ここ数年、自閉症スペクトラムの子供を持つ親や教師のために、さまざまなテック系ツールが登場してきている。コミュニケーションスキルを磨くためのアプリケーションやゲームが登場しているし、またバーチャルリアリティによって、さまざまな「状況」への対応力を訓練させようとするツールもある。多くは小規模チームが開発するものだが、自閉症スペクトラムの診断が増加する中、大企業の参入も増えてきたようだ。
本稿で紹介するLook At MeはSamsungが開発した自閉症児支援アプリケーションだ。Androidアプリケーションを通じて子供たちに視線を合わせる行為の練習をさせる。多くの自閉症児が視線を合わせるという行為を苦手としているのだ。
Samsungの他にも、たとえばGoogleおよび支援団体で構成するAutism SpeaksはMSSNGプロジェクトをアナウンスしている。自閉症スペクトラムと診断された子供やその家族からの遺伝子情報をあつめた世界最大のデータベースを構築しようとするものだ。データはGoogle Cloud Platformに登録し、科学者や研究者に提供する(MSSNGは以前The Autism Speaks Ten Thousand Genomes Programとして運用されていた)。またマイクロソフトも2001年より従業員の子供たちに対する応用行動分析療法(ABA)の保険適用を認めている。
こうした動きに、企業のPR的側面があることは否定できない。しかし診断例が増える中でも誤解も多い症例であり、社会的な意味も大きいものだ。また学校や家族などで行う治療や対症療法なども非常に高額であることが多い。
Google Playで公開されているLook At Meは、医者、盆唐ソウル大病院、および延世大学の心理学教室の教授などが共同開発したものだ。写真と顔認識技術を使い、自閉症スペクトラムの子供に対してゲームを通じて人とコミュニケートする術を学ばせることを目的としている。開発チームは20人の子供に対して8週間にわたる実験を行い、そのうちの60%でアイコンタクト行動での効果が見られたと発表している。
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(翻訳:Maeda, H)