Immiは、純植物性の大胆な味で、健康食品のインスタントラーメンを作ろうとしている。同社は米国時間9月14日に、380万ドル(約4億2000万円)のシード資金を調達したことを発表した。
共同創業者のKevin Lee(ケビン・リー)氏とKevin Chanthasiriphan(ケビン・チャンタシリファン)氏はどちらも、台湾とタイの飲食を家業とする家で育ち、10年前に同じテクノロジー企業で働いているとき出会った。2人は毎日のように、一緒に麺類を食べて仲を深めた。
そして最近2人は、家族が糖尿病と高血圧で苦しんでいるのを見て、身体に良い食べ物と飲み物について考えるようになった。
自分たちが育ったアジアの食べ物や料理を愛する彼らは、そうした食品のブランドを米国で立ち上げたいと思った。
チャンタシリファン氏によると「2人ともすぐに、インスタントラーメンというアイデアで一致しました。私の父は今でも毎晩インスタントラーメンを食べているし、年間売上40億食という巨大な市場です。しかしインスタントラーメンは長い間、大手企業が支配してきた製品でもあります」。
世界のインスタントラーメン市場は、2027年には320億ドル(約3兆5076億円)規模の産業になると予測されており、そのうち米国は77億ドル(約8440億円)の規模になるという。しかし、多くの人がスーパーで購入するラーメンには、精製された炭水化物を油で調理した麺が含まれており、付属するスープにはナトリウムや保存料が多く含まれている。
彼らが手がける「Immi」は、植物性で低炭水化物・低ナトリウム、高繊維質で平均22gのタンパク質を含んでいる。製品はブラックガーリック「チキン」、トムヤム「シュリンプ」、スパイシー「ビーフ」の3種類の味がある。
2人は2019年に会社を立ち上げた。その後の2年間を研究開発に費やしたが、最終製品はなかなか完成しなかった。リー氏によると、業界人にインスタントラーメンの健康食バージョンの話をすると「不可能だ」と斬り捨てられたという。そこで彼らはゼロからスタートし、すべてを自分たちでやるしかなかった。最初のレシピは、彼らのキッチンで作られた。
2021年彼らは製品の仕様を変更し、味と食感、麺のコシ、すすりやすさの4点で従来のインスタントラーメンに近いものにした。その試食をあちこち依頼して回った結果、シード資金の調達に至った。
そのラウンドはSiddhi Capitalがリードし、Palm Tree CrewとConstellation Capital、Animal Capital、Pear Ventures、Collaborative Fundが参加、そして個人としてPatrick Schwarzenegger(
パトリック・シュワルツェネッガー)氏やKat Cole(カット・コール)氏、Nik Sharma(ニック・シャルマ)氏、さらにThrive MarketやCaviar、Daring Foods、Madhappy、Twitch、Kettle &Fire、MUDWTR、Native、Amity Supply、Visionary Music Group、Italic、TatchaそしてCasperの役員たちも投資に加わった。
Siddhi Capitalの共同創業者でゼネラルパートナーのMelissa Facchina(メリッサ・ファッキナ)氏によると、同社は食品と飲料に投資しており、同社の投資部門がImmiのメンターになっているという。
「彼らにはとても感心している。食品産業のイノベーションは大金が必要であるため、今自分と家族の手元にそれがあるだけでも興奮します。今度の2度目のバージョンはパッケージも従来と同じブロック型だし、味も大人向けになりました。この味が好きな人は多いと思います」とファッキナ氏はいう。
ファッキナ氏によると、自然食や健康食の業界は最近の10年で「劇的に」変わった。その変化を起した原動力は、サプライチェーンの透明性とクリーンな原材料、そして良心的なブランドを求める消費者だという。
最新の消費者動向により方針を一新した消費者包装製品のブランドは、彼らの新しい製品系列で成功しているが、彼女によると、シリアルなど製品の改革の機が熟しているのにそれに気づかないブランドが多いという。彼女の投資企業はシリアルの改革に乗り出したMagic Spoonに投資しているが、その彼女によると、Immiはラーメンとアジアの食に革新をもたらしている。「創業者グループとしての2人のケビン氏は、新しい考えの取り入れが早く、達成するもののレベルも高い。そして自分たちのまわりに最高の人びとを揃えようとしている」とファッキナ氏はいう。
リー氏によると、新たな資金はR&Dと雇用とマーケティングに三分割される。同社は顧客からのフィードバックで味を改良し、サプライチェーンを最適化し、役員級の人材を雇用し、新しい流通チャネルの開拓にも資金を投じるつもりだ。現在は主に自分たちのオンラインストアで製品を販売しているが、、食品卸やオンラインの食料品店にも販路を広げたい。
Immiの製品の発売は1月だったが、マーケティングを何もせずに、最初の1カ月で在庫は売り切れた。そしてこれまでは米国で1万以上の受注に応じ、国際化も志向している。
今後については、2つのことを考えている。1つは、味や麺のタイプなどを多様化し、毎月新製品を出したい。さらに、麺以外にスナックやお菓子などのアジア系食品にも挑戦したい。もちろんそれらにもクリーンな原料を使っていく。2人が子どものころ大好きだったお菓子が、まず最初の製品アイデアになるだろう。
マーケティングと流通政策も重要だ。現在、同社には試食に参加してくれる協力者が4000人いるが、もっと増やすべきだ。
「製品を特殊な層でなく、もっと一般的な消費者に買ってもらうために何をすべきか、それを現在考えています。特殊なダイエットではなく、単純に健康的な食品だから買って欲しい。また味の文化のクリエイターやセレブ、TikTokのインフルエンサーなどにもImmiを広げて、消費者の関心を呼び、メインストリームにしていきたい」とリー氏はいう。
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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)