緊急対応は一刻を争うものだ。火災が発生したりクルマが衝突した時、数秒が生死を分けることもあり、状況は制御不能になる。消防と警察にとって、気まぐれな交通渋滞と不完全な道案内の中でチームを現地に派遣することは大きな課題だ。
テキサス州ヒューストン拠点のスタートアップPaladin(パラディン)は、都市が緊急事態により早く、より良いデータを得て対応するために、ドローンによるハードウェアとソフトウェアのソリューションを開発している。同社は数年の開発期間を経て、同社はKnighthawk(ナイトホーク)とWatchtower(ウォッチタワー)という製品を公開した。
Knighthawkは緊急対応人員の特別なニーズに応えるために設計されたカスタムメイドのドローンだ。2台のカメラ(1台が光学10倍ズーム、1台がサーマル)を備え、昼夜を問わずわずか0.5秒の遅延で刻々と変化する現場の状況を高画質動画で伝える。重要なのは、ドローン飛行時間が55分間あるので何マイルも離れた場所にも到達できることだ、と同社は言う。離陸までの時間は911通報が届いてから数秒以内だ。
ドローンを操縦して動画を見るためには、同社のソフトウェアWatchtower(アプリとして提供)を使い、マップ上で緊急現場と思われる場所にピンを置いてドローンを向かわせる。到着したら、アップロードされた動画はアプリ上だけでなく既存のコンピュータ化された911センター配備システムにも送られる。
この一般公開は同社にとって大きな一歩だ。TechCrunchが2019年に取り上げた時、会社はY Combinatorから登場したところで、Khosla、Correlation Ventures、Paul Buchheit氏らからシード資金を受け取っていた。当時の目標は、市販のDJIドローンに統合するソフトウェアの開発だった。Paladinが実験していたAndroidアプリでは、操縦者がマップにピンを置いてドローンを誘導していた。
しかしそのバージョンはその業務には不十分だったことがわかった。CEOで共同ファウンダーのDivy Shrivastava(ディビー・シュリバスタバ)氏は、プロダクトの開発が進むにつれ会社はハードウェアも持つ必要があることがわかった。「私たちが使っていたドローンは自動運転向けに作られてはいませんでした」と彼はいう。「結局ドローンには私たち自身の通信技術を組み込みました、接続が途切れないようにするためです」。
2018年の創業以来、同社のドローンは約1600件の緊急事態に対応したと同社の内部データはいう。彼らはヒューストンのMomorial Villagesとオハイオ州のOrange Twonshipという2カ所の現場で途方もない時間を費やしたが、1日数件決められた時間帯に緊急通報に対応するだけだった。
その制約が、このドローンスタートアップにとって最大の障壁の1つを示唆している。規制だ。FAA(連邦航空局)は操縦者の目視範囲に関して厳格なルールを定めている。完全にシームレスで簡単に配備できるシステムのビジョンを実現するために、Paladinは膨大なデータを集めてFAAに申請し免除を受ける必要があった。FAAは「First Responder Tactical Beyond Visual Line of Sight」、その他の関連する例外規定に沿って認可する。これまでにPaladinは同社が運用している2都市で正式な目視見通し免除を得ており、シュリバスタバ氏は、今後同社製品を購入する新しい都市でも使える繰り返し可能なプロセスを開発できたと自信を持っている。
インストールは比較的簡単だとシュリバスタバ氏はいう。ドローン自身はどこにでも、駐車スペースに置くこともでき、通常は警察または消防署に設置される。ドローンが地形を分析したり周辺を理解するための特別なハードウェアやセンサーやガイドラインを設置する必要はない。911通報受信者が使用するコンピューター管理の配備システムにドローンを統合するためには何らかのソフトウェア統合が必要になる。
一般公開され、これまで以上の実績を示さなくてはならない今、会社は売上の上昇に注力すると共に「私たちの長期的目標はすべての消防、警察、緊急対応機関が当社製品を使うことです」と言っている。
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画像クレジット:Paladin Drones
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(文:Danny Crichton、翻訳:Nob Takahashi / facebook )