ドコモのインキュベーションプログラム第2期、グランプリは献立提案サービス「me:new」に

インキュベーションプログラムの総仕上げであり、スタートアップが自らの成果を発表する場である「デモデイ」。米国ではY Combinatorが開催されたばかりたが、時を同じくして日本でも開催されている。NTTドコモ・キャピタルは3月26日にインキュベーションプログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」第2期のデモデイを開催した。

約4カ月に渡るプログラムでサービスをブラッシュアップしたスタートアップは6社。サービスの概要を紹介していく。

forEst「ATLS

出版社と提携して市販の問題集をデジタル化。タブレット端末上で閲覧できるようにするサービス。端末はあくまで問題集の閲覧や時間の計測のみ。実際に紙と鉛筆を使って回答していく。「教育分野のAmazonを目指す」としており、教材の販売、そして教育実績のビッグデータ化、さらにそのデータを使って苦手な問題や忘れていそうな問題の再学習に向けたレコメンドの機能を用意する。すでに出版社、高校と組み、300人体制でユーザーテストを開始するという。

えがおの「えがおの本

在学中に学校行事の写真を購入でき、卒業時にその写真でオリジナルの卒業アルバムを作成できるアプリ。学校行事などで写真館が撮影した写真を、顔認識技術をもとにアプリ上でレコメンド。ユーザーが直接購入することができる。そして卒業時にはこれまで購入した写真を組み合わせて卒業アルバムの作成が可能。

アルバムはデジタルデータだが、印刷しての販売なども予定する。すでに複数の写真館から打診を受けており、導入が決まっているケースもあるそうだ。

だんきち「スポとも

動画アプリを通じたスポーツ通信レッスンサービス。フォーム分析や動画共有の無料機能も提供する。地域によって人材不足だったり、レッスン料が高額となったりするスポーツのコーチング。こういった課題をアプリ上でのマッチング、動画を使った指導で解決する。4月からは10人のスポーツ選手がコーチとして参画する予定だ。

wizpra「Pozica

職場の同僚、バイト仲間など一緒に働く人たちに対しての感謝を書いて送る「サンクスカード」。これをオンラインで実現するプラットフォーム。管理者向け機能も提供し、実際どの程度のやりとりがあるかを把握することができる。すでにベータ版を提供しているが、3カ月でコミュニケーションが増えたという実績もあるそうだ。

ミーニュー「me:new

利用者の好みや栄養を考えた最大1週間の献立を自動作成できるサービス。料理というとクックパッドや楽天レシピを思い浮かべることも多いが、このサービスでは、1つの料理の作り方を支持する「レシピ」でなく、1食の料理すべてのレシピを紹介する「献立」を1週間分提供するのが特徴。レシピに加えて、買い物リストの自動生成機能などを備えている。

WonderBee「WonderBee

ガジェットに特化したSNS。市販されている、これからされるガジェットの1つ1つを「コミュニティ」として用意し、そのガジェットのファン、ユーザーが集まる仕組みを提供する。ベータ版ではすでに100以上のコミュニティがあるという。

第3期プログラムは「ジャンル不問」でスタートアップを募集

その中からから見事最優秀チームに選ばれたのはミーニューだった。同社はデモデイの来場者投票による「オーディエンス賞」も同時に獲得。そのほか「ソニーセレクト賞」「ベストストレッチ賞」にはforEstが選ばれた。

デモデイの開催とあわせて、NTTドコモ・ベンチャーズでは、第3期プログラムの募集も開始した。応募条件は、設立3年以内、従業員数10人以下の企業または今後起業を予定している人、500万円の転換社債型新株予約権付社債を発行すること、プログラム終了までにベータ版のプロダクトをリリースできることなど。募集は5月8日までとなっているが、応募や条件の詳細は同社のサイトを参考にして欲しい。プログラムについて説明したNTTドコモ・ベンチャーズ取締役副社長の秋元信行氏は、「これは本当にドコモと関係するのか? というものでも応募して欲しい。ドコモを踏み台にして、使い倒して、ライバルになるような会社をお待ちしている」と来場者に語った。


KDDIのインキュベーション、∞Labo 第4期生採択チーム発表 – 新たにHTML5枠も追加

kddi ∞ Labo 4th

本日、KDDIが運営するインキュベーション、∞Laboの第4期プログラムに参加する7チームが発表された。今回から新たにHTML5枠が設けられた。さらに、KDDIの社内から2チームも参加することが発表された。

KDDI∞Laboについては本誌で何度か取り上げているが、内容としては社内・社外アドバイザーによるメンタリングやオフィス・開発環境などが3カ月間提供されるプログラムだ。

それでは第4期参加チームをご紹介しよう。

Class

平均年齢22歳の学生中心のWe-bが開発するのは青春時代をもう一度迎えるためのSNSだ。学校のような体験をもう一度することで新しい友達を作ることを目指している。サービスに生年月日を登録すると、同い年の男女10人でクラスが作成される。このクラスは同世代からランダムに選ばれるので、学校に通っていた時と同じように新しい出会いがある。

このクラスは1カ月限定で、その間にコミュニケーションを取り、友達を増やそうというものだ。サービス内では1日に1つお題が出され(中学の時に流行ったものは?など)、それについて会話を発展させていく。

社会人になると、同業者の仕事の繋がりでしか出会いの場がない人は多く友達を作る機会が減る。これを学校の体験を再度提供することで解決しようとしている。

事前登録者は3日間で2000人を越えたというので、ニーズはそれなりにあるのかもしれない。

KawaiiMuseumJPN

日本から世界に通用するキャラクターを増やすというビジョンの基、Facebookページでかわいいキャラクターの写真を投稿しているのがKawaiiMuseumJPNだ。Tokyo Otaku Modeをイメージしてもうとわかりやすい。すでにFacebookページには361万の「いいね!」がついており8カ月でこの数字を達成した(Tokyo Otaku Modeは現在1,103万いいね!)。

今後はFacebookページの運用だけではなく、キャラクターコンテンツを流通させるためのプラットフォームを開発し、ECサイトから収益を上げる予定だという。

また、ECサイトの他にキャラクターグッズを扱っている実店舗への集客を支援するサービスの開発も考えているそうだ。

Canvas Creator

今期から新設されたHTML5枠での採択となったCanvas CreatorはHTML5のWebアプリをGUIでデザインするためのツールだ。コードを書くことなくWebアプリをデザインでき、パワーポイントのように簡単にオブジェクトを配置できる点がウリのサービスだ。

HTML5を利用したWebアプリはまだ少ない。その原因はネイティブアプリよりもデザインの開発が難しいことにあるという。Webアプリは主にHTML、CSS、JavaScriptを用いるがCSSは元々PCで表示することを前提として作られたため、モバイルのデザインには適していない点が多いと代表取締役の宮崎航氏はいう。

GUIでWebアプリをデザインするツールといえば、AdobeのMuseなどが有名だが、これもCSSでレイアウトを作成するためスマホ向けには向いていないそうだ。

デモはまだ見ていないが、Webアプリに関しては賛否両論なだけにクオリティーの高い完成品に期待したい。

mygrow.jp

mygrowは教育向けのサービスで、生徒の成長を記録・共有するためのものだ。このサービスを運営するのはLife is Tech!というスタートアップで2年半前から教育に関する事業を展開してきた。主に中高生向けのIT教育のキャンプを開催し、パソコンやものづくりに興味を持つ学生達を支援してきたという。

キャンプの開催回数が増えてくると、最初は30人だったものも前回は300人規模になり、個人個人に適した教育が難しくなってしまった。この問題を解決するために生徒の成果を記録として残し、可視化することで特徴や能力を把握しようという。

TRAPRO

学生枠で採択されたのが社会問題を解決するためのプラットフォーム、TRAPROだ。少子化や地球温暖化など社会問題は日に日に増えていくが、これらが解決されることは少ない。だが、なぜ社会問題は解決しないのだろうか。それは問題が自分に関係しない、身近に感じられない、問題に対して何ができるかわからないことが原因ではないかと代表の安倍敏樹氏はいう。

社会問題には、感心が持てないこと、社会問題の情報が一括化されていないこと、現地に行くすべがないこと、この3つの障壁があるという。TRAPROでは、ユーザーが気になる社会問題をサービス上に投稿し、賛同する支持者を募る。支持者が集ったら、問題に関連するNPOに持ちかけたり実際の活動を行う。

社会問題を解決するためのプラットフォームが存在することで、これまで何もアクションを起こせないでいた人達が出会い、問題の解決に繋がる行動への導線を構築する。

すでに原発の現状を見に行く活動では30人が集まり、1人5万円を払い福島に150万円の貢献をしたそうだ。

以上が外部から参加した第4期採択チームだ。

この他に1週間の献立を1秒で作ってくれる「1Week Recipe Matching」、カップルのデートをより充実させるためのイチャイチャサービス「いちゃつい」の2チームがKDDI社内から参加している。

今回採択された少人数制SNSのClass、教育サービスであり行動を記録するmygrow.jpは第3期採択チームと比較するとクローズドSNSのClose、SNSのログをまとめるLogTown、学習支援プラットフォームのmana.boとシナジーがあるように思える。

KDDI∞Laboから明示的にサービス内容についての基準は発表されていないが、少人数制SNS、ログを残すサービス、教育系に関してはやや力を入れているのかもしれない。