Sonyはかつての勢いを失ったPC事業を売り放して、6月にはテレビ受像機事業を別会社として独立させる。同社のこの発表は、昨日の報道を確認している。それによると、VAIOブランドの買収を計画しているのは、企業再編支援専門の投資ファンドJapan Industrial Partners(日本産業パートナーズ)だ。金額などは公表されていないが、Nikkeiの記事によると500億円(4億9000万ドル)に近いという。
買収の完了は3月末で、Sonyは今会計年度内に全世界で5000名を解雇するが、一方新たに動き出すPC企業はSonyの社員を250~500名雇用して残存保証業務に当たらせる。Sonyもこの新会社の立ち上げに総資金の5%を出資する。
VAIOの売却は、今や意外ではない。SonyのPC事業はこのところ長年、ほかの事業ほどの業績をあげていない。2012年にKazuo Hirai(平井一夫)が社長兼CEOになったときに列挙した同社の経営基盤の中に、PCは含まれていなかった。そのときの彼によると、Sonyの未来はデジタル画像技術、ゲーム、そしてモバイルにある、と言われた。しかしこの三つのジャンルですら、スマートフォンのXperiaシリーズをはじめとして革新的な製品を次々と出すものの、その業績はライバルのSamsungやAndroidほどには伸びなかった。
Sonyは、200億円を投じてPCとテレビ受像機事業を構造改革し、4Kなどのハイエンド製品に注力する、とも言っている。それによりテレビは2015会計年度には再び黒字になる、と同社は期待している。
同社の利益は未だに安定しないが、それは競争の激化によるところが大きい。2013Q3の決算報告では、モバイル部門の売上の前年比増が報告されているが、それでも2013年全年全社の利益は1100億円(11億ドル)のマイナス、すなわち損失となり、期首予想の300億円から大きくかけ離れた。
PlayStation 4は年末年始商戦で400万台売れて好調だが、このゲーム機は利幅が薄いため、同社の利益に大きく貢献するのは製品のライフサイクルのずっと後期になると予想される。
Sonyはこの前の財務報告でPCの伸び悩みを報告したが、昨日(きのう)になるとVAIOに関してはいろいろなやり方を検討中である、という言い方になった。
しかし明らかに今のSonyに必要なのは迅速なアクションであり、もはやその検討ではない。1月末には、MoodyによるSonyの社債の格付けが、Baa3からBa1に落ちた(“信用リスク中程度”→“債務不履行の可能性あり”)。それは、今後の同社への投資は投機的な性格を帯びる(==リスクが大きい)、という意味だ。つまり今後のSonyは、借入れが困難になる。
VAIOの業績が好転しないのは、PC市場の全体的な落ち込みとパラレルだ。2013Q4に関するGartnerの前触れ的調査報告では、PCの売上は6.9%減の8260万台となっている。2013年は、PCとラップトップにとっての“底”になり、年間では前年比で10%減少した。2014年には、これほど激しい落ち込みはない、と予想されている。
[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))