TechCrunch Disrupt SF 2018で今日(米国時間9月6日)発表されたMiraは、不妊に悩む女性を手助けするためのデバイスだ。Miraのシステムは、尿に含まれるホルモンの濃度を測定して個人のサイクルを予測するというもので、どの日が妊娠しやすいかがわかる。開発元は、すでに市場に出回っている在宅用キットは結果を判別するのが難しかったり個人に合わせられていなかったりするが、Miraはそれらより高度で精度も高い、としている。
Miraの開発を手がけたQuanovateは、家で検査できる高度なテストキットがないという問題を解決しようと、科学者、エンジニア、産婦人科医師、そして会社役員のグループにより2015年に設立された。
「私には、私のようにキャリアや高学歴を[優先]した友達がたくさんいるが、そうした人たちは結婚時期を後ろにずらしがちだ」とMiraの創設者でCEOでもあるSylvia Kangは語る。「しかし、いつ子供を持てばいいのか、については教えられておらず、不妊についても注意を向けていない」と話す。
コーネルジョンソンでMBAを取得しているKangは、ビジネスディレクターとしてコーニング社で働く前に、コロンビア大学で修士(バイオメディカルエンジニアリング)を、そしてピッツバーグ大学でPhD(生物理学)を取っている。コーニング社ではグローバルP&L1億ドルのビジネスを担当したが、そこを去りMiraを立ち上げた。
Kangによると、女性のホルモンは毎日変動している。それは、ライフスタイルやストレスレベル、その他の因子により人それぞれなのだという。そのため、どの日が妊娠しやすいのかを正確に知る唯一の方法は、テストを続けることだ。それを家庭で行うというのは難しいことだった。
こうした問題を解決しようと、チームはMiraシステムを開発した。このシステムには家庭用の小さな分析器、尿テストストリップ、専用モバイルアプリが含まれる。分析器は、家庭でも使えるようにしたラボで使われる機器のミニチュアで、これによりコストを下げることができる。
このシステムでは、テストストリップをデバイスに差し込み、免疫蛍光テクノロジーで結果を読む。現段階では、このデバイスは排卵の指標となる黄体ホルモン(LH)の有無を調べる。しかしながら近い将来、他のホルモンも調べられるようデバイスをアップデートする計画だ。(たとえば、すでにエストロゲン検出でFDAをクリアしているが、商品発売開始には間に合わない)。
このシステムは、10枚のテストストリップ付きで199ドルだ。ストリップの分析が終わるとホルモンレベルのデータはデバイスのスクリーンに表示され、それからBluetoothを介してMiraのアプリに送られる。
アプリではそうしたデータが何を意味するのか、より詳細に教えてくれる。今日妊娠しやすいのか、それとももう少し先なのか、といったことだ。定額サービスではユーザーが医師に相談できる。このサービスは開始時には無料で展開される見込みだ。
「Miraで使われているテクノロジーは、今マーケットに出回っているどのテストストリップとも完全に異なる。より精度が高く、そしてさらに重要なのが量を使えることだ。これが何を意味するかというと、真剣に妊娠に取り組むことができる」とKangは話す。「(既存の)テストストリップは、ポジティブなのか、ネガティブなのかを知らせるだけ。我々のものは、ユーザーの周期をもとにAIがパターン認識し、そしてアルゴリズムによる予測は、全体の平均ではなくユーザーの具体的なパターンに基づいている」。
実際問題としてこれが何を意味するかというと、不妊に悩む女性が、より正確で、次の行動に移しやすく、そして個人に合わせた結果を入手することができるということだ。患者400人のサンプルを使った臨床実験では、ラボ施設に比べ99%の精度だったという。またMiraは、18のIPカバリングハードウェア、ソフトウェア、データベース管理、そして現物の特許やモデル、デザイン特許、商標、コピーライトを所有する。
開発チームはいま、さらなる分析のために医師が患者のデータにアクセスできるようにするためのポータルに取り組んでいる。Miraではまた、今後匿名化された患者のデータを集め、研究者に提供するかもしれない。しかしこの点についてはまだ正式な決定はしていない、とKangは話している。
長期的には、同じシステムを妊娠や更年期の管理に応用することができ、そして最終的に同様のテクノロジーを腎臓や甲状腺などに関連する症状の分析に使うことができる、とKangは説明する。
カリフォルニア・プレザントンに拠点を置くこの会社の従業員は現在36人で、これまでにGopher Venturesや2つの海外投資家(Miraが非公開を希望)を含む投資家から450万ドルの資金を調達した。
Disruptでは、Miraデバイスのプレオーダー受け付けが始まり、今年10月に出荷が始まると発表された。
デバイスはMiraのウェブサイトで販売されているが、販路を広げるために医師や小売店と協議を進めている。
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(翻訳:Mizoguchi)