位置情報SNSのFoursquare創業者デニス・クロウリー氏が辞任

Foursquare(フォースクエア)の共同ファウンダーであるDennis Crowley(デニス・クロウリー)氏が、同社を離れることを発表した。設立後の7年間、クロウリー氏は同スタートアップの最高経営責任者を務め、2016年には執行会長職に就いた。それ以来Foursquare Labsの研究開発グループも指揮している。

今後クロウリー氏はこの会社にフルタイムで勤めることはない。取締役会には残り、Factual(ファクチュアル)のファウンダーであるGil Elbaz(ジル・エルバス)氏とともに共同議長を務める。

2009年、Foursquareは位置情報ベースのソーシャルネットワークとしてよく知られていた。ユーザーは場所にチェックインして、近況を友だちと共有した。バッジやメイヤーシップを獲得することもできた。

数年のうちに、最もアクティブなユーザーは何千回もチェックインを繰り返していた。Foursquareはお気に入りの場所の記録をつけるのに便利なアプリになった。友だちの好きな場所を知るためにも使うこともできる。

それは、同社がメインアプリを2つのアプリに分割した理由だった。Foursquare City Guide(フォースクエア・シティガイド)とSwarm(スォーム)だ。それと同時に、会社はデベロッパー向けにAPIとSDKを開発し、他社がFoursquareの位置データを利用できるようにした。

ビジネスは十分利益を上げている。同社のPilgrim SDKを使うと、デベロッパーは位置情報対応アプリを開発することができる。例えば広告主はその人のいる場所に基づいてパーソナライズされた通知を送ることができる。Foursquareはできるかぎり精度を高めることにこだわり、ある場所での入場時刻や出場時刻を記録することもある。

SDKはさまざまな可能性をもたらした。オンラインセールスにおける広告キャンペーンの効果を追跡するのは容易だが、オフラインでの関心はどうなのか?

FoursquareのSDKを使えば、広告主やブランドは広告キャンペーンが来店に影響を与えているのかどうかを知ることができる。もちろん、そのデータを他の顧客データと組み合わせることもできる。

Foursquareは位置情報に焦点を合わせた重要な広告・マーケティングプラットフォームになった。2020年に同社は1億ドル(約110億円)以上の売上を計上した。2021年にはこの数字を超える成長を期待している。

クロウリー氏は、会社を辞める理由を2つ挙げた。会社は好調であり、自分はすでに12年間同じ仕事をしてきた、と同氏はいう。

「Foursquareは自分の道を見つけただけではありません。その道をリードしてきました。かつて私は、自分のゴールは『Foursquare』という名前を『コンテキスト対応コンピューティングのイノベーション』と同義語にすることだと言ってきました。そして2021年になった現在、私たちはそれを実現するためのツールとフレームワークを作り上げました」とクロウリー氏はブログで述べている。

「それに、12年はずいぶん長い時間です。私には作りたいものがまだたくさんあります。その多くは2021年のFoursquareと必ずしも一致しません」と付け加えた。クロウリー氏は家族との時間も大切にしたいと思っている。

クロウリー氏はWeb 2.0時代の象徴的スタートアップ・ファウンダーだった。彼は何千人というユーザーを集めることに成功した。彼が会社創成期に偉大なプロダクトCEOであったことは間違いない。そして今、会社は収益「も」生んでいる。果たして彼が次に何を作るのか、今から楽しみだ。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook

元Uberチームの地理空間スタートアップUnfolded.aiをシード後すかさずFoursquareが買収

いやはや、これは早かった。

シードラウンドを調達してからわずか数カ月後のUnfolded.aiは米国時間5月20日、Foursquare(フォースクエア)に買収されることを発表した。買収の条件は明らかにされていない。このスタートアップは前回TechCrunchが確認したときには、合計で約600万ドル(約6億5000万円)を調達していた。

元Uberの地理空間エンジニアたちによって設立されたUnfolded.aiは、地理空間データセットを取得して視覚化できるウェブアプリケーション「Kepler.gl」や、地理空間データセットを処理して可視化する準備をするための拡張可能なアプリケーションフレームワークを提供する「Deck.gl」などを含む、同社の創業者たちが作成した人気のオープンソースライブラリの上に製品を構築していた。

2021年初めの記事で書いたように、

このスタートアップの主要製品は「Unfolded Studio」と呼ばれるもので、データ管理やサーバー通信などのコンポーネントを扱うKepler.gl(それ自体はフロントエンドライブラリに過ぎない)の上に構築されたアプリケーションのBaaSとして機能する。具体的には、異なる地理空間データセットを1つにまとめ、それらすべてが1つの統一されたビューで相互作用できるように設計されている。

今回のFoursquareによる買収は、Unfoldedの地理空間技術をFoursquare Everywhereに導入することを目的としている。Foursquare Everywhereは、あらゆる種類の顧客にスケーラブルな位置情報サービスを提供することを目的とした、Foursquareの新しいブランド・製品だ。

Foursquareは近年、位置情報に特化した広告・マーケティングプラットフォームへと大きく進化している。2020年4月にはFactualとの合併を発表し、同年11月にはDavid Shim(デビッド・シム)CEOからCEO兼社長のGary Little(ゲイリー・リトル)氏にトップが交代した。今回の買収は、リトル氏が指揮を執ってから初めてのものとなるようだ。

FoursquareのCEO兼社長のゲイリー・リトル氏(画像クレジット:Foursquare)

プレスリリースの中で、同社は次のように述べている。「今回の買収によりFoursquareは、高品質で使いやすい位置情報データとそれを活用するために必要な技術に関して、企業が信頼する唯一のソースへと進化することができました」。

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タグ:Unfolded.aiFoursquare地理空間買収

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(文:Danny Crichton、翻訳:Aya Nakazato)