米中貿易戦争の中、サプライチェーンの多様化需要に応える香港のスタートアップICW

米国の輸入業者にとって、困難なものになってきている。それは最近のサプライヤー探しは新型コロナウイルス(COVID-19)による渡航制限だけが理由ではない。米国政府によるエンティティリスト指定や人権関連の制裁、中国企業を対象とした貿易ブラックリストもまた、米国のサプライチェーンを揺さぶっている。

そんな中、世界中の企業の調達先探しを容易にすることを狙うInternational Compliance Workshop(インターナショナル・コンプライアンス・ワークショップ、ICW)という名の若い企業が、新たな資金調達のラウンドを完了した。この香港を拠点とするスタートアップはシリーズAラウンドとして575万ドル(約6億円)を調達したばかりだ。これによって資金調達総額は約1000万ドル(約10億5000万円)になったと、共同創業者でCEOのGarry Lam氏(ギャリー・ラム)氏がTechCrunchに語った。

ICWは、サプライヤーとバイヤーをつなぐマッチメーカーのような役割を果たすが、Alibaba(アリババ)のB2Bプラットフォームや国際的なトレードショーのような既存のオプションとは異なり、コンプライアンス、製品品質および認証に関しても、ICWがサプライヤーを審査する。同社は4万社以上(現在はそのうち80%が中国国内にある)のサプライヤーのすべての情報を、成長を続けるデータベースに集積し、個別のニーズに基づいてバイヤーに推奨を行う。

2016年に設立されたICWの現在の顧客リストにはRalph Lauren(ラルフ・ローレン)、Prenatal Retail Group(プリネイトル・リテール・グループ)、Blokker(ブロッカー)、Kmart(Kマート)、そして名前は公開できないが米国の大手薬局チェーンといった世界最大級の小売業者が含まれている。

ICWの最新資金調達ラウンドはInfinity Ventures Partnersが主導し、Integrated Capitalや既存の投資家であるMindWorks Capital、香港政府による20億ドル(約2094億円)規模のInnovation and Technology Venture Fundが参加した。

サプライチェーンのシフト

米中貿易戦争や中国内の人件費高騰などを背景に、中国以外への調達シフトが進む中で、ICWでもサプライチェーンの多様化を図る顧客が増えている。しかし、短期的な移行には限界がある。

「たとえばBluetoothデバイスやモバイルバッテリーといった特定の製品カテゴリーのサプライヤーを他国で見つけるのは、まだ非常に困難です」とラム氏は語る。「しかし、衣料品や繊維に関しては、すでに10年前から移行が始まっています」。

中国の製造業の多くの部分を置き換えてきた東南アジアでは、それぞれの国がある程度の専門性を持っている。たとえばベトナムは木製家具のサプライヤーが多いのに対して、タイはプラスチック製品で知られており、マレーシアは医療用品の良いサプライヤーだ、とラム氏はいう。

人権関連の制裁など、より扱いにくいコンプライアンスに関しては、ICWは第三者認証機関に頼ってサプライヤーのスクリーニングと審査を行っている。

「サプライヤーが企業としての社会的責任を果たしているかどうかを検証するための、(一種の)基準があります【略】たとえば工場が労働法を満たしているかどうか、最低限の労働権を満たしているかどうかや、給料を支払っているかどうか、などのすべてです」とラム氏は説明した。

ICWはこの新しい資金をコンプライアンス管理システム、製品テストプラットフォーム、B2B調達サイトといった製品の開発に使う予定だ。

カテゴリー:その他
タグ:International Compliance Workshop資金調達香港サプライチェーン

画像クレジット:STR/AFP / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:sako)