コーディングブートキャンプが大学の(誰もが受講する)標準課程になる三つの理由

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[筆者: Drew Sing](エドテック(edtech,テクノロジー応用教育)分野のコンサルタント)

それは最初、それまでの大学教育に代わるもの(オルタナティブ)として始まった。それが今や、全国の大学の注目を集めている。

コーディングブートキャンプ(coding bootcamp, プログラミング特訓コース)は、終了者が企業ですぐに実践的な戦力になり(==job readiness, ジョブレディネス)、しかも比較的高給であることが関心を招(よ)んで、学生たちと中途転職者たちのトレンディな話題になっている。しかしコーディングブートキャンプに関心を示しているのは、これら就活者たちだけでなない。

大学もコーディングブートキャンプの成功に目をつけ、テクノロジー方面における、学生たちの効果的なスキルアップの方法として、その利用を検討し始めている。

今コーディングブートキャンプはとくに、Webデベロッパーになりたい人たちのための、教育の高速車線になっている。最初それは、今日のテクノロジー経済において、有能なWebデベロッパーの需要を満たすために作られたが、そういう一種のニッチ産業が今では、一般的全般的な高等教育の分野で増殖し、今や大学のコンペティタとも見なされている。コーディングブートキャンプは今では、プログラマーばかりでなく、データサイエンスやアナリティクスなど、そのほかの需要の多い技術分野の人材も、育てている。

Course Reportによると、2015年にはコーディングブートキャンプの市場が前年の2.4倍に成長し、推定卒業者数は16056名となった。対して2014年のコンピュータサイエンスの学部学生数は推定48700名だった。

学位を与えることを目的とする従来型の大学が、経済が求めるスキルの教育に特化したコーディングブートキャンプの価値を今や理解し始めているから、2016年の教育には大きな変化が訪れるだろう。

今大学は、コーディングブートキャンプに関して、主に次の三つのことをやっている:

ブートキャンプと大学のパートナーシップ

大学は今、コーディングブートキャンプ(の専業企業)とパートナーして学生たちに、これまでよりも多い技術教育を与えようとしている。

フロリダ州ボカラトンのリベラル・アーツ校Lynn Universityは、General Assemblyの大学が認めたコースの習得を、正規の履修証明(単位取得科目)に含めている。たとえばLynn Universityは、昨年9月に7000万ドルの資金を調達した技能ブートキャンプGeneral Assemblyの、16週のコースを終了した者に、一学期ぶんの履修証明を与えている。今現在はその制度を利用する最初の学生たちが、General Assemblyのコースを受講しているところだ。

雇用者が肯定的に認める大学とブートキャンプ的な教育訓練のセットが、一部の学生たちにアピールしている。

Lynn Universityの副理事長Gregg Coxはこう述べる: “学生たちが、労働市場が求めているスキルをすでに持っていることが重要だ。学生たちの全員が将来プログラマーになるわけではないが、今日の世界では、その技術を有することはどんなキャリア(職業的進路)にとっても有益である”。

Lynn Universityは、コーディングブートキャンプとパートナーした初めての大学ではない。昨年はミネソタ州セントポールのConcordia Universityが、コーディングブートキャンプThe Software Craftsmanship Guildとパートナーした。2013年には、合衆国の8つの都市でWeb開発とデータサイエンスをブートキャンプしているGalvanizeが、University of New Havenとパートナーしてデータサイエンスの修士課程を提供した。

大学が自力でコーディングブートキャンプをローンチしている

至近の3か月で、Northeastern, RutgersおよびUniversity of Central Floridaなどの大学が、ブートキャンプ屋さんとパートナーしないことを決定した。その代わりに彼らは、大学自身が作った独自のブートキャンプをローンチすることにした。

たとえばNortheasternのLevelプログラムは、学生たちにデータ分析の基礎を教える8週間のブートキャンプだ。今同大学は、この事業の第二期生をボストン校で教えており、最近はシアトル、シャーロット、シリコンバレーの3地区でもローンチした。

Level事業の創立ディレクターNick Ducoffによると、“Northeasternは全米のトップ50の大学の中で、初めてこのような没入的な学習事業を導入した。学生たちは、われわれのブートキャンプにはNortheasternの高い教育的クォリティがある、と感じて安心している”のだそうだ。

Rutgers Universityも昨年の10月に、独自のコーディングブートキャンプを発表した。それは今年の4月25日に開講する。University of Central Floridaは、3月の終わりに24週のコーディングブートキャンプをスタートする。

大学はブートキャンプとパートナーするのか、それとも独自の事業を開発するのか、あるいはブートキャンプではない別のやり方を見つけるのか?

Whartonを卒業したEdward LandoとAbhi Rameshは、在学中に、学部学生とMBAの学生たちにはプログラミングのスキルを提供する必要がある、と痛感したため、自分たちの母校である大学のためにブートキャンプ的なコースを開発した。そのコーディングブートキャンプは、University of Pennsylvaniaの夏休みを利用して、従来の夏季インターンシップと等価なオルタナティブを提供する。今後学生たちはプログラマーになり、テクノロジーのキャリア獲得に必要なスキルを、さらに深く幅広く理解していくだろう。

このような、最近の大学のブートキャンプは、正規の履修証明を与えるものと、そうでないものとの違いがある点が興味深い。

しかし履修証明(単位付与)のあるなしに関わらず、雇用者が肯定的に認める(ブランドイメージの高い)大学とブートキャンプ的な教育訓練のセットが、一部の学生たちにアピールしている。コーディングブートキャンプによる教育を提供するために必要なリソースは大学にすでにあるが、学生たちに要求しているものの内容やレベルは大学によってまちまちだ。それら大学独自のブートキャンプは、コーディングブートキャンプ専業企業のHack ReactorDev BootcampBlocなどと競合することになるので、大学ごとの方針ややり方の違いを見定めることが今後は重要だ。

合衆国教育省からの支援

2015年10月14日にオバマ政権は、EQUIP(Educational Quality through Innovative Partnerships, 革新的なパートナーシップによる教育のクォリティの向上と確保)と名づけたパイロット事業を発表した。

大学がこの事業への参加を申し込み、EQUIPのパートナーシップを認められると、コーディングブートキャンプ(専門企業)やMOOC(Massively Open Online Course, CourseraUdacityなど)とのパートナーシップを助成され、また参加する学生への学費援助と履修証明が与えられる。この2つのレベルの支援は、これまでのコーディングブートキャンプ(専業企業と大学自身どちらも)が提供できなかったものだ。

このパイロット事業は、ブートキャンプ教育に大きな変革をもたらすかもしれない。これまでのブートキャンプ専業企業は、政府からの財政的援助や大学の正規の課程としての認可を、得られなかったのだ。援助があれば企業や大学が奨学金制度を設けたり、単なる課程終了証明だけでなく、より具体的な就活に結びつける事業展開も可能になる。

大学は2015年10月14日以、EQUIPに申し込めるが、認可された大学が今度は、いくつかの高等教育機関に対する、彼らに合った独自の教育訓練計画を提供していくこともできる。

まだEQUIP認定の大学や学校は発表されていないが、中学は申し込みの締め切りが2015年12月14日とされている。教育省が申し込みを審査するのに時間がかかるだろうから、発表は年内のいつか、となるのかもしれない。

大学がコーディングブートキャンプに関心を持ってくると、今度は各大学の教え方の違い、そして学生に現れる成果の違いが出てくるので、どうやればうまくいくか、という研究が重要になる。

大学はブートキャンプとパートナーするのか、それとも独自のブートキャンプ事業を開発するのか、あるいはもっと幅広いSTEM職業と技能を目指す学生たちのために、ブートキャンプではない別のやり方を見つけるのか?

独自方式にせよ、ブートキャンプ企業とのパートナーシップにせよ、まだやってる大学はそんなに多くないから、学生と大学の管理者の双方が、今やっている彼らをよく見て学ぶことが重要だ。

ブートキャンプの導入に、大学によってスピードの差が生じるのには、いくつかの原因がある。学部の積極性や認可の手続きなど。最初の手始めは、履修証明とは関係のない、気軽な形でやるのが良いかもしれない。大学は今でも高等教育の黄金律だが、学生たちの卒業後の進路をより安定的なものにするためには、今、優れたコーディングブートキャンプが実現/実証していることを、大学は真摯に受け止めるべきである。

もうすぐコーディングブートキャンプは、“出るべきか出らざるべきか?”の域を後にするだろう。大学がそれに積極的に関与していくことにより、未来の学生たちは、“どの大学のブートキャンプが自分の高等教育のニーズにいちばんフィットしているか”、と問うようになるだろう。言い換えるとブートキャンプと呼ばれる実学を学生が履修することは、どの大学でも標準の課程になると思われる。

※参考写真: DEV BOOTCAMP/FLICKER(CC 2.0のライセンスによる)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

1年間の特訓教育でデータサイエンティストを育てるGalvanizeのコースは授業料48000ドル

プログラミングなどコンピュータ応用技術のスキルをゼロから特訓するGalvanizeが、データサイエンティストを育てて履修者に工学修士号を提供する期間1年の課程をスタートする。

galvanizeUと名付けられたこの1年課程は2015年1月に始まり、その費用は48000ドルという途方もない額だ。しかし、この1/5の期間でJavaScriptとHTML5とCSSを書けるようになる課程が12000ドルだから、同社のお値段、ないし‘授業料’としてはふつうだ。

定員は30名で、10月29日から申し込みを受け付ける。この課程を終了すると、現場ですぐにビッグデータ分析の仕事ができるデータサイエンティストになれる(Pythonによるプログラミング+データサイエンスに必要な数学と統計学)。サンフランシスコのSoma地区にあるGalvanizeの新しい(異様に巨大な)本社に教室が置かれるが、その建物はほかのスタートアップたちにもオフィススペースとして貸し出され、またGalvanizeのVC部門もこの中にあるから、卒業後にすぐ投資を受けるというシナリオもありえる。このような雑居構造は、生徒たちがスキルを習得するだけでなく、現実のスタートアップのコミュニティとその構成員の人たちに日常的に接触する、実際の仕事がどういうものか、見て聞いて分かる、という教育的メリットを想定している。つまりこのカリキュラムには、部分的に、OJT的な側面もある。

galvanizeUの卒業生には、コネチカット州の私立大学University of New Haven(ニューヘイブン大学)との提携により学位が与えられる。卒業生は同社のコロラド州BoulderとDenverにあるキャンパスで、gSchoolと呼ばれる期間6か月の通常のプログラミング課程を受講することもできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))