Googleの35ドルのドングルChromecastが今週メディアを賑わせたが、テレビのHDMIポートに挿入するおかしなガジェットを作っているのはMountain Viewの連中(==Google)だけではない。
DellがAndroid内蔵のドングルProject Opheliaを発表したのはさかのぼって1月だが、そのとき言われた発売予定日がとっくに過ぎてからは、わずかにあった世間の関心もかき消えてしまった。でも今回はやっと、まだ本格立ち上げは数か月後らしいが、ともかくテスターたちに配るための初期製品ができたようだ。
Project Opheliaは、CES 2013で初お目見えした。OpheliaをテレビなどHDMI入力のあるディスプレイにつなぐと、Android 4.0が立ち上がって、Webを閲覧したりGoogle Playストアからアプリをダウンロードしたりできる。もちろんこういう製品は前からあり、テレビに〔主にUSBで〕つなぐための小さなAndroidデバイスは、あちこちのクラウドファンディングサイトに登場しただけでなく、中国の大量注文サイトにも、非常に多種類現れた。今となっては、ずいぶん昔からあるような気さえする〔今でもAmazonやYahooオークションの業者店などで数種類が売られている〕。
しかしOpheliaの大きな差別化要因は、Dellのクラウドコンピューティング技術Wyseだ。それがあるためユーザは、いろんなことができる。たとえば自分のPCやサーバ上のファイルにリモートアクセスできたり、CitrixやVMwareの仮想マシンに接続できる。DellはOpheliaの大企業利用をあくまでも強調したため、お値段は100ドル近くとされた。でも、もっとも異様なのは、PCメーカーとしての巨大企業が、こんな奇妙でマイナーな製品に手を出したことだ。
しかしPC市場の現状を見れば、Dellほどの企業がOpheliaのような変な製品を出す理由も理解できる。PCの需要は落ち込み、消費者はモバイル製品に乗り換えつつある。だから、PCメーカーでしかなかったDellにとっては、今のPC市場の動向がDell自身の大きな傷ともなる。たとえば同社の最近の決算報告では、消費者向けPCの売上が前年比で9%落ち込んだ。だからOpheliaのような、一見ぱっとしない製品への進出も、消費者と企業の両方に売れるとして自己正当化される。でも、企業や一般消費者がそれを欲しがるためには、お値段と機能だけではだめだろう。Ophelia(オフィーリア)が、あの有名なシェイクスピア劇のヒロインと同じ運命にならないことを、Dellのために心から祈りたい。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))