昨年Adam KalamchiとKane Hsiehが、ベンチャーキャピタル企業RRE Venturesを辞めて自転車屋を始める、と言い出したとき、同僚たちはみんな呆れた。それから9か月と150万ドル後に彼らはBrilliant Bicycle Co.を本格的に立ち上げ、仕様や機能山盛りとは逆の、単純さと自分の好きな色だけにこだわる人たち向けの、お手頃お値段の自転車を発売した。
150万ドルのシード資金を出したのは、PREの4人の社員パートナーとBrand Foundry Ventures、Great Oaks VC、Aspiration Growth、それにBonoboのファウンダAndy DunnやDogVacayのCFO Bryan Wolffなどのエンジェルたちだ。
Brilliantの最初の自転車Astorは、三段変速、サイズ3種類、色6色で提供され、お値段は299ドルから。ニューヨークなら24時間無料で届けてくれる。全国展開は、来週からだ。重要なのは、ユーザが自分で組み立てること…所要時間は1時間弱だ。
組み立て工程は、Ikeaの家具よりも簡単だ。必要な工具がすべて含まれていて、部品にははっきり分かるようにラベルが貼ってある。作り方はBrilliantのサイトにビデオがあるから、まず、行き詰まることはない。
“自転車はシンプルな製品だ。仕様にこだわるマニアもいるけど、ふつうの人が安く買えて、そこらで気軽に乗れるのもあるべきだ”、とKalamchiは言う。
KalamchiとHsiehはスタートアップとして自転車に参入したが、その基本ポリシーは、不要な部品がないこと、できるだけシンプルな製造工程、そして注文が来たらすぐに発送できることだ。そのためには、彼らとお客とのあいだに、ミドルマン(中間者)を置かない。したがって、こういうごくふつうの自転車を、Brilliantからなら一般市販品の半額の総費用(↓後述)で買える。
“自転車店へ行ったら、お客は余計なものにお金を払うことになる。その自転車は工場を出てから6か月は経っているから、その間の倉庫料がある。同じようなのが100種類はあるから、その中から選ぶための時間費用や店舗費用もある。工場や自転車屋さんによる組み立ての費用も。そして向こう1〜2年のサービス料金。などなどだ”、とKalamchiは述べる。
それに、自転車専門店には、ふつうの人をびびらせる雰囲気がある。
“とっても男臭い世界だよね”、とHsiehは言う。自転車の有名ブランドのInstagramも、高級なレース用自転車にスパンデックスを着用した中年男が乗ってるようなのばかりだ。
自分用の自転車はほしいが、自転車に人生を懸ける気はないというふつうの人のための、選択肢は乏しい。今合衆国では、消費者たちが中古自転車に年間20億ドルも支出しているが、KalamchiとHsiehの目論見では、Brilliantのエントリレベルの自転車がそういう人たちにアピールするだろう。
Brilliantは来年あたり、車種を増やすし、アクセサリや各種サービスにも手を広げる。すでにサンフランシスコとニューヨークではコンシエルジュサービスの実験を始めている。彼らによるとそれは、“自転車のためのGeek Squad”だそうだ。
“目標は単純に、日常的な自転車人口を増やすこと。われわれが生きていけるぐらいは儲けたいが、価格はできるかぎり安くして、誰もが気軽に買えるようにしたい”、とKalamchiは語る。