F(x)tec Pro1は、英国のFX Technologyが開発したAndroid 9.0搭載スマートフォン。最大の特徴はご覧のとおり、スライド式キーボードを搭載していること。物理QWERTYキーボードを引き出せば、自動的に画面が横向きに切り替わり、ソフトウェアキーボードのない広々とした画面で文字入力可能だ。
搭載プロセッサーは3世代前のスナドラ835
F(x)tec Pro1に搭載されているプロセッサー(SoC)は「Snapdragon 835」。3世代前のプロセッサーなので、現代の基準からするとパフォーマンスは高くない。ただし、メモリは6GB、ストレージは128GBを搭載している。また2枚目のnanoSIMカードとの排他利用だが、最大2TBのmicroSDメモリーカードでストレージを増量可能だ。3Dゲームを高画質設定でプレイしないかぎりは、パフォーマンス不足を感じることはない。
しかし、プロセッサー以外のスペックは充実している。ディスプレイは5.99インチの有機EL(2160×1080ドット、Corning Gorilla Glass 3)。背面カメラは1200万画素(f/1.8、Sony IMX363)+500万画素(f/2.0)のデュアル仕様。右側面に指紋認証センサーを搭載し、カメラシャッターボタンも搭載している。
また、海外端末らしくnanoSIMカードスロットを2つ搭載しており、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)をサポートしている。欲を言えばディスプレイ内蔵指紋認証センサー、トリプルカメラ、Wi-Fi 6(11ax)に対応してほしいところだが、もともと2019年発売をターゲットにした製品であること、一般的なスマートフォンには存在しないスライド式QWERTYキーボードを装備していることを考えれば、個人的には譲歩できるレベルだ。
肝心の物理QWERTYキーボードの使い勝手は?
最大のウリである物理QWERTYキーボードは、ストローク自体は当然浅いが、しっかりとしたクリック感が与えられている。キーピッチは実測9.5mm前後と狭いものの、キーの中心をきちんと捉えれば、筆者のような太い指でも複数のキーを同時押ししてしまうことはない。
キー配列については、Q、A、Zキーの左に記号キーが配置されている点に違和感はあるが、カタカナ語を入力する際に利用頻度が高い「-」(ハイフン)が独立しており、「,」「.」キーも一般的な位置に配置されているので、比較的すぐに慣れることができた。
標準搭載されている日本語入力システム「Gboard」は、「Ctrl」+「U」「I」「O」「P」のショートカット入力で、ひらがな変換、カタカナ変換、半角変換、全角英数変換を利用できる。物理QWERTYキーボードを搭載していても、サードパーティー製日本語入力システムを入れなければ実用的な日本語環境を構築できない端末もあるが、F(x)tec Pro1はソフト追加なしに快適に日本語入力できる端末だ。
物理キーに快感を覚える方こそF(x)tec Pro1を選ぶべき
iOS端末に物理QWERTYキーボードを備えたモデルは存在しない。F(x)tec Pro1は多様性のあるAndroidスマートフォンならではの端末だ。
物理QWERTYキーボードだから文字入力が速くなるということは筆者にはなかったが、押したときのクリック感に「リアルならではの心地よさ」を強く感じた。ソフトウェアキーボードで画面をふさがないという実用的なメリットもあるが、それ以上にフィーリングに魅力を感じる方こそ、F(x)tec Pro1を相棒に選ぶべきだと思う。