ナイキが、四半期の業績報告で予告していた自動靴ひも調整機能付きバスケットボールシューズ “Adapt BB” を2019年2月に発売すると発表しました。と言っても靴ひもはなく、外観はスリッポン型スニーカーのようであるものの、ファブリック地の内部でその締め付け具合を調整し「すべてのバスケットボールプレーヤーのために、カスタマイズしたフィット感」を提供するFitAdapt機能を搭載します。
ナイキはバスケットボールプレイヤーの足が、ときに半分の厚みにまで扁平化する可能性があり、通常のシューズでは快適性やプレイ中のパフォーマンスに影響すると説明します。またナイキのイノベーション担当VP、Eric Avar氏は、Adapt BBは競技中にすばやく締め付け具合を緩め/引き締められるようにすることで「アスリートの体験を向上する」と述べています。
Adapt BBのしくみは、基本的にナイキがスニーカーのカスタムフィット感向上のために開発したFlywireおよびFlyknit技術を次のレベルに押し進めたものとされ、正確には靴ひも調整ではなくファブリックをベースとしたフィット具合の調整機能です。内蔵するモーターによる締付け力は32ポンド(約15kg)を発揮し、プレイ中のあらゆる状況下で締付け力を保ちます。
技術的には、スマートフォンアプリからの締め付け具合の調整に対応したことが大きな進化ポイントとして挙げられます。好みのフィット感になるセッティングをアプリに保存しておけます。また、アプリ操作で満足いく締め具合にならない場合は、シューズのボタンを使っての調整作業も可能です。
なお、スマートフォンからアクセスできるということは、将来的なファームウェアの更新を可能とします。ナイキはNBAの選手らに様々な締め具合を提供する方法に取り組んでおり、それらが使えるようになったときには、アップデートで提供できるようになるとのこと。通信用のバッテリーの充電には無線式の充電パッドが用意されます。
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ナイキは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART II』で登場した自動ひも調整シューズNike Magを映画の舞台となった2015年に開発し、2016年に限定モデルとしてオークション形式で販売しました。またその自動靴ひも調整機能を搭載したスニーカー“HyperAdapt 1.0″を2016年秋に発売しています。
ただ、HyperAdapt 1.0の720ドル(約7万8000円)という価格は簡単に手出しできるものではありませんでした。これに対し、Adapt BBは約半額の350ドル(約3万8000円)にまで引き下げられているのも嬉しいところと言えるでしょう。
ナイキいわく、バスケットボールシューズの自動締付け調整機能搭載はほんの始まりにすぎないとのこと。近い内には、他のスポーツ用シューズにもこの技術を拡大していくことを計画中です。
Engadget 日本版からの転載。