自律型電動モビリティサービスを提供するOptimus Rideは、パワースポーツ車両メーカーのPolaris(ポラリス)と提携し、完全自律走行型のGEM電気自動車(EV)を市場に投入すると発表した。両社は、Optimus Rideの自律走行ソフトウェアとハードウェアを完全に統合した、Polaris GEM低速車両の新しいラインアップを販売していくという。
このマイクロトランジット車両は2023年後半に発売される予定で、企業や大学のキャンパス、複合施設など、ジオフェンスで囲まれた限定地域の環境で展開されることになる。
道路を走る電動の自律式車両は、Polaris GEMだけではない。Alphabet(アルファベット)傘下のWaymo(ウェイモ)、Uber(ウーバー)、Ford(フォード)、Motional、GMの子会社であるCruise(GMクルーズ)などの大企業が、都市部での配送やライドシェアサービスに使用する自律走行車に投資している。しかし、Optimus RideのCEOであるSean Harrington(ショーン・ハリントン)氏は、まず限定地域のジオフェンス環境でスタートし、技術が安全に開発されたら、それを外に拡大していくことにより市場の優位性を得られると考えている。
ハリントン氏はTechCrunchの取材に対し「マイクロトランジットは自律走行の出発点として最適であり、AV(自律走行車)が浸透し始める場所になるでしょう」と語った。「低速で局地的な環境の中で短距離の移動に集中することにより、自律型モビリティソリューションを最も迅速に展開し、優れた体験を提供できるようになります。一方ロボタクシーの場合は、技術的な課題が無限にあります」。
Optimus Rideは同社の自律走行技術を搭載したPolaris GEMを、ブルックリン、ボストン、カリフォルニア、ワシントンD.C.、北バージニアでのライドシェア事業、またはテストの一環として、すでに30台ほど導入している。ボストンのシーポートにある本社の近くにテストサイトがあり、マサチューセッツ州のSouth WeymouthにはUnion Pointと呼ばれる無人トラック環境がある。
近い将来、不動産大手であるBrookfield PropertiesのワシントンD.C.オフィスなど、現在のパートナーシップを継続的に拡大するとともに、新しい市場にも進出していく予定だという。またハリントン氏は、次のステップとして大学キャンパスを示唆した。
GEMは、来校者やキャンパス内の居住者、そして職員に、施設周辺の固定ルートとオンデマンドの移動手段を提供し、場合によっては地域の交通機関のハブや近隣地域への移動も可能にする。
「ワシントンD.C.のBrookfieldキャンパスでは、Opti Rideアプリを利用して、ユーザーが配車の予約をしたり、シャトルの座席を確保したりすることができます」とハリントン氏は語る。「そしてブルックリン海軍工廠では、固定スケジュールと固定ルートを運行しています」。
時速25マイル以下で走行するマイクロトランジット車両は現在4人乗りで、最前列には安全のためにオペレーターがいる。同氏によると、次世代のGEMでステアリングホイールとブレーキペダルを取り外せば、車両は6人乗りになるという。
現在のGEMも次世代のモデルもレベル4の自動運転が可能で、人間の操作を必要とせずに走行できる。ジオフェンスに囲まれた環境という制約はあるが、ハリントン氏によれば、これらの車両は環境を完全に認識して対応できるとのこと。
「この車両は、LiDARとコンピュータビジョンを活用した完全な知覚スタックを備えており、状況認識、物体の分類と追跡、フルプランニングとモーションコントロールのアルゴリズムにより、与えられた環境内で安全に動作することができます」とハリントン氏は述べている。「ジオフェンスの利点は、その場所のHDマップを開発し、トラフィックの観点から予想されるすべてのことを決定づけられることです。特定の環境で制約を受けるということは、いかなる状況でも動作することを期待された制約のない車両ではなく、高い安全性と性能レベルを迅速に実現することを意味します」。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:Optimus Ride、Polaris、自律運転、電気自動車
画像クレジット:Optimus Ride
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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)