コード不要でさまざまなeコマースツールを利用可能にするPipe17が約8.5億円調達

eコマース(電子商取引)市場に焦点を当てたソフトウェアを手がけるスタートアップのPipe17は、800万ドル(約8億4600万円)の資金調達を終えたと米国時間2月18日朝に発表した。

Pipe17のサービスは、小規模なeコマース事業者が、コードを書かずにデジタルツールを導入するのに役立つ。このスタートアップのサービスを利用することで、社内にIT機能がないeコマース業者でも、同社の販売プラットフォームを利用して発送したり、POSデータとERPを連携させることが、すぐにできるようになる。

大手物流不動産会社GLPのベンチャー部門であるGLP Capital Partners(GLPキャピタル・パートナーズ)が、この資金調達ラウンドを主導した。

Pipe17の共同設立者であるMo Afshar(モハマド・アフシャール)氏とDave Shaffer(デイヴ・シェーファー)氏が、TechCrunchのインタビューで語った話によると、彼らのスタートアップのアイデアは、eコマース市場を調査したところ、販売プラットフォームに関わる意欲に対し、電子商取引ツールを連携させるためのソフトウェアが比較的不足していることに気づいたところからきているという。Shopify(ショッピファイ)やBigCommerce(ビッグコマース)、Shippo(シッポ)などは優れたプラットフォームだが、eコマース運営の勢いを維持するためには、自社でコードを書くことができなければ、結局はデータをすべて、1つのプラットフォームから別のプラットフォームへ移動させなければならない。そのギャップを埋めるために、彼らはPipe17を開発した。

アフシャール氏によると、Pipe17は接続というレンズを通して、eコマース業者の運営を簡素化したいと考えているという。2人の共同設立者は、簡単な相互互換性こそが、現代のeコマースのソフトウェアに欠けている重要な要素だと考えており、現在のeコマース市場をSplunk(スプランク)やDatadog(データドッグ)が登場する以前のITやデータセンターの世界になぞらえている。

問題を解決するためには別のアプリケーションを購入しなければならないというのが、eコマース業界における一般的な認識だと、共同設立者は説明する。Pipe17は、ほとんどのeコマース企業はおそらく十分なツールを持っているが、それらの既存のツールをコミュニケーションさせる必要があると考えている。

このスタートアップの巧妙なところは、我々がノーコード・ローコードと呼ぶもの、あるいはより高度なノーコードというべきものを構築していることだ。開発者ではない人に、異なるソフトウェアサービス間の接続を視覚的にマッピングするためのインターフェースを提供するのではなく、マッピングする必要がありそうなものをあらかじめ構築するのだ。リンクさせたい2つのeコマースサービスを選ぶだけで、Pipe17はインテリジェントな方法でそれらを接続してくれる。コーディングが苦手な人にとって(おそらく多くの小規模オンラインストア運営者がそうだろう)、これは魅力的なセールスポイントになるだろう。

このスタートアップの顧客ターゲットは、年間売上高が数百万ドルから数億ドル(数億円から数百億円)の販売業者だ。

なぜPipe17は今になって資本を調達したのだろうか?2人の共同設立者は、Plaid(プレイド)やTwilio(トゥイリオ)がそれぞれのニッチで行ったのと同じように、大きな市場を単純化するチャンスは限られているため、今資金を調達することは理に適っていると述べている。アフシャール氏の見解によれば、eコマースの運営はまさに大規模化が進んでいるというが、2020年見られたデジタル販売の成長を考えると、これは議論の余地がない展望だ。

関連記事:新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

Pipe17が埋めようとしているニッチには、複数のプレイヤーが存在する。各企業がどれだけ競合するかについては異論があるかもしれないが、Y Combinator(Yコンビネーター)の支援を受けたAlloy(アロイ)は最近、ノーコードのeコマース自動化サービスを構築するために400万ドル(約4億2300万円)の資金を調達した。これはPipe17がやっていることに関わりがある。もし彼らが競争に巻き込まれたら、果たしてどこがトップに立つだろうか。それを見るのは興味深いことになるだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Pipe17eコマースノーコード資金調達

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)