テルアビブのOrca AIは、貨物船に後付け搭載して航行や衝突回避を改善できるコンピュータービジョンのスタートアップだ。同社はこのたびシリーズAラウンドで1300万ドル(約14億円)の資金を調達し、調達総額を1550万ドル(約16億7500万円)以上に引き上げた。ほとんどの貨物船には防犯カメラが搭載されているが、コンピュータービジョンカメラは珍しい存在だ。Orca AIは同社のソリューションによって、すでに海上にいる船舶に自律的な誘導方法を導入できると期待している。
海難事故は年間4000件以上発生しており、その主な原因はヒューマンエラーだ。同社によると、新型コロナウイルスのパンデミックにより定期的な乗組員の交代が難しくなっているため、この状況は悪化しているという。最近のスエズ運河での事故は、この業界がいかに重要であるかを浮き彫りにした。
今回の資金調達はOCV Partnersが主導し、同社プリンシパルのZohar Loshitzer(ゾハール・ロシッツァー)氏がOrca AIの取締役に就任した。Mizmaa VenturesとPlayfair Capitalも本ラウンドに参加した。
この会社は、海軍技術のエキスパートであるYarden Gross(ヤルデン・グロス)氏とDor Raviv(ドル・ラヴィヴ)氏によって設立された。後者は、元イスラエル海軍のコンピュータービジョンの専門家だ。同社の顧客には、Kirby、Ray Car Carriers、NYKなどがある。
Orca AIのAIベースのナビゲーションと船舶追跡システムは、ビジョンセンサー、赤外線カメラ、サーマル・低照度カメラに加え、環境を見て危険な状況を乗組員に知らせるアルゴリズムを使い、航行が困難な状況や混雑した水路で船舶をサポートする。
今回の発表にあたり、共同創業者兼CEOのグロス氏は次のように述べた。「海運業界は、技術革新の面で航空産業に比べまだ大きく遅れています。船舶は、ますます混雑する水路、悪天候、視界の悪い状況に対処し、しばしば高価な貨物を積んで困難な航海を強いられています。当社のソリューションは、世界中のあらゆる船舶にユニークな洞察力とデータを提供し、将来的にこのような困難な状況や衝突を減らすのに役立ちます」。
OCVのプリンシパルであるロシッツァー氏はこう述べた。「商業海運は歴史的に規制が厳しく、伝統的な産業でした。しかし現在では、安全性と効率性を高めるための技術的なソリューションの導入に前向きな変化が見られるようになりました」。
カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Orca AI、コンピュータービジョン、資金調達、イスラエル、海運業
画像クレジット:Orca AI
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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)