患者の治療に専念できるようになる、AI診断可視化プラットフォームLifeVoxelが約5.7億円のシード資金を調達

サンディエゴのスタートアップLifeVoxel(ライフボクセル)は、より迅速で正確な予後のためのAI診断可視化プラットフォームのデータインテリジェンスを強化するため、シードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)を調達した。

Prescientという名称のプラットフォームは、診断、ワークフロー管理、トリアージに使用され、医師や病院はソフトウェアやハードウェア技術の管理でストレスを受けることなく、患者の治療に専念することができる。

Software-as-a-Service (SaaS) プラットフォームは、放射線科、循環器科、整形外科などのさまざまな医療分野で、医療施設が遠隔診断に使用する。Prescientには診断用の画像が保存されており、医師は携帯電話を含むあらゆるデバイスから必要に応じて画像を解析することができる。また、診断結果の注釈やレポートを作成する機能もある。

LifeVoxelの創業者でチーフアーキテクトのKovey Kovalan(コベイ・コバラン)氏は「今回のラウンドで確保した資金は、診断の効率と精度の向上のために、類似性や異常性、予測診断を識別できるデータインテリジェンスを提供できるよう、深層学習AIモデルや機械学習アルゴリズムの構築に役立てる予定です」と話す。

「つまり、当社が成長を続けることで、医療関係者が患者のどこが悪いのかをこれまでよりも迅速に把握できるようにし、より早く治療に取り掛かることができるようになるのです」とコバラン氏は述べた。

今回のラウンドには、医療や放射線の専門家、医療技術に関心のある富裕層など、さまざまな投資家が参加した。

マレーシアで生まれ育ったコバラン氏は、オハイオ州立大学でコンピュータサイエンスを学び、卒業後は人工知能を専門とするようになった。その後、研究のため、そして好奇心から、GPUを使った人工知能を医療画像の分類に応用し、その結果「インターネット上で医療画像のゼロレイテンシーのインタラクティビティを可能にする」プラットフォームの開発につながった。

このプラットフォームは、ソフトウェアを使用する病院のテクノロジーコストを約50%削減するように設計されていて、施設のニーズに応じて拡張または縮小することができる。また、医師が世界中のどこからでも患者やそのデータにアクセスできるようになり、よりスピーディーな治療が可能になる。

コバラン氏は、このプラットフォームを利用して、画像がオンプレミスで管理されているために共同作業がしづらいという医療画像の現状を変え、人工知能を活用したものにしたいと考えている。LifeVoxelはこの技術を使って、インテリジェントな可視化による診断結果の向上を目指している。

「専門家が不足している地方の人々は、どんなデバイスでも放射線技師のワークステーションにすることができるこのプラットフォームによって、都市部と同じように画像検査のレビューで専門医のネットワークにアクセスできます。最近ではパンデミックの間に、これまでにないインタラクティブな3D VRテレプレゼンスを実現するために、数千マイル離れた遠隔地のプロクターと手術室内の外科医との間でこのような技術が展開されました」。

新型コロナパンデミックをきっかけに、より多くの医療機関がリモートや遠隔医療の機能を拡大している中で、LifeVoxelの技術はタイムリーなものだ。加えて、従来のクラウドベースのシステムから脱却し、患者の予後を向上させるためにAI技術を採用する病院が増えている。

LifeVoxelの共同創業者で社長兼CEOのSekhar Puli(シェーカル・プーリー)氏は「医療用画像処理および放射線科には、従来のシステムの不備を補うダイナミックなソリューションが必要です」と話す。

「今回の資金調達により、世界中の医療用画像アプリケーションの事実上のプラットフォームになるというビジョンを加速させるだけでなく、ヘルスケアの未来のために、遠隔医療イメージングや高度な技術ベースのAIソリューションを大きく前進させることができるでしょう」。

画像クレジット:phuttaphat tipsana / Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nariko Mizoguchi