経費精算アプリ「Staple」のクラウドキャスト、「ルナルナ」などを提供するMTIから1億円調達

経費精算サービス「Staple(ステイプル)」を提供するクラウドキャストは12月21日、「music.jp」や「ルナルナ」などを手がけるエムティーアイ(以下、MTI)を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額1億円を調達したと発表した。

クラウドキャストが提供するStapleはクラウド型の経費精算サービスだ。アプリへの手入力で簡単に経費精算できるほか、交通系ICカードをアプリで読み込むことで交通費の精算を自動化することが可能だ(NFC対応のAndroid端末のみ)。また、領収書を撮影した画像データを経費レポートに添付することもできる。

クラウドキャストは2014年9月にSMB向けの「Staple」をリリースし(現在は「Staple 2」として提供)、同サービスのユーザー企業数は現在1万社を超える。この数字は月に300社ほどのペースで増えているという。その後クラウドキャストは2017年6月にSMB向けのStapleをエンタープライズ版に拡大した「Staple 3」をリリース。提供開始から約半年が経過した現在、トライアルに登録した企業数は100社ほどだという。有料版に移行したのはその内の10社ほどだ。

MTIとの資本業務提携

今回の資金調達により、クラウドキャストは今後、Stapleの販売促進と機能開発においてMTIとの協業を進めていく。

まず1つ目に考えられるのが、MTIがもつ営業リソースの活用だ。MTIというと、「music.jp」や「ルナルナ」などのBtoCサービスを提供する企業という印象が強いけれど、実はBtoBサービスも数多く提供しており、全国に法人向けの営業拠点や人的リソースを持っている。

同社が提供するBtoBサービスには、従業員が受けた健康診断の結果をデータ化することで企業が従業員の健康状態を把握するための「CARADA」や、企業が既にもつPC向けやガラケー向けのWEBサイトをスマートフォン向けに自動変換する「モバイルコンバート」などがある。そのため、今後はMTIのBtoBサービスとStapleをセットで提案するなどの営業面での協業が考えられる。

Automagiが開発した「FEEDER」

両社の協業はStapleの機能強化にもつながる。今のところ、Stapleには領収書の画像を経費レポートに添付する機能はあるが、画像から文字を読み取り、それを自動的に経費データに変換する機能はない。

一方、MTIの子会社であるAutomagiは2017年6月、AI利用した領収書読み取りアプリ「FEEDER」を発表している。クラウドキャストは自前で読み取り機能を開発するよりも、Automagiがもつ技術を利用する方法を選んだようだ。

また、その他にも技術的な協業の余地はあると代表取締役CEOの星川高志氏は語る:

MTIは常陽銀行と口座直結型スマートフォン決済の実証実験を開始するなど、Fintech分野への投資を進めている。経費の分野には経費を建て替えた従業員への送金手数料が高いという課題があるが、この送金手数料を下げるような仕組みをMTIと共同で開発していきたい」(星川氏)

クラウドキャストは2011年1月の創業。同社は2015年12月にクレディセゾン、IMJ Investment Partnersから数億円規模の資金調達を実施している。