Googleは今年に入って検索アルゴリズムに変更を加え、結果表示の順位決定にあたって、モバイル優先という要素を加えると 発表した。 つまりモバイル・デバイスの小さいスクリーン向けに表示が最適化されたページを持たないサイトの表示順位は下げられるという意味だ。今日(米国時間4/21)、Googleはこのモバイル・フレンドリー・アップデートを実行に移した。最近行われたテストによると、今回のアップデートでFortune 500にランキングされる大企業サイトの4割が影響を受けるという。
今日のGoogleの説明によると、 モバイル・フレンドリーであると認定されるためには、そのサイトのテキストはタップやズームなどの操作をしなくても可読性を保っていなければならない。またタップの対象となる要素はそれに必要なスペースが周囲に確保されていなければならない。またページの要素には操作不可能なものや水平にスクロールするものがあってはならない。要するに、モバイルデバイスから正常に利用できるようになっていなければならない。
またGoogleは、今回のアルゴリズムの変更はモバイルからの検索だけに影響するとしている。モバイル・フレンドリーであるかどうかは、サイト全体ではなく、個々のページごとに判断される。影響を受けるモバイル・デバイスはスマートフォンだけで、タブレットは含まれない。
世界的な大企業の場合でさえ、スマートフォンの小さな画面では読みづらいサイトがまだ多数あるというのは驚くべきことだ。こういうサイトにモバイル向けの最適化を行わせるには、Google検索で順位を落とされるという脅しが確かに必要だったに違いない。
2013年のTechCrunch記事によれば、Fortune 100社の3分の2がモバイル・フレンドリーではなかったという。今年に入って行われたテストでも、対応の進展は遅かった。前述のようにFortune 500社のうちでモバイル・フレンドリーと認められたサイトは半数をわずかに超えた(52%)だけだった。
しかしこのような大企業(だけではないが)にとって、もはやモバイル対応は無視できないものだ。eMarketerによると 、世界のスマートフォン・ユーザーの数は今年中に19.1億人となり、2016年早々に20億人を超えるという。 そして2018年には世界の消費者の3分の2がスマートフォンを使うようになる。
この急激なモバイル・シフトは、Google自身も含めてあらゆるビジネスに大きな影響を与える。Googleの収益はモバイル・ユーザーがウェブサイトを訪問する際にGoogleの検索エンジンをどれだけ利用するか、そして結果的に広告を何回クリックするかに大きく左右される。しかしモバイルではユーザーは目的のコンテンツを探すのに検索エンジン以外のチャンネルを利用することが多くなっている。小さいスクリーンへの対応やプッシュ通知機能などモバイルOSに適応したネーティブ・モバイル・アプリの使い勝手がいいからだ。
そのため、Facebookのような巨大なモバイル・サイトの存在がGoogleのビジネスを脅かすまでになっている。eMarketerの記事によれば、2013年にはモバイル広告市場でGoogleは5割のシェアを持っていたが、2014年には46.8%に低下した。一方で、Facebookの2012年の5.4%から2014年の21.7%へ急成長している。
Googleがウェブサイトにモバイル・フレンドリーを強制する動機は、検索ユーザーの便宜を図ると同時に、モバイル化の流れの中でGoogleが自らの有用性を確保するという点にあるだろう。
しかしモバイル・フレンドリー化は、一般ユーザーとGoogleだけでなく、サイトの運営者にも利益をもたらす。Branding Brandのレポート によれば、2015年第一四半期の全スマートフォン・とラフィクの約半数(43%)は検索によるトップ100サイトへのトラフィックが占めていた。しかもこの数字は直前の四半期から5%ポイントもアップしている。またスマートフォン最適ずみのサイトではオーガニック検索が全収入の25%を稼ぎ出している。
しかもモバイル・トラフィックは依然急増中だ。上記のレポートによれば、今年第1四半期のモバイル・トラフィックは対前年同期比で35%も増加しており、当期の全オンライン売上の28%がモバイル・デバイスによるものだった。ちなみに、Appleデバイスからの訪問者が全スマートフォンからの訪問者の59%を占めた。
Googleによれば、新アルゴリズムは今日から適用されるという。ウェブサイト管理者は、Mobile-Friendly Test やMobile Usability report in Webmaster Toolsなどを利用してモバイル・フレンドリーであるかどうかをテストできる。もし「モバイル・フレンドリーでない」と判定された場合、そのページの表示順位は「モバイル・トラフィックの大幅な減少を招くことになるだろう」とGoogleは警告している。しかし最適化が行われると同時にGoogleは自動的に表示順位を再計算するという。
SearchEngineLandに掲載されたたいへん有益なFAQによれば、Googleのクローラーは数時間から最大72時間であらゆるサイトを巡回するが、Fetch as Google with Submit to Index を利用すれば即座に再クロールを実施させることができる。再クロールと同時にモバイル・フレンドリーと判定されたページは正当な順位で表示されるようになるとGoogleは説明している。
([原文へ] 翻訳 滑川海彦@Facebook Google+)