Vera Kutsenko(ベラ・クツェンコ)氏とHayley Leibson(ヘイリー・レイブソン)氏は、技術者としてのすばらしい経歴を持っているが、彼女たちの最新の事業は、コードを書くのと同じくらい、地面を掻くことが必要だ。
2人の女性が起ち上げたNeverland(ネバーランド)は、家庭菜園家のためのスタートアップで、新型コロナウイルス感染症流行が始まってから爆発的に増えたアマチュア園芸家と、町の小規模な園芸店をつなぐマーケットプレイスになることを目指している。家庭菜園を始めた人が、園芸店の専門家から話を聞いたり、必要なものを買い揃えられるようにする場所をオンラインに提供しようというわけだ。
200年の歴史を持つ花の販売業者「Breck’s(ブレックス)」のデータによると、ガーデニング産業は
新型コロナウイルスが広まった間に成長した業種の1つであり、家庭の芝生や庭園に関する産業は2020年に売り上げが9%も伸びている。
このような業界の盛り上がりと、共同創業者たちの家庭菜園に対する情熱が、Neverlandの起ち上げにつながったという。
Neverlandは、顧客データを基に、顧客の住む地域や育てたいと思う植物に合わせて、庭園や菜園の園芸活動を最適化する方法をユーザーに提案する。また、これから園芸を始めようとしている人々と、その地域の園芸店を結びつけることも目指している。
「私たちが参考にしているのは、米国農務省の農業APIです」と、クツェンコ氏はいう。「私たちは、その非常に科学的な用語を、(顧客が)理解できるような言葉に翻訳して提供します。政府の既存のリソースから情報を引き出し、それを集約して、多くの人が利用できるようにしているのです」。
創業者たちにとって、Neverlandは気分転換の場でもある。コーネル大学でコンピュータサイエンスを学んだクツェンコ氏は、Facebook(フェイスブック)で「Internet.org」の取り組みに携わり、Uber(ウーバー)ではモバイルアプリの開発チームを率いていた。一方、レイブソン氏はLunchClub(ランチクラブ)を設立し、同社の最高執行責任者を務めてきた。
クツェンコ氏とレイブソン氏は、サンフランシスコで開催された女性技術者のネットワーキンググループで知り合い、植物を愛するという共通点で意気投合したという。レイブソン氏はアパートで約24種類もの植物を育てており、クツェンコ氏は苗床を持っていて、自分自身で世話をしていた。
「私たちは、Neverlandが持続可能性に注力したマーケットプレイスになる見込みがあると、確信しています」と、レイブソン氏は語る。「私たちがやっていることの強みは、消費者のために本当に一貫したサポートネットワークを作れるということです」。
それは巨大な市場だ。クツェンコ氏によると、世界の植物・園芸関連の支出は約520億ドル(約5兆6000億円)で、そのうち280億ドル(約3兆160億円)が屋内および屋外のガーデニング市場だという。
創業者たちの経歴と市場規模の大きさから、投資家たちはこの会社に資金提供することを決めた。その中には、Obvious Ventures(オビアス・ベンチャーズ)、Maveron(マベロン)、Kimbal Musk(キンバル・マスク)氏、そしてNeverlandを最新のコホートに迎えたY Combinator(Yコンビネーター)が含まれている。これによってNeverlandは、そのマーケットプレイスとガーデニングコミュニティを構築するための資金として総額300万ドル(約3億2300万円)を調達した。
すべてはコミュニティから始まるということで、同社はこの夏に予定されている事業開始の前にもかかわらず、Instagram(インスタグラム)で健全なフォロワーを集めることに成功しており、すでに14万人がNeverlandの投稿をフォローしている。また、現時点で同社はベイエリアを中心に50の販売業者と契約を交わしている。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Neverland、園芸、資金調達
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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)