NSA(National Security Agency,国家安全保障局)は2015年に深刻な侵害を蒙り、サイバー戦争に関する同局の戦略を外部に露出した。それには、防御の方法とともに、外国のネットワークを攻撃する方法も含まれていた。Wall Street Journalが今日(米国時間10/5)、そう報じている。その攻撃の背後にはロシアの諜報機関がいて、ロシアのKaspersky Labsのソフトウェアが道具として使われた、とされている。
しかもなんと、問題のデータはNSAの契約職員が自宅に持ち帰っていたと言われ、その人物がなぜか、彼らが使うKasperskyのウィルス防御ソフトウェアによって危機に陥った。その具体的な過程の説明はないが、推測では、同局のサーバー上の疑わしいファイル(マルウェアの実行ファイルなど)を彼がダウンロードし保存する行為に関連していたようだ。本誌は今、K社に詳しい情報を求めている。
Kaspersky Labsは今年非難の砲火を浴び、その背景では、数えきれないほど多くのサイバーセキュリティ関連事件と、噂される現政権との関係により、アメリカの国政に対するロシアの妨害が懸念されていた。つい先月は、同社のソフトウェアの使用が、行政府と議会の各部で禁じられた。Kasperskyは、“いかなる政府とも不当な関係はない”と言って嫌疑を否定し、申し立てには根拠がない、と主張した。
方法についてはよく分からないが、侵害があったことはほぼ確実である。WSJによると、侵害が深刻だったからこそコードネームまで付けられ、同局の上部からの訓戒もあったのだ。盗まれた資料にはNSAのオペレーションの詳細だけでなく、攻撃や防御に使われる実際のコードまであったと言われる。
侵害は公表されず、2015年に起きたものが2016年の春にやっと発見された。そのためロシアの諜報機関は選挙の年に楽に仕事を開始し、その年が深刻なサイバーセキュリティ事件に侵されることが、確実となったのだ。