出口戦略を考える前に

2015年の日本、スタートアップブームは今年も続くでしょうか?スタートアップ起業家の中にはVCと話す機会がある方も多いでしょうが、その際、問われる質問の一つがいわゆる「出口戦略」。それをきちんと考慮していないと、起業家としてバカにされかねない要素でもありますが、そもそも果たしてそんな風潮は正しいのか?という問いをハブスポット創立者でもある成功した起業家自身が語ります。 — SEO Japan

早い段階の会議で、VCに、出口戦略を問われたら、一番近い出口に向かって、歩く、いや、ダッシュしよう。

投資家には、投資から撤退するアプローチよりも、マーケットに参入するアプローチに関心を持ってもらいたいはずだ。

幸いにも、スタートアップの世界では、以前ほど出口「戦略」に関する議論は聞かれなくなった。かつては、出口戦略を語らずに、事業計画を完成させることは出来なかった。その場合も、結局、毎回同じ2つのオプションからの選択を迫られたのであった。1. 買ってくれる可能性のある会社のリストを作る 2. 株式を公開する。exit icon

現在、大半のテクロノジー関連の起業家は、出口戦略に関する詳細な議論どころか、事業計画書すら作成しない(誰も読まないため、良い判断だと言えるだろう)。

以下に、出口戦略が矛盾していると私が思う理由を挙げていく。

事業を行う目的は、顧客に対して何らかの価値を築くことにある — その結果、関係者に対するメリットがもたらされるのだ。起業に挑戦する際は、「駄目だったら、どうやって逃げればいいのか?」ではなく、「どうすれば成功させることが出来るのか?」を問うべきである。

飛行機、映画館、そして、酒場に入る時は、出口を確認することを薦めるが、マーケットに参入する際は必要ない。

価値を築き上げるにはどうすればいいのか?、顧客候補に接触するにはどうすればいいのか?、– そして、競合者と一線を画すにはどうすればいいのか?に対する答えを得るための戦略の構築にエネルギーを使ってもらいたい。実際に撤退する必要性に迫られたら、出口を探せばよい。

因みに、個人的には、スタートアップの撤退には悪い印象を持っていない。実際に、撤退は日常茶飯事であり、スタートアップの世界におけるライフサイクルの一環である。私は双方の立場を経験したことがある(スタートアップの売却、スタートアップの買収)が、起業家が、不自然な形で、撤退計画を練らされ — 誤って、「戦略」と呼ばれるケースの方がよっぽど問題だと思う。


この記事は、OnStartupsに掲載された「Exit Strategy Is An Oxymoron」を翻訳した内容です。

中途半端なVCに限って、「それで出口戦略は?」と偉そうに聞いてくる気もしますけど、自分の事業を成功させる自信があれば堂々と「そんなこと考えていません」と言い切ってやりましょう。 — SEO Japan [G+]

スタートアップ起業家がするべき5つの過ち

スタートアップ起業が増えてきた日本のネット界隈。成功もあれば失敗もある、多分後者が限りなく多い、わけですが、失敗から学べることも数多くある、ということで、今回はイスラエルの投資会社の役員が語るスタートアップ起業にありがちな失敗とその対処法についてまとめた記事を。 — SEO Japan

「成功を祝うことに問題があるわけではないが、失敗から得た教訓に耳を貸すことの方が重要である」- ビル・ゲイツ

過ちを犯すことに対して、スタートアップのファウンダー達に忠告を試みる人達は多い。「過ち 起業家」とGoogleで検索すれば、ファウンダーとスタートアップの成功を阻むよくある落とし穴や過ちを厳しく警告する記事を多数見つけることが出来るはずだ。

ここで一呼吸置いて、考えてもらいたいことがある。誰もが「失敗から教訓を得た」と言うセリフを今まで何度も耳にしてきたはずだ。私自身、起業家として、そして、投資家として大きな過ちを何度か犯したことがある – また、私の経験上、成功よりも、遥かに過ちからの方が多くのことを学べる。wrong-decision

それなら、なぜ失敗を必死になって避けようとするのだろうか?矛盾しているかもしれないが、条件によっては、間違いは犯す価値があり、また、実際に積極的に犯すべきでもある。

そこで、スタートアップのファウンダーとして体験すべき失敗をリストアップしてみた。結局、過ちを犯すことになる。過ちからは多くの教訓を得られるため、起業の出来るだけ早い段階で失敗を味わうべきである。また、ミスを犯したにするべき行動についても、幾つかアドバイスを送る。

1. メチャクチャにされる

順風満帆に行くはずがない。誰か – パートナー、共同ファウンダー、従業員、投資家、あるいは、今後の構想に絡む関係者に、ビジネスをメチャクチャにされることになる。信頼を裏切る、口頭、または、書面の契約を破る、報酬をカットする、株を盗む、もしくは、会社全体を破壊する(あるいは、その全てを実施する)人物が現れる。誰かがとんでもないミスを犯し、計画を断念しなければならなくなる。

避けられない問題を受け入れ、やって来る打撃に備え、痛み、または、ダメージが回復可能な程度であることを祈るのみだ。 通常、スタートアップは、運命により、そして、遠くの動くターゲットを狙う状況により、様々なタイプの人間(アイデアを出す人間、技術を持つ人間、投資する人間等)がごっちゃ混ぜになって誕生する。このターゲット、そして、ターゲットへのルートと道のりが明確に見えたとしても、他の人物には別のルートが見ているかもしれないし、自分とは違う躊躇する理由、または、動機を持っているのかもしれない。その結果、摩擦が生まれ、関係者の力のバランスによって、誰かが – それは皆さん自身かもしれない – 苦労することになる。

ミスを犯した後の行動: 「メチャクチャにされることが、なぜ「過ち」なのだろうか?私は何も悪いことはしていない」と思う方もいることだろう。鏡を見てみよう。よく考えてみると、災難をもたらした原因が、自分がしたこと、または、しなかったことである点に気づくはずだ。 メチャクチャにした人 – メチャクチャにされた人の関係は、少なくとも2名の人物がいなければ成立しない。そして、すべてのストーリーに2つの側面が存在する。明らかに自分の「せい」ではなかったとしても — 酷い、ひねくれた人物に遭遇してしまった結果 — その人物と事業を共に行う決断を下した理由を問うべきである。その人物の行為は事前に予測出来なかっただろうか?パートナー/従業員/投資家を事前に調査しなかったのだろうか?何をした、あるいは、何をしなかったために、メチャクチャにされたのだろうか?ジョージ W. ブッシュの名言「私を騙したのが一度だけなら君が悪い。でも、二度騙したなら…それは私に問題がある。」を心の糧にしてもらいたい。そして、The Whoの歌にあるように「再び騙されてはならない」。一度ズタズタに引き裂かれれたら、理念を妥協することに関して、あるいは、後々自分を利用する可能性がある人物と仕事をすることに関して、今後は慎重に判断することが出来るようになるだろう。

2. リベンジを誓う

これは上の過ちに付随する過ちである。噛まれると、本能によって噛み返したくなる。何か(目に見えるもの、感情的なもの、未来のポテンシャル、あるいは、その全て)を失い、加害者がもたらした被害、あるいは、加害者が、損失をもたらすことで得た満足感を否定したくなる。誤った方向に導かれ、反射的に今度は相手を誤った方向に導こうとする。

一度やってみればよい。失敗するだけでなく、大方、何も起きないか、最悪の場合、反動が返ってくる。メチャクチャにされたと言うことは、同等のリベンジを実施する行動力、力量、あるいは、スキルを持っていない可能性が高い。通常は、自分の未熟さ、安っぽさ、汚らわしさを痛感し、そして、嫌な気分を何度も思い出し、二度とリベンジをしたくなくなる。

ミスを犯した後の行動: 後ろではなく、前を見よう。スタートアップを立ち上げる目的は、勝つためであり、2回負けを喫しても、勝利とは言えない。過去にこだわるのではなく、「未来でリベンジを果たす」べきだ。成功することが最高のリベンジになる。自分に起きた出来事を新たな推進力として活用し、メチャクチャにした人物、そして、世界に対して、自分がもっと優れた人材である点、そして、もっと優れた結果を出せる点を証明しよう。

3. 「ステルス」モード

手持ちのカードを見せたくない気持ちはよく分かる。アイデアを盗まれることを恐れているのかもしれないし、説得力をもって説明することが出来るほど、製品に対して自信がないのかもしれない。テクノロジー産業は、「ステルスモード」と言う聞こえの良い表現を生み出した。これは、不安に満ちた新人ではなく、スパイのように内密に動いている印象を与える。

「ステルスモード」は、大方、過ちに近い。まず、仰々しい、あるいは、不安を抱えていると解釈され、信頼に傷をつける可能性がある。また、その人物を信じていないことを暗に伝え、ネガティブな感情を与えてしまう。そして、この感情は、今後、詳しく伝える時期がやって来ても消えていない可能性が高い。しかし、何よりも大事なことは、自らのネットワークを用いて、製品やベンチャーを形作り、発展させ、そして、進化させる掛け替えのない機会を見逃してしまう点である。知り合いになる、出会う、あるいは、話をする人は全員、ベンチャーの成功のキーパーソンになる可能性がある。

ミスを犯した後の行動: 「堂々と伝える」モードに切り替える。今話をしている人物が、その新しい優れた製品を買ってくれるかもしれないし、投資してくれるかもしれない。それよりも、買ってくれる、もしくは、投資してくれる人を知っている方が可能性は高い。大袈裟に表現することなく、好奇心の種をまき、テリトリーを探し回り、そして、ターゲットにしているマーケットを示唆することは可能である。スティーブ・ブランクも提唱しているように、ファウンダーは出来るだけ早い段階で(実際の、または、バーチャルの)オフィスの外に出て、フィードバックを直接もらい、そのフィードバックを基に製品をアップデートしていくべきである。何もかも秘密にしておくと、製品/マーケットの適合、提携、または、ベンチャーへの投資を行う人物と関係を構築する機会を逸してしまう。取り組んでいるプロジェクトとターゲットにしているマーケットを率直に伝え、マーケットの問題点と弱点を確認し、関心を引き出し、大事なコネを作ることが可能な「ティザー」を考案すると良いだろう。

EverMinderを設立した際、開発が完了する前であっても、私は誰とでも製品に関する話を大っぴらにしていた。素晴らしいフィードバックをもらい、その結果、製品を立ち上げる前に、紹介を経由して、3名のエンジェル投資家に出会うことが出来た。

4. 都市伝説「作ったら、ユーザーはやって来る」を信じる

映画「フィールド・オブ・ドリームズ」によって、「(球場を)作れば、やって来る」と言うフレーズが一般的な表現として、とりわけ大勢の影響を受けやすいスタートアップのファウンダーの間で定着した。このフレーズは有名であり、(そして、ケビン・コスナーが球場を作ったところ、魔法のように、実際にこの世を去った野球選手が姿を現したため)、一部のファウンダーは、スタートアップの世界でも優れた製品を作れば、ユーザーは自然と集まり、その他の製品に圧勝することが出来ると信じている。

確かに、このハリウッド映画では、幽霊の野球選手が実際に球場に姿を現したものの、現実として、製品を作っただけでは、ユーザーはやって来ない。スタートアップのセオリーでは、「ユーザー」が「やって来る」ことを「マーケットプル」と呼ぶが、これはアーリーアダプターの間であっても自然に発生するわけではない。マーケットプルには、製品デザイン、製品/マーケットの適合、そして、ターゲットのマーケットへの実践的な「テクノロジープッシュ」を集中的に、そして、繰り返し実施するアプローチが求められる。このアプローチが成功して初めて、マーケットプルは功を奏する。マーケットに気づいてもらい、重要視してもらうために真剣に取り組み、そして、個人的に初期のユーザーと個別にやり取りを行わなければならなくなるだろう。それで良い。製品/マーケットの適合が実現したら、「ユーザー」は姿を現してくれる。しかし、その前に、まずは、アーリーアダプターの人達を積極的に勧誘し、魅了しなければならない。

ミスを犯した後の行動: この浅はかな映画が起きた現象が、スタートアップの世界でも起きるなどと妄想するのは止めよう。「作れば、やって来る」を信じているなら、テクノロジープッシュ、マーケティングプル、最低限の製品の作成を十分に理解しているとは言い難い。映画を見るのではなく、時間を割いて真剣に勉強するべきだ。スティーブ・ブランク、ショーン・エリス、アンドリュー・チェン、このブログ、そして、効果的な製品開発および顧客開拓を提唱するその他の優れた作品をじっくりと読み、出来るだけ早く目を覚ましてもらいたい。

(映画から刺激を受けるタイプなら、「幸せのちから」を見よう。トウモロコシ畑で意味のない声に耳を澄ますのではなく、困難に立ち向かい、奮闘し、製品と顧客を熱心に理解し、気遣い、そして、執拗に目標を達成しようとする気迫が、勝利につながる)。

5. 「私の好きな過ち」

この過ちは私のお気に入りだ。なぜなら、シェリル・クロウの歌の一節にあるように、複雑だからだ。そして、私自身頻繁にこの過ちを犯している。

好きな過ちは、自信と謙虚のバランスが取れていない状態で起きる。この2つは陰陽の関係であり、ロケットを飛ばそうとすると、時折、どちらかに傾いてしまうようなものだ。

スタートアップのファウンダーはほどほどに自信を持つべきである。いや、もっと、つまり、己惚れるぐらいの方がいいのかもしれない。提供するソリューションが、大ヒットすると心から信じる必要がある。しかし、自信過剰は極めて危険である。なぜなら、傲慢だと受け取られ、人間関係にダメージを与えてしまう可能性があるためだ。また、根拠ない自信となり、ビジョンや分析を曇らせてしまうこともある。優れたファウンダーは、ある程度謙虚な姿勢も持ち合わせている。自分よりも優れた人物がいることを理解している。ただし、謙遜し過ぎてしまうと、自分自身、そして、ベンチャーを引っ込めてしまう可能性がある…。

偉大なタルムード(ユダヤ教の教えを解析した文書)には、「誰もが2つのポケットを持ち、適切な状況において参照にすべきメモをそれぞれのポケットに入れておくべきだ」と書かれている。 片方のポケットには、「世界は自分のために作られた」と書かれたメモを、もう片方のポケットには、「私は大地の管ようなものだ」と書かれたメモを入れておこう。

(シェリル・クロウとタルムードを一緒に言及したのは、私が初めてだと思う)。

ミスを犯した後の行動: 残念ながら、このミスに対する明確な助言を送ることは出来ない。自信と謙遜のコントロールは、「押す」と「引く」の関係であり、毎日調整しなければならない。それぞれの状況を評価し、どちらのメモが該当しているのか特定しよう。

私は初期段階で投資を行うため、自分達(そして、そのベンチャーが)が素晴らしいことを私に認めさせようとする起業家に頻繁に出会う。この行為自体は問題ない。しかし、経歴を誤魔化す行為は受け入れられない。過ちと失敗について腹を割って話してもらいたい。何を学んだのか(そして、別の人の資金を使ってミスをしたこと)を聞きたいのだ。優秀な起業家は、成功と失敗の双方を伝える。そして、優秀な投資家は、ネガティブにとらえることなく、過ち、そして、得た教訓を知りたがっている。

ありふれた表現だが、完璧な人など存在しない。ミスは必ず起きる。皆さんもきっとミスをする。ミスを予測し、受け入れ、分析するべきだ。なぜなら、過ちから得た教訓は、自分自身、そして、会社が成長する上で、重要で、永遠に消えることのない基盤となるためだ。

…と言うことで、行動を起こし、少しミスを犯し、ミスから学ぼう。それが、勝利を導く。

ライター紹介: ベン・ウィーナー(@BeninJLM)はスタートアップのファウンダーであり、エルサレムを拠点に活動し、初期段階のスタートアップに資金を調達する小規模な投資会社のJumpspeed Venturesで役員を務めている。


この記事は、OnStartupsに掲載された「5 Mistakes Every Startup Founder SHOULD Make」を翻訳した内容です。

イスラエル出身の筆者のせいか?、良くあるこの種の記事と違う味わい深さがあった気がします。失敗の理由はともかく、そこから何かを学んで次に活かすことが大事なのは間違いありません。とはいえ、私も15年近くビジネスをしていますが、相変らず日々失敗を繰り返していますけど・・・たまに学習能力ないんじゃないか、と不安になる最近です 汗 — SEO Japan

スタートアップ経営のほとんど辛い9つの現実

10年以上スタートアップのコンサルティングに関わってきた筆者がついに自ら起業した経験を元に、改めて自分自身でスタートアップ経営を当事者として体感した上での苦しみを告白してくれた貴重な記事を今回はご紹介。最近、スタートアップに関して考える機会が多くあった私ですが、色々と共感できる部分が多くありました。 — SEO Japan

私は2012年の秋にFoundersuiteの設立に取り掛かり、2013年の早い段階で、MVP(Minimally Viable Product: 最低限の利用可能な製品)をリリースした。このMVPを立ち上げる前に、私は最高財務責任者/取締役/事業開発担当者として、スタートアップのコンサルティングに10年間に渡って携わってきた。そのため、初めてのスタートアップのCEOが、どのようなものになるのか、ある程度、理解しているつもりであった。

しかし、実際には何も分かっていなかった。以下に、私が思い描いていた期待と大きくかけ離れていた8つの現実を挙げていく。car bump

1. 顧客のニーズの特定は、製品とマーケットをフィットさせる闘いのほんの一部である

私はリーンスタートアップモデルを好み、我が社は、「人々が求めるものを作る」ことに力を入れている。しかし、顧客のニーズを特定し、ニーズに対するソリューションを作り出す取り組みは、スタートアップの仕事のほんの一部に過ぎない。その他にも、利用への大量の小さな抵抗と障害を排除する作業が存在し、この作業自体、果てしなく続く。

例えば、Foundersuiteでは、Investor CRMを、投資家の会話を記録するツールとしてリリースした — これは、事実上、資金調達の「混沌とした状況に秩序」をもたらすツールと言える。Investor CRMは、AngelList、LinkedIn、Google Calendar等のAPIを用いて構築された良質なツールであり、ユーザーが初めに登録した際は、多数の前向きなフィードバックが寄せられた。しかし、継続的な利用に関しては、沈滞気味であった。

1-1の電話調査を行うまで、多数の利用の「障害」に私達は気づかなかった — 例えば、大勢のユーザーは、エクセルでターゲットのインベスターを既にリストアップしていた。そのため、インポート機能が必要であった。また、CRMは空の状態であり、何をすればいいのか分からない、と言う声もあった。そこで、間もなく、CRMを投資家の「スターターパック」で事前に埋める予定である。これは継続的な取り組みではあるが、幸いにも、大きなハードルや抵抗を排除する度に、利用が大幅に増える。すぐに満足感を得られる点は大きい。

2. (少なくとも最初は)誰にも注目してもらえない

「優れた製品は市場を作り出す」と言う偏った考えを持つ起業家は多い。これは嘘っぱちだ。MailboxやPebbleのような、生まれながらにして既にバイラル化した製品は幾つか存在する。しかし、これは極端な例外であり、標準から大きくかけ離れている。大半のスタートアップは、たとえ優れた製品であっても、注目してもらうために、必死でアピールしなければならない。数年前、Xobniの設立者達が、この点を巧みに表現していた: 「誰もその浅はかなスタートアップのことなんか気にしていない。」

もちろん、自分達は特別だと考えていた。すぐにバイラル化させることが出来ると信じていた。Foundersuiteは、スタートアップ用のソフトウェアを作る会社だ — 注目に値するはずである。リリースした瞬間に、爆発的な勢いでユーザーを獲得していくはずだ

Launch.coでデビューを飾り、VentureBeatで取り上げられると、割と多くのスタートアップに利用してもらえた。しかし、急激な成長は一時的なものであり、大半のスタートアップと同様に、がむしゃらに仕事をこなさなければいけなくなった — 事業を徐々に拡大し、宣伝を強化し、ポール・グラハムが提唱する拡大することが出来ない取り組みに励む必要があった。

私達の場合、インキュベータ、シェアオフィス、ハッカソン等と配信提携を結ぶ必要があった。これは、人と人が触れ合う、長期的な販売関係を築く取り組みであるものの(平均で、契約を結ぶまでに、2-3ヶ月かかる)、今後の成長の強固な基盤になる取り組みだと私達は確信していた。

3. 初期のエバンジェリストは後のエバンジェリストよりも2倍– いや3倍の価値がある

Airbnbのブライアン・チェスキーCEOが、「100万人が割と好むモノよりも、100人が愛するモノを作る方が良い」と言う名言を残している。これは素晴らしいアドバイスである。しかし、私達は、早い段階で「支持者」を増やすことに、十分に時間と労力をつぎ込まず、代わりに、ページビュー等の価値のない基準ばかりに気を取られていた。

なぜ、このような初期の熱狂的なユーザーは、そこまで重要なのだろうか?理由の多くは明らかだ: 他の人達に紹介する傾向があり(タダで宣伝してくれる)、製品に関する有益なフィードバックを与えてくれるためだ。しかし、初期のファンの価値が3倍に値するの理由は、敗北を喫する度に(意外と頻繁に発生する)、その前向きな言葉によって、前に進み続けることが出来るためだ。きっと、この世には、フィードバックの妖精が存在し、前向きな、勇気を与える言葉を発するタイミングを教えているのだろう。

今度スタートアップを立ち上げる際は、業務時間の75%を初期のエバンジェリストとの交流に当て、知り合いになり、満足させる取り組みを本気で行う。現在、遅れを取り戻そうと必死でもがいている。

4. 興味を持たない人もいる

辛い現実に向き合う必要がある。自分自身/会社/製品を好きになってもらいたい人達の大半は、単純に好きにならない。 コンサルタントをしていた頃は、クライアントとの親密な関係を楽しみ、新たな問い合わせの75%以上を一貫して契約に結び付けていたため(恐らく、既に適格な会社が、推薦されていたことが要因)、この現実に私はショックを覚えた。

しかし、コンサルティングビジネスの売り込みと、SaaS製品の売り込みは、大きく異なり、失敗/拒否のレベルに慣れるまでに、割と時間がかかった。Foundersuiteでは、提携/事業開発の取り組みにおいて、25 – 30%の確率で成功させるのが、やっとである。もっと分かりやすく言うと、配信契約の締結を求める際、10回のうち7回が、失敗に終わる(全く反応がないことの方が多い)。

私は、契約を勝ち取ることに固執する傾向があるため、最初のうちは、慣れるのが大変だった。何度も挫けそうになった。事実、提携に関する話し合いを数ヵ月に渡って行ってきたパロアルト市のインキュベータがいた(しかも、前向きな話をしていた)が、突然反応がなくなり、奈落の底へと落とされたような気分を味わった。

粘り強さは、起業家にとって、重要な資質だと理解しているものの、ある時点で、契約が実現しないことを自覚しなければならない。要するに、「契約に固執する姿勢」が会社全体に害を与えることがないように注意する必要がある。

5. 満杯の販売ファンネルは万能薬

4番目の問題に対しては、販売、または、事業開発のファンネルの上部を、顧客候補で溢れる状態を維持することが最も効果があると私は学んだ。つまり、多ければ多いほど良い。事業開発の取り組みをデートのように考えるようになった。デートと同じように、顧客候補/パートナーはとても多く、一生のうちにアタックすることが可能な人数は限られている。つまり、興味を持ってもらえない相手を追いかけるのはやめて、すぐに次の相手の説得に取り掛かるべきである。踏ん切りをつけると、再び向こうの方からアプローチしてくることもある(嬉しいサプライズ)。

6. 製品を売るな — ユーザーが製品を使って出来ることを売れ

これは、スティーブ・ジョブズの受け売りであり、毎日、頭の中に叩き込んでいる教訓である。この名言には、様々な位置づけとニュアンスがある: 機能ではなく、メリットを売り込め、「何」や「どのように」ではなく、「なぜ」を売れ。

アシュトン・カッチャーが主演した映画、Jobsの意欲を引き出すセリフに全て集約されている:「誰でも優れた製品を作ることは出来るのかもしれません。しかし、自分が売っている製品の方がさらに優れていることを消費者に納得してもらう必要があります。我々はコンピュータを売っているのではありません。我々が売っているのは、コンピュータを使って出来ることを売っているのです。これは、心を動かすツールです。そして、紳士淑女の皆さん、このツールに限界はありません。なぜなら、人は、何かをさらに活用することが出来ると、そして、どんな夢だって実現することが出来ると、これからも信じていくからです。そこに到達するために、Macが皆さんの背中を押すのです。」これだけで十分だ。

7. 「ソートリーダー」はスーパーモデルのような存在 — 味方になってもらえれば百人力、しかし…

Foundersuiteの当初のマーケティング計画では、クリス・ディクソンが「ボーリング戦略」と呼ぶ戦略を少し変えたアプローチを基盤としていた — テクノロジー業界のインフルエンサーとソートリーダー(新たな考えを示すことが出来る人達)に製品を利用してもらえれば、多くのスタートアップが、先例に従う、と言うものだ。理論的には素晴らしい戦略だが、ポール・グラハム等の人物に製品を試してもらい、使ってもらい、そして、認めてもらうのは、本をオプラ・ウィンフリーに紹介してもらうほど成功する確率は低い。 要するに、実現する可能性はゼロに近い。確かに、私達は、TechStars、Launchrock、そして、Startup Weekend等の優れたサイトと提携を結ぶことに成功したが、それまでには、数ヶ月間に渡って、しつこく呼び掛け、お願いし、求め続けたプロセスがあった。ソートリーダーには、このような要請が大量に寄せられており、ホワイトノイズでしかない。

そのため、騒ぎに加わるのではなく、ノイズが遥かに少ないスタートアップのエコシステムの領域で、接触を始めることにした。私達は、アトランタ、ピッツバーグ、インディアナ、ハンガリー、そして、オーストラリア等の場所で、インキュベータ、ハッカソン、そして、シェアオフィスに声を掛け始めたのであった。数十、いや、数百もの地域で、スタートアップ用の生産性向上ツールを必要とする起業コミュニティが存在する。私達の製品を求めるニーズは本物であり、利用するスタートアップが右肩上がりに増えていった。「極上のパートナー」を追う取り組みは、スキップした方が良いことを私は学んだ — スーパーモデルとデートするようなものだ。お金も時間もかかり、実際にデートしてもらっても、苦労するだけである。その代わりに、実際に自分のことを求めている相手に狙いを絞るべきである。

8. 製品の開発は思っていた以上にスゴく楽しい

今後生まれ変わったら、プロダクトマネージャーになりたい。元々いたプロダクトマネージャーが自ら製品を立ち上げるために退社したため、強制的にプロダクトマネジャーの職務も兼任することになるまで、この仕事の面白さが分からなかった。

アイデア -> プロトタイプ -> フィードバック -> 繰り返し -> 利益の回収を行うプロセスを見事に完了させる取り組みには、やりがいがあり、満足感を得られることに気がついたのであった。病みつきになったと言っても過言ではない。スロットマシンで勝つのと同じような喜びを得られるのだ。

9. 嬉しいサプライズがある

ここまで読んで頂けたのなら、私が得た教訓のほとんどが、失敗を受け入れる、あるいは、障害や拒否を乗り越える点に関連していることに気づいたはずだ。しかし、嬉しい教訓もあった — (時折、赤の他人から)気持ちが晴れ晴れするようなサプライズを得られることがある。この記事を作成している最中に、Foundersuiteのユーザーから、Startup WeekendのOrganizerに対して、Facebookでべた褒めのレビュー/提案を行ったことを伝えるEメールが届いたばかりだ。

つまりは、自分の意思で、トータルで、数百、数千の起業家、そして、顧客候補に接触する力を持つ人達に売り込んでくれたのだ。感動した。しかし、それほど稀ではない…好奇心をそそる取り組みを、適切なモチベーションを抱いて実施していれば(私達の場合は、起業家の方々が成功するお手伝いをする)、ユーザーに支えてもらえる。この関係は、素晴らしいの一言に尽きる。

それでは、皆さんの幸運を祈りながら、ここでペンを置くことにする。最後まで読んで頂いたことに、感謝の意を表したい。

この記事は、FounderSuite.comのネイサン・ベコードによるゲスト投稿である。


この記事は、OnStartupsに掲載された「Expectations vs. Reality: 8 Lessons From The First Year As CEO」を翻訳した内容です。

私は15年以上前、コンサルも何もなしにいきなり起業の世界へ飛び込み現場で数々の失敗を重ねて学んできた人間ですが、どれも昔を思い出すというか、今でもリアリティを感じる内容ばかりでした。やはり自身の経験を元に語られる内容の重みは感じます。そんな中、「製品を売るな — ユーザーが製品を使って出来ることを売れ」という一言は衝撃的でした。今後の個人的名言として毎日思い出したいと思います。しかしここでもスティーブ・ジョブス。。。恐るべし。 — SEO Japan

スタートアップが企業文化を壊さずに正しく雇用する方法

スタートアップにとって重要な作業の一つが独自の企業文化を作っていくこと。同時にそれを実現させるためにはもちろん、事業を運営し成長させていくにも必須なのが適切な人材雇用。理想の企業文化を持っていても知名度の無いスタートアップにとって最適な人材を雇うことは至難の業ではありますが、そこで妥協していては肝心の企業文化が壊れてしまう可能性もあり、、、そんな企業文化を意識したスタッフ雇用について、インバウンドマーケティングソリューションで今をトキメク存在であり、独特の企業文化でも知られるHubSpotの創業者が語ります。 — SEO Japan

自分の初めてのビジネスローンを覚えているだろうか?もしくは、もしあなたが多くの起業家と同じなら、最初は、自分のクレジットカードで物を買うことによってスタートアップをブートストラップしていたかもしれない。あなたはワクワクしていたし、恐れてもいた。ワクワクしていたのは、自分のビジネスに投資するキャッシュを手にしたから、恐れていたのは、返済しなければならない借金を背負ってしまったから。

しかし、あなたは自分が支払う利息よりも多くの価値を作ることができることに自信があったため、それは構わなかった。ゆくゆくは金銭的な負債を返済しなければならないとしても、適切なリソースへのアクセスを獲得することが、しばしば成功と失敗の違いを生むのだ。

それが金銭的な負債に言えることだ―しかし、それは文化的な負債にはほぼ当てはまらない。

文化的な負債は、企業が近道をして“適切な”スキルもしくは経験を持つが文化にフィットしない従業員を雇う時に起こる。たった一度の間違った雇用が、他の全ての従業員に打ち寄せるネガティブな波を―現在と未来に、そして結果としてあなたのビジネス全体に―生み出すことがあるのだ。

残念なことに、文化的な負債の利子は非常に高い:文化不適応者を解雇したり、彼らが自ら辞めた時にさえ、あなたは自分が被った負債を返済できない場合もあるのだ。

ここでは、あなたが自分のスタートアップの可能性を実現するのを妨げる文化的な負債を生み出すあまりにもありふれた方法を紹介する:

1. 能力だけで判断し、文化的適応力を気にしない

優れたコードを書く花形のデベロッパー…しかし、どんな指示を受けることも拒否し、他人を助けることを断る人が、あなたが彼を採用するからという理由で、すぐに気持ちを入れ替えることはない。

短期的にはいつも同僚よりも優れているように見えるスキルのあるセールスパーソン…しかし、うまく立ち回ってコントロールし、焼け落ちることを望んで灯油に浸った橋を架ける人が、あなたが彼女を採用するからという理由で、長期的な関係構築に焦点を合わせた会社のための大使に変化することはない。

面接の過程は少しハネムーンに似ている。あなたは、候補者が持つ一番良いところを見る。もし、従業員候補者が、採用されるにあなたの文化にぴったりフィットするように見えなければ、その人物は絶対に採用されたもフィットしないのだ。

文化的適合の悪魔と取引をするリスクは決して冒さないこと。会社の魂が危機に瀕する。本当に。

2. 態度のカードを捨て、スキルのカードを使う

スキルと経験は、使用されなければ価値がない。知識は、他の人に共有されなければ役に立たない。

あなたの会社が小さければ小さいほど、あなたが自分の分野でエキスパートである可能性が高いため、それらのスキルを新しい従業員に伝えることは比較的簡単だ。しかし、あなたは、熱意や良識ある労働倫理や優れた人間関係スキルを訓練することはできない―そして、それらの特性は候補者がもたらすどんなスキルよりもはるかに重要なのだ。

調査によると、技術的なスキルの欠如が原因で最初の18か月で失敗した新しい雇用はたったの11%だけだった。大部分が、モチベーションや、教えられる気がないことや、気性および感情的知性の問題が原因で失敗していた。

こんな風に考えるのだ:特定の難しいスキルが欠けた候補者は心配の種になるかもしれないが、あなたが必要とする信念と価値が欠けた候補者は文化的負債の巨大な危険信号である。

3. 中古車を売ろうとしている

候補者に対しては自分の会社を過剰に売り込みたくなるものだ。特に、あなたが是が非でも空いたポジションを埋める必要がある時や、とても長い間求人募集をしている時には。

あまり一生懸命売り込まないこと。優れた候補者は、準備をしてやって来る。彼らは下準備をしているのだ。あなたについてオンラインで読んだことを基に、あなたの会社が自分にぴったりとフィットするかどうかすでに知っている。本当に優れた新入社員は、何週間もしくは何か月もあなたの会社を追跡していたかもしれない―この会社がどんな感じなのかを見るために。

ポジションについて説明し、会社について説明し、全ての質問に回答し、率直で正直になり、あなたの自然な熱意を示すのだ…そして、候補者に詳細な情報を得た上での決断をさせるのだ。しかし、過剰に売り込まないこと。

適切な候補者は、適切なチャンスを認識する―そして適切な文化的フィットも。もしあなたがあまりにも誰かを説得しようとしすぎると、その愛は一方方向で、それは長期的な成功には向いていない。

4. 不平を熱望と間違える

組織的で、最初から最後まで包括的な雇用プロセスに勝るものはないが…時に、例外として、直感と第六感がある。

私の会社HubSpot(6年で0から500人の従業員に成長した)には、高く評価する5つの属性がある:

謙虚である(Humble)。最高でありながら腰が低い。自覚を持ち、礼儀正しい。

効果的である(Effective)。物事を終わらせる。適度に針を動かし、計り知れないほどの価値を追加する。

順応性がある(Adaptable)。継続して変化し、生涯学習者である。

卓越している(Remarkable)。際立った並外れた能力を持つ。非常に賢く、非常にクリエイティブで、非常に才覚がある・・・

何も隠さない(Transparent)。オープンで他人および自分自身に正直である。

つまり、私たちはH-E-A-R-T(ハート)のある人を求めているのだ。そういう人が、私たちの愛する会社を作るのを助けるからだ。だから私たちはいつも、より質的な検討事項と自分たちの印象を天秤にかける。あなたもそうするべきだ。こんな風に考えるのだ:あなたに経験があればあるほど―酷くやっつけられたことがあればあるほど、ひどい困難に打ちのめされたことがあればあるほど、間違いを犯したことがあればあるほど―、あなたの“第六感”はより多くのことを“学んでいる”。決して直感だけで進むべきではないが、候補者に対して悪い予感がするならば…それはもっとよく見る必要があるというサインである。

そして、さらにもっとよく見るのだ。

HubSpotにおいて私たちが文化についてどのように考えるかを詳しく知りたい人は、文化コードに関するスライドをチェックしよう(あなたの手間を省くために、以下に埋め込んである)。

結論:自分が従業員に求める無形のものを定義し、それらの資質に欠けた候補者を採用することによって決して妥協しないこと。

5. 危険な賭けに出ることを決める

あなたが従業員候補に負うリスクは2種類ある。

最初は価値のあるリスク:以前の従業員よりも可能性があるように感じる候補者を試してみること、いくつかのスキルには欠けるが態度がものすごく良い候補者を試してみること、チームが喉から手が出るほど必要としている熱意とやる気と魂をもたらすように感じる候補者に賭けてみること。それらは、良いチャンスである。

もう一つはバカなリスク:業績問題の経歴があり、あなたがどうにか強い労働倫理を持つことを願う候補者を試すこと、“ダメ上司だった”ことが理由で過去2つの仕事を辞めている候補者に賭けること、何の経験もないのにどれくらいすぐにどれくらいの頻度で昇進するかについてだけ話したがる候補者を試すこと。

なぜあなたはバカなリスクを負うことを正当化するのか?自暴自棄になっているか、怠けているかだ。もしくは、集中すべき他の問題を抱えているか。もしくは、自分の文化は、一人の不適合従業員の影響に耐えるほど強いものだと思っているか。

バカなリスクを負わないこと。それらはいつだって悪い結果になる。時には、価値のあるリスクを負うこと。なぜなら、それらはあなたにとって最高に素晴らしい雇用になり、次第に最高の従業員になることがあるからだ。

そして、決して、高利の文化的な負債を生み出すようなことに賭けないこと。

あなたの組織にとってそのコストはあまりにも高すぎる。そして、命は短い。


この記事は、OnStartupsに掲載された「5 Startup Hiring Mistakes That Can Crush Your Culture」を翻訳した内容です。

お金は借りても返せる、しかし文化的負債は一掃することは難しい、というのはナルホドでした。書かれていること自体は、どれも普通に理解できるものばかりですが、これを全て実践するとなると、それなりの覚悟と努力が必要そうですね。独自の企業文化へのこだわりで雇用におけるこだわりも変わってきそうですが、実際HubSpotはその企業文化が事業の成功に大きく関係している雰囲気もありますし、スタートアップに限らず多くの企業の参考になりうる内容ではないでしょうか。 — SEO Japan [G+]

あなたを驚かせる起業家に関する12の真実

起業家というと、最近はIT・ネット系の若き挑戦者的なイメージばかりを思い浮かべてしまいますが、最近アメリカで行われた起業家に関する調査によると、実態はかなり違っているようです。起業は若者のモノ、起業するならリーンスタートアップができるネット系、、、そんなあなたの固定観念を覆す興味深いデータが満載の記事を。 — SEO Japan

私には、平均的な起業家がどんな感じであるか頭の中で描いているイメージがある。とても若く、FacebookやTwitterを使いこなし、小豆と米を主食としたライフスタイルで1週間に80時間以上働き机で睡眠を取るような人だ。いくつかの部分では、私は正しいのかもしれない―しかし、多くの場合、私は全く間違っている。このことが起業家のためのカウフマン財団からの最近の調査によって示された。この調査のタイトルは、“起業家の解剖学”である。それは、様々な業界にわたる(それこそが私の最初の間違いだ―結局のところ、起業家はインターネットソフトウェア会社以外の会社を始めているのだ―知ってた?)549人の会社創設者に対するアンケートを基にしている。

とにかく、この調査から私が最も興味深いと思った点をいくつか紹介する。

1. 会社創設者が現在の会社を始めた時の年齢の平均および中央値は40だった。

2. 回答者の95.1%が学士号、47%がそれ以上の学位を持っていた。

3. 超裕福もしくは超貧乏な環境からやって来た人は1パーセント未満。

4. 創設者の15.2%が、自分より前にビジネスを始めた兄弟姉妹を持っていた。

5. 回答者の69.9%が、最初のビジネスをローンチした時に結婚していたと答えた。さらに5.2%が離婚、別居、死別していた。

6. 回答者の59.7%が、最初のビジネスをローンチした時に少なくとも1人の子どもがいたと答えた。また、43.5%は2人以上の子どもがいた。

7. サンプルとなった起業家の大部分は、複数回起業していた。回答者によってローンチされたビジネスの平均数は、およそ2.3。

8. 74.8%が、起業家になることの重要なモチベーションとして富を築く願望を挙げた。

9. 従来の雇用を見つけることができないことがビジネスを始める際の重要な要因であると言ったのはたったの4.5%のみ。

10. 起業家は、通常、その両親よりも良い教育を受けている。

11. 起業家精神は、必ずしもその家族に流れるものではない。回答者の半分以上(51.9%)が、家族の中で初めてビジネスをローンチした人物だった。

12. 回答者の大部分(75.4%)は、自分の会社をローンチする前に他の会社で従業員として6年以上働いた経験があった。

上の結果のどれがあなたを最も驚かせ、あなたの持つ起業家のイメージを変えただろうか?


この記事は、OnStartupsに掲載された「12 Facts About Entrepreneurs That Will Likely Surprise You」を翻訳した内容です。

私が思っていたイメージと違うものが多く、何度も「へぇー」と一人で感心?してしまった記事でした。まず平均年齢が40歳というのは、最近のネット界隈の若手起業家を見て不安になっていたアラフォー世代の起業志望の人にも安心?の内容でした。起業時に結婚していたり子供がいる人が半数近くいるのも年齢を考えれば当然かもですが、驚きといえば驚き。複数回起業している人が大半というのはアメリカらしい気もします。4人に3人がお金儲けを起業のモチベーションにしているのも、理想論が語られがちな日本と比べると現実的というか。

さて、皆さんの起業家に対するイメージを変えるデータはあったでしょうか? — SEO Japan [G+]

ビジネスプラン抜きでスタートアップが資金調達するための4つの秘訣

最近、個人的なブームになっているHubSpot創業者によるスタートアップ&投資関連の記事を続けて。起業家が投資を受けるために必須と考えられているものの一つがビジネスプラン。アイデア一つで起業してみたものの、市場規模からビジネスモデル、競合調査に売上予測まで、様々な情報をまとめ上げる作業も大変なわけですが、必ずしも出資を受けるためにビジネスプランが必須なわけではない、、、という筆者の考えを。– SEO Japan

これに関して深入りする前に、2つのことをはっきりとさせておく。私が“プラン”なしと言う時は、正式に書式化されたビジネスプランがないことを意味する―自分が何をしたいのかについて何の考えも持たないということではない。そして、私がスタートアップファンディングと言う時、エンジェルからのアーリーステージのシードファンディングについて話している(とは言っても、これらのアドバイスの大部分はVCにも当てはまる)。

地元ボストンの起業家コミュニティのメンバーおよびパートタイムのエンジェル投資家として、私は様々なプロセスの段階にいるたくさんの新しいスタートアップと接触している。そして、ビジネスプランを書くこと(そして書き直すこと)にあまりに多くの時間を費やす起業家がいることにはいつも驚かされる。プロセスの計画を立てることはとても役に立つことが多いが、効率性の度合いはかなり低い。なぜなら、自分の考え、アイディア、ブレーンストーミング、調査を元にして、それを外面的に消費できる書類に“捕え”ようとすることは非常に困難で時間がかかるからだ。あなたが物事について“考えること”(そして、実際にビジネスについて考えることに)に10分費やすたびに、あなたは書類を読む人にとってそれを理にかなう形にしようとして1時間を費やすかもしれない。そして、本当に皮肉なのは、その書類を全て読む人はほとんどいないということだ。

私がビジネスプランを好まない主な理由の1つは、物事は変化することだ。ビジネスプランを書いてそれを継続的に改善することに時間を費やす代わりに、私はむしろ、市場をテストしてアプローチを改善する起業家を見たい。Josh Kopelmanが最近、“Failing Cheaper(安く失敗すること)”というタイトルの素晴らしい記事を投稿した。一読の価値がある。

とにかく、どのようにして正式なビジネスプランを書くという窮状を味合わずに資金を獲得するチャンスを増やすのかについて私の考えをいくつか紹介しよう。ここでは、あなたが少なくとも投資家もしくは投資家グループのいるオーディエンスを獲得する能力を持っていると仮定している。もしそうでないのなら、あなたには別の問題がある(そして、ビジネスプランはそれには役に立たないだろう)。

プランもしくはパワーポイントなしでスタートアップファンディングを調達するための秘訣

  1. ストーリーを持つ:人々はストーリーを好む。ストーリーはワクワクする。ストーリーには登場人物がいて、筋がある(どんなに小さなものでも)。あなたのストーリーは、使用事例に関することかもしれない(すなわち、あなたの製品が、問題を解決するためにどのように使われるのか)。そのストーリーは、あなたがその機会をどのように発見するのかの説明かもしれない:“大企業のオフィスで働いていた私。私たちは、[X]をする方法を必要としていた。顧客を失っていて、[X]を成し遂げる方法を見つけることができずに悩んでいたためにコンサルタントを雇っていた。そして私は思った。この問題の一部を解決する簡単な方法がある…。”このストーリーは期待される“未来の状態”についてかもしれない。例えば:“2年もすると、インターネットと共に育った人達は、今日ほとんどの医者のオフィスに存在している非効率性をもはや受け入れなくなると私たちは思っている。”
  1. レバレッジを示す:人が違えばこれを違う風に呼ぶ(一般的な言い回しは、“不当な優位性”)。基本的に、あなたがする必要のあることは、あなたが持っている(もしくは手に入れそうな)レバレッジの種類を伝えることだ。早期の起業家がほとんど話題にしないレバレッジで私が気に入っているのが、資本効率だ。例:“私たち二人はこの本当にエキサイティングな市場機会に偶然出会った大学生です。私たちは、小豆と米を食べて共同アパートを拠点に仕事をしながら25,000ドル以下でこれを作ることができます…。”このレバレッジポイントは基本的に、あなたが、同じもしくは似たようなことをしている他の人よりも安く身をもって学ぶことになると言っている。[注:誰もがいくつかの教訓を学ばなければならない。問題はあなたがそれらを学ぶのに費やすお金がどれくらいなのか?ということだ。] 他に私が気に入っているレバレッジポイントは、顧客グループへのアクセス(以前の仕事/生活から)、可能性のあるパートナーと流通チャンネルへのアクセス、製品を築くことができるユニークな“才能”へのアクセス、事前に書いたIP(あなたはすでに自分が取り組んできたサイドプロジェクトから必要なコードをたくさん手にしている)などだ。基本的に、ここでのアイディアは、なぜ自分がこれを全く失敗しないという過度なチャンスを持っているのかを説明しようとすることだ。
  1. 自分の子どもが醜いことを受け入れる:ほとんどの親が自分の赤ちゃんは美しいと思っているのと同じように、ほとんどの起業家は自分が美しいスタートアップを持っていると考える。なぜ自分のスタートアップが美しいのかを他人に説明しようとして時間を費やさないことだ。それは違う。その代わりに、なぜ自分の子どもが美しい何かに成長していくのかを説明することにエネルギーを費やすのだ。製品を築いたり、顧客を見つけたり、サポートに取り組んだりするなどの問題にあなたがどのように取り組むつもりなのかを説明するのだ。
  1. 夢は大きく、しかしプランは小さく:アーリーステージの段階では、物事を安く効率的に成し遂げることができる起業家が資金提供を受ける可能性が高い。この理由はシンプルだ。あまりに多くのキャッシュは、市場が本当に求めているものやあなたがそれをどのように届けるかについてあなたが間違った感覚を持つことを許す。持っているキャッシュが少なければ少ないほど、あなたは本当に難しいこと(人々に自分のお金を手放させてあなたが提供するものを買ってもらう方法を探すことなど)に早く取り組まなければならない。大部分のアーリーステージ投資家はこのことを知っている。私は、アイディアには起業家というものよりも多くのお金がかかるということを知っているのだが、少しのキャッシュでそれができると信じ、そうしようと頑張っている人達をサポートする方が好きだ。Joshが言ったように、より安く失敗を学ぶのだ。

もしあなたがアーリーステージのファンドレイジングの初心者なら、自分とエンジェルファンディングの間に立つ唯一のものは、小切手帳が投資家のポケットから飛び出るほどに魅力的な散文ときらめく財政的な予測を備えたピカピカのビジネスプランだと考えるという落とし穴にはまるのは簡単なことだ。私は、これは事実ではないということをあなたに伝えるためにここにいる。今日のスタートアップの大部分は、ビジネスプランという形で書き記すために、実際に自分たちが次第になろうとしているものについて十分に知らないのだ。


この記事は、OnStartupsに掲載された「4 Quick Tips on Raising Startup Funding Without A Plan Or A PowerPoint」を翻訳した内容です。

ビジネスプランを私もたまに読む機会がありますが、実際書いてある8割はどうでもよいことだったりしますし(アプリやネット広告市場について今更語られても・・とか、そもそもサービスが成功することが前提の売上予測とか・・)、特にその分野に出資をする側に多少の経験と知識があれば、ビジネスプランは必ずしも必要ない気もしますけどね。起業家にとっては、それを考えるプロセスで学ぶこともありますから、大事なこととは思いますが、ビジネスプランのためのビジネスプランには陥りたくないものです。

しかしここに書かれている4つの秘訣、どれもなるほどなぁ、と思えるものでした。ストーリーの大切さは投資家に対しても顧客に対してもいえますよね。無数のスタートアップが存在し、大半がスマホがらみだったりする今、真のレバレッジは最強の差別化要素になりえるかもしれません。自分のサービスを客観視できる力は、それを改善し成功に導いていくためにも必須ですし、大きな夢を持つことは大事ですが、何ごとも1つ1つ達成していくことが長続きの秘訣ですよね。資金調達に限らず、スタートアップにとっては大事だな、と思えることばかりでした。 — SEO Japan [G+]

映画「マネーボール」に登場する17のセリフに学ぶスタートアップの教訓

公開当時スタートアップやベンチャー経営者界隈でもそれなりに話題になり、「ビジネスにも参考になる」と絶賛する人も多かったのが映画「マネーボール」。SEO Japanの読者の方にも観た人が多いと思いますが、褒める人が多いと逆に興味がなくなるヒネクレ者の私、今まで観ないままでした。先日、夜中にテレビのケーブルチャンネルでやっていたので思わず観てしまったのですが、予想通り?の面白さに「これなら早く観ておけばよかった」と後悔しました。同時に、そういえば以前、マネーボールネタの記事を読んだよな、、、と思って調べたところ、SEO Japanで翻訳許可を受けているOnStartupsの記事だったので改めて紹介したいと思います。映画は若干古いですが筆者は日本でも話題沸騰中のHubSpotの創業者(ダーメッシュ・シャー)、映画にかこつけたネタ記事に終わらない、ウェブマーケッターなら必読の内容かも? — SEO Japan

私はバカだ。いつもではないし、ほとんどいつもというわけでもないが、時折、私はバカだ。友人であり共同創設者のブライアン・ハリガンが、“マネーボール”という本を読むように私に言ったときもそうだ。それは、私たちがHubSpotというスタートアップを始めた時のことだった。「でも、野球好きじゃないし」と私は言った。すると彼は、「それは野球じゃなくて、データに関する話なんだよ」と言った。私は、それを自分の読書リストの中に入れたのだが、読むことはなかった。それは間違いだった。

そして私は今、映画“マネーボール”を見終わったところだ。これを見るのは2回目だ。最初に見たのは昨晩のことだった。私は同じ映画を2日間で2回も見たのである。それは、この映画が素晴らしかったからではなく(素晴らしかったのだが)、1回目はたくさんのことを見逃し、2回目にそれを見なければならないと感じたからだ。もしあなたがまだこの映画を見たことがないのなら、この記事を読むのを止めてすぐに見るべきだ。もしそっちに夢中になってこっちに戻って来なかったとしても、私はあなたを許そう。

それでは、余計な話はこれくらいにして、マネーボールに登場する素晴らしい言葉を紹介する。

マネーボールから学ぶスタートアップの教訓

1. 彼は一見魅力的だ。それらしく見えるし、その役には優れている。

目覚ましいスタートアップの成功は、時々、スカウトと採用に関するゲームになる。起業家にありがちな間違いは、それらしく見えるからと言ってチームのメンバーを早い段階で採用することだ。長い目で見れば、紙面上で完璧であるかどうかは関係ない。あなたは、実際に仕事をする人が欲しいのだ。その販売部長候補にはOracleでの15年の経験がある?それはあなたにとっては価値がないことだろう。彼らはそれらしく見えるが、実際に仕事をすることができると保証されているわけではない。そして、ジョニー・デーモンのように、彼らは高くつく。他の人が見ていない才能を見ることに上達すること。

例えば、HubSpotでは、初期チームの大部分が経歴上では良く見えなかった。私たちの大部分は、自分たちがしようとしていたことに関してほとんどバックグラウンドを持っていなかったのだ。

2. あなたは問題を解決してなんていない。問題を見てさえいない

根本的な問題を特定し、その問題を解決することに集中すること。実際の問題の周辺に渦巻いている全ての物事に気を取られないこと。深い業界知識を持ち、現状維持に感情的に結びついている人達の意見をじっと聞き過ぎないこと―彼らが問題の一部である可能性がある。実際の問題が何であるかを見つけ出して、それを解決するのだ。

例えば、Dropboxを見てみよう。CEOのドリュー・ヒューストンは、本当に難しい問題―異なるデバイスにわたってデータを同期させること―を解決しようと試みた。彼は、多くの人々に(私を含む)、このようなアイディアは以前に何度となく追及されてきたのだと言われていたが、そのような騒音には全く気を取られなかった。彼は腰を据えてその問題を解決した。今日、Dropboxには何十億ドルもの価値があり、何百万人ものユーザーを抱えている。

3. 考え方を変えなきゃダメだ。

Appleを思い起こさせる言葉だ。スティーブ・ジョブスは、“Think different(シンク・ディファレント)”と書いた。オークランド・アスレチックスのように、あなたのスタートアップも制約の下で動いている。時には、大きな制約だったり、不条理な制約だったりする。もしあなたが現状維持を破壊して自分よりもずっと大きくて資金のあるライバルを打ち負かそうとしているのなら、あなたはそれを彼らのやり方でやるのではない。違う風に考える必要があるのだ。自分が不利な立場にある時に古いやり方でやることは、負けへの確実な道だ。

これは私が個人的にとても情熱を持っていることだ。HubSpotを始めた時、私たちはスタートアップについて学んだ―そして、その一般通念は、“1つのことをすること。そして、それをとてもとてもうまくやること”だった。一般的には、それは本当に良いアドバイスだ。しかし、そうではない場合がある。私たちのケースのように。私たちが目にしていた問題は、優れたマーケティングアプリがないことではなかった―問題は、その中のどれもがインテーグレートされていないもしくは一緒にうまく機能しないことだった。だから、私たちは考え方を変えたそれを全てするというクレイジーなことをすることに決めたのだ。なぜなら、それこそが、私たちが問題だと思っていることだったから。

4. 野球で初めての仕事?どこにいようとそれは私の初めての仕事だ。

経験は時に過大評価される。最も成功を収めているスタートアップチームの中には、参加当初は関連した経験のない人達から成り立っているチームもあった。しかし、彼らが経験で欠けていたものは、純粋な才能と熱望で補われたのだ。初めの頃は、アスリートを採用すること。未開の才能と物事を成し遂げる傾向を持った人々だ。自分のキャリアの初期段階にいる人を採用することを拒否しないこと。あなたは未来のスターを探しているのだ―なぜなら、あなたは今のスターにお金を支払う余裕もなければ説得することもできないのだから。

5. あなたのゴールは選手を買うことであってはならない。あなたのゴールは勝利を買うことであるべきだ。

これについては、私が去年起業家と交わした会話を用いて簡単な説明で表現することにする。それはこんな感じの会話だった:

私:あなたは何をする必要があるのですか?

起業家:私たちはマネージメントチームを作る必要があります。

私:そうではなくて、今、あなたは実際に何をする必要があるのですか?

起業家:ええと、今は開発の責任者が必要です。

私:何のために?

起業家:ええと、製品開発の取り組みを率いる人が必要なのです。

私:いいえ、実際にはあなたはコードを書いて製品をリリースする必要があるのです。あなたは、顧客の問題に答える必要がある。あなたは、すぐにイタレートする必要がある。そうすればすぐに学ぶことができる。あなたには、なんとか責任者は必要ではないのです。あなたに必要なのは、成し遂げる必要のあることを実行する人です。肩書を買うことを考えるのではなく、結果を買うことを考えるのです。社内にぽっかり開いた穴を埋めることを考えるのです。顧客のサインアップが早すぎて全てのサポートメールに返答できない?それならサポートの責任者を雇うのではなく、あなたがそのサポート問題に対処するのに役立つ人を雇うのです。顧客満足にひたすらに専念する人を。彼らがいつかあなたのサポート責任者になるかもしれません。

6. 彼は、これを人生の最初の職業、最初のキャリアとして受け入れる必要がある。

この言葉は、スタンフォードへの全額支給奨学金とメジャーリーグ野球でのキャリアの間で迷っていた若いビリー・ビーンに対するものだ。ビリーの母親は両方やることはできないのかと尋ねた。その答えは、できないだった。そして、それは野球でも、スタートアップでも、他の超競争の激しい世界について言えることだ。あなたはどっちつかずの立場を取ることはできない。なぜなら、自分と同じ位に上手でもっと専念している人に倒されることになるからだ。あなたはその投資銀行の職とスタートアップを両方取ることはできない。あなたは、地にしっかりと埋まった2本足を維持したままで思い切ったことをすることはできない。選択しなければならないのだ。それは簡単な選択ではないが、選択しなければならない。そして、もしあなたが学生なら、私の個人的な(一部のスタートアップサークルでは評判が良くない)アドバイスは、学校に残ることだ。学ぶこととコネクションを作ることをあなたの“最初の職業”にするのだ。

あなたが何をするにしろ、どっちつかずの態度ではいないことだ。何かに専念すること。行動を制限しないこと。それを自分の人生の最初の職業にするのだ。もしあなたがそれにワクワクしないのなら、他のことを探すのだ。私は自分の職業キャリアの中でたくさんのバカな間違いをしてきた―最もバカなのが、同時に2つのスタートアップを経営しようとしたことだった。その話はまた別の機会にするとしよう。ここは私の最初のスタートアップの共同創設者の言葉で締めくくる:“あまりにも長い間フェンスの上に座っていると、お股が傷つくよ。

7. なぜ彼が好きかって?彼は塁に出るからさ。

スタートアップの世界は、“奇抜”だったり、所定の役職における人物についてあなたがあるべき姿だと考えている先入観にフィットしないことが理由で、見過ごされているもしくはパッとしないスーパースターで溢れている。それらのことはどれも関係がない。エンジニアを採用する時には、問題をシンプルかつ効率的に解決し、脳損傷なしに維持されるコードを書く優れた人を探すのだ。販売担当を採用する時には、高い感情的IQを持ち、顧客の問題を心から理解して、そのソリューションを彼らに販売することに気を配る人を探す。所定の役職における成功がどのように見えるかを把握し、それと関係のない細かいことは無視するのだ。(注:文化的なフィットは無関係な詳細ではない。無関係なこととは、年齢、国籍、性別など、結果に影響を与えないことだ。)

10. やる価値のあることっていうのは難しいんだよ。私たちが教えてあげよう。

あなたの教える能力は、スタートアップの中であなたが持つ唯一最大のレバーだ。なぜって?一つ目に、それはあなたが自分のチームメンバーに届けることができる最大の恩恵だからだ。彼らは他のどこかでもっと高い給料をもらうことができるし、他のどこかでもっと良い特権を得ることができる。しかし、あなたのスタートアップでは、彼らは物事を学ぶことができるのだ。二つ目に、あなたが“完璧な”ファイブ・ツール・プレイヤー(打撃、パワー、スピード、守備、肩の強さの野球に必要な全ての道具を兼ね備えた選手のこと)を見つけることはあり得ないからだ。もし見つけたとしても、あなたは彼らにお金を出すだけの余裕がない。もしあなたが、知識/経験のギャップを補う特定の力を持った人を助けるつもりがあれば、あなたはたくさんの価値を作り出す。

12. まだ最初の1週間の1日目が始まったところだ。判断するにはまだ早い。

少しだけ我慢強くなること。時に、あなたの最高の従業員が本当に輝くまでには少し時間がかかることがある。判断を早まらないこと。背景を究明するのだ。もし誰かがまだグラグラしているとしたら、それはスピードに追い付くのが難しいからなのでは?みんな忙しすぎて彼らにコツを教えられないのでは?初期のパフォーマンスの欠如には背景があるのかもしれない。だから、我慢するのだ。

しかし、我慢しすぎてもいけない。もし1か月もしくは2か月で少なくとも適度に生産的にならない人がいたなら、彼らが次の年に超生産的になる可能性はなさそうだ。本当に優れた人は、ある程度の価値をほぼすぐに届ける傾向がある。

14. 私がソファを買うためのお金はどこ?

アーリーステージの企業で予算を気にすることはいいことだ。長期的に役立つ適切な規律を染み込ませるのだ。しかし、安物買いの銭失いにならないこと。そんなにお金はかからないが人々を幸せにする小さなことがある。それはお金の話ではなく(彼らはソファを買うだけの余裕はある)、不便さと主義の話なのだ。忘れてはならないのは、元来、人々は人間であるということだ。:)

HubSpotから例を一つ:私たちは、従業員なら誰でも、より優れたHubSpotのメンバーになれると思う本をリクエストすることができるというブックプログラムを始めた。私は個人的に、全てのリクエストに対処し、その本のKindle版をすぐに配布した。それはそれほど高くないが、とても評判が良い。

15. これらは人に説明するのが難しいルールだ。ピート、なぜそれが問題なの?

この映画の最高のシーンの1つだ。ピートは、彼らがやっていることがどれほど違うかや、他の人がそれを理解して受け入れることがなぜ難しいかに悩んでいる。しかし、大事なのは、あなたが何かを転換し大きな変更をしている時、全ての人がそれを理解するわけではないということだ。重要なのは、正しくあること―そして、その変化を起こすことだ。自分の理論が正しいのだと人々を説得する一番良い方法は、正しくあり、彼らにあなたが正しいことを示す(教えるのではなく)ことだ。さもなければ、ほとんどの人は決して説得されることはないだろう。

16. 私はかつてのあなたという選手にお金を払っているのでなく、今のあなたという選手に払っている。

力強いアドバイスだ。それはこんな風な意味になる:可能性に基づいて採用するが、実績に基づいて報酬を与える。顧客は、優れたエンジニアが書いたかもしれないコードで感激することはない。関連した話では、“彼が良い打者なら、なぜ彼は良いヒットを打たないの?”、もしくは、“彼女がそんなに優れたセールスパーソンなら、なぜ彼女は売ることができないの?”という言葉がある。

17. 私たちがゲームを変えるのだ。

そして、まさに、それこそが全てなのだ。それは、数百万ドルのエグジットをすることでも、株式公開することでもない。ゲームを変えることなのだ。それは、この世界で何かおかしなことを目にしたら、それを修正しようと決意することなのだ。私にとって、それは、マーケティングが壊れていることを観察することだった。大部分の人はマーケティングを嫌う。私たちは、マーケティングを人々が好むものに転換したいのだ。それは、かなり大掛かりなことだが、私は心の底から、自分たちは正しいと感じている。

あなたはどうだろう?あなたがこの世界の中で目にし、修正しようとしている欠陥は何だろうか?また、マネーボールに登場するお気に入りのセリフはあるだろうか?


この記事は、OnStartupsに掲載された「Startup Lessons From 17 Hard-Hitting Quotes In “Moneyball”」を翻訳した内容です。

思わず映画のワンシーンワンシーンを思い出しながら月曜朝から読み込んでしまった記事でした。映画を観た人はもちろん、映画を観ていない人でも十分に楽しめる内容だったのではないでしょうか?個々の台詞は人それぞれ受け止めてもらうとして、やっぱり最後の台詞「私たちがゲームを変えるのだ」にネット業界・スタートアップで働く者は心惹かれますよね!今週も頑張りましょう。 — SEO Japan [G+]

起業家のジレンマに陥らないための26のアドバイスとデータ

起業家である以上、一定の確率で避けられないのが失敗です。わかっていても、チャレンジしてしまうのが起業家の性なわけですが、今回はハーバードビジネススクールの教授が執筆した「創業者のジレンマ」という書籍から、気になる名言やデータを26まとめて抜粋した記事を。起業家ならずともビジネスパースンであれば、はっとする言葉やデータが見つかること間違いなし。 — SEO Japan

数年前、最近ハーバードビジネススクールの教授になったNoam Wassermanに会った。そもそも私がNoamと出会ったのは、彼がスタートアップ、特に創業者の人間関係の分野について、興味深い調査をしていたからだ。彼とランチで会った時、彼は、私が自分の起業家キャリアで遭遇した最も大変なことをいくつか指摘した:近しい友人または家族と会社を始めるべきなのか?創業者の間で等しく株を分けるのが賢いことなのか?もし選ばなければならないとしたら、お金(裕福になる)とコントロール(女王/王になる)のどちらが欲しいか?共同創業者はどうなのか?難しいトピックだ。

私は、あまりに多くのスタートアップが、共同創業者との衝突にもがき苦しみ失敗するのを目にしてきた。誰もが素晴らしい意図を持って出発する―そして、物事は破綻をきたし始める。これらのケースのほとんどは、創業者たちが可能性のある問題に対峙して、早くからお互いに疑問をぶつけあえば、衝突は避けられたはずだ―あるいは、少なくとも、もっと早くに表面化したはずだ。

私は以前このトピックに関して、“Important Questions Startup Co-Founders Should Ask Each Other(スタートアップ共同創業者がお互いにすべき重要な質問)”の中で書いたことがある。創業者間の透明性と理解の欠如がスタートアップの問題になる時はたったの2つしかない:物事がうまくいっている時と、物事がうまくいっていない時だ。

さて、Noamの話にもどろう。彼は、自分の長年の調査の結果と創業者との会話を基に、“Founder’s Dilemmas(創業者のジレンマ)”を書いた。これは、このトピックに関するもっとも信頼のおける本だと私は思う。もしあなたが創業者なら、または創業者になろうと思っているのなら、この本を読むべきだ。私は、Noamがこの本の中で言っていることの大部分に賛成だ。しかしながら、私が賛成しているかどうかは関係なく、私とは違って彼は実際にデータを集めたのだ。

以下は、この本から抜粋したいくつかのアドバイスとデータだ。

Founder’s Dilemmasからのアドバイスと見解

1) 創業者CEOの交代の73%は、創業者が自ら退任したのではなく解雇されている。

2) 創業者はルイス・クラークのように感じている:どこに進むか大まかなアイディアはあるが、この先の明確な道や来たる落とし穴は見えていない。

3) 創業チームの離職者数は、スタートアップが最初のラウンドで資金を集めた時に、劇的に増加する。

4) 残念な真実:起業家精神が戦いなら、大部分の犠牲者は、味方からの誤爆もしくは自ら招いた傷から生じる。

5) 創業者CEOの成功の可能性は、新しいラウンドでの資金調達ごとに上がっていく。

6) スタートアップの65%が、マネージメントチーム内の問題が原因で失敗する。

7) “人々の決断”は非常に簡単なことのように感じる?あなたは後でひどく驚かされるかもしれない。そのままにせず決断すること。

8) 起業家の決まりの悪い事実:道中の多くの決断が、裕福&王様になるという結末をますます手の届かないものにする。

9) 創業チーム内でのソーシャル関係が増えるたびに、共同創業者の離脱の可能性が30%増える。

10) 友人/家族の共同創業者は、話したくない重要な問題(リレーションシップ、ロール/役割、リワード/報酬)に取り組む可能性が最も低いことが多い。

11) 友人や家族と共同創業することによって火遊びをしている?注意深くファイアウォールを建設し、最悪のケースについて議論しておくこと。

12) 6か月のハネムーン期間が終わった後は、先にソーシャル関係のあったチームが最も安定性が悪い。

13) 創業者は、自分が決定的な決断をしようとしていることに気が付かないことがよくある。

14) 共同創業者になるかもしれない人のモチベーションをチェックして、自分のモチベーションと共生できるかどうかを確かめること。

15) モチベーションが両立するからといって成功が保証されるわけではないが、不適合はトラブルの元だ。

16) 創業者は、自分たちの株式分割の話し合いを“戦争”、“腹立たしい”、もしくは“ストレス”だと説明することがよくある。

17) ピボットする可能性があるのか?それならなぜチームの50%以上が調整なしで株式を分割するのか?

18) 73%のチームが、ファンディングの1か月以内に株式を分割する:彼らが直面する大きな不確実性を考えると、驚きだ。

19) 創業者ディスカウント:好きでする仕事が落とし穴になることがある。自分と対等の非創業者よりも給料が少ないのだ。

20) 3R(リレーションシップ、ロール、リワード)のそれぞれの中で、最も共通している選択が、最も危険を伴う。

21) スタートアップを創業することの厳しい試練は、強いチームを築くというよりもチームを火あぶりにすることがよくある。

22) 3つのR(リレーションシップ、ロール、リワード)を自己責任で無視すること。正しく整列されていない3つのRは、緊張と衝突と爆発を引き起こす。

23) 裕福な創業者は、王様の創業者とはかなり異なる投資家の選択をするべきだ:自分の中核となるモチベーションを理解すること!

24) 急成長するスタートアップを率いることにおける創業CEOの成功は、彼もしくは彼女の廃退と交代を加速化することがある。

25) 創業者の52%は、スタートアップが3回目のラウンドで資金調達をする時までにCEOを交代している。

26) 創業CEOとして自分自身を解雇することは、自分が交代した後にスタートアップにより関わったままでいることを可能にする。

2つのお知らせ:この本へのリンクはアフィリエイトリンクである。私はこのようなリンクから稼いだお金を全て非営利団体に寄付する(Amazonの手に入るよりは、価値ある大義が5%を獲得する方が良いと思っている)。

さて、あなたはどう思うだろうか?困難な創業者問題に遭遇したことがあるだろうか?あなたはそれらを解決するためにどんなことをしただろうか?あなたが今苦戦している問題は何だろうか?


この記事は、OnStartupsに掲載された「Avoiding Founder Failure: 26 Quick Tips and Real Data」を翻訳した内容です。

名言風?な一言アドバイスとデータが入り混じった、面白く&興味深く読めた内容でした。しかし改めて見ると米国では創業者がファンディングの過程で交代してしまうケースがとても多いのですね。日本の場合、最近の上場企業を見てもほとんどが創業者が経営者を続けているケースが大半と思いますが、この辺は起業に対する考え方が日米では大分違う点もあるでしょう。

ただ私もプチ起業家として感じますが、新しい事業を創業する能力と事業を成長させる能力はまた違うと思いますし、企業が成長する過程で、特にそれが大きな拡大を目指せるものであるならば、創業者が経営者の座をその成長を目指せるプロ経営者に譲るという選択肢もあっていいとは思います。それができるプロ経営者が日本にどれだけいるかは知りませんが・・・。米国でもアンドリーセン・ホロウィッツのように創業者CEOにこだわるVCもありますし、一概に何が良いとはいえませんが、以前と比べ起業が驚く程、一般的になってきた最近の日本ではありますが、選択肢の幅はまだまだ少ないといったところでしょうか。

しかし、なんといっても最初の「創業者CEOの交代の73%は、創業者が自ら退任したのではなく解雇されている。」という一言が一番インパクトがあったかもしれません。起業家の皆さん、なるべくしてならともかく、不測の事態でそうならないよう、増資も事業運用も慎重に行っていきたいものですね。 — SEO Japan [G+]