フランスのスタートアップ企業であるGraneet(グラニート)は、Point Nine(ポイント・ナイン)とFoundamental(ファンダメンタル)が主導するシードラウンドで240万ユーロ(約3億1200万円)を調達したばかりだ。同社は、建設業界とそこに存在する無数の中小企業に特化した、垂直型のSoftware-as-a-Service(サービスとしてのソフトウェア)を提供している。
Graneetは、建設会社がプロジェクトをより良く管理できるように、最も優れた財務管理ソリューションを構築したいと考えている。大半の建設会社は、いまだに複数のExcelファイルに依存しており、情報のサイロ化やデータ入力の煩雑さに悩まされているのだ。同社には他にも、Jack Newton(ジャック・ニュートン)氏、Renaud Visage(ルノー・ヴィサージュ)氏、Alexandre Guinefolleau(アレクサンドル・ギネフォロー)氏、Arthur Waller(アーサー・ウォーラー)氏、 Philippe Gelis(フィリップ・ゲリス)氏、そしてColonies(コロニーズ)の創業者たちが出資している。
Graneetの共同設立者でありCEOのJean-Gabriel Niel(ジャン・ガブリエル・ニエル)氏の母親は、建設会社を経営している。「彼女は私に、『これはおかしい、2つの建設プロジェクトのうちの1つで、利益が出るのか損失が出るのかがわからない』と言いました」と、同氏は筆者に語ってくれた。
そこでニエル氏は、受注処理や請求管理など、この会社の社内プロセスを調べてみた。彼はその時、Microsoft Excel(マイクロソフト・エクセル)が依然として主要なソリューションであることに気づいたのだ。
Graneetは見積、請求そしてリソースプランニング(経営資源計画)という、3つの基本的なことを解決する必要があると考えている。同社はまず、請求書の作成から着手した。Graneetでは、依頼主が支払う予定の金額、これまでに受け取った金額、そして次の請求予定を、信頼できる唯一の情報源として確認できるようにする。これによって未払いの請求書があるかどうかを確認し、支払いがあったものをマークすることができる。
続いて同社は、見積もりとリードジェネレーション(見込顧客の獲得)に取り組み始めた。ユーザーはGraneetのプラットフォームから直接見積書を作成することができる。依頼主が見積書を承認すると、建設プロジェクトを進めていき、完了率を入力できる。これはこの業界では重要な指標だ。
そして今回の資金調達により、Graneetは3つ目のリソースプランニングを開発したいと考えている。近いうちに、Graneetから下請け業者を管理し、複数の請負業者に向けて請求書を複数のパートに分割して発行できるようになるはずだ。
Graneetの顧客である建設会社は、このプラットフォームに下請け業者を招待できるようになる。下請け業者はすべてを見ることはできないが、自分たちが取り組んでいる部分を確認することができる。同様に、Graneetを利用している下請け業者であれば、毎月の進捗報告を依頼主の企業に送ることができるようになるというわけだ。この機能が実現すれば、Graneetは間違いなく新しい顧客を引きつけることができるはずだ。
将来的には、既存の顧客にもより多くのサービスを提供できると、Graneetは考えている。例えば、多くの建設会社は資金繰りのために、ファクタリング会社を利用している。ファクタリング会社は、未払いの請求書を買い取り、その割り引いた額を直ちに支払うが、Graneetはプラットフォーム上で直接前払いを提供することもできるようになる予定だ。
以上は、Graneetがどのように役立つかという例だ。その発想の背景には、建設会社は現在、ソフトウェアソリューションに関して、十分な備えができていないということがある。もし、Graneetがそのギャップを埋められることを証明できれば、他にも多くの製品がチャンスを得られることになるだろう。
画像クレジット:Greyson Joralemon / Unsplash
[原文へ]
(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)