生産性プラットフォーム運営のNotionが個人向け無料アカウントの機能制限を大幅に解除

米国時間5月19日、メモを取ったりWikiを作成したりするための人気アプリ「Notion」が、個人向けの料金プランを変更した。無料プランに課されていた制限の多くが解除され、これまで1カ月5ドル(約540円)のプランで提供していたのと同等の機能を利用できるようになった。

これまでの無料プランでは、利用できるブロック(Notionのコンテンツの単位)が1000までとかなり少ない数に制限され、ゆくゆくは支払いをしないと何もできなくなっていた。記録できるテキストとデータの量の制限が完全になくなったことで、ほとんどの有料プランユーザーは無料のアカウントで必要なことがすべてできるようになる。

Notionは個人向けのプレミアムなアカウントを完全にやめたわけではない。実は、既存の有料ユーザーはこれまでと同じ価格で「パーソナルプロ」アカウントに移行されている。この新しいプランでは、5MBを超えるファイルのアップロードや人数無制限のゲストとの共同作業などを利用できる。そして最も興味深いのは、同社が「まもなく実現する」と語っている待望のNotion APIに今後アクセスできるということだ。2019年9月に同社は学生と教員向けにアプリを無料にすると発表していたが、現在は学生と教員向けにパーソナルプロプランへのアクセスを展開している。

小規模な共有データベースを管理するために複数のアカウントを1つの無料アカウントに紐づけていたユーザーは、今後、自動でチーム向けプロダクトの無料トライアルに移行される。1000ブロックの制限に達したら、チーム向けプロダクトにアップグレードするか、または個人向け無料アカウントでゲストとの共同作業ワークフローにしてニーズに合わせる方法を考える必要がある。

2020年4月にNotionは、20億ドル(約2150億円)という驚異的な評価額で資金調達ラウンドを完了したと発表した。今後の売上は、個人ユーザーから積極的に収益化するよりも、チーム向けプロダクトを拡大していく方針にしたと考えられる。多くのワークプレイス向けツールの企業と同様に、Notionはボトムアップのスケーリングに依存してきた。そのため、個人のワークフローにNotionのプラットフォームを使うユーザーを増やし、その中から今後も長く使いたいと思う一部のユーザーをチーム向けプロダクトに移行することにチャンスがあると見たようだ。

参考記事:職場の生産性プラットフォーム運営のNotionが約54億円調達

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(翻訳:Kaori Koyama)

職場の生産性プラットフォーム運営のNotionが約54億円調達

職場の生産性プラットフォームを運営するスタートアップのNotionNew York Timesに対し、Index Venturesなどの投資家から20億ドル(約2100億円)のバリュエーションで5000万ドル(約54億円)を調達したと明らかにした。

Notionの広報担当者はTechCrunchに対し、資金調達とバリュエーションに関して認めた。

スタートアップがレイオフを検討したり、望む条件よりも低い金額で資金調達したりする中、Notionは何年もの間、同社に関心を持つ投資家を避け続けるという特異な立場にあった。同社によると、累計の調達額は6700万ドル(約72億円)となった。直近の1000万ドル(約11億円)を調達した際のバリュエーションは8億ドル(約860億円)だった。

同社の高度にカスタマイズ可能なメモ帳アプリにより、企業の顧客はデータベースとドキュメントに関してリンクでつながったネットワークを作成できる。

COOのAkshay Kothari(アクシェイ・コサリ)氏は昨年11月にTechCrunchに対し、外部からまた資金調達したいとは思わないと語っていた。「当社にはもっと多くの資金を調達する機会があった。ただ、より多くの資金があればより早く成長できるとは思っていなかった」

何が変わったのか。世界経済だ。同社はNew York Timesに対し、新たな資金調達により安定した基盤が得られ、「少なくとも」10年分の資金が手に入ると述べた。とはいえ、同社のチームメンバーはこの数カ月で急速に拡大し、昨年11月から40%増加した。ユーザー数も急増しているようで、コサリ氏がNew York Timesに伝えたところによると、総ユーザー数は同社は2019年初めに発表した100万人から「ほぼ4倍」になった。

Notionは、無料プランのほか、月額5ドル(約540円)から25ドル(約2700円)までの有料プランを用意している。

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(翻訳:Mizoguchi