最大40フィート(12メートル)まで離れたスマホなどの端末を、1ワットの電力でワイヤレス充電できるテクノロジー「Cota」のことは、TechCrunch Japanの翻訳記事でも紹介したことがある。このCotaを開発するスタートアップ企業「Ossia」の創業者CEOのハテム・ゼイン(Hatem Zeine)氏が、TechCrunch Tokyo 2014のために来日して講演してくれることが決まったのでお知らせしたい。
ワイヤレス充電といば、「Qi」のように非接触というようなタイプのものはだいぶ普及しているけれど、WiFiのように10メートルぐらい離れたまま充電するような製品は市場に存在しない。もしCotaのようなテクノロジーが普及すれば、ぼくらは「充電」という行為自体を忘れる日が来るかもしれない。家やオフィスにいる間は、モバイルデバイスは勝手に再充電をスタートするからだ。ちょうどWiFiで半自動的にネットに繋がるようなものだ。Cotaは2015年にリテール市場に出荷予定という。
にわかに信じがたいワイヤレス充電のCotaだが、いきなり出てきたわけじゃない。ゼイン氏がCotaを創業したのは2008年にさかのぼり、長らく誰にも実現可能ということを信じてもらえないままステルスで開発を進めてきたのだという。先日2014年9月にサンフランシスコで行われたTechCrunch Disruptが実際に大勢の人の前でデモを見せるお披露目の場となった。
Cotaの送電側は一面に小型アンテナをグリッド上に配置したもので、壁などに埋め込んでもワイヤレス充電が可能なのだという。TechCrunch Disruptのイベントでは200個のトランスミッターが並んだ人の背の高さぐらいの畳状のプロトタイプを使っていたが、これはコンポーネント数が非常に多いために大きいだけで今後は家庭に設置できるサイズにまで小型化可能という。障害物があっても、それを避けるパスを見つけて離れた場所にある受電側に電力を送ることができるという。詳しくはイベントの講演で話してもらえることになっているが、WiFiでいうMIMOのようにマルチパスで送電するということのようだ。受電側は充電が必要になったら微弱なシグナルを発信し、これをキャッチした送電側が位置を特定して指向性の高い形で電力を送る。
ヨルダン出身のゼイン氏自身は、もともとアラブ語圏で最大手のSIerを創業して、マイクロソフトやシスコなどと協業するビジネスを育てた起業家。マンチェスター大学で物理学と数理言語学を学んだという。今はマイクロソフトのお膝元のシアトルを拠点にしている。Ossiaはこれまでに320万ドルを調達していて、Intel Captalも投資している。
残念ながら、Cotaのプロトタイプは今のところデカすぎた。太平洋を渡る輸送は困難なので、東京で実際の現物デモを見せるというのは今回は難しいということだが、ゼイン氏には、Coatの技術と今後の見通し、それから起業家としての創業ストーリーを話してもらう予定だ。
TechCrunch Tokyo 2014チケット販売ページはこちら
TechCrunch Tokyo 2014学割チケット販売ページはこちら
TechCrunch Tokyo 2014団体販売ページ(5人以上で割り引き)はこちら