YouTubeは2016年にHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)ビデオに対応(YouTubeブログ)し、クリエイターはコントラストが高く、シャドウとハイライトがきちんと映り、幅広い色を表現でき、全体として画質が高いビデオをアップロードできるようになった。そして米国時間12月8日、同社はライブストリーミングビデオでもHDRをサポートすると発表した。同社によれば、YouTubeはライブのHDRストリーミングをサポートする初のメジャープラットフォームになるという。
クリエイターは対応するエンコーダー(YouTubeヘルプ)を使ってHDRストリーミングができる。一方、HDRビデオ自体は新しいモデルのAndroidデバイスのほか、HDR対応のスマートテレビやストリーミングスティックで再生できる。Google(グーグル)のChromecastももちろんHDRコンテンツをサポートしている。YouTubeは2017年にAndroidのモバイルデバイスでHDRを再生できると発表していたので、今回の対応は予想の範囲内だ。
YouTubeがHDRに対応した時点では、一部のYouTubeチャンネルにのみ提供されていた。しかしHDRのライブストリーミングは、試してみたいクリエイターはすぐに利用することができる。YouTubeは、クリエイターがさらに別のエンコーダーやモバイルデバイスからもHDRのストリーミングができるように今後改良していくとしている。
ライブのビデオコンテンツで新たにHDFをサポートしたことから、YouTubeはテレビのプラットフォームに力を入れたい意向であることがうかがえる。
YouTubeによれば、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による外出制限の期間中、YouTubeや同社のライブテレビストリーミングサービスであるYouTube TVは大画面での視聴が急激に増えたという。家に留まるように指示されたことから、2020年3月にはテレビでYouTubeが視聴された時間の合計は対前年比で80%増加した(Googleブログ)。同じく3月には米国のテレビで再生された広告入りオンデマンドビデオの再生時間のうち41%がYouTubeのコンテンツだったと、同社のBrandcastイベントで発表された(Tubefilter記事)。テレビでのYouTubeの視聴は、2018年には1日あたり2億5000万時間だった(Think with Google記事)が、4億5000万時間に跳ね上がった。
感染拡大初期には、ライブストリーミングビデオの再生時間も増えた。YouTubeが広告主に示したところによると、3月11日から4月10日までの前年比で、テレビでのライブストリーミングメディアの再生時間は全世界で250%増加したという。同じ期間の前年比で、キャストされるコンテンツの視聴時間が75%増加したことも注目される(Googleブログ)。
またYouTubeは米国時間12月8日に、米国の1億人以上のユーザーがYouTubeやYouTube TVをテレビ画面で毎月見ていることも発表した。
HDRのライブストリーミングを提供すれば、YouTubeプラットフォームでのHDRの再生はまだ限定的ではあっても、YouTubeは広告主に対して従来の有料テレビネットワークからYouTubeのプラットフォームに広告費を移行するようにと、さらに効果的にアピールすることができる。
YouTubeはゲーム、eスポーツ、音楽やスポーツといったライブイベント、さらに自然の風景や旅行など、幅広いライブストリーミングにHDR対応が有効であると想定している。
YouTubeは、HDRライブストリーミングはすでに利用できるようになっていると述べている。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTube、YouTube Live、HDR
画像クレジット:Olly Curtis/Future / Getty Images
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(翻訳:Kaori Koyama)