蚕を利用した医薬品製造を目指すKAICOが2.6億円調達、新型コロナ抗体検査キットやワクチンを開発へ

KAICO525日、5月22日に2億6000万円を調達したことを明らかにした。シリーズAラウンドの第三者割当増資による調達で、引受先はFFGベンチャービジネスパートナーズ、九州広域復興支援投資事業有限責任組合、東京センチュリーなど。シードラウンドを合わせた累計調達総額は3億円となる。同社は、2019年にTechCrunch Japanに開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2019」のピッチコンテスト「スタートアップバトル」で、100社超の企業から勝ち残ったファイナリストの1社。

同社は九州大学が半世紀以上にわたって系統整備と体系的な選抜育種を進めてきた独自のカイコを利用したカイコ・バキュロウイルス発現法により、再生医療用研究試薬やワクチン、診断薬などを大量生産できる生産プラットフォームの構築技術を擁するスタートアップ。

カイコ・バキュロウイルス発現法とは、目的のタンパク質DNAをバキュロウイルスに挿入してカイコ体内に注入することにより、ウイルスの増殖に従って目的タンパク質が発現させる方法。発現された目的タンパク質を体内から回収・精製してワクチン製造などに利用する。

同社の説明によると、カイコは個々がバイオリアクター(生体触媒を用いて生化学反応を行う装置)の機能を果たすため、開発したタンパク質は頭数を増やすだけで、医薬品の量産が可能なるとのこと。少量多品種の生産に対応できるのが特徴で、複数薬を同時並行開発できるほか、大量生産も容易だとしている。

今回の新型コロナウイルスに関しては、技術導出元である九州大学農学研究院日下部研究室が主導し、組み換えウイルス抗原と組み換え抗ウイルス抗体の共同開発。抗原に関しては、新型コロナウイルスのSプロテイン三量体の開発に成功し、 複数の抗体との結合を確認したという。

この結果を受け、新型コロナウイルスの抗原・抗体を合わせて供給できることにより、パートナー企業と抗体検査キットの開発を開始した。また、抗原Sプロテインはワクチン候補として今後量産体制を確立し、製薬企業へ共同開発を呼びかけていくという。

今回調達した資金は、医療品製造に求められるGMPルールに則った生産設備の施工と機器の設置、研究開発・生産を担う人材増員のために使われる。さらに、同社が擁するカイコ・バキュロウイルス発現によるタンパク質開発の世界展開に向けた動きも加速させる計画だ。

TechCrunch Tokyo 2019スタートアップバトルのファイナル進出6社が決定

11月14日、15日に開催されるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」。その中の目玉企画は、なんといってもスタートアップバトル。設立3年未満、正式ローンチが1年未満のプロダクト/サービスを持つスタートアップ企業が競うピッチコンテストだ。今年は過去最多となる約130社の応募があり、最終的に20社がファイナリストに決定。そして初日のファーストラウンドで6社が勝ち残った。

ファーストラウンド通過の順位はまだ明かせないが、実は審査員の総得点では、同得点で3位が3社、さらに同得点で6位が3社、そして2位から9位まで3点差というかなり熾烈な戦いだった。まず審査員の総得点でファイナル進出を決める5社は、1位、2位、3位3社の計5社で確定、残すは会場投票の1社。その会場投票でファイナル進出を勝ち取ったのは、同得点で6位に並んでいた3社の中の1社だった。結果的には、上位6社が選ばれたので順当な結果ともいえる。以下、ファイナルラウンド進出の6社を、ファイナルラウンドのピッチ順に紹介する。

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Linc’well

Linc’wellがプロデュースする診療所であるクリニックフォア田町では、オンライン予約システムやAIを取り入れた問診システムの活用、院内のオペレーションを効率化する電子カルテの導入などを通じて、患者の体験向上とクリニックの経営効率化を目指す。患者は、診断は公式サイトからスマホやPCを通じてオンラインで予約できる。具体的には、希望する診断内容を選択した後にカレンダーから空いている時間帯をチェックして希望の日時を選べばいい。診察時間は15分単位で事前にスケジューリングしているため、具合の悪い人がいる場合などに多少のズレはあったとしても、長時間待たされることはほとんどない。診察後の会計はキャッシュレスに対応している。

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オーティファイ

AIを活用してソフトウェアテストを自動化するプラットフォームを開発。現在、開発サイクルを素早く回す「アジャイル開発」という手法が普及してきたが、その際に問題になるのがソフトウェアの検証作業だ。人手に頼ると時間が掛かりすぎ、早期リリースのボトルネックとなる。同社のサービスを利用すると、非エンジニアでも簡単にウェブアプリの検証作業を自動化できるほか、AIがアプリケーションコードの変更を監視し、検証シナリオの修正を自動で行うため、メンテナンスコストを大幅にカットできるとのこと。
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SE4

VRシミュレーターを使用し、通常では実現が難しい遠距離、もしくは通信遅延が発生するような環境での操作を可能にするロボット遠隔操作技術を開発。将来的には、AIとVRを組み合わせて地球外でのロボット主導産業の実現へ貢献することを目標とする。孫 泰蔵率いるMistletoe(ミスルトウ)から出資を受けている。

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RevComm

電話営業や顧客対応を可視化する音声解析AI搭載型クラウドIP電話サービス「MiiTel」(ミーテル)を提供。電話営業や電話での顧客対応の内容をAIがリアルタイムで解析することで、成約率を上げつつ、解約率と教育コストの低下を目指す。顧客管理システムとの連携も可能で、顧客名をクリックするだけで簡単に発信できるほか、着信時に顧客情報を自動表示するいった機能もある。電話での会話内容は顧客情報に紐付けてクラウド上に自動録音されるため、すぐにアクセスできる。一部を抜粋して共有することも可能だ。

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KAICO

昆虫のカイコでバイオ医薬品・ワクチンをどこよりも早く大量生産する技術を擁する。現代は世界中の人・物の移動が頻繁に行われており、疫病などが世界中に蔓延するのも一瞬。未知の疫病が発生した時には、人々は感染恐怖にさらされる。そのときの人々が願うのは、治療薬でありまた予防のワクチン。同社の生産プラットフォームは、ほかの方法よりいち早くワクチンを大量に生産可能で、人々を感染の恐怖から救える。

Basset

仮想通貨交換業者や行政機関向けに、ブロックチェーン取引の分析・監視ソリューションを開発するスタートアップ。具体的には、暗号資産のマネーロンダリングを防止するためのデータ分析サービスで、ブロックチェーンデータを分析することで資金の流れを追うプロダクトだ。BTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)をはじめ、金融庁のホワイトリストで指定された暗号資産のリスク検知・評価とマネーロンダリング対策に対応していく予定だ。

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