OpenGL 3Dの次世代規格の策定作業がKhronos Groupの指揮下に始まる…ハードウェア重視、マルチスレッド、共通シェーディング言語など

OpenGLOpenCLWebGLなどの規格を管理している業界団体Khronos Groupが、通常のアップデートサイクルの一環として、今日(米国時間8/11)から行われるSIGGRAPH 2014で、デスクトップの3DアプリケーションのためのOpenGLのアップデート規格をローンチした。よりスムーズな3Dグラフィクスを作るための重要なアップデートが二つあり、それらはデベロッパの負担を軽減するだけでなく、 DirectX11からのポートをより容易にするだろう。しかしもっと重要なのは、今日この非営利団体が、次世代の3Dスタンダードを定義する作業への参加を呼びかけたことだ。

Khronosの理事長でNvidiaのコンテンツ開発担当VPであるNeil Trevettが先週語ったところによると、それは、真に現代的な3D APIを作るための、規格の抜本的な再設計だ。Khronos Groupはその礎石的な部分に関してすでに内部的な作業を開始しており、今回はそのプロセスをエコシステム全体に対してオープンにするものだ。

OpenGLは最初、Silicon Graphicsがほとんど22年も前に開発した。そのころは、今のような多機能で高性能なGPUや、ましてやモバイルのGPUなど、誰も予想しなかった。今度作られる次世代のAPIスペックでは、同団体は完全な無からスタートして未来のスタンダードを作る。とくにTrevettが避けたいのは、分裂の激化だ。“3D対応のプラットホームがきわめて多くなっているだけに、分裂がもたらす危険はなおさら恐ろしい。必要なものは、オープンなスタンダードだ”。

デベロッパたちは、GPUを低レベルでコントロールできるAppleのMetalなどの便宜を、明らかに喜んでいる。次世代のOpenGLも、同様の機能を持つだろう。Trevettはより具体的に、ドライバがやることが減り、むしろハードウェアの露出量が増える、と言う。“既製のブラックボックス的なルーチンを呼ぶことよりもむしろ、デベロッパが直接ハードウェアをコントロールして実現することが増えるだろう”、と言うのだ。アプリケーションがGPUやCPUのワークロードをコントロールすることによって、パフォーマンスが上がり、こうしたらこうなるという、結果の予測の精度も上がる、と彼らは主張するのだ。

もうひとつの重要な礎石が、マルチスレディングによるオーバヘッドの軽減だ。これもまたOpenGLの最初の規格では話題にすらならなかったものであり、同団体は今これに、根底から取り組もうとしている。なお、ほかに新規格の目玉として、共通のシェーディング中間言語が導入される。これもまた、初めての取り組みだ。

すでにこの新規格の策定作業に参加している企業は、3Dグラフィクスに関わる中心的企業のほとんどすべてだ。まずハードウェア方面からはNvidia、AMD、Apple、Samsung、Intel、Sony、そしてQualcomm、そしてTrevettは、とくに3Dエンジンの大手とゲームデベロッパが重要だ、と言う: EpicとUnity、Blizzard、Valve、それにElectronic Artsだ。そのほか、Oculus VR、Pixar、Googleなども参加している。Googleは、Android用のOpenGL ESに関心がある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


OpenGL ES 3.1がGPUによるコンピューティングなどPC級のグラフィクスをモバイルに持ち込む

3Dlabs、ATI、Discreet、Evans & Sutherland、Intel、NVIDIA、SGI、Sun Microsystemsなどなどが集まってリッチメディアのための標準規格を作ろうという団体Khronos Groupが、今日(米国時間3/17)サンフランシスコで行われるGame Developer’s ConferenceでOpenGL ESの最新バージョンをリリースする。

OpenGL ESという一般にあまり見慣れない名前は、組み込みシステム(Embedded System)のためのOpenGL規格なので、この規格が指定するグラフィクス機能は今後のモバイルデバイスなどが実装し、もちろんアプリもそれを利用することになる。ただし今のところ、メジャーなモバイルプラットホームの中でWindows PhoneだけはOpenGL ESをサポートしていない。

モバイル向けに最適化されている、ということは、GPUがあまり強力でないことが前提になっているのだが、今日のリリースではそのギャップがかなり填められている。OpenGL ES作業部会の会長でARMのグラフィクス研究部長Tom Olsonは、“OpenGL ES 3.1はデスクトップ向けのOpenGL 4.4で人気の高い機能の多くをモバイルデバイスに適した形で提供している”、と発表声明の中で述べている。

今回の新しい規格ではたとえば、アプリケーションがGPUに、グラフィクスのレンダリングと密接に関連した一般的なコンピューティングタスクをやらせることができる。それは多くのデスクトップアプリケーションがすでにやっていることだが、これによりモバイルアプリの一層の高速化が期待される。

そのほかの改良点として、シェーダオブジェクトの分離、マルチサンプルとステンシルテクスチャ、シェーディング言語の改良、サンプルごとのシェーディング、新しいブレンディングモードなどなどの拡張がある。詳細は、ここに。

Khronos Groupの理事長でNVIDIAのモバイルエコシステム担当VP Neil Trevettは、今日の発表声明の中で、“OpenGLのAPI集合を構成するOpenGL ESとOpenGLおよびWebGLは、モバイルデバイスとPCとWebにおける3Dグラフィクスの共通的基盤と認められるに至っている。本日のOpenGL ESのリリースは、グラフィクスの世界におけるまた新たなマイルストーンであり、ユーザにより高いレベルのリアリズムと対話性の体験を、広く普及しているメインストリームのデバイスにおいて可能とする”、と述べている。

今週後半にKhronos Groupは、このGame Developer’s Conferenceで、さらに新しい発表をいくつか行う予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))