ニューヨークのUruは、ビデオのパブリッシャーに新しい収益源を提供する。一見ふつうに見えるビデオの画面中の、何かの表面(たとえば料理ビデオではキッチンの背後のキャビネット)に、スポンサーのロゴや宣伝のためのアートが貼り付いている。
そんなのいやだわ、と言う人もいると思うけど、ビデオがコマーシャルで頻繁に寸断されるのと、どっちがいいかな。Uruの協同ファウンダーでCEOのBill Marinoは、通常のコマーシャルよりはビデオとの相性が良い、と主張する。とくにこれから普及していく拡張現実や仮想現実で本領を発揮するだろう、従来のどんな形の広告よりも良い、と。
“ARやVRの普及とともに、これからはますます、没入的なメディアの時代になるから、それらをコマーシャルで中断する広告形式が本当に良い方法か、企業は真剣に考えてみる必要がある。コンテンツを妨害せず、むしろコンテンツとよくなじみ、よく調和する広告形式が良いに決まっているではないか”、とMarinoは主張する。
最初からスポンサー付きで作られたビデオ作品には、広告とコンテンツの自然な融合が最近はときどき見られるが、Marinoに言わせると、そんな個別的なやり方にはスケーラビリティがない。クリエイターは毎回アドバタイザーと広告の方式について直接協議し、ひとつひとつ新しいビデオを制作しなければならない。
Uruによると、ニューヨーク大学の経営学大学院の行動研究センター(Center for Behavioral Research)が行った調査では、彼らの新しい広告形式の方が、従来的なビデオ広告の形式に比べて、ブランド想起率(思い出す率)が80%高かった。
同社は最近、“シード前資金”として70万ドルを、Notation Capitalがリードするラウンドで獲得した。Betaworks, PJC, Rough Draft, Thatcher Bell, BWMiのChristian Noske, GiphyのCEO Alex Chung, C2 VenturesのChris Cunningham, そしてUndertoneのEric Franchiらが、このラウンドに参加した。
Marinoと彼の協同ファウンダーでCTOのBrunno Attorreは、コーネル大学のTech Startup Studioで出会った。彼らはそこで、Startup Awardを受賞した。この賞の受賞者がVCからの本格的な投資を調達するのは、彼らが初めてだそうだ。
Marinoによると、ビデオ中のさまざまな“面”は、ロゴを表示するだけでなく、多様なコンテンツを多様な形で視聴者に提示する。“面”は必ずしも、平面でなくてもよい。
“われわれの技術は、ビデオ中にいろんなオブジェクトを見つけるし、いろんなコンセプトやテーマや状況も見つける”、と彼は語る。“それが何よりも重要だ。誰も、CoorsビールのロゴをDavid Lynchのホラー映画で見たいとは思わないからね”。
これはつまり、Uruの広告形式が多様だ、ということ。Marinoによると、ここはむしろお休みがある方が自然だな、という箇所がビデオにあったら、そこには従来的なコマーシャルを入れる。
まだ顧客(アドバタイザーやパブリッシャー)は多くないが、アドテック企業のAppNexusが関心を示し、今両社はパートナーシップについて協議している。Uruによると、AppNexusのテクノロジー担当SVP Eric Hoffertはこう言ったそうだ: “ビデオ広告がコンテンツと一体化し、広告がユーザー体験を損なうことのない、Uruの斬新なやり方は本当に素晴らしい”。