配達ロボットのKiwibotが食料品配達をサンノゼでShopifyなどと提携して展開

カリフォルニア大学バークレー校キャンパスの学生にブリトーやスナックを届けている配達ロボットスタートアップのKiwibot(キウィボット)は、Shopify(ショピファイ)、Ordermark(オーダーマーク)との提携のもと、サンノゼで新たなビジネスモデルを展開する。

約25台のKiwibotが米国時間7月21日、サンノゼとブエナビスタのダウンタウンで顧客への食品などの配達を開始する。このエリアは市中心部の南西に位置し、中南米系の人が多く住む。顧客への配達でKiwibotを利用するレストランや事業所に課す料金は1回あたり3.99ドル(約430円)だ。

サンノゼでのローンチは単に地理的な拡大ではない。Kiwibotの新たなB2B戦略の正式立ち上げとなる。

「ロボットインフラやマーケットプレイスを構築する代わりに、我々はロボットインフラ構築だけにフォーカスし、マーケットプレイスを専門とする企業と提携しようと考えた」と共同創業者でCEOのFelipe Chavez(フェリペ・チャベス)氏は述べた。

Kiwibotは2020年1月に路線を変更し、あらゆる事業所が自社のプラットフォームに取り込めるようB2BのAPIの構築を開始した。ShopifyとOrdermarkは、Kiwibotにとって新指針下での初のパートナーだ。

提携が意味するところは、Shopifyプラットフォームを活用している事業者はオンラインストアにKiwibot APIを加え、プロダクトを直接顧客に届けることができるということだ。一方、事業所にオンライン注文プラットフォームを販売しているOrdermarkは、Kiwibot APIをプロダクトに取り込んだ。現在、Ordermarkのダッシュボード上には、他のさまざまなサービスとともにKiwibotも表示される。

チャベス氏によると、Kiwibotはサンノゼ市とも緊密に連携をとっている。市の輸送当局は、Mobility Data Specification(MDS)を介して各ロボットの位置をリアルタイムに把握できるようになる見込みだ。スクーターなどシェアリング用車両を追跡するためのツールとしてMDSを活用する自治体は増えている。しかしチャベス氏は、サンノゼがロボット企業のAPIを統合する初の自治体だと主張する。顧客の個人情報を保護するためにデータは暗号化される、とも同氏は述べた。

画像クレジット:Kiwibot

Kiwibotは完全自動ではない。少なくとも「今はまだ」だ。チャベス氏はKiwibotを表現するのに「半自動」という言葉を使う。それが意味するところは、つまり配達ロボットはカメラを搭載し、周囲にある物体を感知しながら走行できる。しかし特定の状況ではリモートで人間がサポートしたりコントロールしたりする。1人の人間が最大3台を遠隔モニターできる。こうしたテレオペレーターもしくは監督者は経路計画や設定の方法、ルートに沿った中間地点の調整を提供する。また、問題が起こったときに介入して直接コントロールすることもできる。同社によると、監督者の多くはコロンビアにいて、そこからロボットの全ての道路横断をコントロールする。コロンビアは、チャベス氏と彼の共同創業パートナーSergio Pachón(セルジオ・パチョン)氏の出身地だ。

このロボットは今後人間への依存を減らすことが目的だ。次世代のKiwibot 4.0はひと回り大きくなる。人目につかない部分では、センサーが追加で加わる。カメラが増え、LiDARも搭載する。Kiwibot 4.0は年末までに登場する予定だ。

画像クレジット:Kiwibot

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(翻訳:Mizoguchi

TechCrunchセッション「Robotics + AI」に登場したロボットたち

4月18日に米国のUC Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)で開催された、TechCrunchのイベント「Sessions: Robotics + AI」。会場はロボットだらけで、メインMCを務めたTechCrunchの記者であるBrian(Heater)もロボなんじゃないかと一瞬、疑ったほどだ。

TechCrunchのハードウェア・エディターを務めるBrian Heater

すべてではないが、会場やステージなどで披露されていた、ユニークなロボットたちを画像や動画で紹介したい。

SpotMini(Boston Dynamics)

まずは、説明不要だとは思うが、Boston DynamicsのSpotMini。当日は創業者でCEOのMarc Raibert氏が登壇し、犬型ロボットのSpotMiniを紹介した。詳しくはBrianの記事を参考にしてほしい。

同セッションでは、同社が大量生産する予定のSpotMiniが登場したが、ぱっと見は従来のモデルと同じ。何が違うのだろうか。

Reibert氏いわく、より信頼性のあるプロダクトにするため幾つかの構成部品を再設計、そして、倒れた際などを想定し、より強固なスキンに更新した。同機にはカメラが前後左右に配置されていて、全方位を見ることが可能だ。

SpotMiniは7月に発売予定。Raibert氏は近い未来、デベロッパーたちが専用アプリを作ることで、SpotMiniが「ロボティクスのAndroid」になることを期待する、と述べていた。

同日、イベント終了後には会場の外でデモが行われ、多くの人たちが集まっていた。

Brianいわく、彼はBoston Dynamicsの従業員以外でSpotMiniを操縦したことのある、数少ないラッキーなロボットオタクだという。

だが、当日の会場では、Raibert氏に声を掛けられた小さな女の子が、SpotMiniの操縦をちょっとだけ体験していた。父親は終始「マジかよ」って顔をしていたが、彼女が大人になった時、有能なロボット開発者になっていることを期待したい。

Kiwibot

会場の外を走り回っていたのは、小さくてかわいらしい、お弁当配達ロボットのKiwibotだ。

このKiwibotはUC Berkeleyの構内でも食事を配達している。生徒たちは学校のキャンパスからアプリを通じてランチなどを注文し、Kiwibotが配達してくれるのを待つ。

当日のセッションで登壇したKiwibotのCEOであるFelipe Chavez Cortes氏は「これまでに3万5000件の注文に対応した」と述べた。同社のSasha Latsenia氏は、KiwibotはUber EatsやGrubhubと比べると配達の効率がはるかにいいと説明。注文を受けロボットに食事を入れるスタッフ1人につき、1時間に15回のデリバリーに対応することが可能だという。

Cortes氏は、来年までに、全米の30もの大学がKiwibotを導入し、毎日、合計500台ものロボットが数千食を配達している状態を目指す、と話していた。

Terra(iRobot)

お掃除ロボのRoombaなどでおなじみのiRobot。当日登壇した同社のCEO、Colin Angle氏がステージに連れてきたのは今年の1月に発表された芝刈りロボットのTerraだった。

The iRobot Terra

Terraは2019年中にドイツで販売、 米国ではベータ版プログラムとして提供開始される予定だ。Angle氏いわく、お掃除ロボに次いでリクエストが多かったのが芝刈りロボット。

Roombaの登場から17年後に発表されたTerra。Angle氏は、開発にあたり一番大変だったのは、Roombaと違い、強力な「刃」が必要だったことだと話した。Roombaは比較的「安全」なロボットだったのに対し、Terraには草を狩る刃がある。この刃を「ロボットフレンドリー」にするため、岩などに当たった際に「引っ込む」ように設計されている。

右がTerraに搭載された刃を説明するAngle氏

また、Roombaのような動きだと芝の模様が「ゴッホの絵画」(Angle氏)のようになってしまうため、また、芝生の中に花や木が植えられている可能性もあることなどから、「アウトドアナビゲーションシステム」を開発した。

LOOMO(SEGWAY ROBOTICS)

Kiwibotとともに会場の外に展示されていたのは、SEGWAY ROBOTICSのLOOMO。SEGWAYの上にロボットが乗っかっているような見た目。パーソナルモビリティーとパーソナルロボットのいいとこ取りといった感じだ。

公式サイトによると、最大時速は、ロボットモードで4.3mph (8km/h)、乗り物モードでは11mph (18km/h)。一回の充電で22 miles (35km)ほど走行できる。カメラが付いているので動画を撮影することも可能だ。

会場の外では走行デモが行われていた。

ロボットモードではLOOMOが後ろを付いてきてくれる。