Googleは大手製薬会社のNovartisに対して血糖値を測定できるスマート・コンタクトレンズのテクノロジーをライセンスしたことを発表した。このコンタクトレンズが実用化されれば、糖尿病患者が苦痛なしに連続的に血糖値をモニタできるようになる。今後の開発はNovartisのAlconアイウェア事業部が担当する。NovartisのCEO、Joe JimenezはFinancial Timesのインタビューに答えて、「商用化に5年以上かからないよう期待している」と述べた。
GoogleとNovartisはまた別種のスマート・コンタクトレンズの開発でも協力していくという。これは現在、2焦点の遠近両用眼鏡を必要している人々がコンタクトレンズを利用できるようにする自動焦点調節機能を備えたコンタクトであるらしい。
有力テクノロジー企業が次々にヘルス、医療分野に参入する中で、今回明らかになったGoogleのアプローチは全く異なるものだった。NovartisのCEOはFTに対して、Googleの支援によって開発される血糖値測定や自動焦点調節機能を備えたスマート・コンタクトの市場は年間100億ドルから10年後には500億ドルにも上るだろう(アメリカの糖尿病患者数は増加を続けている)と述べた。
Googleの血糖値測定センサーとワイヤレス・チップの研究はマスコミに大きく取り上げられたが、本当に巨大な市場となる可能性が高いのは視力補正のスマート・コンタクトだ。もしGoogleが現在のデジタルカメラに備わっているようなオートフォーカス機能を備えたコンタクトレンズの開発に成功するなら、遠視、近視など目の焦点調節能力の障害の度合いに応じて、また読書や運転など用途に応じて多種類の固定焦点レンズを必要とする現在の不便が一挙に解消される。誰もが一種類のコンタクトレンズですむという理想的な解決策が得られる。
視力補正アイウェアは現在アメリカで100億ドルの市場となっている。Novartisとの提携でGoogleはこの市場で強力な地位を築くことを狙っているようだ。
〔日本版〕ラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリンがGoogleを語る―ヘルス分野は規制が重荷、手を広げすぎた方が実は効率的という記事で、ラリー・ペイジは「ヘルス分野は規制が煩瑣過ぎる。参入するするには苦労が大きい。私が長時間を費やしたいようなタイプの仕事ではない」と述べたため、Googleのヘルス医療分野に関する今後の戦略に注目が集まっていた。Googleは規制のクリアや販売、サポートという膨大な手間のかかる非テクノロジー的作業にリソースを費やすことを避け、十分なノウハウを蓄積したNovartisのような有力パートナーにそれを分担させるというアプローチを取ったようだ。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)