米国時間2月24日朝、食事専用の検索エンジンMealMe.ai(ミールミー・エーアイ)がプレシード投資ラウンドを90万ドル(約9500万円)でクローズしたと発表した。このラウンドはPalm Drive Capitalが主導し、Slow VenturesとCP Venturesが参加している。
TechCrunchがMealMeを初めて知ったのは、2020年10月に行われたアクセラレーターTechstars Atlanta(テックスターズ・アトランタ)のデモデーでのことだ。TechCrunchでは、そのとき登壇した当時のコホートのうち気になったスタートアップをまとめて紹介している。
同社の製品では、利用者は食事やレストランを検索できる。すると、さまざまな食事の出前アプリから利用者が食べたいもの、配達して欲しいものの価格帯が示される。注目すべきは、MealMeが業者に関わらずアプリ内で決済ができる点だ。
このサービスは、DoorDash(ドアダッシュ)やUber Eats(ウーバーイーツ)といった食事配達サービスアプリの価格や配達時間の透明性を高める可能性がある。しかし、MealMeは最初から検索エンジンを作ろうとしていたわけではない。ここに至るまでには紆余曲折があった。
ソーシャルネットワークから検索エンジンへ
MealMeは、最初のアイデアの方向性だけは正しかった類のスタートアップだ。同社は、食事に特化したソーシャルネットワークとしてスタートしたのだと、共同創設者のMatthew Bouchner(マシュー・ボシュナー)氏はTechCrunchに話した。そのサービスは改良を重ねるうちに、食事の写真を投稿できるようになり、掲載されたものを注文できるようになっていった。
まだソーシャルネットワークとして運用されていたころに、MealMeはY CombinatorとTechstarsに参加を申し込んだが、どちらからも断られてしまった。
やがて同スタートアップは、利用者たちが食事の写真を投稿するのは、どの出前サービスを使えば望みの食事を配達してもらえるかを知りたいためだと知った。そこに気づいた彼らは、レストランを検索でき、出前業者や価格の比較検討ができる料理専用の検索エンジンの開発に精力を傾けた。その改良によって、同社はTechstars Atlantaへの参加が叶い、TechCrunchが記事にしたデモデーにこぎつけたというわけだ。
Techstarsの参加中、同社はそのモデルを、DoorDashなどへの単なるリンクから、自社アプリの中で決済までできるかたちに変更した。これがMealMe内部の流通取引総額(GMV)を引き上げたとボシュナー氏はインタビューの中で話していた。その機能は2020年9月に運用開始となった。
そこから同社は、前週比でおよそ20パーセントという急成長を始めた。TechCrunchがMealMeインタビューを行った時点で、同社はGMVランレートが50万ドル(約5300万円)に達し、100万ドル(約1億600万円)に拡大しつつあると話していた。そこから現在までの数週間で、GMVランレートは100万ドルの壁を突破した。
MealMeは、そのビジネスモデルを積極的に語ろうとしないが、利用者が注文の際に支払う金額と、出前アプリに渡す総収益との差からマージンを生み出しているようだ。
TechCrunchは、MealMeのプラットフォームとしてのリスクが気になった。いくつものサードパーティーの出前サービスの価格を比較しながら注文できる仕組みを、それらのサービスを提供する業者を怒らせずに、うまく運営できるのだろうか。インタビューを行った時点では、サービス提供業者からの反発はないとボシュナー氏は話していた。同社の目標は、早く成長して、世界のDoorDashにとって有用な収入源となり、その後に正式な契約を交わすことだとボシュナー氏は話していた。
「私たちは強力な収益発生器として事業を続け、毎週数千件の注文を出前サービスにもたらします」とボシュナー氏は声明文の中で述べている。MealMeは、投資家たちは、Uber EatsなどがMealMeでアプリを使えなくするという懸念よりも、成長の早さのほうに大きな期待をかけていると確信しているようだ。
私がMealMeに興味を惹かれた最初の理由は、もし私が20代位前半だったら、どんだけ使っていただろうかと感じたことだ。おそらく同社は、若いころの私のような利用者を大勢呼び寄せ、大手の出前サービス企業に対して、掲載を断られるどころか、手数料を要求できるぐらいにまで大きく成長することだろう。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:MealMe、資金調達、検索エンジン、フードデリバリー
画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images
[原文へ]
(文:Alex Wilhelm、翻訳:金井哲夫)