大規模なリストラを行うことを発表し、同時に65人の従業員をレイオフした。

Flockjayは、これまでに既知のベンチャー企業や資本から1100万ドル(約12億1000万円)を調達している。創業以来、このスタートアップは、セリーナ・ウィリアムズ、ガブリエル・ユニオン、ウィル・スミスの他、Lightspeed、Cootue、Y Combinator、eVentures、Salesforce Ventures、Impact America Fund、Cleo Capital社などの機関投資家から投資を受けている。

関連記事
オンライン生放送学習コミュニティ「Schoo」など社会人教育SaaSのスクーが約7億円のシリーズD調達
KaiPod Learningは今後も「ラーニングポッド」が定着すると考えている
プロダクトマネージャーを育てて資格証書を発行するProduct School
画像クレジット:Constantine Johnny / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Akihito Mizukoshi)