Niantic (ナイアンティック)は、一般消費者向けのコンピューター技術がどこへ向かっているかを理解しているとの確信を持ち続けている。すなわちそれは、すなわち拡張現実(AR)だ。
「Pokémon Go」の技術面を支えるこのゲーム開発スタートアップは、同じ方向性に賭けるApple (アップル)、Facebook (フェイスブック)、Snap(スナップ)といった企業と良い仲間になっているが、なんとか彼らに抜きん出ようと、基礎的なARインフラストラクチャーをいち早く構築してサードパーティーの開発企業を呼び込みたいと願っている。企業規模でははるかに劣る彼らにとって、これは非常に大きな賭けだ。
Nianticの実験の資金は、いまも2016年にファーストパーティーとしてヒットしたPokémon Goによって支えられている。調査会社SonsorTower(センサータワー)の見積もり では、2020年は最高益を記録するようだ。同社の報告によれば、Pokémon Goは2020年初めから10億ドル(約1050億円)の収益を生み出していることが示唆されている。2019年から著しく増加しており、世界的パンデミックが社会に与えた影響を思うと驚くべきことだ。この収益によってNianticは、Escher Reality(エッシャー・リアリティー)、Matrix Mill(メイトリックス・ミル)、そして最近では6D.ai(シックスディー・エーアイ)といった中小のARスタートアップを買収するなど、ARインフラ分野の企業買収に最も積極的な企業に数えられるようになっている。
特に最後の6D.aiは、Nianticがその拡張現実プラットフォームで次に何を目指しているかを示す信号の役割を果たしている。6D.aiは、古くからの顧客であるAirbnb (エアビーアンドビー)などの企業とクラウド型のARマッピングソフトウェアを開発していた。この技術は、スマートフォンを向けるだけで、その空間の3D情報をすばやく取得できるというものだ。買収により、Nianticは自社の開発者用プラットフォームにこの技術を統合し、それを応用して、空間内の地理的形状をすばやく把握するだけでなく、周囲の状況から類推して3Dメッシュに含まれるオブジェクトが何なのかを特定できるようにする独自の意味論的理解を進歩させようとしてきた。
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「最終的に私たちは、AR体験におけるこのビジョンを持つに至りました。それを本物の魔法にするためには、すべてを組み合わせなければなりません」と、Nianticのエンジニアリング上級ディレクターJoel Hesch(ジョエル・ヘシュ)氏はTechCrunchに語った。「コンテンツが適正な位置に見えて、同じ場所にいる他の人たちとも同じ体験ができるようにするには、正確な位置情報が必要です。オクルージョンや物理的な相互作用などのためには、地形情報が必要です。また、自分のキャラクターがはっきりとわかりやすい方法で世界と関わり合いを持つには、そこにある物が何であるかを意味論的観点から知る必要があります」。
彼らはその技術を作り上げてきたわけだが、同時にユーザーにそれを試すよう推奨もしてきた。NianticはPokémon Goのプレイヤーに特定の名所や目的地にある動画を積極的にキャプチャー するよう促している。そこで得られた視覚データをフィードバックしてモデルを強化し、後に続くユーザーの体験を改善する。iPhone 12 ProのLiDARセンサーのような高度な技術をユーザーが使えるようになったことで、Nianticはさらに質の高いデータを取得できるようになるだろう。
このデータ収集の最終的なゴールは、常に最新の状態を保つ世界の3Dマップだと同社は話す。彼らの最新技術では、スキャンしたマップの中にどんな種類の物やシーンがあるかを覗き見て、建物や池や空を区別できる。だが本当の課題は、より高度な地理的洞察力のあるGoogle Maps APIと比較した場合の、これらのデータの利便性だ。それによって実用性が証明される。
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同社は2018年からReal World Platform(リアルワールドプラットフォーム)を提唱しているが、アップルが2017年に初めてARKitを発表してこの分野に大きな注目を集めて以来、スマートフォンベースのARを支える彼らの情熱はしぼんでしまったのか、公式な拡大は鈍化している。「私たちは主にファーストパーティーのゲームとアプリケーションに重点を置いてきましたが、このプラットフォームを拡張して、より多くの人が使えるようにしようと張り切っています」とヘシュ氏は話している。
NianticとARの未来を強く信じるその他の企業にとって、最も手堅い賭けは、粛々と研究開発を進め、この技術から一般消費者向けのヒット商品が数多く生み出されるようになったときに、他社に数年分の差が付いているよう目指すことだろう。
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画像クレジット:Nigel Sussman
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(翻訳:金井哲夫)