マイクロソフトがShopifyと提携、Bing、Edge、Microsoft Starにマーチャントリストを提供

2021年初め、Google(グーグル)はShopify(ショッピファイ)との提携を発表した。これにより、eコマースプラットフォームの170万を超える販売業者がGoogle検索やその他のサービスを通じて消費者にリーチできるようになった。今回、Microsoft(マイクロソフト)も同様の提携を発表した。Microsoftは先日、Shopifyとの提携により、同社の検索エンジンMicrosoft Bingや、ブラウザMicrosoft EdgeのShoppingタブ、そして新たに開始したニュースサービスMicrosoft Startでの商品選択を拡大すると発表した。

関連記事:マイクロソフトがパーソナライズできるニュースサービス「Microsoft Start」を提供開始

この統合は、Microsoftのネットワーク上でのリーチを拡大するためのいくつかの調整を行うことができる更新されたMicrosoft Channelアプリを通じてShopifyの販売業者に提供される。設定が完了すると、販売業者の商品が、Microsoft Start、Microsoft Edge、Bingの「Shopping」タブに、無料で表示されるようになる。

画像クレジット:Microsoft

Googleと同様に、Microsoftの広告収入は、Amazonの広告ビジネスの拡大により、影響を受ける可能性がある。

Googleはこの課題に対処するために、今春のGoogle I/O開発者会議でオンライン広告主に向けてアピールした自社のGoogle Shoppingサービスの刷新に奔走している。その中で、同社は、消費者がどこに商品があるのか、どこが一番安いのかなどを見つけやすくするためにウェブサイト上の情報、価格のレビュー、商品データなどをまとめる「Shopping Graph(ショッピング・グラフ)」について説明した。また、Googleは2020年、販売業者がGoogle上で商品を販売することを無料にした。この変更により、Google上の販売業者が80%増加し、その大部分が中小企業であるとGoogleはアピールしている。

一方、Microsoftは、広告市場全体の回復に伴い、最近の四半期では検索広告収入が増加していること気づいている。しかし、Amazonは急速にそのシェアを拡大している。2021年上半期、Amazonは148億2000万ドル(約1兆6800億円)の広告売上を計上し、前年同期比で82%増となったと、WSJはGoogleのeコマース改革に関するレポートの中で指摘している。

より多くの消費者が、検索エンジンやホームページポータルを通さず、直接Amazonで商品検索を始めるようになり、GoogleとMicrosoftの両方の収益が打撃を受ける可能性がある。両社の競争力を高めるための、Shopifyとの提携により、GoogleとMicrosoftは、Amazonが持っていないような多くのオンライン在庫に直接アクセスして展示・販売できるようになる。

また、ShopifyとMicrosoftの統合により、販売業者は新しい広告キャンペーンを作成したり、Shopifyのストアでリアルタイムのレポートを使ってマーケティングパフォーマンスを確認したりすることができるようになる。また、Microsoftは将来的に他の「ショッピング機能の強化」を計画していると述べているが、その新機能に何が含まれるかについては詳しく述べていない。

Microsoftは、Shopifyが過去1年間に発表した数多くの統合の1つだ。また、ShopifyはSpotify(スポティファイ)と提携し、アーティストがSpotifyのプロフィールを通じて商品を販売できるようにしたり、TikTok(ティックトック)と協力してeコマースを実現したりもしている。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

マイクロソフトがパーソナライズできるニュースサービス「Microsoft Start」を提供開始

米国時間9月7日、Microsoft(マイクロソフト)はニュースをパーソナライズして読める独自のサービスを開始した。Microsoft Startという名称で、ウェブサイトとモバイルアプリの両方で利用でき、さらにWindows 10と11、ブラウザのMicrosoft EdgeといったMicrosoft製品とも統合されている。フィードにはニュース提供元からのコンテンツがユーザごとの関心に応じて組み合わされて表示されるという。このカスタマイズのシステムは、ニュースを提供しているAppleやGoogle、そしてFlipboardやSmartNewsなどの人気アプリとの闘いにプラスに働くだろう。

Microsoftによれば、このプロダクトはMSNやMicrosoft Newsといったオンラインとモバイルの顧客向けサービスのレガシーの上に作られているという。ただしMSNを置き換えるものではない。MSNは引き続きサービスを提供し、MSNとMicrosoft Startは社内での新たな競合となる。

Microsoft Startを利用するには、スタンドアローンのウェブサイトであるMicrosoftStart.comにアクセスする。このサイトはGoogle ChromeとMicrosoft Edgeで利用できる(Safariでは利用できない)。またはiOSかAndroidでモバイルアプリのMicrosoft Startをダウンロードする。

Microsoft Startは、Windows 10のタスクバーとWindows 11のウィジェットでもニュースやトピックの表示に利用される。Microsoft Edgeでは新規タブのページにも表示される。

画像クレジット:Microsoft

ぱっと見たところ、Microsoft Startは他のオンラインポータルとよく似ている。さまざまな提供元からのニュースが集められ、天気、株価、スポーツなどのウィジェットもある。記事を読むためにクリックすると、Microsoftのドメインでホストされているシンジケート化バージョンが表示される。上部にはナビゲーションバー、見出しの下には絵文字のリアクションボタンも用意されている。

個別の記事ではなくホームページを見ているときも、絵文字でニュースにリアクションできる。

絵文字のセットはFacebookのものと似ている。ただしFacebookで問題視されている笑い顔は、考えている顔に置き換えられている(Facebookの笑い顔は、例えば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のような悲しい出来事を記したストーリーに対しても、大っぴらに投稿をばかにしたりしたり人をあざ笑ったりするのに使われているとして批判されることが増えている)。

Microsoftは絵文字にもう1つ変更を加えた。ホームページでストーリーに絵文字でリアクションすると、トップ3の絵文字ではなく自分が付けた絵文字だけが表示される。

画像クレジット:Microsoft

オンラインのウェブポータルに集められるニュースコンテンツはあまり動的でないことが多いが、Microsoft Startのフィードはさまざまな方法でユーザの関心に応じて調整される。

「パーソナライズ設定」ボタンをクリックすると、ニュースやエンタメ、スポーツ、テクノロジー、マネー、投資、トラベル、ヘルスケアなど多くのカテゴリーから興味のあるものを追加したり削除したりすることができる。あるいは、カテゴリーやトピックを検索してもっと細分化されたもの、もっとニッチなものを設定することもできる(「子育て」ではなく「中学生の子育て」のように)。これはFlipboardの最近のアップデートで、ユーザが同様に選択することにより「For You」フィードという自分専用のメインページを作れるようになったことを思い出させる。

Microsoft Startのフィードをブラウズする際に「このような記事を増やす」「このような記事を減らす」をクリックしてさらにフィードを調整できる。時間をかけてユーザがコンテンツを調整していくことでフィードはどんどん洗練されるとMicrosoftは説明する。このようなカスタマイズにはAIと機械学習の他、人間による調整も活用されていると同社は説明する。

フィードには他のオンラインポータルと同様に広告が掲載される。下へスクロールすると点々と広告が入り、サイト名の横に緑色の「PR」バッジが付いている。大半は製品広告で、ニュースコンテンツとは関係がないようだ。MicrosoftはMSNを継続しており、Microsoft Startは他の多くの製品と統合されているため、Startが始まったことでMicrosoftが広告を掲載できるスペースは増えている。

iOSアプリのプライバシーラベルを見ると、他社のアプリやウェブサイト間でユーザをトラッキングするのにIDが使われる。これに対してGoogleニュースはトラッキングをしていない。Microsoft StartもGoogleニュースも、位置情報、ID、検索履歴、使用状況データ、ユーザコンテンツなど「ユーザに関連づけられたデータ」は多数収集している。ウェブサイトについては、Microsoft全般のプライバシーステートメントにリンクしているのみだ。

ウェブサイト、アプリ、統合は公開が開始されている。iOSでは以下のQRコードをスキャンするとApp Storeのページへ移動できるが、Androidでは原文記事制作時点で古いアプリにリンクしていたようだ。

関連記事
買収を続けるツイッターが今度は定額制ニュースアプリBriefのチームを「アクハイヤー」
SmartNewsの新型コロナ「ワクチンアラーム」日本で提供開始から1週間でユーザー数100万人を突破
中国人起業家が作ったローカルニュースアグリゲーター「News Break」が米国で大人気
画像クレジット:Microsoft

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)